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「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

「高知ファンクラブ」に投稿された、続きもの・連載記事を集めているブログです。

連載第2回 若草幼稚園・すくすくの森で育まれるもの・・・心身を鍛え、育む(その2)

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

少々の雨でも週に一度は行くすくすくの森。三歳の時、バスを降りて森に差し掛かるだけで圧倒されて泣いていた子どもや、坂道が恐い、大きな木が恐いといって泣いていた子どもも、回を重ねる毎に幼稚園のどの場所よりもすくすくの森が大好きになっていきます。

この森で、子どもたちは何を育んでいくのでしょうか。

  

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1 心身を鍛え、育む

                                                                                若草幼稚園 岡林道生

 

  

(2)わんぱく広場で

 

  

 辿り着いた森の中は木洩れ日が射して、ひっそりとしています。不思議なのは、大きな木々の間に点在する岩山や洞穴まで、まるで息を潜めているように感じられることです。

 

どの子も、深い森の持つ神秘的な雰囲気に呑みこまれそうになって立ち止まります。でも、それは一瞬の出来事です。高い空を見上げ、地上に目を転じると、そこはもう子どもたちの格好の遊び場に変わります。

 

岩山は、子どもの膝の高さのものから背丈の数倍のものまであります。平たい岩、高く切り立った岩、滑り台のような岩、色々な高さや形の岩があちこちにあります。

 

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 マサくん、タカくん、リョウくんの三人が切り立った高い岩山から私たちを「オーイ、オーイ、」と呼んでいます。「みんな大丈夫なの?」と聞くと、「平気平気、」と岩にまたがって手を振っています。

 

後ろの方からソウくんが「僕も来たでー。」と顔を覗かせました。ソウくんは、手足をクモのように岩山にはりつかせ顔をひきつらせています。マサくんが「ソウくんは今日、初めて登れたがで。」と教えてくれました。

 

「そう、すごいね。」と答えると、タカくんが「けんどねー、こっちから登って来たがやもんねー。」と横のリョウくんに言います。斜面にある岩山は後ろからは案外簡単に登れるのです。

 

「そうそう、僕らーはよ、こっちのね、絶壁を登って来たが。」とタカくんが得意そうに言うと、三人目のリョウくんが「今度はソウくんも絶壁から登ってくるがよねー。」とソウくんに言いました。

 

ソウくんは考えるような仕草をしながら、下を覗きます。すると絶壁をにらんでいるリキくんが目に止まりました。ソウくんが「リキくーん、こっちから来たら簡単で、僕はよー、こっちから登った、ここ高いでー。」と呼びました。

 

リキくんは、しばらく絶壁をにらんでいましたが、結局簡単な方の斜面を走り出し、あっという間に岩の頂上から顔を出しました。タカくんが二人に、「あのよー、岩によ、足を掛けれる所があるがね、それに足を掛けてよ、手を伸ばしたら又ひっかかる所があるき、そこを持ってよ、」と教え始めました。

 

するとマサくんが、「ここから言うても分からんき、今度一緒に登ろうか、」と誘い、ソウくんとリキくんも頷きました。そこへリョウくんが、「けんどよ、手にも足にもすごい力がいるがよね。」と言います。「いるいる。」とマサくんとタカくんが相槌を打つと、ソウくんは「僕、まだやめちょく。」と答え、リキくんは、「やってみる。」と答えました。

 

ここで何がおかしいのか五人は大笑いをして、又、下にいる友だちに「オーイ、オーイ」と声をかけ始めました。チラッと見上げる子どももいますが、多くの子どもが自分たちの遊びに夢中です。

 

滑り台のような岩に列になって登り、ズリズリ滑って最後は岩からピョンと飛び降りることを繰り返す子ども、倒れた木にぶら下がったり座ったりする子ども、時間は飛ぶように過ぎていきます。友だちと笑う声や話す声、そして動く様子までが、まるで森の一部のように見えるから不思議です。

 

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 森には、自分の力量に合った方法で遊べる所、ちょっと試してみようと思う所、勇気を出して挑戦してみようと思う所などが多くあります。この場所もその一つです。

  

ソウくんとリキくんは、三人にロッククライミングの薀蓄を語られ、今度は一緒に登ろうと誘われます。しかしソウくんは、まだ無理だと判断し、リキくんはやれるかもしれないと判断します。子どもは、賢いなと思うことが始終ありますが、このときも「ソウくん、賢いなー。」と思って見ていました。

 

斜面を見て、こちらからなら行けると判断したのは地形が解ったからでしょう。その上、今度は一緒に登ろうと誘われたとき、まだ無理だと答えたのも、今の自分の力量ではおぼつかないと判断したからに違いありません。子どもは目的を持った時、自分の力に合った方法を見つけ、選ぶのですね。

 

