*これからお話する内容は、北海道のものです。
本州と同じとは限りません。
医局には、2つの意味があります。
ひとつは、大学病院で教授を頂点とする診療科の医師集団。
*以下、「医局(大学)」と称します。
もうひとつは、ある医局(大学)および、その出身者からなる集団。
構成は、医局(大学)、市中病院(関連病院)、開業医の3つからなります。
正式名称は「同門会」。
公的な集まりではなく、私的なものです。
*以下、「医局」=「同門会」とお考えください。
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平成16年度の臨床研修必修制度の開始以前、
ほとんどの医学部卒業生は、医局(大学)に属し、
同時に同門会に入会していました。
通常、1年目の研修医は大学内で研修します。
2年目に市中病院で研修します。
ある市中病院の○○科の医師は、××大学の医師のみで構成されます。
(私的病院は、そうでないこともあります。)
例えば、○○病院の内科が10名いたとしますと、
全員、××大学第○内科の医局(大学)の医師です。
ただし、内科と外科が別の大学であることはよくあります。
別の大学だからといって仲が悪いわけではありません。
その派遣人事を決めるのは、大学の教授です。
ある市中病院に医局(大学)から独占的に人材を派遣している場合、
「関連病院」と呼ばれます。
関連病院の数の多さが、医局(大学)の力の強さを示しており、
医学部卒業生もたくさん入局する傾向がありました。
北大、札医大、旭川医大の3大学は、関連病院の多さを
競ったものです。
3年目から10~15年目までは、1年~2年の周期で、関連病院を移動したり、
大学で研究をしたり、あるいは、海外研修を行います。
この人事権もまた、教授が握っています。
これだけ広範な人事権を持っていますので、医学部教授の力は
絶大なのです。
10年目以降、道は3つに分かれます。
1.大学で研究活動を続ける。
ただし、最終的に教授になれなければ、大学を離れることになります。
教授になれるのは、10~15年に一人です。
同じ大学の医局員だけがライバルではありません。
他大学の人間も候補になります。(他の教授の推薦が必要)
2.開業する。
3.ある関連病院に「固定」になる。
一回「固定」になった場合は、教授の人事権は及びません。
(1~3 いずれからも落ちこぼれ、関連病院ではない市中病院で
働く場合もあります。)
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同門会は、医局(大学)、関連病院、開業医の3つで構成されます。
関連病院にとっては、医局(大学)は、人材の供給とともに、
「質」も保証してくれます。
(人格的、その他、問題ありの人間は、大学が「別の道」を斡旋します。
医師免許が必要で、かつ医療技術をそれほど必要としない仕事が
あります。例えば、献血車に乗って血圧を測るとか・・・)
開業医にとっては、医局(大学)がバックアップしてくれます。
難しい症例を関連病院が引き受けてくれます。
病気で入院した場合、代診をしてくれます。
同門会=医局は相互互助組織なのです。
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大学の医局に入局する新人には、メリットとデメリットがあります。
その2で説明します。