■氷結海峡(第109話) 発表1976年8月
評価 ★
依頼人 KGB
ターゲット エスキモー ジョー・アガスラック
報酬 不明(ゴルゴ希望金額)
今回弾丸発射数 2/ 通算弾丸発射数 751
今回殺害人数 1/ 通算殺害人数 662
今回まぐわい回数 1/ 通算まぐわい回数 61
<ストーリー>
ソ連軍の基地情報がエスキモーに盗まれた。エスキモーはCIAに情報を渡すべくベーリング海峡を徒歩で横断中。ブリザードの中、ゴルゴはエスキモーを追う・・・
<この一言>
スターライト・スコープを・・・用意できるのかできないのか、・・・それを答えてくれればいい・・・
<解説>
卑劣である。全くをもって、卑劣である。本作のゴルゴを認めてもいいのだろうか。卑劣で破廉恥なゴルゴが描かれており、これまで築き上げてきたゴルゴの美学とダンディズムを崩壊させるほどの最低作品である。ゴルゴ作品にはなんらかの事情で(おそらくは差別表現による自主規制で)封印作品となっているものがあるが、本作は別の意味で封印すべき作品ではなかろうか?
KGBから超人エスキモー「ジョー・アガスラック」の殺害依頼を受けたゴルゴ。ジョー唯一の弱点は婚約者であると聞いたゴルゴは、ジョーの婚約者「スージー」を犯し、その声を録音する。ブリザードの中、ジョーを追跡するゴルゴは、スージが犯されている音声テープを流し、ジョーが動転した隙に狙撃をする。
ブリザード中の闘いを描いた作品として、 第10巻-2『アラスカ工作員』 がある。ゴルゴはアラスカのブリザードの中、全知全能をもって「隼のイエス」を倒す。そこには単なる腕比べ・知恵比べを超えた、男のプライドを賭けた名勝負が描かれていた。しかし、本作のゴルゴは下劣で汚い。さらに、酷いのがゴルゴ表情だ。ゴルゴがスージーを犯している場面のゴルゴの表情を見よ。醜い。あまりにも醜い。冷静なはずのゴルゴが2度も大きく目を見開いている。目的の為には手段を選ばないマキャベリズムを描いたのかもしれない。が、ゴルゴだからこそ手段を選んで欲しいのだ。
全国1,000万人のゴルゴ・ファンの声を代弁する。「この話はなかったことにしてくれ・・・」
ズキューン
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この作品を読んで、正直さいとう氏に対しもう漫画を描かないでほしいという気持ちになりました。
この作品は封印すべきという管理人さんの気持ちには同感です。
こんな作品書かないでほしかったし、本に載せないで貰いたかったです。
スージーの悲鳴を録音するだけなら何も強姦する必要はなかったのに・・・。
ただ脅してその悲鳴を録音するとか方法はあったはずですよ。何考えてるんでしょうか。さいとう氏もゴルゴも。
コンパクト版の感想解説はゴルゴの行為をプッシュしていて、「何考えてんだ!」憤慨しました。どうかしていますよ。
あと30巻で(コンパクト版では28巻の感想解説で)エスキモーという用語が書かれていましたが差別用語ではないんですか?
この作品は本当に残念ですね。
「エスキモー」についてウィキペディアで調べたところ、M16さんご指摘のように、差別的に捉えられることもあるとの記述がありました。勉強になりました。ありがとうございます。
しょせんテロリストの殺人鬼。
さいとう先生もそこら辺を伝えたかったんでしょう
>しょせんテロリストの殺人鬼
我々ゴルゴファンは、どうもゴルゴを美化しすぎるようですね。ファンの”妄想”の中で肥大化していくゴルゴ像について、さいとう先生が一番危惧しているのかもしれません。
実は、凄い強敵だったのではないでしょうか。あそこまでしないと倒せない敵ということで。
隼のイエスは、狙撃はゴルゴからするとあんまり上手くなかったようですから。
それではまた(^O^)/~
>実は、凄い強敵だったのではないでしょうか?