5人の笑い声は、「そのうち登ればいいさ、きっと登れるさ、登って見せるさ、」の合図のようでもありました。子どもたちは、友だちと競い合い、励まし合い、助け合いながら新しい冒険を試み、ちょっと難しいと思うことに挑戦していきます。やればできるという達成感を味わいながら・・・。

 

 

 

 

(文中の画像は、若草幼稚園より提供していただいたものを中心に、編集者が選んで挿入したものです)  

〔『保育の実践と研究』(第15巻第2号)より転載〕

 

第1回の連載に続いて、(第1回連載はこちらに)

 

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち  に関する記事

 

 

HN:ちるどれん

 

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち  に関する記事 

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子どもの遊び場・高知

子育て高知

 

連載第2回 若草幼稚園・すくすくの森で育まれるもの・・・心身を鍛え、育む(その1)

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

少々の雨でも週に一度は行くすくすくの森。三歳の時、バスを降りて森に差し掛かるだけで圧倒されて泣いていた子どもや、坂道が恐い、大きな木が恐いといって泣いていた子どもも、回を重ねる毎に幼稚園のどの場所よりもすくすくの森が大好きになっていきます。

この森で、子どもたちは何を育んでいくのでしょうか。

 

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1 心身を鍛え、育む

 

                                                                                若草幼稚園 岡林道生

 

  

(1)わんぱく広場への道

 

  森には、直線がありません。真っ平らな所もありません。一番平坦な三角広場でもでこぼこだらけ、草むらや石がいっぱい、周囲は木々に覆われています。

 

森の深い所にあるわんぱく広場への道は、細く狭く、一人がやっと通れるくらいの道が続きます。その上、急な斜面があったり、岩や石、木の根、倒れた木までが道をさえぎるように横たわっています。

 

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子どもたちは、この道を先生と一緒に下りたり登ったりします。竹やぶが終わり、森へ入る5m手前に急な斜面があります。数本の竹を残しているものの子どもたちにとってこの斜面通過はなかなか難関です。

 

先生たちは、斜面が始まる所、カーブのある中間、スピードのつく終わりの所、危険があればすぐ手が出せる所で子どもたちを見守ります。

 

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 アユミさんは、坂の上で「恐い恐い」と足を竦めてなかなか下りて来ようとしません。それでも隣のカイくんが、お腰を落として、手をついて、ズリズリ下りていく様子をじーっと見つめていました。

 

カイくんが下りてしまうと、「私もやってみようかな。」というまなざしで先生を見つめていました。先生が「そうね、」と頷くと、トンとお腰を落としてズリズリ、また先生の顔を見てズリズリと下りてきました。

 

「大丈夫だった?」

「うん。」

こっくりと頷き、納得したような顔をして、次に下りてくる子どもを気遣うように見ています。

 

多くの三歳児が、このような経験を通して自分に合った方法でこの斜面を通過していくようになります。斜面に慣れて、足腰が強くなってくると、ゆっくりゆっくり斜面を踏締めるようにしながら、残してある竹にうまく掴まって下りて来るようになります。

 

そして、竹を拠り所にしてタタタと下りられるようになります。その次はタタタ、タタタとカーブも見事に折れて坂道をタタタと森の入り口まで駆け下りて行くようになるのです。

 

年長児は皆、こんな斜面なんかへいちゃらになっていきます。坂道を勢いよく駆け抜けていく子どもたちを見て、保護者は「えっ、すごい」という顔をしますけれど、こんな事どうって事ないのです。

 

やろうとしていることを見守り、励ましてやれば、子どもは自分で力をつけていきます。

 

 

(文中の画像は、若草幼稚園より提供していただいたものを中心に、編集者が選んで挿入したものです)  

〔『保育の実践と研究』(第15巻第2号)より転載〕 

 

 

 

 

 

(連載第2回を始めるに当たって)

 

第1回の連載に続いて、(第1回連載はこちらに)

 第2回を若草幼稚園 岡林道生 園長にご相談して、「高知ファンクラブ」でも連載させていただく事にしました。

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち  に関する記事

高知市若草南町にある若草幼稚園は、幼稚園が所有する「すくすくの森」を活用した体験教育を早くから実施している事で有名です。

いま全国的な盛り上がりの中で、高知市神田の「アジロ山自然の森」をはじめ、県下でも「森のようちえん」に関する取り組みが高まって来ています。

この盛り上がりを一過性のブームに終わらせないで、

森林率84%で全国一を誇る、"森の国・高知"ならではの、「かしこくてたくましいこどもを育てたい」という、親をはじめとする、みんなの共通の願いを実現するための、取り組みの大切な一つとして、「もりのなかでこどもはかがやく」を応援していけたら・・・と考えています。

先進の「若草幼稚園」と連携しながら、高知にふさわしい「森のようちえん」について、今後特集しながら、みんなで考えて行けたら・・・と思っています。 

  

 

HN:ちるどれん 

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち  に関する記事 

HN:ちるどれん さんの記事

子どもの遊び場・高知

子育て高知

 

