「親のための受験教科書」(和田秀樹著)より
(引用開始)
わからない子は2学年戻れ
以前、元バレーボール選手の大林素子さんと、
富山県の中学校に出張授業に行きました。
そのとき、生徒から「できない子ができるように
なるにはどうすれば良いのですか?」と
質問を受けました。そこで私が答えたのは、
「中学生は、2学年戻りましょう」ということ。
いかに成績が悪くても中3の子にとって、
中1の教科書や問題は簡単に感じるはずです。
そのまま優等生のわかる状態で6年間勉強を
続けていって、2年下の子の中のトップレベルのまま
大学受験をむかえれば、2年遅れますが、
東大や医学部を狙えるでしょう。
ところが、中3の段階で学校の勉強についていけず、
わからないまま高3をむかえたとします。
すると、その後2年浪人しても、東大や医学部に
合格することはほぼ不可能でしょう。
それどころか、年間1000万円の授業料をとるような
医学系の予備校に通い、3年も4年も浪人しても
伸びない場合があります。
そういう話をしたところ大林さんがとても感激して
「そういうことは思いつきもしませんでした。」
多くの人には、そういう発想はないようです。
今、勉強がわからない子は、
わかるところまで戻って勉強をしなおす。
それが基本です。
(後略 引用終了 一部に省略や改変あり)
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「やり直す」により、大きく遅れることに
不安を持つ人は多いでしょう。
実際には、あなたが想像するよりは遅れません。
公立高校入試で一番差がつく科目は数学です。
100点満点で平均点が40点台というのもザラにあります。
たしかに、TOP公立校に合格するには、90点が必要です。
しかし、公立高校入試を分析すると、
「落とせない6割」と「差をつける4割」からなっています。
高校レベルの教材を学習するのに必要なのは、
「落とせない6割」の部分で、必要な学習時間は、
90点を取るための学習の1/3程度でしょう。
具体的な教材名をあげると、
「くもんの基礎固め100%シリーズ」(くもん出版)が
きちんと身についていればOKです。
*きちんと身につくというのは、間違えた問題を
何回も解きなおして、同じレベルの問題を
短時間で正解できる、という意味です。
TOP高に合格するとなりますと、あと2レベルの教材を
「身につける」必要があります。
小学校レベルの「論理的国語」や「語彙力」は、
それが身についていないと、中学レベルの参考書にも
支障をきたします。
近年は、解説が豊富な「講義型」参考書が出ていますが、
「物事を説明する」という性質上、どうしても
「日本語の説明文」が多く、分厚いものになってしまいます。
それすら取り組めないとなると、大学受験は不可能です。
「やり直す」ことで、「普通電車」を降りて、
数駅戻ることになりますが、「急行電車」への乗り換えです。
「高校受験」のランクは下がるかもしれませんが、
大学受験へつながる基礎を身に着けることになります。