■ドイツはひとつ(第310話) 発表1990年8月
評価 ★★★★
依頼人 ベルギー選出欧州議会議員グールト(コンタクト=秘書モロー)
ターゲット 西ドイツ重工業コングロマリット・NPPグループ総帥 兼 ミュンヘン銀行頭取 ベルマン
報酬 300,000ドイツマルク
今回弾丸発射数 5/ 通算弾丸発射数 1,718
今回殺害人数 7/ 通算殺害人数 3,870
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 95
<ストーリー>
1989年11月9日、ベルリンの壁崩壊。EC統合を目前に、強大なドイツの出現を警戒する政治家たちが暗躍する・・・
<この一言>
あんたの依頼はわかった・・・しかし、俺は、同時に複数の依頼は、受けない・・・
<もう一言>
どうやら、依頼人が、俺のとの契約を、破ったらしい・・・
<解説>
ベルギー選出欧州議会議員「グールト」は、趣味のロールプレイングゲーム(独自のシナリオに基づきゲームを進行するテーブルゲーム)の会を主催、各国の欧州議会議員とともにゲームに興じていた。シナリオは秘書の「モロー」が策定した”EC統合”。各国議員がそれぞれの国の代表となり、政治シナリオにも基づいてゲームが進行する。西ドイツ選出議員の「リンデンバウム」は、東西ドイツの統合→ドイツ統合に反対するフランス大統領の暗殺→ドイツ統合→NATO脱退→ポーランド侵攻→核兵器使用と強硬なシナリオを展開する。核兵器の使用により勝者なく、ゲームは終了。ゲーム中に99%の成功率を誇るゴルゴの存在を知ったグールトは、ゴルゴの利用と排除に思いを馳せる。
1989年11月9日、ベルリンの壁崩壊を目の当たりにしたグールトは、ドイツ財界の重鎮「ベルマン」が押し進める東西ドイツ統一に危機感を抱く。EC統合よりもドイツ統合が優先されると、欧州のパワーバランスが崩れ、EC統合そのものが危うくなる懸念があり、ベルマンはナチの幼年学校出身で右寄りな発言が目立ち、統一ドイツの暴走が想定されるためだ。グールトは、秘書のモローにベルマン暗殺をゴルゴに依頼するよう指示する一方、この機会にゴルゴの排除を目論みベルマン暗殺情報を流し警備を強化させる。ベルマンが殺されてもよし、ゴルゴが殺されてもよし、の両面作戦に打って出たのである。
ロールプレイングゲームで強硬な主張を唱えたリンデンバウムであるが、ベルマンの急進的なドイツ統合は近隣諸国からの理解を得られないと考え、ゴルゴにベルマンの殺害を依頼する。先にグールトからベルマン殺害の依頼を受けていたゴルゴは、「俺は、同時に複数の依頼は、受けない・・・」とリンデンバウムの依頼を断る。
ゴルゴはベルリンの壁越しにベルマンを狙う。ゴルゴに狙われていることをグールトより聞かされていたベルマンは、死の直前「私がゴルゴ13なら、壁越しに、狙撃するな」とつぶやき諦観する。スコープを通じてベルマンのつぶやきを読唇術で読みとったゴルゴはベルマンを葬る。しかし、警備を強化していた独側の反撃に合い、ゴルゴは負傷する。情報漏れを悟ったゴルゴはリンデンバウムに接触する。リンデンバウムは情報を漏らしていない事を証明するため、グールトとモローが漏洩源であることを確認、ゴルゴがグールトとモローに報復し幕を閉じる。
冷戦終結の象徴ともいうべきベルリンの壁崩壊を題材にした作品。各国政治家の思惑がからむロールプレイの記述が面白い。最も急進的かつ右翼よりのシナリオを採っていたリンデンバウムが実は穏健派で、急進改革派のベルマンの存在を快く思わないあたりに人物描写の妙が伺える。ゴルゴにスナイプを依頼するあたりは、リンデンバウムも強硬派ではあるが・・・。リンデンバウムのいう「ノブレス・オブリージュ」こそ、今日の政治家に求められる資質であると思うのだが、日本の政治屋にこれを求めるのは無理というものだ・・・。
ズキューン
<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>
>私が疑われたら生きた心地がしないでしょう。
同感です。ゴルゴがきちんと確認してくれてよかったですね。『疑わしきは罰する』だったら、リンデンバウムは即死でしょうから・・・
ゴルゴンに疑われたリンデンバウムは、大変でしたね。私が疑われたら生きた心地がしないでしょう。
>日本の政治屋
日本には本当の政治“家”はいないのでしょうか
本日の一句“ゴルゴンは、裏切り者を、許さない”