「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載7 「すくすくの森」でのルール 2

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

若草幼稚園 岡林道生 園長にご相談して、「高知ファンクラブ」でも連載させていただく事にしました。 

高知市若草南町にある若草幼稚園は、幼稚園が所有する「すくすくの森」を活用した体験教育を早くから実施している事で有名です。

いま全国的な盛り上がりの中で、高知市神田の「アジロ山自然の森」をはじめ、県下でも「森のようちえん」に関する取り組みが高まって来ています。

この盛り上がりを一過性のブームに終わらせないで、

森林率84%で全国一を誇る、"森の国・高知"ならではの、「かしこくてたくましいこどもを育てたい」という、親をはじめとする、みんなの共通の願いを実現するための、取り組みの大切な一つとして、「もりのなかでこどもはかがやく」を応援していけたら・・・と考えています。

先進の「若草幼稚園」と連携しながら、高知にふさわしい「森のようちえん」について、今後特集しながら、みんなで考えて行けたら・・・と思っています。 

すくすくの森で、焼いもイベント・・・若草幼稚園児に同行しました

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載1

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち連載2 社会の変化と子どもの問題

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち連載3 「すくすくの森」との出会い

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~連載4 「すくすくの森」について1

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~連載5 「すくすくの森」について 2

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~連載6 「すくすくの森」でのルール 1

 

 

sukusukunomorig2.jpg「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~

                              若草幼稚園 岡林道生

  

 

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3 「すくすくの森」でのルール  (前号よりのつづきです

、   ハチに会ったら、しゃがんで、ゆっくり後ろ向きに離れます。(ジェスチャーで示す)そして、先生にハチがいたよーと教えてください。 

 スズメバチはまず、「これ以上近づくな」という偵察役のハチが飛んできます。見つけたら、みんなでそのエリアからすぐ離れることにしています。

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 七、   木の枝を振り回したり、石を投げません。 

子どもたち(特に男の子)は、木の棒が大好きですが、大勢で行くこと、木々に囲まれて空間が狭いこと等があって危険度が高いので止めています。また、斜面で石を投げると、下に友だちがいるのに気づかないことがあり、当たって大怪我をする危険性があります。

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八、   急な坂道は走りません。 

 森の中でケガをする子どもはいませんが、セメントの急な坂道を走り下りて転び、顔面に大ケガをする子どもがいました。特にその坂道は走らないことにしています。

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九、   木の枝やお花を勝手に折ったり、とったりしません。山のものは、帰るときにはお山に返します。 

 白つめ草で冠を作ったり、花の茎で遊んだり、銭ゴケで耳のそばで割る音を楽しんだり、製作用に葉っぱをとったり、どんぐりを集めたりしますが、森のものは森に返すことを基本にしています。

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動物の場合は、自分の家族関係に置き換えて「どうなるの?」と問いかけています。草花や木の実も自分たちのものだけではなく他の動物の餌でもある話を、命のつながり等を題材とした絵本を通して話していきます。 

また、絶滅危惧種もあるので、みんなで気をつけるようにしています。2008年には動物の生態系の頂点と言われる猛禽類ふくろうもこの森にやってきました。「すくすくの森」の豊かな生態系を壊さない為にも、森のものは森に返すことが本当だと思います。  

十、   笛が鳴ったら先生のところに集まります。 

 子どもたちは、三角広場、わんぱくの森、冒険の森などと名づけられたエリアごとに遊びます。一つのエリアはかなりの広さがあり、集合の合図が必要です。一度目の笛はお弁当、二度目の笛は帰る支度と決めていますが、何かあったときも笛の合図で知らせることになっています。 

 毎回聞かされるこのルールは、話し終えるまで10分くらいはかかります。年長児になりますと百回近く聞かされることになるのですが、もう知っていると話をさえぎる子どもはなく、毎回、耳を傾けて聞きます。 

聞いて、理解して、確かめて、守っていかなければ生命に直結すると思わせる力が森にはあるのでしょう。だからこそ私たちは、80数名の子どもを保育者6人だけで連れていくことができるのです。

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 次回は、「すくすくの森」で遊ぶ子どもたちの具体的な姿から、そこで育まれていくものについて述べたいと思います。 

(注)河合雅雄、「子どもと自然」、岩波新書、1990、p223 

(文中の画像は、若草幼稚園より提供していただいたものを中心に、編集者が選んで挿入したものです)  〔『保育の実践と研究』(第15巻第2号)より転載〕 

 

HN:ちるどれん

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち  に関する記事 

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子どもの遊び場・高知

子育て高知


「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載6 「すくすくの森」でのルール 1

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

若草幼稚園 岡林道生 園長にご相談して、「高知ファンクラブ」でも連載させていただく事にしました。 

高知市若草南町にある若草幼稚園は、幼稚園が所有する「すくすくの森」を活用した体験教育を早くから実施している事で有名です。

いま全国的な盛り上がりの中で、高知市神田の「アジロ山自然の森」をはじめ、県下でも「森のようちえん」に関する取り組みが高まって来ています。

この盛り上がりを一過性のブームに終わらせないで、

森林率84%で全国一を誇る、"森の国・高知"ならではの、「かしこくてたくましいこどもを育てたい」という、親をはじめとする、みんなの共通の願いを実現するための、取り組みの大切な一つとして、「もりのなかでこどもはかがやく」を応援していけたら・・・と考えています。

