「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・ピカピカの金、銀、銅

2012-12-24 | 鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

ピカピカの金、銀、銅

情報プラットフォーム、No.304、1月号、2013、掲載

年末の思い切った大整理から救い出したものがある。NHKのTV放送台本「くらべてみれば 金vs銀 ~かくれた魅力の活用術~」である。「ためしてガッテン」に引継がれた科学バラエティー番組である。「ウルトラアイ」、「トライ・アンド・トライ」、「くらべてみれば」と続いていた。台本には、出演:鈴木朝夫さん、ジュディ オングさん。リポーター:立川志の輔さん、石井めぐみさん。司会:山川静夫アナウンサーとある。放送は平成4年6月29日である。金と銀に加えて銅、さらに鉄を加えて比較する企画である。

 タイトルの金・銀・銅の順序には大きな意味がある。まず思い付くのは、オリンピックのメダルの順位である。調べてみると、メダルの大きさは直径 60mm、厚さ3mmほどであり、銅メダル、銀メダルはそれぞれ銅製、銀製であるが、金メダルの中味は銀で、表面に6グラムの金を使っている。金 1グラムは \4,500、銀は \87、銅は \0.8程度である。銀は銅の120倍、金は6,000倍の価値があり、金の価格は別格である。さらに、表題の並びは密度の順序でもある。金は 19.32g/cm3、銀は10.49g/cm3、銅は8.98g/cm3である。この二つの理由だけでも、無垢の純金メダルにすることの困難さ が理解できる。

 金・銀・銅は化学的変化を受け難い金属と言える。特に、金はいつまでもピカピカである。金は装身具、装飾品などに用いられるだけでなく、王冠や メダルに権威や名誉の象徴として使われるだけあって、大気中で輝きを失わないことがその価値を高めている。

 金は金属状態の自然金として存在し、地中にあっても輝いている。砂金は金そのものが砂に混ざったものであり、岩石の境目に取り込まれて存在する 自然金が、浸食や風化を受けた砂礫に混ざってきたものである。そして、砂礫よりも重い砂金は流水の底に沈殿する。川の砂からの砂金取りに使うパンニング皿は、フライパンの柄を取った形状のものである。皿を回しながら上澄みを流し、下に残る金色を探す選鉱法であり、密度の違いを利用してい る。なお、砂鉄は磁石に付く酸化鉄(磁鉄鉱)であり、金属鉄ではない。これを固めて、高温で鍛錬すれば、刃物になるわけではない。精錬して金属鉄にしなければならない。

 江戸時代の鉱山は、佐渡金山(新潟県)、そして石見銀山(島根県)が有名だった。現在では、鹿児島県の菱刈鉱山が動いている。ここの金の推定埋 蔵量は250トン、その金鉱石は50g/tと高品位である。普通は数g/tである。世界中での年間の生産量は、金は2,600トン、銀は 24,000トン、銅は16,000千トンである。銀は金の9倍、銅は金の6,200倍の生産量である。有史前から現在までに、人類が地中から取 り出した金の総量は15万トンと推定され、これを体積にすれば50mの公式プール3つ分である。

何と言っても、金・銀・銅の特徴はその煌めきであり、その輝きである。銀は可視光の波長の全てで反射率が高く、鏡として最適の性質を持っている。アルミニウムも銀に似てはいるが、反射率はやや劣る。金や銅では、長波長域の赤や黄の反射率は銀と変わらないが、短波長域の青や緑の反射率が低いために、 特有の色、すなわち赤・橙・黄の美しい色が発現する。青や緑の短波長光は金属内部に浸透するので反射率が低くなるのである。従って、金箔として厚さ数ミクロンまで薄くすると、青色光が透過してくるのが確かめられる。一方で、銀は可視光線を透過しないが、紫外線領域の短波長の光を透過・吸収 する。

 リハーサルなしで本番に臨んだジュディ オングさんの的確な判断力に金のようなピカピカを、そして志の輔さんの話の裁き方には銀のようなキラキラを感じたのである。

 

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鈴木朝夫 s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

高知県香美郡土佐山田町植718   Tel 0887-52-5154

 

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