北の旅人

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1956-「14歳の心象風景」<43>

2010-02-14 10:36:42 | Weblog

<作文>

            春の足音
            (I・F)

私は今、思います。過ぎ去った去年の春のことを。冬が終るにつれて、重苦しい足音で冬のあとから引きずられ、北国の寒い北海道に、ようやく姿を現しました。

その頃の私達は、遊びをしながら遅い春を待っていました。広い雪野に腰をおろし、私と友達はあたりをみまわしていました。その時は、何となく春の足音がきこえて来たように思えて、頭に浮かんできた事を詩に書いてみました。題は「春がやって来る」です。

  春がやって来る。皆でむかえる
  
楽しい春が 音も静かに 一足 一足 
  
冬の終わりにつながれて 遠い国からやってくる  
  考えてみると 緑の芽の赤ちゃんは    
  春が終わりとなる頃は  
  老いて 自然といなくなる 
  一日おくれて来る春を  
  まって伸ばした首の根を  
  いつしか来ている春風を  
  そうっとたたかれ ちぢむ首

私は、この詩をよみながら、去年の春を思いだしています。でも、今年の春は去年の春よりも大分早く、もうすぐそばまで来ているようです。

黙って耳をすませば、そよそよと春風が体をゆすっている。私達と一緒に野草達も耳をすまして聞いていることでしょう。今年の春の足音は、心もはずむような楽しさです。

     ☆         ☆

北国に住む者にとって、春は待ち遠しいものだ。冬は冬で美しい大自然の魅力をたっぷり見せてくれるし、楽しい遊びもあるが、厳しい寒さゆえ、どうしても屋内にいることが多くなる。

それだけに、柳の芽が膨らみ、蕗のとう、土筆などが顔を出して、白い世界から徐々に緑色の濃度を深めていく春は心が躍る。

暖冬という予報が出ていたこの冬だが、このところの寒さは2月としては観測史上一番の寒さを記録したところもある。さっぽろ雪まつりは終ったが、各地では雪まつり、氷まつりなどが続く。春風を感じるのは、オホーツクの流氷が去る3月中旬以降だ。