■みな殺しの森(第59話) 発表1972年3月
評価 ★★★★
依頼人 高級娼婦マレーネ
ターゲット サー・ウエストクリフ
報酬 不明
今回弾丸発射数 9/ 通算弾丸発射数 326
今回殺害人数 9/ 通算殺害人数 301
今回まぐわい回数 1/ 通算まぐわい回数 38
<ストーリー>
ロシア・スモレンスク近郊の「カティンの森」。第二次世界大戦中ポーランド人が虐殺されたこの森で、みな殺しが繰り返される・・・
<この一言>
獲物を見る時の目というのは、猟師であろうと暗殺屋であろうと・・・同じ目を獲物にむけるものだ・・・
<もう一言>
女のうらみごとを聞いてやるムードにはなれないんでな・・・
<さらに一言>
取引の際の支払方法に女の体をプラスするのは・・・おれの趣味にあわない・・・
<解説>
「カティンの森事件」を題材にした作品。1943年、旧ソ連のスモレンスク近郊「カティンの森」でポーランド人将校ら4000体以上の遺体が発見された。ソ連はナチスの犯行と指摘するも、ドイツ側は否認。双方の主張は平行線をたどり、ニュルンベルグ裁判ではカティンの森事件については触れられず、真相は明らかにならなかった。
史実をベースに展開するストーリーが重厚である。「カティンの森」を舞台にポーランド人の略取された財宝を巡り暗躍する面々。依頼人の悲劇的な人生と依頼に対する執念、最後まで結末が読めない展開、史実の重みが相まって、深い読後感が味わえる作品。
ふくろうマスクを被り派手なガウンを纏って仮面舞踏会に参加しているゴルゴの姿も必見。
なお、本作は1972年の発表であるが、「カティンの森事件」については、ソ連崩壊後の1992年にロシア政府が国家文書を公開、旧ソ連の行為だったことが明らかになった。
ズキューン
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依頼人が紙幣数枚でゴルゴに依頼を引き受けさせたのにも驚きました。
依頼人が死にゆく者、子供、必死の懇願をしたという場合にのみ依頼を引き受けるんですよね。
ところでなんで財宝があるといわれた場所にライフルがたくさん埋まっていたんでしょうか?
>依頼人が死にゆく者、子供、必死の懇願をしたという場合にのみ依頼を引き受けるんですよね。
このような場面に見せるゴルゴの男気、最高です。
接収された財宝と武器が埋められていて、財宝は既に掘りおこされていたのでしょうか?それとも、財宝類ははじめからなく、武装解除のために接収された武器だけが埋められていたのでしょうか?
武器は売られて金にしていたという意味での財宝だったのではないでしょうか。
ただ、その当時最新鋭の武器で飛ぶように売れて十分お金になったのが未来に掘り起こした時は時代遅れの武器(世間は戦争でないので不要なもの)になっていたということではないかと思っています。
初期のゴルゴ・シリーズは、解釈を読者に委ねるようなストーリーが多いですね。最近のゴルゴ・シリーズはどちらかというと細部に拘った写実的な展開が多いと思いますが、初期作品はどちらかというと文学的な拡がりを持っているような気がします。
財宝がただの武器だった件ですが、カティンの森事件は独ソ両国に攻められたポーランドを象徴する事件で、ただの武器を財宝と言う噂をポーランド側が故意に流したのかもしれませんね。
結果としてソ連側と、ナチスを利用していたイギリス判事側数十名が死亡し、ポーランドはささやかな復讐を果たせたという事かもしれない…と自分は解釈しました。
読者ごとに色々な結末を想像できて面白い回でした。