先進の「若草幼稚園」と連携しながら、高知にふさわしい「森のようちえん」について、今後特集しながら、みんなで考えて行けたら・・・と思っています。

すくすくの森で、焼いもイベント・・・若草幼稚園児に同行しました

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載1

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち連載2 社会の変化と子どもの問題

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち連載3 「すくすくの森」との出会い

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~連載4 「すくすくの森」について1

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~連載5 「すくすくの森」について 2

 

sukusukunomorig2.jpg「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~

                                   若草幼稚園 岡林道生

 

3 「すくすくの森」でのルール 

 年少児の時は、時間の許す保護者の方に同行してもらい、山に慣れて行くようにしていますが、年中児、年長児に進級すると担任と副担任だけの同行になります。 

この21年間、森の中で小さな擦り傷や蚊に刺された子どもがいても、お医者様に行くほどの怪我をしたり、迷子になったりする子どもはいません。 

森を管理してくれる男性職員が3名いるからです。3人は毎日、できるだけ自然と生態系を守りながら、子どもたちが大きなケガをしたり事故にあわないように、山を巡り整備してくれています。 

そして私たちに今日はあそこにはスズメバチがいたので入らないほうがよいとか、今日は果物が食べ頃だとか、山頂の方で何かを見つけた、等の情報をくれるのです。 

 しかし、広い森、自然は刻々と条件を変えていきます。子どもたちは、自分自身で危険から身を守る方法を覚え、それを守って遊ぶ必要があります。 

森に着くと、子どもたちは荷物を降ろし、せんだんの木の下に集まって、森でのお約束を聞きます。

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一、   山の水は飲みません。

 水質検査の結果、水(地下水を汲みあげたもの)は飲んでも大丈夫でしたが、季節や雨量によって条件が変わる可能性が高いので飲ませないことにしました。 

二、   木の実を勝手に採って食べません。 

 「すくすくの森」には、採って食べられる果物や自生の木の実がたくさんありますが、食べられない実もあります。食べると生命に関わる実は除きましたが、広く深い森には、まだ残っていたり、気づかないうちに生えてきている可能性もあります。勝手には絶対に食べないこと、必ず先生と一緒に食べること、もし食べた時はどうなるかを含めて話します。 

三、   先生が見えなくなる遠くへは、子ども同士で行きません。 

 子ども達は冒険心が旺盛です。慣れてくるとどんどん先に行きたくなります。その結果迷う危険性があります。「覚えちゅうき、かまん。」は絶対にいけないこと、もしケガをしても助けることができないと話します。 

四、   赤い紐がついた木には、触ったり折ったりしません。 

 夾竹桃、ハゼの木、山漆など、触ったらかぶれる木や葉っぱがあります。子どもの通り道にあるものは除きましたが、大木や気をつけて遊べばよいところの木には赤い紐をつけて目印をしています。目印のある木を見て、葉の形や色、幹の色や質感を覚えて自分達でも見つけられるようにします。 

五、   深い草むらには入りません。 

マムシやムカデなどがいます。かまれたら毒が身体にまわって大変なことになります。また、「すくすくの森」は、草むらのすぐ向こうが崖になっています。危険な場所には縄を張っていますが、何が起こるかわからないので深い草むらには入らないようにしています。(つづく) 

(文中の画像は、若草幼稚園より提供していただいたものを中心に、編集者が選んで挿入したものです)  〔『保育の実践と研究』(第15巻第2号)より転載〕 

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HN:ちるどれん

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち  に関する記事 

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子どもの遊び場・高知

子育て高知

 

「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載5 「すくすくの森」について2

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

若草幼稚園 岡林道生 園長にご相談して、「高知ファンクラブ」でも連載させていただく事にしました。

高知市若草南町にある若草幼稚園は、幼稚園が所有する「すくすくの森」を活用した体験教育を早くから実施している事で有名です。

いま全国的な盛り上がりの中で、高知市神田の「アジロ山自然の森」をはじめ、県下でも「森のようちえん」に関する取り組みが高まって来ています。

この盛り上がりを一過性のブームに終わらせないで、

森林率84%で全国一を誇る、"森の国・高知"ならではの、「かしこくてたくましいこどもを育てたい」という、親をはじめとする、みんなの共通の願いを実現するための、取り組みの大切な一つとして、「もりのなかでこどもはかがやく」を応援していけたら・・・と考えています。

