極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

ナノテク解体新書 ①

2023年10月04日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

 今年のノーベル化学賞はあたわず。来年に期待!!

竹は春、筍にその精力を奪われてみすぼらしくなるが、秋になると幹もし
っかりして、中の虫も死に絶え伐るには恰好の季節。 

      伐竹の粉砕清まし三々五々     高山  宇   
                                             

            伐竹をまたぎかねたる尼と逢ふ   阿波野青畝

阿波野 青畝(1899年2月10日 - 1992年12月22日);奈良県出身の俳人。本
名、敏雄。旧姓・橋本。原田浜人、高浜虚子に師事。昭和初期に山口誓子、
高野素十、水原秋桜子ととも「ホトトギスの四S」と称された。「かつらぎ
」主宰。 市井の生活を材に、鷹揚な表現で自在な句境を構築した。古典を
素地にした叙情性も特徴。句集に『万両』(1931年)、『除夜』(1986年)。

 

   


再エネ革命渦論 174: アフターコロナ時代 175】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+❺





量子エンジンとは
量子エンジンは、ボゾン粒子の気体を圧縮し、フェルミオン粒子の気体を
減圧する。
------------------------------------------------------------------
量子力学は、原子や分子といった非常に小さな粒子の性質や相互作用を探
求する物理学の一分野です。量子力学の進展により、従来よりも強力で効
率的な新技術が開発され、コンピュータや通信、エネルギーなどの分野に
画期的な進歩をもたらしている。 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の量子
システム研究ユニットの研究チームは、ドイツのカイザースラウテルン・
ランダウ大学やシュトゥットガルト大学の研究チームと共同で、量子力学
の原理を利用した、極小のエンジンを設計・製作しました。研究では、こ
れまでの燃料を燃焼させる方法によってではなく、量子力学の原理を利用
して動力を生み出すエンジンを開発。今回の研究論文は、OISTの博士課程
学生キールティ・メノン、エロイサ・クエスタス博士、トーマス・フォガ
ティー博士、トーマス・ブッシュ教授共著によるもので、英国の科学誌「
ネイチャー」に掲載された。

自動車に搭載されている従来型のエンジンでは通常、燃料と空気が混ざっ
た混合気がシリンダー内で点火されます。その結果、爆発によってシリン
ダー内のガスが加熱され、熱膨張を利用してピストンを往復運動させ、そ
の動力で車輪を回転させる。
量子エンジンでは、熱の代わりに、ガス中の粒子の量子的性質における変
化を利用する。この変化がどのようにしてエンジンの動力源となるのかを
理解するためには自然界に存在するすべての粒子が、それぞれの量子的性
質に基づいて、ボソンかフェルミオンのどちらかに分類されるということ
を知っておく必要がある。☈
------------------------------------------------------------------
【脚注】
3次元空間では、すべての素粒子はボソン(ボース粒子)かフェルミオン
(フェルミ粒子)に分けられます。 核子や電子、ニュートリノなどはフ
ェルミオンで、光子はボソンです。 ボソンは1つの状態にいくつもの粒子
が入れ、フェルミオンは1つの状態に最大1つの粒子しか入れません(パ
ウリの排他律)。
------------------------------------------------------------------
☈量子効果が重要となる超低温では、ボソンはフェルミオンよりも低いエネ
ルギー状態にあり、このエネルギー差をエンジンの動力に利用することが
できます。従来型のエンジンのように、周期的に気体を加熱・冷却するの
ではなく、量子エンジンはボソンをフェルミオンに変化させ、また元に戻
すことで動力に利用します。
フェルミオンをボソンに変えるには、2つのフェルミオンを組み合わせて
分子にします。この新しい分子がボソンです。この分子を分解することで、
フェルミオンを再び取り出すことができます。これを繰り返し行うことで、
熱を使わずにエンジンを動かすことができるのです」と、量子システム研
究ユニットを率いるトーマス・ブッシュ教授は説明します。
この種のエンジンは量子の領域でしか機能しませんが、その効率は非常に
高く、ドイツの共同研究チームが構築した現在の実験の設定では、最大25
%効率を高められることが分かりました。

量子力学の分野において注目されるこの新しいエンジンは、急成長してい
る量子テクノロジー分野のさらなる進展につながる可能性を秘めています。
しかし、これは量子力学が自動車のエンジンに使われる日が近いことを意
味するのでしょうか?「このようなシステムは非常に効率的ですが、今回
私たちは実験に協力してくれる人々とともに概念実証を行っただけにすぎ
ません」とキールティ・メノンは説明します。「自動車で使える量子エン
ジンを作るためには、まだまだ多くの課題が残されています。」

また、温度が高くなりすぎると、熱が量子効果を破壊してしまうため、シ
ステムをできるだけ低温に保つ必要がある。しかし、繊細な量子状態を保
護するために低温で実験を行うにはかなりのエネルギーが必要となる。研
究チームは、今後、システムの動作に関する基礎的な理論的課題に取り組
み、性能を最適化し、バッテリーやセンサーなど、他の機器への応用の可
能性についても調査する予定です。

【関係技術情報】


Titole: A quantum engine in the BEC–BCS crossover
Koch, J., Menon, K., Cuestas, E. et al. A quantum engine in the BEC–BCS crossover
. Nature 621, 723–727 (2023). https://doi.org/10.1038/s41586-023-06469-8
------------------------------------------------------------------------------------------------------
【要約】
量子パウリエンジンの原理 a、実験装置の概略図。 原子雲(紫色の楕円体
)は、1,070 nmの波長で動作する磁気サドルポテンシャル(オレンジ色の表
面)と光双極子トラップポテンシャル(青色の円柱)を組み合わせた場に
トラップされます。 吸収写真は、-z 方向のイメージング ビーム (紫色の
矢印) を使用して撮影される。 吸収写真のスケールバーは50 μmに相当する。
b、パウリエンジンのサイクル。 明確に定義された温度 T (点 A) でトラッ
プの基底状態を巨視的に設定する分子 BEC から始まり、最初のステップ A
→ B、 放射状トラップ周波数の増加を通じてクラウドを圧縮することにより、
システム上で作業 W1 を実行する。 これは、トラッピング レーザーの出力
を強化することで実現される。 2 番目のストローク B → C は、トラップ
周波数を一定に保ちながら、磁場強度を BA = 763.6 G (76.36 mT) から共
鳴磁場 BC = 832.2 G まで増加させる。 これにより、作動媒体がパウリ エ
ネルギー E2P\documentclass の追加によりフェルミの海を形成するため、シ
ステムの量子統計に変化が生じる。 第2作業ストロークW3に相当する。
最後に、BC を BA に還元することにより、ステップ D → A 中にボソン量
子統計を使用してシステムを初期状態に戻す。これはパウリ エネルギーE4P
の変化に対応する。 スピンアップ (青) とスピンダウン (赤) を持つ原子
の調和トラップ内の個体数分布が各隅に示す。 c. エンジンサイクルの各時
点での吸収写真の例。B → C のサイズの特定の変化はパウリストロークに
よるもので、パウリエネルギーが外部ポテンシャル内の雲のサイズを増加さ
せることを示。 スケールバー:50 μm。 



光海底ケーブルシステムで世界最高水準800Gbps伝送の長距離
9月28日、本電気(NEC)は,世界最高水準の毎秒800Gb/sの伝送性能を有する
最新のトランスポンダにより,光海底ケーブルシステムの長距離伝送フィー
ルドトライアルに成功)。
今回のフィールドトライアルはインドネシア最大の通信キャリアであるPT
Telekomunikasi Indonesia,tbk (PT Telkom
)が所有する海底ケーブル「Indonesia
Global Gateway(IGG
)」を利用して行なわれ,陸上局には同社の最新トラン
スポンダ「XF3200」を使用した。 フィールドトライアルでは,800Gb/s光信
号の波長多重光伝送を実施し,世界最長となる2,100kmを超える長距離伝送に
成功した。 このトランスポンダを使用することで,今回のフィールドトラ
イアルでは,現在使われている同社製品と比較して伝送容量が約30%向上し
ており,拡大し続ける国際通信需要に適した装置になっているとする。さら
に,新しいデザイン設計や新技術の採用により,省スペース化,省電力化,
高いスケーラビリティ,柔軟な保守性などを実現しておりTCO削減に貢献す
る装置だとする。

 黒の革命最前線
ナノテク解体新書 ① とし考察構築


常温核融合日本が先行 トヨタ系テクノバ「2025年までに」

常温核融合は、水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウム)の原子
核を融合させる際に生まれる膨大なエネルギーを利用するものだ。通常の核
融合は数千万度の高温と高圧が必要だが、常温核融合は数百度程度のため、
はるかに扱いやすい。水素技術の中でも、まだ実用化に向けた研究段階であ
るが、エネルギーの分野でゲームチェンジを起こす可能性があるとみて注目
されている。日本ではトヨタ系シンクタンクや大学などとの研究が進んでお
り、世界に先行している。常温核融合の仕組みはこうだ。軽くて燃えやすい
水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウム)の原子核を融合させる
と、ヘリウムと中性子ができる。このとき、反応前の重水素と三重水素の重
さの合計より、反応後にできたヘリウムと中性子の重さの方が軽くなり、こ
の軽くなった分のエネルギーが放出される。核融合反応では、少量の燃料か
ら膨大なエネルギーが発生し、例えば1グラムの重水素、三重水素燃料から
タンクローリー1台分の石油(約8トン)に相当するエネルギーを得ることが
可能という。現在実用化に向け研究が進んでいる「金属水素間新規熱反応」・
「凝縮系核融合」では、水素吸蔵技術を用いて、軽水素とニッケルで更に効
率よく莫大な熱エネルギーを得ることが可能になる。最近では、2019年5月
に英総合学術誌「Nature」で記事が取り上げられ、「ITER国際核融合エネル
ギー機構」による国際的な実証実験も計画されており、ジェフ・ベゾスやビ
ル・ゲイツもベンチャー出資するなど、世界的注目が再び高まる。 通常の
核融合が発電に使用される場合、数千万度の熱が発され、高圧・巨大装置が
必要になる。一方で、常温核融合は数百度とはるかに低い温度と、小さな装
置での核融合が可能であり、サイズ・コスト面で既存の発電方式を凌駕して
いる。常温核融合が実現されれば、ガソリン燃料の4倍~1万倍の熱密度が
出せること、有害な放射線やCO2が出ないこと、加えて、発電コストも1キロ
ワット時当たり2.6円(既存の火力発電の5分の1)に下がることから(テク
ノバ試算)、原子力発電と比較しても、安全性・コスト面で優位。
尚、トヨタグループの技術系シンクタンクであるテクノバも、電気自動車の
電熱ヒーター用など出力5kW程度の発電であれば「2025年までには可能」と
みており、実用化への期待が高まっており、日本がいち早く実用化に成功す
れば、世界のエネルギー問題・環境問題を解決する「ゲームチェンジャー」
となりえる。

1.特開2022-7951 常温核融合装置、常温核融合による発熱方法および発
 熱装置
【概要】 下図27のごとく、常温核融合装置100は、反応炉内に、重水
素を吸蔵する金属からなる水素吸蔵金属基板101と、前記水素吸蔵金属基
板101に対向して設けられ前記水素吸蔵金属基板101の表面電位を制御
するための平板状の対向電極102と、が設けられ、前記水素吸蔵金属基板
101を基準として正電圧が印加された対向電極102であれば重水素が前
記水素吸蔵金属基板101内に移動する水素吸蔵が生起し、負電圧が印加さ
れた対向電極102であれば前記水素吸蔵金属基板101の内部から表面へ
拡散した重水素により常温核融合が生起する、水素吸蔵金属を用いた発熱現
象を安定的かつ連続的に実現できる新規な常温核融合装置、発熱方法および
発熱装置を提供。


図27.実施形態による常温核融合装置の概略的構成と常温核融合発生過
 程を説明する模式図

【符号の説明】 100 常温核融合装置 101、101.1、101.
2 水素吸蔵金属 101a 金属表面 101.3 絶縁ウエハ 102、
102.1、102.2、102(E+)、102(E-) 対向電極 1
03 極性切替可能電源 103a DC電源 105 ヒータ 110 金属
基板 111 エッチングストップ膜 201 ナノドーム 301,30
1a ナノコーン 601 反応炉 601.1 601.2 反応室 60
2、602a、602b、602.1、602.2 供給口 603、60
3.1、603.2、603.3 排出口 604、604a、604b
保持部 701、801 900.1 900.2 発熱体 1000 ニッ
ケル板 1000a ニッケル基板 1000d 高濃度D領域 1001b、
1001c 保持枠  1002 水素分離膜 1002d ナノパターン
1003 基板 1003a エッチング後の基板 1004 マスク