かもしれませんね~。
個人的には、ラジカセの小型化進んだ当時、どうしてもネタとして使いたくて、このような展開にしたのでは?と考えています。
氷結海峡でのスージーは可哀想でしたけど、これはターゲットのジョー・アガスラックも悪いでしょう。何故、国家レベルの危険な悪事を働いといて、弱点になるほど大切な婚約者を持っていたのでしょうか。孤独で生きる覚悟がないのなら、それ相応の生き方をしなければならないでしょう。
コメントありがとうございます。
>国家レベルの危険な悪事を働いといて、弱点になるほど大切な婚約者を持っていたのでしょうか
そういえば、『ミッション・インポッシブル3』も婚約者が敵に捕らえられてしまうというストーリーでした。
>孤独で生きる覚悟がないのなら、それ相応の生き方をしなければならないでしょう。
諜報機関に勤めるのは、相当な覚悟が必要ですね。プライベートな時間や気持ちも持てないのでしょう。
ゴルゴは、どんなにカッコよくても「本来は憧れてはいけない」ダークヒーローであり、時に思いやりを見せる事はあっても、冷酷非情という、彼の本質が無くなる事はありません。
作者がどのような想いで、これを発表したのかは解りませんが、少なくともゴルゴ自身は「依頼を確実に成功させる」というその一点にしか興味はなく
ファンの間で賛否両論されている事すらも
「興味はない。好きに思えばいい」と冷ややかに考えていることでしょう。
>賛否両論
確かにこの回のコメントが1番多いですね
>ダークヒーロー
故に人を惹きつけるのですよね。う~ん、この話の解釈は難しい。
>「興味はない。好きに思えばいい」
他人がどう思おうと、俺には・・・関係のないことだ・・・なんてセリフがありそうです
ゴルゴが卑劣な手段を使うのは任務遂行が第一なのを示したかったのかもしれませんがそれにしてもこの話は他にも倒す方法があったんじゃないか?と疑問を覚えます。
せめてジョー・アガスラックが「ゴルゴが一般人に危害を加えないと倒せない」人物に相応しい描写をしてくれればまだ批判も少なかったかも知れませんが読んでる限り「地方のくーっ、はっはははは言ってる兄ちゃん」ぐらいにしか見れません。
もうちょっと貫禄があり、また氷の中でも不死身という強さ以外にも銃も凄腕とか歴代ライバルのライリーやスパルタカスに並ぶような人物だったらまだ卑劣な手段にも納得できたかも、
と思います。
>「地方のくーっ、はっはははは言ってる兄ちゃん」にしか見えない
同感です(笑)。
怖れるに足りない相手に、卑劣な手を使ってしまったという意味で、ゴルゴ・ヒストリーの汚点になっている作品ですね。
このエピソードの脚本担当は外浦吾郎=直木賞作家船戸与一なんです。彼は『死者の唄』がデビュー作で、以後『鬼畜の宴』のスパルタカスをはじめ『陽気な狙撃者』のバーナビー『チャイナタウン』の『ハンク・趙』など魅力的な敵役を排出しています。また『おろしあ間諜伝説』『毛沢東の遺言』の二つのルーツ編を脚本担当し、私の一番好きな『ズドロナス・マリヨ』を最後に脚本担当を外れています。
こう書いたところで、ふと悩んでしまいました。直木賞作家になるくらいだからストーリー構築はお手のものの筈なのに、何故あんな手段をゴルゴに採らせた??
脚本担当者を分析すれば何か掴めるかと思ったのですが益々分からなくなりました。
ただ妙に引っ掛かる事が一つあります。私がゴルゴの中では一番の怪作と踏んでいる『タラントゥーラ=舞踏蜘蛛』も彼の脚本担当なんですよね!