先進の「若草幼稚園」と連携しながら、高知にふさわしい「森のようちえん」について、今後特集しながら、みんなで考えて行けたら・・・と思っています。

すくすくの森で、焼いもイベント・・・若草幼稚園児に同行しました

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載1

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち連載2 社会の変化と子どもの問題

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち連載3 「すくすくの森」との出会い

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~連載4 「すくすくの森」について1

sukusukunomorig2.jpg「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~

                              若草幼稚園 岡林道生

  

 

2 「すくすくの森」について  (前号からの続きです

 

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この原っぱを横切り、視界をさえぎる木々を抜けると、先ほどぶつかった大きな岩山の頂上に出ます。山頂部に至る林は、「冒険の森」と名づけました。

わんぱくの森のように大木はありませんが、アラガシやハゼ、コバンモチ、山桜、ツツジ、リョウブ、ネジキ等の多様な木々が密生しています。 

ここでは、野原では見かけない色々な蝶が飛び交い、カミキリムシやクモ、セミ、ハンミョウなど多くの昆虫に出会います。ほら穴もあり、一年中子どもたちの冒険心をくすぐり続ける林です。

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山頂にたたずみ四方に目を向けていると、さまざまな鳥たちの声が聞こえてきます。頂上からは、私たちが住んでいる朝倉の町が一望できます。幼稚園も見えます。それぞれの子どもの家も小さく小さく見えます。 

 山頂からクリ、コナラの急斜面を下りると山を一周したことになります。又この斜面にはミツバツツジが群生しており、春を告げる梅の花が終わる頃、このミツバツツジの花が、山の斜面を紅く染めます。 

そして山桜が咲き、ソメイヨシノが見事に咲くなか、梨の花やゆすら梅、すももの花も静かに咲きます。やがて藤の花が咲き始める頃、すくすくの森は、至る所に花々が咲き乱れて美しさを競い、春爛漫になります。

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  初夏には、紫陽花や花菖蒲が目を奪い、足元にはピンクや紫、黄色、白い野の花が愛らしく咲きます。子どもたちは、花束を作ったり、かんむりや首飾りを作り、カタツムリやダンゴムシ、バッタの赤ちゃんを見つけて遊びます。 

絶滅危惧種のハルゼミのいるこの森で、セミ達が夏の訪れと終わりを教えてくれます。子どもたちは、セミの鳴き声で保育者に季節の移り変わりを教えてくれるようになります。 

 夏休みを終えて森に帰ってくると、森は私たちを違う景色で迎えてくれます。9月、雨の降ったあくる日には、大小さまざま、いろいろな形や色の木の子が、森の中を覆い尽くし、子どもも私たちも一瞬息をのむ程です。まるで、ジブリの映画の世界です。

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秋が深まってくると、木々は紅葉し木の実が落ちます。至る所に落ちる7種のドングリは、子どもたちの宝物です。実りの秋は、子どもたちに自然を満喫させてくれます。 

落葉樹がはだかになる頃、さざんかの花が咲き、ラッパ水仙や黄水仙が足元を彩り、ひいらぎの花が葉のかげでひっそりと咲くかと思えば、ここだとばかり芳香をはなち、やがて梅の先に蕾がふくらみます。 

春到来です。「すくすくの森」は、色々な花々が咲き、私たちに季節の移ろいを教えてくれ、愛しむ心を覚えさせてくれます。 

HN:ちるどれん

 

 


「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載4 「すくすくの森」について1

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

若草幼稚園 岡林道生 園長にご相談して、「高知ファンクラブ」でも連載させていただく事にしました。

高知市若草南町にある若草幼稚園は、幼稚園が所有する「すくすくの森」を活用した体験教育を早くから実施している事で有名です。

いま全国的な盛り上がりの中で、高知市神田の「アジロ山自然の森」をはじめ、県下でも「森のようちえん」に関する取り組みが高まって来ています。

この盛り上がりを一過性のブームに終わらせないで、

森林率84%で全国一を誇る、"森の国・高知"ならではの、「かしこくてたくましいこどもを育てたい」という、親をはじめとする、みんなの共通の願いを実現するための、取り組みの大切な一つとして、「もりのなかでこどもはかがやく」を応援していけたら・・・と考えています。

先進の「若草幼稚園」と連携しながら、高知にふさわしい「森のようちえん」について、今後特集しながら、みんなで考えて行けたら・・・と思っています。

 

すくすくの森で、焼いもイベント・・・若草幼稚園児に同行しました

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載1

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち連載2 社会の変化と子どもの問題

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち連載3 「すくすくの森」との出会い

 

sukusukunomorig2.jpg「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~

                              若草幼稚園 岡林道生

  

 

2 「すくすくの森」について 

 

 

 若草幼稚園は、高知市西部の住宅街にあり、周りにはまだ所々に田畑が残っています。「すくすくの森」は、この園からスクールバスで10分ほどのところにあります。広さは、3300坪、431種の植物、昆虫類が目につくもので125種、両生類が4種、哺乳類が6種、爬虫類が5種、野鳥が33種、確認されています。その中には、絶滅危惧種が植物で7種、動物で4種も含まれています。