2.特表2021-524037 熱及び電力を発生させるイオンビームデバイス
                             及び方法
【概要】
下図1のごとく、プラズマチャンバー106において低電力プラズマ107
からのイオンビームの密度焦点及び速度を制御することによって熱及び電力
を発生させるデバイス及び方法であって、プラズマチャンバーからイオンビ
ーム111が反応チャンバー103へと抽出され、任意にターゲット102
が濃縮されてターゲットの水素化物となり、上記ターゲット内で熱及び任意
に常温核融合反応を開始して持続させ、上記反応から熱エネルギーを回収し
て(105)、加熱を起こし及び/又は電力を発生させ(119)、任意に
、追加の熱が必要とされない場合に、ターゲットを追加のイオン燃料で補充
し、及び/又は追加のターゲット材料を堆積させ、一方で、加熱及び任意の
濃縮/堆積及び常温核融合サイクルの間に、チャンバーから余剰の燃料を抽
出し、必要に応じて燃料源109からの任意の燃料副生成物と再結合させた
後に、燃料源として再使用する、デバイス及び方法。


図1.実施形態が展開され得る例示的なデバイスの概略図

3.特開2016-6431 常温核融合反応方法及び装置
【概要
下図7のごとく、反応容器13C内の電解液中に加速用正電極22C及び加
速用負電極24Cを設置するとともに、加速用正電極22C及び加速用負電
極24Cの近傍に集電するための集電用正電極(参照用正電極210)及び
集電用負電極(参照用負電極214)を配置し、加速用正電極22C及び加
速用負電極24Cに反応電圧を印加して加速用正電極22C及び加速用負電
極24C間に常温核融合状態を発生させ、この常温核融合状態における電気
エネルギーを集電用正電極210及び集電用負電極214により取り出して
電力負荷232に送給して消費する、常温核融合反応状態において電気エネ
ルギーを出力として取り出すことにより、設備費用の低減化及び稼働の安定
化を図ることができる常温核融合反応方法及び装置を提供する。

図7.常温核融合反応装置の第3の実施形態を簡略的に示す断面図

【符号の説明】 12,12A,12B,12C 常温核融合装置  13,
13A,13B,13C 反応容器  20 電解液  22,22C 正電極(
加速用正電極)  24,24C 負電極(加速用負電極)  68,68A
受光手段  102 電源装置(第1電源装置) 106 電圧調整手段 2
10 参照用正電極  214 参照用負電極  218 電圧検知手段 22
0 電解用正電極

図3.実施例にかかる発熱方法において、重水の温度を上昇させるとともに
水素吸蔵金属を正極に用いて、重水に通電するするステップを示す断面図
【符号の説明】
1:ガラス製容器 2:重水 3:Pd板 4:Pt(メッシュ状) 5:
バリア層 

【発明を実施するための形態】 
以下、本発明を実施するための形態について説明する。 
本実施形態においては、低温で重水を電気分解することにより、負極である
Pdなどの重水素吸蔵金属中に、多量の重水素を吸蔵させる。重水素吸蔵金
属は、Pdには限られず、Pd合金、Ti、Ti合金など、他の種類のもの
であっても良い。次に、重水素を吸蔵したPd(重水素吸蔵金属の一例)の
表面に、電解めっき法により、厚いバリア層を形成する。バリア層には、Pd
と比較して水素の透過率が低く、アノード溶解が可能な、たとえばCuやN
iなどの成分を用いる。Pdの表面にバリア層を形成した後、重水の温度を上
昇させるとともに、電源の極性を逆に切り替え、Pdを正極として重水に通
電をおこなう。これにより、Pd中から重水素を放出する力が増加するとと
もに、アノード溶出によりバリア層を薄くすることで、バリア層を少量の重
水素が通過できるようになる。Pd層とバリア層との界面付近は高D/Pd
となり、重水素の運動も促進されるため、核反応を再現性良く生じさせるこ
とが可能になる。 
なお、反応が終了したPdは、アノード溶解を再開し、バリア層を全て溶解
させることにより、再利用が可能になる。 
(実施例) 以下、本発明の実施例について説明する。 まず、図1に示すよ
うに、恒温槽(図示せず)中に設置したガラス製容器1に、重水を投入し、
続いて重水を撹拌しながらLiを投入し、両者を反応させて、LiODを電
解質として含む重水2を得た。次に、重水2の中に、Pd板3とメッシュ状
のPt4とを浸漬させた。Pd板3は全体が重水2に浸かるように設置し、
Pt4はPd板3を取り巻くように設置した。次に、Pd板3を負極として
、Pt4を正極として、電流密度100mAで通電して、重水2を電気分解
するとともに、Pd板3中に重水素を吸蔵させた。なお、電気分解中の重水
2の温度は、20℃に保った。 
次に、図2に示すように、Pd板3のD/Pd値が飽和したことを確認した
うえで、通電を継続した状態で、pH調整用にH2SO4を含むNiメッキ液
を重水2の中に投入し、さらに通電を継続して、Pd板3の表面に、Ni膜
からなるバリア層4を形成した。

次に、通電を継続した状態で、恒温槽の温度を上昇させ、重水2の温度を上
昇させた。そして、重水2の温度が90℃に達した時点で通電を停止すると
ともに、重水2の温度を90℃に維持した。次に、図3に示すように、電源
の極性を逆にし、Pd板3を正極として、Pt4を負極として、通電を開始
した。そして、重水2の温度が90℃を超えて上昇を開始した時点で、通電
および恒温槽による加熱を停止した。電源の極性を逆にして通電をおこない
表面がNi膜のバリア層で覆われたPd板3から重水素ガスが発生し始めた
時点から、重水2の温度が上昇し、恒温槽による加熱を停止した後も、重水
2が継続して沸騰することを確認した。 
次に、発熱終了後、次の方法で、Pd板3の表面に形成された、バリア層4
を構成するNi膜を除去した。すなわち、発熱が終了したのを確認した上で、
通電を再開し、アノード溶出により、Pd板3表面のバリア層4を構成する
Ni膜を除去した。この方法で再生したPd板3を用いて、再度、上述した
重水2の発熱操作をおこなった。新品のPd板3を用いた場合と同様に、重
水2を沸騰させることができた。

これで常温核融合の可能性を定性的に確認できる。ただ。水素吸蔵合金及び
性能向上とともに脱希少資化代替材料としてのカーボンナノチューブの性能
と量産化によるコスト削減などの課題が残るので、下記にその事例を掲載し
ておく。

1.特開2011-255314 水素吸蔵材及びその製造方法
【概要】
下図1のごとく、素吸蔵材は、水素吸蔵合金とカーボンナノチューブとから
構成され、カーボンナノチューブが水素吸蔵合金の表面に結合している。水
素吸蔵合金とCNTとの接触熱抵抗が小さいこと、及び、CNTの長手方向
の一端が水素吸蔵合金に結合しており、CNTは長さ方向に対する伝熱性が
優れる特性を有することから、水素吸蔵材は優れた伝熱性を有する。そして、
この水素吸蔵材は、加熱雰囲気下に水素吸蔵合金を配置するとともに炭素源
ガスを供給し、化学的気相合成法により水素吸蔵合金の表面からカーボンナ
ノチューブを成長させることで得られ、伝熱性に優れる水素吸蔵材及びその
製造方法を提供。

【符号の説明】 1 水素吸蔵材  10 水素吸蔵合金  20 カーボンナノ
チューブ  30 管  40 加熱装置  
尚、凝縮系常温核融合だけでなく、光触媒系常温電解系もこの群技術系に含
め開発する。
                           この項つづく

わたしは何なの ⑨
ここでは、アルゴリズミカルな人類社会を人工知能(AI)の脅威を描いた
SF映画より考察してみよう。

インド初の人工知能SF超大作『ロボット』
インドの科学者バシーガラン博士は、長年の開発の末に高性能ロボット「チ
ッティ」を開発する。 博士に似せて作られた人間型ロボットのチッティは、
驚くべき性能を発揮。人助けで活躍してヒーローのようになっていくが人間
の感情を理解できないことからトラブルも起こしてしまう。 やがて博士は、
チッティをより完璧にするため、感情を埋め込むことに。ところが、チッテ
ィは嫉妬や怒りといった負の感情に支配されるようになり、思わぬかたちで
暴走する。



人間そっくりのAIロボットが感情を与えたことで、とんでもない大暴走をく
り広げていく。予告編でも描かれる、斬新すぎるロボットの戦い方が最大の
見どころ。まるで組体操のように合体して軍隊をなぎ倒すシーンは、奇抜な
がらハリウッド顔負けの迫力がある、一方で、ロボットに感情を持たせるこ
と」の危うさも描く。自我を持ち、恋心さえ感じられるのに、あくまで「た
だの機械」として扱われるチッティの姿は私達の未来を投影する?!



風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine 



アルバム『終わりなきこの愛』 2019.4.24
炎のランナー
Richard Greidaman CHARIOTS OF FIRE

今夜の寸評:  いざ! ノーベル賞を Ⅱ
わたし(たち)は、ペロブスカイトだけではなく、<常温核融合>までも見通
して いることをここで言っておこう。常温核融合との出会いは、シャドウマ
スク製造の単機能の水洗工程の改善にあり、僅か5ミクロンの腐食の不均一
にあり、『物理最前線のゆらぎ』と『レイリー分裂の諸現象』の解明で液的
サイズは一気にナノ対象化された時だ。まさに"必然は発明の母"となり、そ
の後"ネオコンバーテック事業構想"に結実し、今では、最新のデジタル可視
化技術をもって観測する”新錬金術時代"まっただ中にいる。

ps.「ナノ」サイズの極めて微細な結晶を発見するなどして、ナノテクノロジ
ーの発展につながる基礎を築いたアメリカの大学の研究者など3人が選ばれた
という。

 

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わたしは何んなの ⑤

2023年09月29日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



Converting Lawn Into Moss 芝生を苔に変えるのはどうだろう?

【ウイルス解体新書 172



序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第3章 パンデミック戦略「後手の先」
第4章 終 章 備えあれば憂いなし

1.経験を生かし次なる「新型コロナウイルス」を防ぐ術
最新とポスト新型コロナウイルス情報 ①(彦根市民の飲み水を守る会)
 作成日:2023.9.28|更新日:
新型コロナの「第8波」はようやくピークアウトしたように見える。感染
状況は今後どうなるのか、状況を左右しそうなのが変異ウイルス、「XBB.
1.5」。アメリカでは6割を超えていて、免疫が効きにくく広がりやすいお
それがあるとされている。「XBB.1.5」によって「第8波」が長引くことは
あるのか。これまでのワクチンは効くのか。「第9波」は?


                                                    
-

   


再エネ革命渦論 170
: アフターコロナ時代 171】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿❶



ホンダ 来年アメリカで初のEV販売へ GMと共同開発のSUVを公開
2023年9月29日 11時45分 NHK
アメリカのバイデン政権がEV=電気自動車の普及を後押しする中、ホンダ
はアメリカで初めて販売するEVを公開し、来年に発売する。出遅れていた
EV販売の巻き返しをはかるねらい。ホンダはアメリカの大手自動車メーカ
ー、GM=ゼネラル・モーターズと共同で開発したSUV=多目的スポーツ車
「プロローグ」を、中西部ミシガン州で報道陣に公開。ホンダがアメリカ
で販売する初めてのEVで、来年初めに発売。 外装や内装はホンダ、バッ
テリーはGMが開発し、1回の充電でおよそ480キロ走ることができるという。

アメリカではバイデン政権が気候変動対策としてEVの普及を後押ししてい
る。 新車販売台数に占めるEVの割合は、ことし4月から6月までの3か月間
で7.3%に達しました。 ホンダはこれまでアメリカでEVを投入できておら
ず、出遅れていたEV販売の巻き返しをはかるねらいです。 日本メーカーは
アメリカでは日産自動車がすでに2車種のEVを販売しているほか、トヨタ
自動車とSUBARUも去年、それぞれ1車種を投入し、各社ともEV販売に力を
入れ始めている。


米国に世界最大級のリチウム鉱床

9月19日、ネバダ州とオレゴン州の境界沿いにある休火山の火口に、既知の
中で最大となる可能性のあるリチウム鉱床が発見されたと報告しており、
最大4000万トンの金属が含まれていると推定。