船戸与一がゴルゴの脚本を書いていたことがあるとは知っていましたが、氷結海峡も氏の作品とは・・・絶句・・・
船戸氏の作品は名作が多いのですね。ますますこの氷結海峡が悔やまれます。いや、タブーに挑むからこそ文学作品的なのか・・・
今一度、真面目に本エピソードの脚本分析を!(笑)
外浦吾郎=船戸与一は早稲田大学に在学中は探検部に所属しており、出版社に勤務してから24歳の時に本名の原田健司名で「アラスカ・エスキモー」(共著)(1968)を出しています
コレは、同じ朝日新聞社から出版された本田勝一の「カナダ・エスキモー」(1963)と対を成すものです
脚本担当するうえで、エスキモーの身体能力の高さを身にしみて知っている故にゴルゴの能力を持ってしても、まともに対峙すると歩が悪いと踏んだと思われます!
後の『白龍昇りたつ』や『極寒の大地』をクリアしたゴルゴに比べると、この頃のゴルゴは発展途上のアーリーゴルゴ(笑)
外浦吾郎が絡め手からイヌイットを攻略しようとしたのも、エスキモーの身体能力を知り尽くしたが故の産物と言えなくはないでしょうか!!
なお、ゴルゴはイヌイットの恋人スージーを襲ってはいますが、「まぐあい」までは致していないというのが、私の見解です!
外浦吾郎=船戸与一の情報ありがとうございます。
早稲田の探検部から出版社勤務という経歴なのですか!しかも、エスキモーの本を出しているとは。氷結海峡と船戸与一を結ぶ貴重な線ですね!!
>エスキモーの身体能力の高さ~対峙すると歩が悪い
なるほど、”卑劣”な手を使わないと敵わないと考えたわけですね。こうして考えると、船戸与一、さすがです。
>「まぐあい」までは致していない
なるほどなるほど、ゴルゴ、さすがです。あ!でもアーリー・ゴルゴだからひょっとして・・・(笑)
…繰り返しになりますが、自身に都合の良い妄想をゴルゴに押し付け、それに当てはまらないものは全否定した上に、ファンを代表してなどとのたまわれてはたまりません。とても悲しいです。
ゴルゴも殺し屋という職業上は、手段を選んでいられないし
ブリザードという不利な状況で、手強い相手を倒さないという理由もあるけど
この話でのゴルゴは鬼畜でしたね。
いくら相手のフィールドだろうが超人エスキモー戦はゴルゴと対峙したところで勝算はありそうだが・・・やはり超一流の臆病さからか石橋を叩いたんでしょうか。
この話が連載開始から8年ほど経っていたことから、
さいとう氏もそういうダークヒーロー的見方が固まる前に読者に対し、「ゴルゴはこう言う手段も取りうるぞ」と言った感じで改めて警鐘を鳴らすというか見せしめる意味でこれを描いたように読めなくもないです。個人的には。
私は管理人様の投稿は基本的に共感を持って読ませていただいておりますが、今回の記事については あ さんと同じ見解です。
これは個人的な見解になりますが、アーリーゴルゴか否かは関係なく、いつの時期のゴルゴであっても任務遂行に必要と判断すれば本作のような手段をとると思います。
勿論ファン心理として都合よく解釈したのですが、とある戦争心理学の本にこうありました。
「強い男を倒す最も良い方法はその男の恋人を犯そうとすること。なぜなら恋人とは男にとって弱点であり、そうすることで男の冷静さを失わせられるから。最も悪い方法はその男の恋人を犯すこと。なぜなら男は犯した相手に対する怒り以上に、恋人に対する諦めやある種の嫉妬や嫌悪感が生じ、よって恋人はただの女になり下がり、男の弱点ではなくなるから。」
ゴルゴがスージーを本当に強姦したとしたら、ジョーにとって最大の弱点が無くなることになります。
だからこそ強姦一歩手前の声を録音し出力することで、カードの価値を最大限に高めたのではと解釈しています。
我々の信じるゴルゴが卑劣な真似をするわけないではありませんか。