 

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 スクールバスを降りて、果樹園を上に登ると「三角広場」と呼んでいる原っぱがあります。そして、木いちご、梅、びわ、山桃やすもも、柿の木の間にある小道をたどると、岩山から滝の流れ落ちる池があります。この池には、岩亀やヤモリ、カエルやミズスマシ、トンボなどが住んでいます。野鳥は、この池を水場に集まっ

てきます。

  

 

 

CIMG0115.jpg 池を過ぎると竹林があり、子どもたちの「すくすくの森」遊びは、この竹林の竹の子堀から始まります。竹林を通っていくと、突然視界がさえぎられ、ひんやりとした空気と静けさに足が止まります。中を覗くようにしながら、大きく深呼吸をして一歩踏み込み、倒木を潜ったり飛び越えたりして小道を辿っていくと、目の前にぽっかりと穴が開いたような不思議な空間に出会います。

 

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ここは、50年、80年以上を経て19メートルの高さを誇るアラカシやコナラ、ハゼや山桜の大木に囲まれていて、大きな岩が点在しています。木漏れ日が差し、風が遠くを渡っていくような場所です。大木だけを残して整備し、「わんぱくの森」と名づけたこの場所で、子どもたちは斜面を駆け登ったり下りたり、ロッククライミングしたりしています。子どもたちの賑やかな声が、森に吸い込まれていきます。

 

 

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 わんぱくの森を抜けると、雨の降った後に小さな滝ができる沢があり、時々、沢ガニに出会うこともあります。その沢の横を登っていくと巨大な岩山にぶつかります。岩山にぶつかって小道を右に行くと元に戻り、左に道をとると、太陽の光が目に飛び込んでくるように視界が開けます。

 

 

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坂道を少し登るとまた原っぱに出ます。ここには、愛らしい野の花が季節を通して咲いており、昆虫たちの住家になっています。夏休みを過ぎて9月、この原っぱに足を踏み入れると、バッタやイナゴが一斉に飛び出し、そのあたりの空気の色が変わるほどです。またここには、アキグミの木があちこちにあって、冬になると子どもたちの味覚を楽しませ、渡り鳥たちのえさ場にもなっています。

HN:ちるどれん

 

 


「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載3 「すくすくの森」との出会い

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

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この盛り上がりを一過性のブームに終わらせないで、

森林率84%で全国一を誇る、"森の国・高知"ならではの、「かしこくてたくましいこどもを育てたい」という、親をはじめとする、みんなの共通の願いを実現するための、取り組みの大切な一つとして、「もりのなかでこどもはかがやく」を応援していけたら・・・と考えています。

先進の「若草幼稚園」と連携しながら、高知にふさわしい「森のようちえん」について、今後特集しながら、みんなで考えて行けたら・・・と思っています。

すくすくの森で、焼いもイベント・・・若草幼稚園児に同行しました

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載1

若草幼稚園 「すくすくの森」と子どもたち連載2 社会の変化と子どもの問題

 

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「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~

 

                            若草幼稚園 岡林道生

 

 

1 なぜ子どもたちに森を

 

  

(3)            「すくすくの森」との出会い

 

 森探しは、いざとなると条件が合わずになかなか思うよう進みませんでした。そんなある日、幼稚園から見える山と土地家屋が売りに出ているのを新聞で見つけました。

  

  

IMG_3962.jpg車で10分、早速行ってみました。そこは豊かな自然の残る森と果樹園や畑が広がっており、家の前には山を借景した滝の落ち込む池もあって、変化と起伏に富んだ素晴らしいところでした。ここで生き生きと遊ぶ子どもたちの姿が次々と頭に浮かんできて、思わず同行した理事長に「ここを買ってください」と言っていました。

  

当時、理事長は周りの人々から「あんな山に・・・」「ケガでもさせたらどうする」とさんざんな評価を受けました。21年前に、3800万をかけて森を買うというのは、誰にも信じられないことだったのです。それでも理事長は、購入を決めてくれました。

 

 

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「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載2 社会の変化と子どもの問題

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

若草幼稚園 岡林道生 園長にご相談して、「高知ファンクラブ」でも連載させていただく事にしました。 

高知市若草南町にある若草幼稚園は、幼稚園が所有する「すくすくの森」を活用した体験教育を早くから実施している事で有名です。

いま全国的な盛り上がりの中で、高知市神田の「アジロ山自然の森」をはじめ、県下でも「森のようちえん」に関する取り組みが高まって来ています。

この盛り上がりを一過性のブームに終わらせないで、

森林率84%で全国一を誇る、"森の国・高知"ならではの、「かしこくてたくましいこどもを育てたい」という、親をはじめとする、みんなの共通の願いを実現するための、取り組みの大切な一つとして、「もりのなかでこどもはかがやく」を応援していけたら・・・と考えています。