リチウムは今日のテクノロジー主導の世界では不可欠な要素であり、電気
自動車 (EV) からスマートフォンやラップトップに至るまであらゆるもの
に電力を供給する充電式バッテリーの重要なコンポーネントとして機能。
エネルギー密度が高く、軽量であるため、電気化学的可能性が高く、エネ
ルギー貯蔵に最適です。 持続可能でクリーンなエネルギーを求める世界
的な動きが強まる中、家庭用電子機器の普及に加え、EVの導入と家庭用お
よび事業規模の蓄電池ソリューションの拡大によって、リチウムの需要は
2030年までに3倍、さらには4倍にまで増加すると予測されている。 したが
って、リチウム埋蔵量の探査、開発、効率的な管理は、今後数年間でます
ます重要になる。 現在、世界の供給量の多くはボリビア、アルゼンチン、
チリの「リチウム・トライアングル」のほか、オーストラリアや中国から
も得られている。 これらの国々は長い間生産の中心地として機能してお
り、その優位性により世界のサプライチェーンに強い影響力を与えるが、
米国でのエキサイティングな新発見ので、リチウム抽出市場は混乱すると
見られ、ネバダ州とオレゴン州の境界沿いにある休火山の火口には、現在、
大量の金属が含まれていると考えられている。

マクダーミットカルデラがリチウムを含む火山泥をホ保持していることは
知られていたが、この地域は、35 x 45 km(22 x 28マイル)の大きさで、
イエローストーンホットスポットによって形成された一連のカルデラの中
で最も古い可能性がある。19万年前に溶岩ドームが形成され、約2万年後
の大噴火でカルデラに崩壊。その後、カルデラに湖が形成され、さまざま
な物質が堆積。6世紀には、水銀とウラン鉱石の採掘が20つの場所で行われ
た。最近では、探鉱者はリチウムの可能性を認識し始めている。マクダ
ーミットカルデラ内の約18,000エーカー(7,300ヘクタール)のサイトであ
るサッカーパスは、採掘事業を確立するためのリチウムアメリカズコーポ
レーションの活動が焦点となっており、2018年、同社はプロジェクトの測
定および示されたリソースを公開し、6メガトン(Mt)に達し、後に13.7 Mt
に上方修正し、平均鉱石グレードは2,231 ppm(0.22%)リチウムである。米
国土地管理局は2021年に鉱山の承認を与え、開発は2023年開始。 新しい
in situ(現場)分析により、さらに高い推定値となる。最新の調査によ
ると、アンダーパスか20~40Mtのリチウムが含まれる。この広範な値を考
えると、かなりの不確実性があり、追加の掘削研究で確認された場合、よ
り低い見積もりであっても、米国のリチウム生産を大幅に後押しする。一
方、より高い見積もりでは、世界最大のリチウム資源獲得を意味する。前
述の「リチウムトライアングル」の<>分の<>を形成するボリビアのウユニ
塩湖のトン数のほぼ2>倍になる。 これらの重量を概観すると、ギザの大
ピラミッドの推定質量は約6万トン。したがって、40万トンのリチウムは
6.5倍の大ピラミッド重量に相当。現在の市場価格は、1.5兆ドルを超える
可能性があるという。



非常に重要なリチウムの堆積物
彼らの机上の推定を信じるなら、これは非常に重要なリチウムの鉱床であ
るとルーヴェン大学地質学者アヌーク・ボースト氏は語った。それは、価
格、供給の安全性、地政学の観点から、世界的なリチウムの動向を変える。
米国は独自のリチウム供給源を持ち、産業界は供給不足に対する恐怖を軽
減する。「粘土が表面近くに保存されるというスイートスポットに到達い
た」と彼女言う。「それほど多くの岩石を採取する必要はないが、まだ風
化していないが、タッカーパスは法的な問題に直面する。この地域の伝統
的な故郷を持つ先住民族がこの計画に反対している。環境団体も水資源や
野生生物への潜在的な影響について懸念を表明。ニューヨーク・タイムズ
は、「ネバダ鉱山をめぐる争いは、世界中で表面化している根本的な緊張
を象徴。電気自動車や再生可能エネルギーは、見た目ほど環境に優しいも
のではないかもしれない」と報じた。 ネバダ大学リノ校の元環境科学教
授グレン・ミラー氏はCNNに対し、このプロジェクトは「その規模の割に
比較的安全な鉱山」であり、リチウム採掘によるクリーンエネルギーの利
点は環境への懸念を上回るだろうと述べ、温室効果ガスの排出など削減な
ど優位さはそれより勝るかもしれない。急進的な環境活動家たちは、気候
変動問題を解決する唯一の方法は、車の運転を大幅に減らし、ガソリンや
石炭を燃やさないことだと主張するだろが、まあ、そんなことは起こらな
いだろうと言う。ミラー氏は以前、採掘は最初の20年間は地下水位より高
い位置にとどまると述べたが、後の段階では変更される可能性がある。す
べてが計画通りに進めば、鉱山は 2026年に生産を開始し操業は今後 40年
間継続すると予想されている。
via Future Timeline Lithium deposit in U.S. volcano could be world's largest

【再生エネルギーを利用した水素生産概論 Ⅰ】

 2018.9

現在、世界のエネルギー関連の排出量の1/3は、現時点では化石燃料に代わる
経済的なエネルギー源を持たない経済セクターから排出されている(IRENA、201
7a)。これらの大半は大量のエネルギーを要する業種や貨物輸送に由来(図3)。
60%をまかなうことが可能です。このように大きな割合の変動性発電を経済的に
統合するには、より柔軟性のある電力システムが求められる。

石油化学原料は現在の水素需要の大部分を占めており、そのほとんどが
化石燃料をベースにしている。
水素と電気はエネルギーキャリアとして、エネルギー移行において補完的
役割を担う。再生可能エネルギーを原料とした水素には、脱炭素化が困難
なセクターに大量の再生可能電力を供給する技術的ポテンシャルがある。
パワー・ツー・ハイドロジェン(電力の水素変換)によって、電力システ
ムに組み込むVREの割合の増加を受け止める柔軟性が生まれる。

現在の技術的状況・展開
図6が示すように、再生可能エネルギー資源を原料に水素を生産する上で最
も確立された技術的選択肢は、水電解と、二酸化炭素の回収および利用/貯
蔵(CCU/CCS)を伴う、または伴わない。バイオメタン/バイオガスの水蒸
気改質です。それほど成熟していない道筋としては、バイオマスのガス化
と熱分解、熱化学水分解、光触媒、バイオマスの超臨界水ガス化、暗発酵
と嫌気性消化の組み合わせがある。




ALKおよびPEM電解槽の比較
ALK電解槽技術は十分に成熟している。エネルギー以外の用途、特に化学工
業(塩素製造など)で、1920年代から工業利用が行われてきた。対照的に
、PEM電解槽技術は急速に台頭中で、商業展開がスタートしている。これま
での展開と安定した生産量により、平均設備投資(CAPEX)はキロワットあ
たりベースでPEM電解槽よりALK電解槽の方が低くなっているが、PEMのCAPE
Xは近年大幅に下がり続
けている(FCH JU, 2014; FCH-JU, 2017a)。

ALK電解槽の寿命は現在2倍で、今後10年間はALK電解槽の寿命の方が著しく
長いという状況が続くと予想される。以下の表1はALKおよびPEM電解槽の今
日の技術経済的特徴と将来的に期待される改善点に関する概要を示す。
最新のPEM電解槽は従来のALK技術より柔軟に動作し、かつ反応性も優れ、
PEM技術は動作領域が比較的広範でレスポンスタイムも短いことから、複数
の電力市場から収益を獲得するために柔軟に運用できる利点がある(NREL,
2016a; NREL, 2016b)。システムは最小限の消費電力でスタンバイモード
に保つことができ、定格負荷より高容量で短時間(10‐30分)の動作も可
能100%超、最大200%)。上流・下流制御能力を備えたPEM電解槽は利用可能
な発電能力を損なうことなく高周波数制御予備力(FCR)を提供することが
できる。言い換えると、PEM電解槽のオペレーターは、水素が十分に貯蔵さ
れている場合、顧客(工業、モビリティ、ガスグリッドへの注入)に水素
を供給すると同時に、追加的なCAPEXやOPEXを低く抑えながら付属的サービ
スをグリッドに提供することができる(NREL, 2016a; NREL, 2016b)。こ
のような柔軟性の向上はパワー・ツー・ハイドロジェン(電力の水素変換
)の全体的な経済性を改善し、複数の電気市場からの新たな収益の流れを
生み出すことでALK電解槽と比較したPEM電解槽の投資コストの高さを相殺
する可能性があります(NREL, 2016a; NREL, 2016b)。ただし、付属サー
ビス市場では現在、価格の大幅な下落に見られるように、熾烈な競争が繰
り広げられており、中期的に電解槽のビジネスケースに影響を及ぼす可能
性がある。PEM電解槽は、水素を大気圧(最大15 bar)で生産するALK電解
槽より高い圧力(一般的には約30 bar)で水素を生産する。
その結果、エンドユースに望ましい圧力に到達するための下流圧縮の必要
性は低くなります。これはモビリティなど、高圧が重要となる用途で特に
重要です。

電力の水素変換の主要課題と実現に向けて考えられる対策の概要



出所:デンソー :デンソーは広瀬製作所でSOECの実証を2023年7月に開始

高効率な水電解技術「SOEC」、量産規模の早期拡大が普及のカギに
SOEC(固体酸化物形電解セル、Solid Oxide Electrolysis Cell)は、水を電気
分解(水電解)して水素を得る技術の1つである。再生可能エネルギー由
来の電力を使えば、二酸化炭素(CO
2)フリーの「グリーン水素」が得ら
れる。いくつかある水電解技術の中で、エネルギー効率、すなわち投入し
た電力量に対して得られる水素のエネルギーの比が最も高い。
via 日経クロステック 2023.9.29

SOECは、水素などから電気をつくるSOFC(固体酸化物形燃料電池、Solid
Oxide Fuel Cell
)の反応を逆にたどる技術もいえる。実際、SOFC製品の開発
に長年取り組んできた大阪ガス、三菱重工業や東芝エネルギーシステムズ
デンソー、日立ハイテクなどの国内企業の多くがSOEC装置の開発も手掛け
ている。ところが、国内では再生可能エネルギーが高コストでしかも水素
の市場規模が小さいためか、装置の量産規模や導入規模(計画含む)では
ドイツやデンマークの企業が先行する。SOECの特徴は高価な貴金属触媒に
頼る代わりに、水蒸気をセ氏700~800度の高温状態にして水電解を促進す
る点。このため、熱を効率的に活用しているかどうか、または外部の熱を
利用できるかどうかでエネルギー効率が左右される。大きな廃熱を伴う製
造工場内にSOEC装置を併設し、その熱を利用できれば、エネルギー効率を
大きく高められる。このため、水素で鉄を還元したい鉄鋼メーカーにはう
ってつけの技術といえ、ドイツなどでは既に採用例もある。大阪ガスは、
SOECで生産した水素とCO2でメタンを合成する過程で得られる廃熱をSOEC
に利用するシステム「SOECメタネーション」を開発している。

                           この項つづく
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原子一個の厚みのカーボン膜で水素と重水素を分ける 幅広い分野でのキ
ーマテリアル「重水素」を安価に精製する新技術を実証
 2022年9月1日、日本原子力研究開発機構,東京大学,北海道大学,大阪大学
らの研究グループは、一原子の厚みのグラフェン膜で水素と重水素を分離
できることを示し、またその分離機構も明らかにしました。

【要点】
1.原子一個の厚さからなるグラフェン膜*1で水素と重水素を分離できる
 ことを実証
2.分離のメカニズムはグラフェン膜に対して水素イオンと重水素イオン
 *2のすり抜けやすさが大きく異なる量子トンネル効果*3に起因しているこ
 とを証明
3.半導体集積回路の高耐久化、光ファイバーの伝搬能力の向上、重水素
 標識医薬品の開発、核融合のエネルギー源のキーマテリアルである重水
 素の安価な精製法として期待
【概要】
 水素(H2)の同位体である重水素(D2)は、電子機器に含まれる半導体集積
回路の高耐久化や5G/IoT情報化社会に必須の光ファイバーの伝搬能力の向
上、薬用効果を長くする重水素標識医薬品の開発、次世代のエネルギー源
として注目されている核融合のキーマテリアルとして不可欠な材料です。
D2の製造法の一つとして、H2とD2の混合ガスからD2を分離する深冷蒸留法
が知られているが、この手法は-250℃といった極低温が必要であること、
HとDを分ける能力であるH/D分離能が低いため製造コストが高く、新し

