「ぷらっとウオーク」 情報プラットフォーム、No.187、4(2003)
{車輪のある生物}
中学生の頃、生物の時間に、「車輪のある動物が何故居ないのだろう」と、ふと疑問が湧いてきた。「車輪の直径と地面の凸凹の大きさが同程度なら車輪動物は動けなくなる」が先生の答だった。「分かりました。でもそれならば、スクリューの魚やプロペラの鳥が居ても良いのでは」との質問に先生は答えられなかった。「回転部分に栄養が回らず、車輪や車軸を成長させることができない」とそれらしい理由の一つを思いついたのは高校生になってからである。
本川達雄氏は「なぜ車輪動物がいないのか」を一つの章を設けて説明している(1)。走るよりも速く、楽に移動できる自転車のメリットを考えながら、傍目には大変と思う車椅子なども例に挙げて、エネルギー的に得な車輪の効用を述べている。しかし、ふかふか絨毯や凸凹の砂利道に差し掛かったとき、カートやベビーカーで苦労する状況を思い出せば、車付き動物の大変さは理解できるだろうと述べている。車輪で生きることのできる(活動できる)世界は平滑が条件である。バリアフリーとか、ユニバーサル・デザインは人間の文明社会でこそ実現可能なシステムである。
回転部分を持つ珍しい生き物がある。数ミクロン以下の大きさのある種のバクテリアは渦巻き形状の鞭毛を持っている。このバクテリア鞭毛の付け根には、イオン濃度差による回転駆動型のモーターが付いており、回転させながら進んでいくのである。
(1)「ゾウの時間 ネズミの時間」、本川達雄著、中公新書,1087、(1992)
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私なりに考えると、回転運動には軸が必要で、軸と本体とは切り離されていなければ永久回転は無理だからと思う。(たとえば、ベアリングのような独立した個体が必要だから)細胞が分離して体ができることから、2つの個体が分離した状態でつながることは無理だと考えた。この答えなら、鳥も魚もそのまま回答となるはずである。
私も子供の頃、こんなことばかり考えていた。残念なことに、自分の子供にはこの発想が通じない。話せば話すほど「変人」となってしまう。
鈴木先生のコラムを読んでやっと理由がわかった、私には伝える能力が少ないのかもしれない。それにしても、鈴木先生の話はいつ聞いてもおもしろい。
今年はメタンハイドレードの話をしてくださった。思わずその後ネット等で調べてみた。私の頭の中には、宇宙ステーションではなく、海底ステーションが建っている未来が出来上がった。