先進の「若草幼稚園」と連携しながら、高知にふさわしい「森のようちえん」について、今後特集しながら、みんなで考えて行けたら・・・と思っています。

すくすくの森で、焼いもイベント・・・若草幼稚園児に同行しました

 

「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~

 

                           若草幼稚園 岡林道生

  

  

1 なぜ子どもたちに森を

 

  

(2)            社会の変化と子どもの問題

 

 高度経済成長とともに、子どもたちの遊び場が失われていったことは周知の事実です。所々に公園が設置されていても、もはや子ども一人で自由に行ける場所ではありません。そして今の子どもたちは、戸外で友達と遊ばなくても十分に楽しめて夢中になれるテレビやビデオ、ゲームなどで多くの時間を費やすようになりました。

  

 

CIMG0616.jpg今から、32年前のことだったと思います。3歳で入園してきたAくんは、幼稚園にいる間中、ガッチャマンのポーズをとりながら「ガッチャマン、ガッチャマン、」といって走り回り、何を聞いても「ガッチャンマン」としか答えませんでした。お母さんに聞いたところ、赤ちゃんの頃からガッチャンマンのテレビが大好きで、それを見ていればおとなしくしているので、起きている殆どの時間をそれで過ごしていたのです。また、そのことにお母さん自身もまったく問題を感じてこなかったようでした。

  

Aくんの姿は極端な例であるにしても、戸外で群れて遊ぶ条件を失うことで、子どもたちが段々変わってきていることが肌で感じられました。自ら戸外に出て身体を使って遊ぼうとしない子ども、汚れることが嫌いな子ども、暑さや寒さに弱くなり、ちょっとした環境の変化に戸惑い、泣く子どもが多くなりました。

  

また、自分の気持ちを相手にうまく伝えられなかったり、すぐにあきらめたり、衝動的なふるまいをする子どもも増えてきたように思いました。気になる子どもが目にとまるようになり、何かがおかしいと感じるようになりました。

  

 

CIMG0619.jpg河合雅雄氏は「子どもと自然」のなかで、「私がことあるごとに自然に親しもうと呼びかけてきたのは、密室から出て物との対話から離れ、いのちあるものとの対話の日常を親しむようにしないと、感性は潤いを失って無機質になり、やがて萎縮してしまうのを恐れるからである。」(注)と述べています。

  

この本には後年出会い、多くの示唆を受けたのですが、自然の中にいる子どもたちは、水を得た魚のように本来の力を発揮し、生き生きと活動します。もっと、子どもたちを自然の中に連れ出したい、生命のあるものに触れる生活をさせてやりたい、このような思いをのせて、森探しが始まりました。

 

 

CIMG0119.jpg(文中の画像は、若草幼稚園より提供していただいたものを中心に、編集者が選んで挿入したものです) 

                  〔『保育の実践と研究』(第15巻第2号)より転載〕

 

 

 

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「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~・・・連載1

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

若草幼稚園 岡林道生 園長にご相談して、「高知ファンクラブ」でも連載させていただく事にしました。

高知市若草南町にある若草幼稚園は、幼稚園が所有する「すくすくの森」を活用した体験教育を早くから実施している事で有名です。

いま全国的な盛り上がりの中で、高知市神田の「アジロ山自然の森」をはじめ、県下でも「森のようちえん」に関する取り組みが高まって来ています。

この盛り上がりを一過性のブームに終わらせないで、

森林率84%で全国一を誇る、"森の国・高知"ならではの、「かしこくてたくましいこどもを育てたい」という、親をはじめとする、みんなの共通の願いを実現するための、取り組みの大切な一つとして、「もりのなかでこどもはかがやく」を応援していけたら・・・と考えています。

先進の「若草幼稚園」と連携しながら、高知にふさわしい「森のようちえん」について、今後特集しながら、みんなで考えて行けたら・・・と思っています。

すくすくの森で、焼いもイベント・・・若草幼稚園児に同行しました

 

「すくすくの森」と子どもたち~21年の歩み~

                      

                                 若草幼稚園 岡林道生

  

  

1 なぜ子どもたちに森を

 

(1)            自然の中で遊ぶ子どもたちの姿から

  

 

CIMG0322_ビオトープ.jpg 今から21年前の1988年に、若草幼稚園は、子どもたちのために「すくすくの森」を購入しました。どんなことが動機だったのか思い返してみますと、やはり、森や川、海で遊ぶ子どもたちの姿が、私たちの心を動かしたからではないかと思います。

 

当時、私たちは、スクールバスを利用して、子どもたちを季節毎に森や川、海に連れ出していました。また柿狩りやみかん狩り、いも堀りにも出かけていました。

 

自然の中にいる子どもたちは、目の前に現れる景色や生き物に心を奪われ、時が過ぎるのを忘れてしまうほどです。そんな子どもたちのなかでも、特に私たちが喜びを感じたのは、普段の生活の中では余り表情を変えず、物事に積極的に関わろうとしない子どもたちの笑顔と能動的な動きでした。