動作原理による分離材料とデバイスの開発が急務となっている。
【成果】
グラフェン膜のH/D分離能を実験的に再現性良く検証する手法として固体
高分子形の電気化学デバイスを利用しました。デバイス内の水素イオンと
重水素イオンが生成する電極部位にグラフェン膜を張り付け、膜を通り抜
けた水素イオンと重水素イオンの量を定量的に評価することでH/D分離能を
精査しました。その結果、重水素イオンよりも水素イオンがグラフェン膜
を通り抜けやすく、実験的にH/D分離能を有することを示した(図1)。
また得られた実験結果を理論計算と比較検証した結果、観察されたH/D分
離能は重水素イオンよりも軽い水素イオンがグラフェン膜を多くすり抜け
る量子トンネル効果と呼ばれる現象に起因していることを示しました。
【展望】
グラフェン膜の量子トンネル効果を利用した分離法では常温でも高いH/D
分離能が発現。
また、実験系で用いた固体高分子形の電気化学デバイスは、すでに商用化
されており常温~80℃程度の温度領域で動作する特徴を有す。
グラフェン膜とこのデバイスを組み合わせることで従来手法の深冷蒸留法
と異なり、冷却にかかるコストが一切必要のない低コストの分離デバイス
創製が可能である。
【論文】
雑誌名:ACS nano (2022).
タイトル: “Efficient Hydrogen Isotope Separation by Tunneling Effect Using
Graphene-Based Heterogeneous Electrocatalysts in Electrochemical Hydrogen
Isotope Pumping
”(電気化学水素ポンピングによるグラフェンからなるヘテ
ロ電極触媒のトンネル効果による効率的な水素同位体分離)
【注釈】
今頃なんっだと思われるが、①福島原発事故処理水のトリチウム除去に応
用できなかったのかという思いと、②水電解での水素分離回収/濃縮/貯
蔵/燃料電池発電/メタネーション原料への応用ができると考えた。


 最新水素製造・精製。分離・貯蔵技術事例
【特許技術事例】
1.特開2023-131085 酸窒化物の製造方法、光触媒の製造方法及び水素の
製造方法 国立大学法人信州大学
【概要】
属酸化物(A)と、金属窒化物(B)と、ハロゲン化金属(C)との混合
物を閉鎖系内で加熱する反応工程を備える、酸窒化物の製造方法で光触媒
として有用な酸窒化物を効率良く製造可能な、新規の酸窒化物の製造方法
を提供すること。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属酸化物(A)と、金属窒化物(B)と、ハロゲン化金
属(C)との混合物を閉鎖系内で加熱する反応工程を備える、酸窒化物の
製造方法。
【請求項2】 前記金属酸化物(A)が、Zn、Al、Ga、In、Ge及
びSnからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素を含有する、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】 前記金属酸化物(A)が、Al、Ga、In、Ge及びSn
からなる群より選択される少なくとも一種の金属元素を含有する金属酸化
物(A-1)を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】 前記金属酸化物(A)が、Znを含有する金属酸化物(A-
2)を更に含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】 前記金属窒化物(B)が、Zn、Al、Ga、In、Ge、
Sn、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba及びLaからなる群より選択
される少なくとも一種の金属元素を含有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】 前記金属窒化物(B)が、金属元素と、窒素原子と、ハロゲ
ン原子とを含有する化合物(B’)である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】 前記化合物(B’)が、Zn2NX(Xはハロゲン原子を示
す。)である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】 前記ハロゲン化金属(C)が、Zn、Al、Ga、In、
Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba及びLaからなる
群より選択される少なくとも一種の金属元素を含有する、請求項1に記載
の製造方法。 【請求項9】 前記酸窒化物が、金属窒化物(i)と金属酸
化物(ii)との固溶体である、請求項1に記載の酸窒化物の製造方法。
【請求項10】 前記金属酸化物(A)及び前記金属窒化物(B)のうち
少なくとも一方が、Znを含有し、前記金属酸化物(ii)が、ZnOを
含有する、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】 前記金属酸化物(A)及び前記金属窒化物(B)のうち少
なくとも一方が、Al、Ga、In、Ge及びSnからなる群より選択さ
れる少なくとも一種の金属元素(α)を含有し、 前記金属窒化物(i)が、
前記金属元素(α)を含有する、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】 前記反応工程で得られた酸窒化物を焼成する焼成工程を更
に備える、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】 前記焼成工程が、酸素含有雰囲気下での焼成を含む、請求
項12に記載の製造方法。
【請求項14】 前記焼成工程が、アンモニア含有雰囲気下での焼成を含む、
請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】 前記焼成工程が、不活性ガス雰囲気下での焼成を含む、請
求項12に記載の製造方法。
【請求項16】 請求項1~15のいずれか一項に記載の製造方法で製造さ
れた酸窒化物に、酸化反応助触媒及び還元反応助触媒を担持させて、光触
媒を得る工程を備える、光触媒の製造方法。
【請求項17】 請求項16に記載の製造方法で製造された光触媒と水とを
接触させて、前記水を分解する工程を備える、水素の製造方法。

                           この項つづく
【コメント】
毎日、ものすごい情報を処理し、思考構築をを行っている。網膜剥離を
う数年前は、16時間キーボードをたたいていたが、今ははそれも
かなわず、
ただ、ただ「時代の風」を感じている。そのとき思い出すのは、アーネス
ト・ホーストの「年齢なんて関係ないね。ただの数字だよ」という名言だ。


わたしは何んなの ⑤
ここでは、アルゴリズミカルな人類社会を人工知能(AI)の脅威を描いた
SF映画より考察してみよう。

人類が宇宙への植民を開始した22世紀、植民船コヴェナント号はアンドロ
イドのウォルターに管理されながら、冷凍睡眠状態の乗組員や植民者を乗
せて宇宙を進んでいた。そんな中、船は謎の信号をキャッチ。その信号を
辿ると本来の目的地よりも植民に適した星がすぐ近くにあることが判明し、
乗組員たちは調査のためにその星に降り立つのだった。ところが、その星
には未知の生物がおり、乗組員たちに襲いかかる。その後、決死のサバイ
バルを続ける生存者たちの前に、ウォルターと全く同じタイプのアンドロ
イドが現れる。




風蕭々と碧い時











John Lennon Imagine



アルバム『終わりなきこの愛』 2019.4.24
Richard Greidaman WEST SIDE STORY MEDLEY: MARIA-TONIGHT-AMERICA
ウエスト・サイド物語メドレー:マリア~トゥナイト~アメリカ
今夜の寸評: TO CONTINUE MEANS TO NEVER GIVE
        
                                                             浄土宗 月訓 

コメント
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人工太陽創造時代 ③

2023年09月19日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

         この雪の残る時にいざかな山橘の実の照るも見む
                                         万葉集 大伴家持


   



再エネ革命渦論 166: アフターコロナ時代 167
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中  ㊼




出所 クリーンプラネット 2022.2.28、
via 【ディープテックを追え】「常温核融合」を社会実装へ

 

"人工太陽"とは、核融合発電(核融合反応)及び原子力発電(核分裂反応)
や常温核融合発電、量子水素エネルギー発電などの高温発電だけでなく電
気化学反応水素生成、次世代型人工光合成モデルなどの1000℃以下発熱で
放射能汚染ゼロ発電、ゼロ・カーボン社会を実現するシステム(事業)を
7年後の2030年までに実現することを目的として独自に呼称している。
例えば、量子水素エネルギー発電実証実験(クリーンプラネット)では、
理論上は都市ガスの1万倍以上のエネルギー密度が得られるという。「量
子水素エネルギー」と呼ぶ熱源の特徴は反応温度にある。核融合炉では、
1億度Cという高温でプラズマ状態を磁場で閉じ込める巨大な施設が必要
だ。対して、量子水素エネルギーは1000度C以下という低温で、反応
を起こすために投入した熱エネルギー以上の「過剰熱」を得られる。

原子核と原子核は一定の距離に近づくと引き合い、核融合を起こす。ただ
同じ電荷を持つ原子核がこの距離に近づくには、「クーロン斥力」という
反発する力に打ち勝たないといけない。そのため核融合炉には1億度Cの
高温が必要になる。量子水素エネルギーではナノ(ナノは10億分の1)
スケールの金属粒子に水素を吸着させ、熱刺激を与えることで過剰熱を発
生させる。量子水素エネルギーの源流は常温核融合という技術。1989年3
月に米ユタ大学で報告----当時はパラジウムの電極を重水素の溶液中で電
解したところ、化学反応では説明できない過剰熱が発生したという。ただ
その後、各国で行われた追試の結果、否定的な見解が相次いだ。再現性が
乏しく「えせ科学」とさえ見られていた(下記掲載の特許実施例の2の
"ハイドリノ反応"もその1つであるが、電極方式のほか、パラジウム・ナ
ノ粒子への重水素吸蔵に伴う発熱などの現象が報告され、徐々に再現性が
高まり、日本でも新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2015
年~17年に行った実証で再現性が確認されている。

  クリーンプラネットはこれまでの研究成果を踏まえ、より産業化を見
  据える。安価な原材料のニッケルと銅、軽水素を使った反応系で発熱
  を再現する。14ナノメートルのニッケルと2ナノメートルの銅をシ
 ート上にし、多段積層した素子にする。真空状態にした素子に軽水素
 を燃料として投入し、外側から熱を加える。そうすると加えた熱以上
 の過剰熱が放出される仕組みだ。同社の実験では900度Cの熱投入
 に対して、920度Cの熱を240日連続稼働で供給することに成功
 した。また熱が1200℃を超えるとニッケルが溶け、内部の素子が
 うまく機能しなくなるため熱暴走は起こさないという。ナノ金属をシ
 ート上にすることで安全性にも配慮した。

             ニュースイッチ「ディープテックを追え」

【最新関連特許事例】
1.特開2021-38961 荷電粒子ビーム核融合 松本 一穂
【概要】
 地上で入手可能な核融合燃料を用いた荷電粒子ビームを自己収束させて衝
突させ、非中性子反応のD-3He、p-Li反応、中性子を伴うD-D
反応、D-T反応等を発生させる核融合炉に関するものである。 主な非中
性子核融合(Aneutronic fusion)の種類と反応式は、次のとおりで
ある。
<ヘリウム>
D+He → He(3.7MeV) + p(14.8MeV) He+
He→ He + p + p +(13.8MeV)
<リチウム>
p+Li → He(2.3MeV) + He(1.7MeV) p+
Li →He(8.67MeV)×2
<ボロン>
p+11B → He × + (8.68MeV)
<窒素>
p+15N → 12C(1.24MeV) + He(3.72MeV) 
主な中性子を伴う核融合の種類と反応式は、次のとおりである。
D+T → He(3.5MeV) + n(14.0MeV)
D+D → T(1.0MeV) + p(3.0MeV)
   → He(0.8MeV) + n(2.45MeV)
D-D反応では、二種類の反応がほぼ同程度生じる。

世界中で研究されている、主な核融合炉の方式
<プラズマを使用するもの>
プラズマを使用する主な核融合方式には、磁気閉じ込め型、慣性閉じ込め
型、静電閉じ込め型などがあり、粒子加速器を使用してプラズマに荷電粒
子等を打込み、プラズマを加熱するもの、及び、核融合の点火をしようと
するものが含まれる。
<磁気閉じ込め型核融合炉>
磁気閉じ込め型核融合炉(トカマク型、ヘリカル型、磁気ミラー型など)
は、強力な磁力線でプラズマを閉じ込め、核融合が発生する温度になるま
で、マイクロ波や中性粒子ビームを打ち込み、プラズマを加熱しようとす
るものである。 プラズマ温度が1憶2千万度に達したとしているが、外部
からの加熱無くして核融合反応を維持するに至っておらず、量子科学技術
研究開発機構のJT60SA、国際核融合実験炉(ITER)においても、
トリチウムを増殖するブランケットの実装計画も存在していない状況にあ
る。 
<慣性閉じ込め型核融合炉>
慣性閉じ込め型核融合炉(レーザー型、重イオン慣性核融合など)は、直
径数ミリの核融合燃料ペレットを炉の中心に置き、四方八方から強力なレ
ーザーや荷電粒子ビームを照射して圧縮し、核融合燃料が高密度のプラズ
マと化すことで、核融合を発生させようというものである。 圧縮しただけ
では核融合が発生しないため、粒子加速器を用いて点火ビームを打ち込も
うとしているものもある。 平均自由行程以下の小さなプラズマ塊の内部で
連鎖的に核融合が発生することは期待できない。 

<静電閉じ込め型核融合炉>
静電閉じ込め型核融合炉(フューザー型、ファーンズワース型など)は、
内部に設けたグリッド状の電極に電圧を加えて強い静電界を形成する方式
であり、核融合反応が確認された方式である。 核融合による中性子源とし
て実用化されているが、核融合反応率が低く、エネルギー装置としては期
待できないとされる。
<Zピンチ核融合>
Zピンチ核融合は、プラズマに電流を流して周囲に収束磁界を形成し、ロ
ーレンツ力でプラズマ自体を自己収縮させ、高温高密度状態を作り出す方
式で、プラズマ温度が20億度を超えたとしているが、核融合を発生する
には至っていない。

