■BEST BANK(第301話) 発表1993年5月
評価 ★★★★
依頼人 四菱グループ総帥志村
ターゲット ①東亜銀行頭取坂本を狙うスナイパー ②東亜銀行頭取坂本
報酬 不明
今回弾丸発射数 2/ 通算弾丸発射数 1,692
今回殺害人数 4/ 通算殺害人数 3,837
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 94
<ストーリー>
四菱銀行と東亜銀行の合併を巡り、アメリカ・元日銀総裁・四菱グループの思惑が交錯する・・・
<この一言>
仕事の内容を聞かせてもらおう、か・・・
<解説>
日本最大の財閥銀行”四菱銀行”と外為業務に強い”東亜銀行”の合併が進行。仕掛人は大蔵省から”東亜銀行”に天下った坂本頭取であった。
アメリカはメガバンクの登場を快く思わず妨害工作を企てるが、日本経済の牛耳る”元日銀総裁松下”は、これを阻止。メガバンク設立の仕掛人と思われた坂本も松下の操り人形でしかなかった。
四菱グループ総帥”志村”は、四菱=国家との思想の持ち主で、アメリカの日本への干渉を排除しつつ、新銀行のイニシアチブを握るため、
①アメリカが放った坂本頭取を狙うスナイパーの殺害
②新銀行設立後、坂本頭取(新銀行会長)の殺害
をゴルゴに依頼、ゴルゴはこのミッションを難なく完遂する。
言うまでもなく、本作の”四菱銀行”は三菱銀行であり、外為に強い”東亜銀行”は東京銀行である。本作は1993年発表であるが、1996年に三菱銀行と東京銀行は合併、『東京三菱銀行』が設立され、その後の都市銀行の合併の先鞭となった。ゴルゴシリーズが金融史を先取りする形でメガバンクの出現を予言しているのである。その後、都市銀行の合従連衡は周知の通り。本作発表時の都市銀行(今ではその呼び名も忘れ去られているが・・・)と現在の銀行名を比較すると、隔世の感がある・・・
三菱銀行+東京銀行=東京三菱銀行
三和銀行+東海銀行=UFJ銀行
東京三菱銀行+UFJ銀行=三菱東京UFJ銀行
さくら銀行+住友銀行=三井住友銀行
第一勧業銀行+富士銀行+日本興業銀行=みずほ銀行
あさひ銀行+大和銀行=りそな銀行
北海道拓殖銀行→破綻
ズキューン
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>現在、日本は雇用不安・経済格差・短期間の総理交代という状況~昭和初期の日本も、そんな閉塞感
今日の日本で、日本から戦争をしかけるということは考えられませんが、閉塞感という意味では非常に重篤な状況です。就職難や少子化問題もあり、若い世代からの国力の底上げは難しいかもしれませんね・・・
そんな中で、人々が見いだしたのが、戦争でした。
そして、新聞も呼応するように戦争賛成の記事を書いていきました。
しかし、そんな風潮にあって開戦反対の立場を唱えた一人に当時、海軍次官だった山本五十六がいました。
彼は、大使館付きの武官としてアメリカにいた事もあり、アメリカの国力を見てきたのです。
ちなみに、山本が連合艦隊司令長官に抜擢されたのは、暗殺対象のリストに載ったため、遠くへ行かせる為でした。
あとの事は、知ってのとおり。
しかし、開戦してからも、山本は早期講和を模索していたそうです。
コメントが遅くなりまして、申し訳ありません。
>日本の借金が1,000兆円を越えたそうです。
借金って返済するものですよね(笑)
どう転んでも返せない・・・
>「人々の上に立つ者たちが不正で財をなす。聖なる宝も公共の財産も奪う。そして正義という神聖な原則さえないがしろにする」
上に立つ者・・・生殺与奪の権はホントに恐ろしいですね。某国の国を挙げての涙・涙の猿芝居・・・
「人々の上に立つ者たちが不正で財をなす。聖なる宝も公共の財産も奪う。そして正義という神聖な原則さえないがしろにする」
どうなる事やら……
>上記の銀行名が『東京銀行』『三菱銀行』と重なる・・・
なるほど~ちなみに『東洋』といえば、実在の『東洋信託銀行』が後にUFJ信託銀行となり、『三菱UFJ信託銀行』となりましたね。さすがにここまでの銀行再編は著者も読めなかったでしょう・・・
終盤で、合併して誕生する銀行は『東洋銀行』
そして、(主人公の知らない所で)大蔵大臣が発足したばかりの『東洋』と新たに合併させようとする銀行が『五菱』
偶然かもしれないが、上記の銀行名が『東京銀行』『三菱銀行』と重なる・・・
■カイさん
山崎豊子と岡崎財閥のエピソード、面白いですね。山崎作品は社会的題材を扱ったものが多いので、カイさんの記してくれたようなエピソードは他にもありそうですね。
■マリヨ神父さん、こんにちは。
岡崎財閥は神戸銀行の母体だったのですね。勉強になりました。私が社会人デビューしたころは、大手21銀行(都銀11行、長信銀3行、信託7行)という時代でした。これまた隔世の感がありますね(笑)
「岡崎財閥」what?
50代以上の方でも、関西人じゃなければチンプンカンプンですよ~!(笑)
せめて昭和41年に倒産した「山陽特殊鋼」への過剰融資がたたって太陽銀行と合併せざるを得なかった神戸銀行(神戸銀行→太陽神戸銀行→さくら銀行→三井住友銀行)の母体となった経営者一族なんだぐらい書いといて下さいよ~!!(笑)
ちなみに、作中に登場する万俵財閥は、岡崎財閥がモデルとの説アリ。
wikiによれば、発表当時の財閥当主が、自分をモデルにされてると憤慨し、「裁判を起こす」と言ってたそう。
しかし、息子に宥められて、治まったそう。
>山崎豊子
沈まぬ太陽など読みたい作品がたくさんあります。気になっている作家&銀行合併関連の本は大好きなので、「華麗なる一族」も読んでみます。
興味があれば、原作もしくは、映画版を見てみてください。
脚本家研究家のマリヨ神父さんの面目躍如たる解説、ありがとうございます。
『砂上の帝国』も銀行が絡んできますね。ペロさんのコメントにあるように、”静夢”さんは金融機関勤務の方だったのでしょうか。
>ストーリーを考えた方は誰なのか?
長々とお待たせしました!私の出番ですね(笑)
脚本担当はこの前年のビッグコミック原作大賞に『15ー34』の木村睡蓮等と供に入選した静夢です。彼はこの後、続編の『オフサイド・トラップ』、『砂上の帝国』を書き、私があれだけ騒いだ(笑)『返還前夜』を最後に以後クレジットされていません。しかし、夏緑=秋田茜のように別名で脚本担当をしているかも知れませんね!
>ストーリーを考えた方は誰なのか?その方は他にどの様な作品をお持ちなのか?
確か、この銀行合併のストーリーは、金融機関勤務の方がシナリオを投稿した、という話を読んだ記憶があります。
(私は集めていないのですが)、文庫版ゴルゴにはシナリオ担当の方の名前も記されているかもしれません。
銀行の合併といえば、ATMのシステム統合失敗で不便な思いをした人も多かった事でしょう。それに、数年前までは、何銀行と何銀行が合併したのか思い出すだけでも大変でした。
>ごるごシリーズが金融史を先取り
「ストーリーを考えた方」のお手柄ですね。以前にも書き込みましたが、ストーリーを考えた方は誰なのか?その方は他にどの様な作品をお持ちなのか?是非知りたいものです。本日の一句「合併で、得をしたのは、誰なのよ!」