 

例えば、場面緘目児と診断されたAさんは、自然の中に行くと「先生、この間より川の流れが速いね。」と話しかけてきたり、「お兄ちゃんはね、深いところまで行きよって、お父さんに叱られたが」などと話し始めるのです。

 

自ら、友達や先生に話しかけ、会話が弾むほどでした。また、体が弱く病気がちで幼稚園をお休みすることの多かったB君は、余り身体を動かして遊ぼうとせず、食も細くて、食べ終わるにも時間がかかる子どもでした。

 

ところが、自然の中では、B君の大好きな昆虫やさまざまな生き物が、彼の好奇心や探究心を刺激します。生き物を追いかけて走り回るB君は、お腹もペコペコ、よく食べるし、食べ終わるのもあっという間でした。

 

 

一方、初めて山などに行くと、登り坂を見ただけで「行けん、行けん」としゃがみこみ、坂道を下りようとするだけで「恐い恐い」と泣き出し、虫や葉っぱに触るだけで「先生!先生!」と顔をひきつらせる子どももいます。

 

しかし、回を重ねていくうちに段々慣れてきて、どんな子どもも自然の中で遊ぶことが大好きになります。

  

 

CIMG0325_わんぱくの森大岩.jpg 子どもたちが変わっていく、本来持っている躍動感があふれてくる、自然は私たち人間には及ばない何かがあるのでしょう。存在そのもので、相手を変える力を持っているのです。

 

いつしか、私たちにとって最も身近な自然である「森」が、幼稚園にあればどんなによいだろうと考えるようになりました。また、このような思いを強くした背景には、社会の変化に応じて出てきた子どもの問題がありました。 

 

IMG_2648_収穫の森.jpg(文中の画像は、若草幼稚園より提供していただいたものを中心に、編集者が選んで挿入したものです) 

                    〔『保育の実践と研究』(第15巻第2号)より転載〕 

 

HN:ちるどれん

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すくすくの森で、焼いもイベント・・・若草幼稚園児に同行しました

2011-01-14 | かしこくて、たくましい子どもに育てる

高知市若草南町にある若草幼稚園は、幼稚園が所有する「すくすくの森」を活用した体験教育をしている事で有名です。

先日、すくすくの森で、焼いもイベントをするということで、若草幼稚園児の乗ったバスの後をついて行きました。

「すくすくの森」がどのような森なのか・・・こどもたちがどんな様子で森で遊ぶのかを、この目で見たかったのです。

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はじめは、必ず毎回実施しているようですが、森に入るときの注意事項をみんなで確認していました。

そして、芋が焼ける間に、次ぎに来て芋焼きする組のための、森の中でのマキ集めです。

今日が初日で、年長さん、年中さん、年小さんの3クラスが一組です。この組み合わせで、別のこどもたちが3回に別れて芋焼きに来るそうです。

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私が今回感じた、森の中でのこども達は、一言で言うと"意欲に満ちている"と言う事でした。

浮き足立つ事もなく、森の中などでの行動を全員が落ち着いてやっており、自信までも感じました。

長い子は、4年間この森に来ています!とのこと・・・こども達と一緒に、うまい具合に焼きあがった焼いもを、同行した羽迫さんとともにいただきました。 

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鏡川大好き人間 サダヤンの徒然日記より

若草幼稚園のすくすくの森へ・・・たくましい園児に驚き
      ~松原教育長が森のようちえん視察~

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    (教育長も次長も、子供たちの森での活動にびっくりしていました。)

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              (園の畑にサツマイモの苗を植え付ける園児たち。)

11月2日に高知県立ふくし交流プラザで行われた、「高知県私立幼稚園PTA大会」の第2部に、北海道のNPO法人ねおす専務理事・宮本英樹さんを招いて「もりのなかでこどもはかがやく」 と題した記念講演会を行いました。

脳生理学を学び、実践に裏打ちされた宮本さんの話は、500人の会場にいた幼稚園教諭や保護者の皆さんの気持ちを引き付けていました。

福島明市議に紹介いただき、「アジロ山自然の森」に関わっている羽迫さんとともに私も講演を聞くことができました。

 

全国的な盛り上がりの中で、高知市神田の「アジロ山自然の森」をはじめ、県下でも「森のようちえん」に関する取り組みが高まって来ています。

この盛り上がりを一過性のブームに終わらせないで、

森林率84%で全国一を誇る、"森の国・高知"ならではの、「かしこくてたくましいこどもを育てたい」という、親をはじめとする、みんなの共通の願いを実現するための、取り組みの大切な一つとして、「もりのなかでこどもはかがやく」を応援していけたら・・・と考えています。

先進の「若草幼稚園」と連携しながら、高知にふさわしい「森のようちえん」について、今後特集しながら、みんなで考えて行けたら・・・と思っています。

 

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