<荷電粒子ビーム衝突型核融合>
荷電粒子ビーム衝突型核融合は、使用する荷電粒子ビームのバンチに強い
空間電荷効果が生じるため、核融合に必要な密度を満たすことが困難であ
った。
【先行技術文献】
【特許文献】 
1】特願2015-000007荷電粒子ビーム衝突型核融合炉
2】特願2016-179051荷電粒子ビーム非対称衝突型核融合
3】特願2018-532341荷電粒子ビーム衝突型核融合炉

【非特許文献】 
1】「核融合プラズマの数値計算」日本原子力研究所
2】直接エネルギー変換 プラズマ核融合学会 jspf1995_06-516 
3】分散型荷電粒子加速器概要 http://www.emcube.co.jp/acceleratorsummary.html 
4】 JENDL-4.0汎用標準核データライブラリー 日本原子力研究開発機構
5】1973ICRP Publication 21 P94 勧告図19 国際放射線防護委員会
6】固体トリチウム増殖材料研究開発の最先端 ソリッドなブランケットを
  めざして 量子科学技術研究開発機構
7】LHDにおけるD-He核融合の検討 文部省核融合研究所
8】誘導型加速器による大電流電子ビームの発生と伝送 山形大学院理学研
  究科クォーク核物性物理学研究室
9】陽子ビームの原子核変換応用 日本原子力研究所

【発明が解決しようとする課題】
核融合燃料粒子を圧縮し、実現可能な粒子密度(ρ)では、平均自由行程
(λ)が数キロメートルを超える長さとなってしまう。このため、有限の
長さの核融合反応領域を有する磁気ミラー型の炉では、高い核融合反応率
を得ることはできない。 環状の核融合反応領域を有する磁気閉じ込め型の
炉は、粒子が周回することで平均自由行程(λ)を超える長さを確保でき
る。しかし、プラズマ粒子の運動が周回方向のみではないから、外部加熱
の停止後は瞬時に核融合反応が停止してしまい、外部加熱無しで核融合反
応を維持することができていない。 慣性核融合では、一点に圧縮しようと
しているが、均一に爆縮できていない。 小さい燃料ペレットを爆縮して高
い密度を実現し、核融合の発生を目指しているが、圧縮された核融合燃料
の直径が平均自由行程(λ)より遥かに小さいので、核融合反応は、燃料
の一部分に留まる。 連鎖的な核融合反応に到達する筈も無く、これは、点
火ビームを加えたとしても、この点は変わらない。 
Zピンチ型核融合は、プラズマに電流を流すことで周囲に右回りの円形磁
界を形成し、ローレンツ力でプラズマ自体を自己収縮し、線状の高温高密
度状態を作り出したとするが、核融合を発生させるに到っていない。ほぼ
直線状にプラズマを圧縮しただけであり、その形状を有効に活用できてい
ない。 また、これらのプラズマを使用した核融合炉が、仮に実用に耐え
る核融合に成功したとしても、炉内にトリチウム(T)を大量に含むプラ
ズマを使用することから、危険性が指摘されている。 プラズマから核融
合生成物であるヘリウム4(He)などを除去しなければならないが、
トリチウム(T)の漏洩などの心配がある。

<核融合反応領域の形状>
荷電粒子ビーム衝突型核融合における一つの結論は、核融合反応領域の理
想的な形状は、細く長い形状であることである。(特許文献1~3) しか
し、強い空間電荷効果を伴うため、必要な密度(ρ)の燃料荷電粒子ビー
ムを発生することが出来なかった。 現在開発が進められている核融合方式
では、何れも空間電荷効果を避けるため、核融合燃料粒子である荷電粒子
(z)と電子(e)とが混在する熱プラズマを用いている。 熱プラズマを
使う方法では、熱運動による方向性のない粒子衝突となるため、細く長い
形状の核融合反応領域にすることが出来ない。

<中性子・核融合燃料の回収>
D-T反応及びD-D反応では、中性子(n)が生成され、減速材に水を
使用し、中性子(n)の遮蔽、冷却を行うが、水の水素と反応し、デュー
テリウム(D)やトリチウム(T)に変化するから、これらも回収して、
核融合燃料として再利用することができる。 また、リチウム(Li)を含
むブランケットを用いて、トリチウム(T)を生成することができるが、
現在研究中のプラズマ方式の核融合炉は、何れも実験炉の域を出ず、十分
な核融合を発生することができていないため、ブランケットの実装計画自
体が存在していない。(非特許文献6)

<直接電気エネルギー変換>
核融合生成粒子(48c)の移動は、電流(I)そのものであるから、直
接電気エネルギー(E)として取り出すことが容易な筈である。プラズマ
方式の核融合炉から直接電気エネルギー(E)を取り出す研究もされてい
るが、炉から取り出したプラズマを、電子(e)と荷電粒子(z)とに予
め分離する必要がある。 この電力変換の方法は、核融合生成粒子(48c)
の運動エネルギー(K)を、一旦プラズマの熱エネルギー(Q)に変換し、
電子(e)の分離、速度変調などを行った上で、電気エネルギー(E)に
変換しているのであり、高い電力変換効率(ηE)が得られるとは言い難
い。(非特許文献2)

【課題を解決するための手段】
高い核融合反応率(ηf)を得るには、粒子加速器(42a)を用いて燃
料荷電粒子ビーム(40)の運動に方向性を持たせ、十分に細く長い核融
合反応領域(52f)を形成することが必須との結論を得ている。(特許
文献1~3) <荷電粒子の輸送> 荷電粒子の輸送技術では、1[T]前
後の収束磁界(B0、Bt)を用いて、1[kA]程度の電子ビーム(4
0e)を、空間電荷効果を受けながらも、数十ミリメートルまで収束し、
数十メートル以上を輸送できている。(非特許文献8)
電子ビーム(40e)を燃料荷電粒子ビーム(40)に置き換えて、荷電
粒子の輸送路を核融合反応領域(52f)として利用することが考えられ
る。 しかし、燃料荷電粒子ビーム(40)の密度(ρ)が不足しており、
十分ではない。
高い燃料粒子の密度(ρ)を得るために、電子レンズ(42L)を用いて
収束させることが有効であるが、短い距離であればともかく、長い距離に
渡って高い密度(ρ)を保つことは難しい。 長い距離に渡って高い密度
(ρ)を保つには、燃料荷電粒子ビーム(40)の空間電荷を中和し、円
形磁界(Bφ)のローレンツ力による、ビームの自己収縮作用を利用する
方法が望ましい。

<空間電荷効果の中和>
燃料荷電粒子ビーム(40)に電子ビーム(40e)を混入することで、
空間電荷を効果的に中和することができる。 図1に示すように、燃料荷
電粒子(z)の進行方向と逆方向に、空間電荷を中和する粒子数の電子ビ
ーム(40e)を打ち込むことを考える。 燃料荷電粒子ビーム(40)を
発散させる電界(Er)は中和され、電子ビーム(40e)を含む燃料荷
電粒子ビーム(40)が作る電流(iL、iH、ie)の流れる方向は同
一であり、電流(IΣ)の方向に対して右回りに発生する円形磁界(Bφ)
を倍増させて、強い磁気ピンチ効果を得ることができる。

 【要約】
プラズマ方式の核融合炉は、いまだに実用化に至っていない。荷電粒子ビ
ーム衝突型核融合炉は、必要とする高密度の荷電粒子ビームが実現できな
かったが、下図1のごとく、燃料荷電粒子ビームを周回させ、電子ビーム
を逆方向に周回させることで、空間電荷を効果的に中和し、残留する空間
電荷による発散力(FE)を押さえて、ビームの周囲に生じる円形磁界(
Bφ)による強い収束力(FB)を得て、実質的に無限長の核融合反応領
域を有する「非中性子型荷電粒子ビーム核融合炉」を実現できる。地球上
に豊富にある資源でp-Li反応を行い、ヘリウム3を生成し、D-He
反応を発生でき、環状回生減速器により核融合生成荷電粒子の運動エネル
ギー(K)を直接電力に変換する。この他、中性子エネルギー変換器を備
え、中性子を伴うあらゆる核反応を扱い得る。


図1 自己収縮燃料荷電粒子ビーム

-F=q(Er-VBφ)[N]:負:収束力優勢
Er=(N+NH-)×q/(2nε0r):電界強度
φ=IΣμ/(2πr)[T]:円形磁界強度
ΣiL+i+i[A]:総合ビーム電流
i=N×V×q[A]:低速粒子、高速粒子、電子の各電流
V=√(2qK/m)[m/s]:低速粒子、高速粒子、電子の各速度
K[eV]:粒子の運動エネルギー N[N/m]:低速荷電粒子線密度
[N/m]:高速荷電粒子線密度
[N/m]:電子線密度(荷電粒子の総電荷線密度にほぼ等しい。)
m[kg]:低速粒子、高速粒子、電子の各質量
q=1.602×10-19[C]電荷素量
ε=8.854×10-12[F/m]真空誘電率
μ=4π×10-7[H/m]真空透磁率

<荷電粒子ビームの収縮>
空間電荷を10,000分の1程度にまで中和できれば、電流の流れに対
して右回りに発生する円形磁界(Bφ)による収束力(FB)が、残留す
る空間電荷の電界(Er)による発散力(FE)を上回ることが期待でき
る。 収束発散比(Fr=(F-F)/F)を指標として使用する。
燃料荷電粒子ビーム(40)内の粒子のらせん運動などのエミッション
(k)が無ければ、ビームの半径(rφ)は限りなく収縮する。 プラズ
マに電流(I)を流して収縮させるだけのZピンチ方式と比較し、粒子加
速器(42a)から発射する燃料荷電粒子ビーム(40)の高い直進性を
利用して、高密度の細く長い核融合反応領域(52f)を形成することが
可能である。ks <核融合反応領域の長さ> 収束磁界(B0、Bt)を用
いた荷電粒子輸送路において、逆方向に電子ビーム(40e)を打ち込む
ことで、燃料荷電粒子ビーム(40)の密度(ρ)を各段に高めることが
できるが、それでも平均自由行程(λ)が数キロメートルから千数百キロ
メートルの長さになると見積もられる。 有限の長さの核融合反応領域(5
2f)では、実用的な核融合反応率(ηf)に達しないことは、明らかで
ある。 このため、燃料荷電粒子ビーム(40)に周回軌道を与え、核融合
反応領域(52f)を無限長にすることが有効であると結論できる。

<円形軌道>
燃料荷電粒子ビーム(40)の核種や速度が異なると、旋回磁界(Bψ)
中の旋回半径(rψ)が異なる。 下図2(a)に示すような円形の周回軌
道の場合、円軌道上で燃料荷電粒子ビーム(40)を衝突させるには、旋
回半径(rψ)が等しくなる速度である場合に限られる。 表1に示すよう
に、衝突させるには、燃料荷電粒子ビーム(40)の粒子の質量(m)、
電荷(q・z)、速度差(VH-VL)を与えて同一方向に旋回させ、旋回磁
界(Bψ)中の旋回半径(rψ)が同一となる場合である。


図2.円形軌道(a)円環型、(b)変形円環型



表1の上の2段に示すように、相対衝突エネルギー(Kc)を60[ke
V]になる速度で衝突させて、D-T反応を発生するには、デューテリウ
ム(D)を900[keV]で、トリチウム(T)を600[keV]で、
旋回磁界(Bψ)の磁束密度が0.02[T]のとき、旋回半径(rψ)
を9.69[m]前後にすることができる。 表1の下の段に示すように、
電子ビーム(40e)の旋回半径(rψ)は1.7[mm]前後と小さい
が、燃料荷電粒子ビーム(40)の強い電界による通り道が形成されるの
で、その経路を逆方向に辿ることができる。
D-He反応の場合は、核融合反応を生じる相対衝突エネルギー250
[keV]を得るために、粒子加速器(42a)により3.75~10.
0[MeV]の大きな運動エネルギー(K)を与えなければならないが、
粒子加速器(42a)の加速に要するエネルギー(E)が大きすぎる。
表1の中の2段に示すように、デューテリウム(D)を1,100[ke
V]、ヘリウム3(He)を3,000[keV]とすると、相対衝突
エネルギー(Kc)は、80[kV]となり、このときの核融合反応断
面積(σ)は、0.05[barns]である。 なお、相対衝突の速度
(V)、換算質量(m)、相対衝突エネルギー(K)は、次式による。

=V-V [m/s]:相対衝突速度
m=m×m/(m+m) [kg]:換算質量
=(1/2)mV/q [eV]:相対衝突エネルギー

完全な円形であると、燃料荷電粒子ビーム(40)及び電子ビーム(40
e)を打ち込む位置も見出しにくい。図2(b)に示すように、一部を変
形した円環形状とし、偏向領域(54d)を設け、燃料荷電粒子ビーム4
0)及び電子ビーム(40e)の打ち込み口とすることができる。


図3.軌道構成(a)長円形軌道、(b)無限形軌道、(c)多角形軌道、
 (d)対向衝突軌道、(e)多重長円軌道

<直線部を有する軌道>
図3(a)に示すように、周回軌道の一部を直線状にすることによって、
燃料荷電粒子ビーム(40)の種類や速度(V)に因らず、直線状の同一
の軌道に導くことができ、かつ、周回させることで核融合反応領域(52
f)を実質的に無限の長さにすることができる。 図の長方形の箇所は、
ソレノイドコイル(51s)による収束磁界(B0)を設けた核融合反応
領域(52f)であることを現している。 扇形の箇所は、トロイダルコ
イル(51t)による収束磁界(Bt)とポロイダルコイル(51p)に
よる旋回磁界(Bψ)があることを現している。 図3(a)の様に核融
合反応領域(52f)を2つ設けたもの(1つという構成も可能)、(b)
の様に直線部を交差させたり、(c)の様に、核融合反応領域(52f)
を3つ設けて三角形に、あるいは図には示していないが多角形の軌道にす
ることも可能であ り、これらは同一の構成であると理解できる。
また、図3(d)のように、2つの周回輸送路を使用することで、上の周
回輸送路で低速ビーム(40L)を、下の周回輸送路で高速ビーム(40
H)を周回させ、2つの周回輸送路が重なった中央の直線部を核融合反応
領域(52f)とし、対向衝突させて核融合を発生させることができる。
」<直線部を有する軌道> 図3(a)に示すように、周回軌道の一部を
直線状にすることによって、燃料荷電粒子ビーム(40)の種類や速度
(V)に因らず、直線状の同一の軌道に導くことができ、かつ、周回さ
せることで核融合反応領域(52f)を実質的に無限の長さにすることが
できる。 図の長方形の箇所は、ソレノイドコイル(51s)による収束
磁界(B0)を設けた核融合反応領域(52f)であることを現してい
る。 扇形の箇所は、トロイダルコイル(51t)による収束磁界(Bt
)とポロイダルコイル(51p)による旋回磁界(Bψ)があることを
現している。 図3(a)の様に核融合反応領域(52f)を2つ設けた
もの(1つという構成も可能。)、(b)の様に直線部を交差させたり、
(c)の様に、核融合反応領域(52f)を3つ設けて三角形に、あるい
は図には示していないが多角形の軌道にすることも可能であり、これらは
同一の構成であると理解できる。 また、図3(d)のように、2つの周
回輸送路を使用することで、上の周回輸送路で低速ビーム(40L)を、
下の周回輸送路で高速ビーム(40H)を周回させ、2つの周回輸送路が
重なった中央の直線部を核融合反応領域(52f)とし、対向衝突させ
て核融合を発生させることができる。 この「対向衝突軌道」は、燃料荷
電粒子ビーム(40)の加速に要するエネルギーが少ないが、円形磁界
(Bφ)を弱め合い、高速ビーム(40H)または低速ビーム(40L)
の一方は、収束力(FB)が働かないため、散乱しやすい欠点があり、大
量の粒子を衝突させるのに向かない。 図3(e)のように、核融合反応
領域(52f)の同じ方向からビームを打ち込み、後方から衝突する構成
することで、高速ビーム(40H)の散乱を防止するとともに、低速ビー
ム(40L)及び高速ビーム(40H)をそれぞれ適切に旋回輸送するこ
とができる。 さらに加えて、図に鎖線で示した長円形の部分に低速ビー
ム(40L2)の周回輸送路を追加し、上部の高速ビーム(40H)の周
回輸送路と重なった部分に核融合反応領域(52f)を設け、高速ビーム
(40H)を共有する形で、2つ以上の核融合反応領域(52f)を持つ
多重長円軌道とすることもできる。


表2 荷電粒子ビームの収束発散比

<核融合反応領域>
上表2は核融合反応領域(52f)を構成する燃料荷電粒子ビーム(40
)と電子ビーム(40e)の収束状態を検討したものである。 図には示
していないが、1周が100[m]、直線部の長さが25[m]の燃料荷
電粒子ビーム(40)の旋回輸送路(53)を、100[keV]の燃料
荷電粒子ビーム(40)と電子ビーム(40e)とが互いに逆方向に旋回
させた場合について検討した。 ビーム半径(r)=2.5[mm]の位
置においておよそ25[T]の円形磁界(Bφ)を作り出す。 核融合反
応が発生して燃料荷電粒子ビーム(40)が対消滅して減少するので、核
融合反応領域(52f)の他端のビーム半径(r)の位置において、およ
そ3.3[MV/m]の電界(Er)を生じる。 表2に示すように、収
束発散比(Fr)は、-0.96前後であり、円型磁界[Bφ]による収
束力(FB)が発散力(FE)より勝っている。

図4.直線部に配置する核融合反応領域(a)縦断面、(b)横断面、
 (c)収束磁界(B0)、(d)ピッチ角

燃料荷電粒子ビーム(40)と電子ビーム(40e)とが、互いに逆方向
に進むので、電子ビーム(40e)を過剰にすることで燃料荷電粒子ビー
ム(40)の収束状態をより良好に保つことが出来る。 燃料荷電粒子ビ
ーム(40)の半径(r)にかかわらず、収束発散比(Fr)は、負で
あり、収束力(FB)が勝っているが、ビーム半径(r)の収縮に伴い、
核融合反応自体が増加するとともに、電子ビーム(40e)と燃料荷電粒
子ビーム(40)との衝突が増加するなどして、らせん運動などのビーム
自体のエミッション(k)が増加するから、無限に収縮することはない。
燃料荷電粒子ビーム(40)は、低速ビーム(40L)よりも、高速ビー
ム(40H)を蓄積ビームとすることで、より強い円形磁界(Bφ)を
得ることができる。 図4(a)及び(b)に示すとおり、ソレノイドコ
イル(51s)が配置され、図4(a)の右から左に向かう収束磁界(
B0)を形成し、右側から燃料荷電粒子ビーム(40)が、左側から電子
ビーム(40e)を定常的に打ち込み、直線部の収束磁界(B0)の磁力
線上に平行に燃料荷電粒子ビーム(40)を形成する。 図4(c)は、
ソレノイドコイル(51s)が発生する収束磁界(B0)のみを描いたも
のである。
尚。次項「<対消滅・核融合生成粒子>以降は、後日掲載。

2.特開2018-067536 電気化学的水素-触媒パワー・システム ブラッ
ライト パワー インコーポレーティド
【要約】 下図1のごとく、電気化学的パワーシステムが、カソードとア
ノードと、及び分離した電子流れ及びイオン質量輸送を伴うセルオペレー
ションの間において、ハイドリノ反応物を構成する反応物と、を備え、
a)nH(nは整数)、OH、OH-、H2O、H2S、又はMNH2(
Mはアルカリ金属)の群の少なくとも1つを含む触媒又は触媒の源、b)
原子状水素の源又は原子状水素、c)触媒の源、触媒、原子状水素の源、
及び、原子状水素を形成する反応物;原子状水素の触媒反応を開始する
1又はそれ以上の反応物;及び支持体から選ばれる少なくとも2つの構成
要素を含むことで、水素のより低いエネルギ-(ハイドリノ)状態へとの
触媒反応から起電力(EMF)を生成し、ハイドリノ反応から解放される
エネルギ-を直接電気に変換する電気化学的パワ-システムを提供する。



図1.本開示によるエネルギー・リアクター(反応器)及びパワー・プラ
 ントの概略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起電力(EMF)及び熱エネルギ-を生成する電気化学的パワ-システム
であって、 カソ-ドと、 アノ-ドと、及び 分離した電子流れ及びイオ
ン質量輸送を伴うセルオペレ-ションの間において、ハイドリノ反応物を
構成する反応物と、を備え、 a)nは整数及びMはアルカリ金属である
ところ、nH, OH, OH-, H2O, H2S, 又は MNH2 の
群の少なくとも1つを含む触媒又は触媒の源、 b)原子状水素の源又は
原子状水素、 c)触媒の源、触媒、原子状水素の源、及び、原子状水素
を形成する反応物;原子状水素の触媒反応を開始する1又はそれ以上の反
応物;及び支持体 から選ばれる少なくとも2つの構成要素を含むことを
特徴とする電気化学的パワ-システム。
【請求項2】
請求項1の電気化学的なパワ-システムにおいて、 a)原子状水素及び
水素触媒が反応混合物の反応により形成されること、 b)反応を被るこ
とにより反応物が触媒反応を活性にすること、 c)触媒反応を引き起こ
す反応が、以下から選択される1つの反応を含むこと (i)発熱反応;
(ii)共役反応; (iii)フリ-ラジカル反応; (iv)酸化-
還元反応;及び (v)交換反応; (vi)ゲッタ-、支持体、又はマ
トリクス支援触媒反応; 上述する条件のうち少なくとも1つが生じるこ
とを特徴とする電気化学的なパワ-システム。
【請求項3】 請求項2の電気化学的なパワ-システムにおいて、 コンパ
-トメント間の電気回路を完成するように電子及びイオンの分離した導体
により接続される異なるセルコンパ-トメントにおいて、a)異なる反応
物、又は、b)異なる状態又は条件下の同じ反応物、の少なくとも1つ
が提供されることを特徴とする電気化学的なパワ-システム。
【請求項4】
請求項3の電気化学的なパワ-システムにおいて、 a)ハイドリノを生
成するように反応する反応混合物の形成、及び b)実体のある速度でハ
イドリノ反応がおこることを許す条件の形成 上述のうち少なくとも1つ
の条件が生じるように、内部の質量流れ及び外部電子流れが提供すること
を特徴とする電気化学的なパワ-システム。
【請求項5】
請求項1の電気化学的なパワ-システムにおいて、 ハイドリノを形成す
る反応物が、熱的に又は電気的に再生できるものの少なくとも1つである
ことを特徴とする電気化学的なパワ-システム。
【請求項6】
請求項5の電気化学的なパワ-システムにおいて、電気的及び熱的エネル
ギ-の出力の少なくとも1つが、生成物から反応物を再生するのに必要
とされることを特徴とする電気化学的なパワ-システム。
【請求項7】
起電力(EMF)及び熱エネルギ-を生成する電気化学的パワ-システ
ムであって、 カソ-ドと、 アノ-ドと、及び 分離した電子流れ及びイ
オン質量輸送を伴うセルオペレ-ションの間にハイドリノ反応物を構成す
る反応物と、を備え、 a)H種がH2, H, H+, H2O, H3O+,
OH, OH+, OH-, HOOH, 及び OOH- の少なくとも1つ
を含むところ、OH及び H2Oの少なくとも1つを形成するH種との酸
化反応を被るO2, O3, O3+, O3-, O, O+, H2O,
H3O+, OH, OH+, OH-, HOOH, OOH-, O-,
O2-, O2-, 及び O22-から選択される少なくとも1つの酸素
種を含む触媒又は触媒の源、 b)原子状水素の源又は原子状水素、 c)
触媒の源、触媒、原子状水素の源、及び原子状水素の少なくとも1つを形
成する反応物;原子状水素の触媒反応を開始する1又はそれ以上の反応物
;及び支持体、 から選ばれる少なくとも2つの構成要素を含むことを特
徴とする電気化学的パワ-システム。
【請求項8】
請求項7の電気化学的なパワ-システムにおいて、 O種の源が、O,
O2, 空気, 酸化物, NiO, CoO, アルカリ金属酸化物, Li
2O, Na2O, K2O, アルカリ土類金属酸化物, MgO, Ca
O, SrO, 及び BaO, Cu, Ni, Pb, Sb, Bi,
Co, Cd, Ge, Au, Ir, Fe, Hg, Mo, Os,
Pd, Re, Rh, Ru, Se, Ag, Tc, Te, Tl,
Sn, 及び Wの群からの酸化物, 過酸化物, アルカリ金属過酸化物,
超酸化物, アルカリ又はアルカリ土類金属超酸化物, 水酸化物, アル
カリ, アルカリ土類, 遷移金属, 内部遷移金属, 及び第III,
IV, 又は V族の元素, 水酸化物, オキシ水酸化物, AlO(OH),
ScO(OH), YO(OH), VO(OH), CrO(OH),
MnO(OH) (α-MnO(OH) グラウト鉱及びγ-MnO(OH)
マンガナイト), FeO(OH), CoO(OH), NiO(OH),
RhO(OH), GaO(OH), InO(OH), Ni1/2Co1
/2O(OH), 及び Ni1/3Co1/3Mn1/3O(OH)を
含む化合物の混合物又は少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とす
る電気化学的なパワ-システム。 【請求項9】 請求項8の電気化学的な
パワ-システムにおいて、 H種の源が、H, 金属水素化物, LaNi
5H6, 水酸化物, オキシ水酸化物, H2, H2の源, H2 及び
水素透過性の膜, Ni(H2), V(H2), Ti(H2), Nb(
H2), Pd(H2), PdAg(H2), 及び Fe(H2)を含む
化合物の混合物又は少なくとも1の化合物を含むことを特徴とする電気
化学的なパワ-システム。
【請求項10】
請求項1の電気化学的なパワ-システムにおいて、 水素アノ-ドと、水
酸化物を含む溶融塩電解質と、及び O2 及び H2Oカソ-ドの少なく
とも1つと、 を含むことを特徴とする電気化学的なパワ-システム。 【
請求項11】
請求項10の電気化学的なパワ-システムにおいて、 水素アノ-ドが、
水素透過電極を含むことを特徴とする電気化学的なパワ-システム。
【請求項12】
請求項11の電気化学的なパワ-システムにおいて、 水素源と、 OH,
OH-, 及び H2O触媒の少なくとも1つを形成することができ、H
を供  給することができる水素アノ-ドと、 O2 及び H2Oの少なく
とも1つの源と、 H2O 又は O2の少なくとも1つを還元することが
できるカソ-ドと、 アルカリ電解質と、 H2O 蒸気, N2, 及び
O2,の少なくとも1つの回収及び再循環が可能なオプショナルなシス
テムと、及び H2を回収し及び再循環させるシステムと、を含むことを
特徴とする電気化学的なパワ-システム。
【請求項13】 請求項1の電気化学的なパワ-システムにおいて、 a)
V, Zr, Ti, Mn, Zn, Cr, Sn, In, Cu, Ni,
Pb, Sb, Bi, Co, Cd, Ge, Au, Ir, Fe, Hg
, Mo, Os, Pd, Re, Rh, Ru, Se, Ag, Tc,
Te, Tl, 及び Wから選ばれる金属と、 b) R-Ni, LaNi
5H6, La2Co1Ni9H6, ZrCr2H3.8, LaNi3.
55Mn0.4Al0.3Co0.75, ZrMn0.5Cr0.2V0.
1Ni1.2から選ばれる金属水素化物と、 c) AB5 (LaCeP
rNdNiCoMnAl) 又は AB2 (VTiZrNiCrCoMn
AlSn) タイプ, ここで、「ABx」は、A タイプ要素 (LaCe
PrNd 又は TiZr)と、B タイプ要素 (VNiCrCoMnAl
Sn)との比を意味するが、 AB5-タイプ, MmNi3.2Co1.
0Mn0.6Al0.11Mo0.09 (Mm =ミッシュメタル: 2
5 wt% La, 50 wt% Ce, 7 wt% Pr, 18 wt%
Nd), AB2-タイプ: Ti0.51Zr0.49V0.70Ni1.
18Cr0.12 合金, マグネシウム-ベ-ス合金, Mg1.9Al
0.1Ni0.8Co0.1Mn0.1 alloy, Mg0.72Sc
0.28(Pd0.012 + Rh0.012), 及び Mg80Ti2
0, Mg80V20, La0.8Nd0.2Ni2.4Co2.5Si
0.1, LaNi5-xMx (M= Mn, Al), (M= Al,
Si, Cu), (M= Sn), (M= Al, Mn, Cu) 及び
LaNi4Co, MmNi3.55Mn0.44Al0.3Co0.
75, LaNi3.55Mn0.44Al0.3Co0.75, Mg
Cu2, MgZn2, MgNi2, AB 化合物, TiFe, TiC
o, and TiNi, ABn 化合物 (n = 5, 2, 又は 1),
AB3-4 化合物, ABx (A = La, Ce, Mn, Mg;
B = Ni, Mn, Co, Al), ZrFe2, Zr0.5Cs0.
5Fe2, Zr0.8Sc0.2Fe2, YNi5, LaNi5,
LaNi4.5Co0.5, (Ce, La, Nd, Pr)Ni5,
ミッシュメタル-ニッケル合金, Ti0.98Zr0.02V0.43
Fe0.09Cr0.05Mn1.5, La2Co1Ni9, 及び Ti
Mn2;から選ばれる水素を貯蔵できる他の合金と、 の少なくとも1つ
を含むアノ-ドと、 セパレ-タと、 水溶性アルカリ電解質と、 O2 及
び H2O還元カソ-ドの少なくとも1つと、及び 空気及びO2の少なく
とも1つと、 を含むことを特徴とする電気化学的なパワ-システム。
【請求項14】
請求項13の電気化学的なパワ-システムにおいて、 正味のエネルギ-
バランスにおいてゲインがあるように、セルを断続的に充電及び放電する
電解質システムを更に含むことを特徴とする電気化学的なパワ-システム。
【請求項15】
以下のa)からh)のセルの少なくとも1つを含む電気化学的なパワーシ
ステムであって、ここで、それらのセルは、 a) (i) Ni(H2)、
V(H2)、Ti(H2)、Fe(H2)、Nb(H2) 又は LaNi
5H6、TiMn2Hx、及びLa2Ni9CoH6 (xは整数)から
選ばれる金属水素化物、から選ばれる水素ガス及び水素透過性金属を含む
アノードと、 (ii) MOH 又は M(OH)2、又は M’X 又は
M’X2 付のMOH 又は M(OH)2、から選ばれる溶融電解質と、
ここで、M 及び M’ は、独立にLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、
Ca、Sr、及び Baから選ばれ、Xは、水酸化物、ハロゲン化物、硫
酸塩、及び炭酸塩から選ばれ、 (iii) アノードのそれと同じである
金属を含むカソードであって、更に、空気又はO2を含むカソードと、
を含むセル、 b) (i) R-Ni、Cu、Ni、Pb、Sb、Bi、
Co、Cd、Ge、Au、Ir、Fe、Hg、Mo、Os、Pd、Re、
Rh、Ru、Se、Ag、Tc、Te、Tl、Sn、W、Al、V、Zr、
Ti、Mn、Zn、Cr、In、及び Pbから選ばれる少なくとも1つ
の金属を含むアノードと、 (ii) 約10Mから飽和迄の濃度範囲にあ
るアルカリ水酸化物水溶液を含む電解質と、 (iii) オレフィンセパ
レータと、及び (iv) 空気又はO2を更に含むカーボンカソードと、
を含むセル、 c) (i) 溶融NaOH 及び水素透過膜としてNi及び
水素ガスを含むアノードと、 (ii) ベータアルミナ固体電解質(BA
SE)を含む電解質と、及び (iii) NaCl-MgCl2、NaC
l-CaCl2、又は MX-M’X2’ (Mはアルカリ、M’はアルカ
リ土類、及び、X及びX’はハライド)として溶融を含むカソードと、
を含むセル、 d) (i) 溶融Naを含むアノードと、 (ii) ベー
タアルミナ固体電解質(BASE)を含む電解質と、及び (iii) 溶
融NaOHを含むカソードと、 を含むセル、 e) (i) LaNi5H
6を含むアノードと、 (ii) 約10Mから飽和迄の濃度範囲を持つア
ルカリ水酸化物水溶液を含む電解質と、 (iii) オレフィンセパレー
タと、及び (iv) 空気又はO2を更に含むカーボンカソードと、 を
含むセル、 f) (i) Liを含むアノードと、 (ii) オレフィン
セパレータと、 (iii) LP30 及び LiPF6を含む電解質と、
及び (iv) CoO(OH)を含むカソードと、 を含むセル、 g)
(i) Li3Mgを含むアノードと、 (ii) LiCl-KCl 又は
MX-M’X’ (M及びM’はアルカリ、X及びX’はハライド) 溶融
塩電解質と、及び (iii) CeH2、LaH2、ZrH2、及び Ti
H2から選ばれる金属水素化物を含み、更にカーボンブラックを含むカソ
ード、 を含むセル、及び、 h) (i) Liを含むアノードと、 (ii)
LiCl-KCl又はMX-M’X’(M及びM’はアルカリ、X及びX’
はハライド) 溶融塩電解質と、及び (iii) CeH2、LaH2、
ZrH2、及び TiH2から選ばれる金属水素化物を含み、更にカーボ
ンブラックを含むカソード、を含むセル、であることを特徴とする電気
化学的なパワーシステム。        
                            
風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine



アルバム『終わりなきこの愛』2019.4.24
トルコ風ブルー・ロンド
Richard Greidaman


     

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人工太陽創造時代 ②

2023年09月18日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。


大津 石山寺

             中天に寝待の月や書屋も更け   山口青邨

              面妖に階段照らす臥待月  
                                     


 
高島 メタセコイア並木



   

再エネ革命渦論 165: アフターコロナ時代 166
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中  ㊻


図1 光渦照射による微小液滴パターニングとレーザー発振の模式図

光渦を照射するだけで微小液滴レーザーを直接印刷
-次世代プリンタブルフォトニクスへの応用に期待

9月14日、千葉大学らの研究グループは、蛍光色素が溶解した高粘度液体(
蛍光性インク)の液膜に光渦注1)を照射することで、直径100 μm(マイク
ロメートル)程度のサイズの揃った液滴を、マイクロメートルスケールの
高い位置精度で印刷することに成功(図1)。さらに、印刷した微小液滴
は液滴内部に効率よく蛍光を閉じ込めることができる小液滴がレーザー発
振に成功する。
【概要】
液滴を対象物に直接印刷する手法として、ノズルから微小液滴を吐出して
印刷を行うインクジェット技術が知られていつが、高濃度で高粘度なドナ
ー物質をノズルの目詰まりなく印刷することは難しく、新しい印刷技術が
求められていた。レーザー誘起前方転写法(Laser-induced forward-transfer:
LIFT)
は、レーザーパルスを照射して印刷したい物質(ドナー物質)を転

写するという印刷技術LIFTは、インクジェット印刷とは異なりノズルを
使用しないため、様々な物質を目詰まりの心配なく吐出することができる
次世代印刷技術として期待。従来のLIFTでは、通常のレーザー光(ガウス
ビーム)が利用されてきました。共同研究グループは、光渦と呼ばれる特
殊なレーザー光を用いると、従来のLIFTでは転写できない高粘度液体を安
定して印刷できることを見出した。


【成果】
水の約100倍の粘度をもつ蛍光性インクを使用しました。通常のレーザー光
(ガウスビーム)を照射して印刷を行うと、吐出される液滴のサイズは不
均一になり、転写位置も不規則となります(図2a)。さらに主滴に加えて
多数の副滴が同時に印刷されてしまいます。一方、光渦を用いると直径100
μm程度のサイズの揃った液滴を、10%以下の位置決め誤差で転写すること
ができました(図2b)。さらに、副滴が生成することなく、主滴のみが安
定的に印刷された。


図3 作製された「OMU」の(a)顕微鏡像と(b)蛍光像。(c)レーザー発振によ
   る蛍光スペクトル変化

光渦LIFT により、微小液滴のパターニングを行いました。33 個の微小液
滴を転写することにより、Osaka
Metropolitan University(大阪公立大学)の頭文字である「OMU」を描き
た(図3a)。パターニングした液滴はピンク色の蛍光を発す。興味深いこ
とに、全ての液滴において中心部よりも端部分で強い蛍光が観察さた(図
3b)。これは、液滴内部で発せられた蛍光が液滴/空気界面での反射を繰り
返しながら液滴内部に閉じ込められていることを示す。この光閉じ込め効
果により、液滴はレーザー発振(光が刺激を受けることによって光波を発
生させる現象)。レーザー発振が起こると、蛍光の色(スペクトル)が大
きく変化し、ある特定の波長の光が強く発せられるようになります(図3c)。
蛍光色素の種類を変えることにより、異なる色の微小液滴レーザーアレイ
(レーザー(光線)を特定のパターンや配置で発生させるための技術)の
作製が可能になり、高感度センサーやレーザーディスプレイなどへ応用す
ることができる。

実験の詳細(印刷機構)
螺旋位相板注4)によって光渦に変換した波長532 nm のナノ秒パルスレー
ザーをガラス基板上のドナー液膜にビームスポットが50 μm になるように
レンズで集光しました。単一パルス照射によって、液膜から単一液滴を吐
出し、別のガラス基板上(レシーバー基板)に液滴として転写しました。
なぜ光渦を用いると微小液滴が安定的に印刷できるのでしょうか?そのメ
カニズムを解明するため、高速度カメラを使用して、106 画像/秒の速度で
液滴吐出過程を観察しました。通常のレーザー光(ガウスビーム)を照射
すると、液膜が破裂し多数の極小液滴が噴出しました(図4a)。一方、光
渦照射の場合、液膜が破れることなく変形し、回転するジェット(細長い
液柱)の先端から微小液滴が吐出した(図4b)。液滴は自転運動しながら
安定に飛翔し、レシーバー基板上に転写される。ジェットや液滴の自転運
動は、光渦の軌道角運動量注5)が大きく寄与。光渦特有の捩じり力が液膜
に働くことにより液膜が高速で捩じられ、自転するジェットや液滴が生成
されることで、安定した印刷が可能になることがわかった。


図4 (a)ガウスビーム、(b)光渦照射における液滴生成過程の高速度カメラ像

■用語解説
 光渦:同じ位相の場所を通り波の進行方向に対して垂直になるような面(
 波面)が螺旋状になっており、円環型の強度分布をもつ光を光渦と呼ぶ。
レーザー誘起前方転写法(LIFT):透明基板上に形成したドナー液膜に
 対してレーザーパルスを照射して、前方にドナー液滴を飛翔させて転写す
 る印刷技術。原理的に転写できる物質の粘度や濃度に制限がない。
 ガウスビーム:平行な波面とガウス分布状の強度分布を持つ光。
 螺旋位相板:通常のレーザー光(ガウスビーム)を光渦に変換する光学素
 子。
 軌道角運動量:光渦は、1 波長あたりの螺旋波面の巻き数ℓ(整数)に対
 してℓℏの軌道角運動量を有、ℓ に比例したトルク(捩じり力)を物質に与
 える。ℏ はプランク定数である。
【関係技術情報】
 著              者:Ken-ichi Yuyama, Haruki Kawaguchi, Rong Wei, and Takashige
                            Omatsu

 論文タイトル:Fabrication of an array of hemispherical micro-lasers using optical
                            vortex laserinduced forward transfer
 雑    誌    名 :ACS Photonics
 D   O   I       : https://doi.org/10.1021/acsphotonics.3c01005

✔ 今後の
応用展開が楽しみ。



核融合エネルギーも俺に任せろ ③

➲ここまでのお復習い
新しいエネルギー開発の必要性
世界の人口は、産業革命以降、生活の利便性や医学の進歩に伴い急激に増
加し、現在は70億人ています。さらに、生活水準の向上や、より便利な社
会が実現され、1人当たりのエネルギー消費量も急速増大している。現在、
我々人類は、この地球が何億年もかけて蓄えてきた石油・石炭・天然ガス
などの貴重な資源を「One match in the long night」、すなわち1本のマッチ
が長い夜を一瞬だけ輝らす様な急激な勢いで消費しており、これから新し
い埋蔵資源が発見されたとしても、近い将来にこの貯蓄が無くなる?こと
が危惧され、また、大量消費に伴う地球温暖化問題にも直面している。こ
れらの問題を同時に解決するために、燃料が無尽蔵にあり、CO2の発生がな
い核融合エネルギーの実現が期待されているといわれる。

核融合となんだったけ?
下記に掲載した核融合にかかわる特許情報を参照す
るとして、核融合とは>重水素と三重水素の原子核をクーロン力を超えて
融合させることでヘリウムと中性子を作り出すもの。このとき、ごくわず
かな質量が失われている。この失われた質量はすべてエネルギーとして放
出されます。放出されるエネルギーは失われたエネルギーと光速の2乗の
積に比例することから、莫大なエネルギーとなる。 核融合反応によって
発生するエネルギーと反応を維持するために必要なエネルギーが釣り合う
ための条件をローソン条件といい、レーザー方式の核融合の場合、
 1. プラズマ温度が100万度以上
 2. プラズマ密度と閉じ込め時間の積が10の14乗/cc秒以上
になる。

2つの方式
太陽は生命の源であるエネルギーを水素の核融合反応により発生し、地上
に送り続けていく。この太陽活動を地上に実現しようというのが核融合。
核融合エネルギーには、
①慣性閉じ込め核融合エネルギー(IFE) と②磁場閉じ込め核融合エネルギ
ー(MFE) があり、慣性核融合は核融合燃料を瞬間的に高温高密度に圧縮し、
燃料自身の重さ(慣性力)で燃焼を維持させる方式で、レーザー核融合が
その代表。これに対し、磁場核融合は低密度の燃料を磁場容器に長時間閉
じ込めて核融合反応を起こさせる方式で、トカマク型がその代表
。両者は
互いに異なる技術を基盤としており、我が国を始めとして世界各国で研究
が進められている。

特許696166号 核融合反応方法、機器、及びシステム ノンリニア イオン
ダイナミックス, エルエルシー【登録日】2021年10月15日
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁界を生成するように構成された超伝導磁石と、前記超伝導
磁石及びそれにより生成された前記磁界内に配置された外側電極及び内側
電極と、前記外側電極の内表面上に配置された1つ以上の板と、前記内側
電極上に配置された絶縁体であり、前記内側電極の非絶縁部が、軸方向に
前記1つ以上の板の真向かいに配置される、前記絶縁体と、前記外側電極
と前記内側電極との間に規定される空間に作動ガスを導入するように構成
された作動ガス入口ラインと、前記外側電極と前記内側電極との間にわた
る電圧を提供することにより、電界を生成し、前記作動ガスのイオン化を
誘導して、前記磁界及び結果として生じるローレンツ力によって前記空間
内に回転を与えるプラズマ電流を生成するように電気的に構成された電界
発生源であり、前記電界発生源は、前記外側電極と前記内側電極との間に
パルスを生成することにより弱イオン化プラズマを生成するように更に構
成され、前記弱イオン化プラズマ内におけるイオンとニュートラル粒子と
の衝突が前記空間内の回転を加速させる、前記電界発生源と、を備える、
制御核融合機器。
【請求項2】 前記電界発生源が、前記磁界と実質的に垂直な方向に前記外
側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間を通って延びる電界を
生成するように構成されることによって、前記弱イオン化プラズマ内のイ
オンが、少なくとも最初は前記電界に沿って移動し、前記磁界によるロー
レンaツ力を受けるように誘導される、請求項1に記載の制御核融合機器。
【請求項3】 >前記超伝導磁石が、少なくとも1つの電磁石及び/又は少な
くとも1つの永久磁石を備える、請求項2に記載の制御核融合機器。
【請求項4】 前記超伝導磁石が、およそ100,000回転毎秒より大き
な前記弱イオン化プラズマの平均回転速度を誘導するのに十分な強度の磁
界を前記外側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間内に生成す
るように構成される、請求項2又は3に記載の制御核融合機器
【請求項5】 前記外側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間の
対称軸が前記磁界と実質的に平行となるように、前記外側電極と前記内側
電極とが互いに同軸である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の制御核
融合機器。
【請求項6】 >前記電界発生源が、前記外側電極と前記内側電極との間に規
定される前記空間内で実質的に半径方向に延びる電界を生成するように前
記外側電極と前記内側電極との間の電圧を供給するように構成される電源
を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項7】前記外側電極と前記内側電極との間の前記空間内に回転定在波
が発生するように、電磁波を前記空間に印加するように構成された高周波
あ供給装置を更に備え、前記回転定在波が、定在電磁波を支持するように
構成された前記空間中の前記弱イオン化プラズマを回転させるように構成
される、請求項2〜6のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項8】 前記高周波供給装置に印加される前記電磁波に変調を適用し
て、前記弱イオン化プラズマの回転を促進するように構成された変調器を
更に備える、請求項7に記載の制御核融合機器。
【請求項9】 前記変調器が、調節可能な変調周波数を適用するように構成
される、請求項8に記載の制御核融合機器。【請求項10】 前記外側電極と
前記内側電極との間の前記空間に対して動作可能に結合された光子源を更
に備え、前記光子源が、少なくとも前記作動ガスへの照射によって、前記
作動ガスを前記空間内で回転させるのに十分な光子圧力を生成するように
構成される、請求項1に記載の制御核融合機器。
【請求項11】 前記光子源がレーザを備える、請求項10に記載の制御核
融合機器。
【請求項12】 前記作動ガスが、水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、
リチウム−6、リチウム−7、ホウ素−11及び窒素−15から成る群から選
択され、前記板が、水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、リチウム
−6、リチウム−7、ホウ素−11及び窒素−15から成る群から選択される
核融合反応物を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の制御核融合
機器。
【請求項13】 ニュートラルイオンに対する比率が1〜およそ10000
超である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項14】前記作動ガスが第1の作業物質であり、前記1つ以上の板が
第2の作業物質を含み、前記制御核融合機器が、核融合が生じる領域にお
いて前記第1の作業物質及び前記第2の作業物質の粒子密度が合わせて1
23個毎立方センチメートル超に達するように、回転速度を誘導するよう
に構成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の制御核融合機器。 【
【請求項15】 前記外側電極と前記内側電極との間に規定された前記空間に
対して動作可能に結合されたエネルギー利用アセンブリを更に備え、前記
エネルギー利用アセンブリが、核融合により生成されたエネルギーを前記
空間に隣接する領域から取り出すように構成される、請求項1〜14のい
ずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項16】 前記1つ以上の板が、前記外側電極の前記内表面の周りに配
置された連続リングを規定する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の制
御核融合機器。
【請求項17】 前記内側電極の前記非絶縁部が、前記絶縁体によって覆われ
た前記内側電極の残部よりも大きくなっている、請求項1〜6のいずれか
一項に記載の制御核融合機器。 【請求項18】 前記内側電極の前記非絶縁
部が、前記内側電極の端部に配置される、請求項17に記載の制御核融合
機器。
【請求項19】 複数の水冷ラインを更に備える、請求項1〜18のいずれか
一項に記載の制御核融合機器。 【請求項20】 制御装置を更に備え、前記
制御装置が、コンピュータ及び/又は1つ以上の手動スイッチである、請
求項1〜19のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項21】 制御装置を更に備え、前記制御装置が、連続波放電回路及び
パルス放電回路を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の制御核融
合機器。
【請求項22】 圧力チャンバを更に備え、前記圧力チャンバ内に前記外側電
極及び前記内側電極が設けられる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の
制御核融合機器。
【請求項23】 クーロン障壁を低下させるために前記外側電極と前記内側電
極との間に規定された前記空間内に電子が放出されることによって、前記
空間内の前記プラズマにおいて2つの近づく粒子間の衝突が促進される、
請求項1〜22のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
------------------------------------------------------------------


まずは、
レーザー核融合発電では、まず炉(熱エネルギーを取り出すための容器)
の中心に直径5mmの球状燃料ペレットを打ち込み、これを数百万ジュール
の高出力レーザーパルスで一様に照射する。レーザー照射を受けた燃料の
外側は高温となり数千万気圧もの圧力が発生するので、球状の燃料はその
中心に向かって圧縮されます(爆縮)。こうして瞬間的に核融合反応を起こ
させる。これを1秒間に数回の割合で繰り返すことにより、連続的にエ
ルギーが発生し、これを外部へ導くことにより数百万キロワットの発電

行うことができる
。レーザー核融合発電におけるエネルギー収支は次のよ
うになる。爆縮し、核融合反応が起こった燃料ペレットからは投入された
レーザーエネルギーのQ倍のエネルギーが放出。Q=1は投入したレーザ
ーエネルギーと発生した核融合エネルギーが均衡する点に相当するので、
ブレークイーブンと呼ばれます。発生した熱エネルギーは効率ηg の発電
システムで電力に変換され、外部に送電されるが、その一部(ε)は発電
所の所内電力やレーザー光を発生させる循環電力として用いられる。この
電力からレーザー光を発生させる効率をηdとすると、外部からエネルギ
ーを供給することなく自立運転するには、これら4つの要素の積Q×ηg×
ηd×εが1
を上回る必要があり、現実的な効率を考慮すると、Q=100を
達成することが一つの目標とされている。


【特徴】
・炉に関する設計の自由度が高く、現存する材料で概ね設計可能である
・発電に必要な主要機能は独立性が高く短期間に開発できる可能性が有る
・同じ規模の磁場核融合発電所で比べた場合、取り扱う放射性物質である
 トリチウムの量が少ない(約1/10)
・プラントの出力、運転モードの自由度が高く、消費電力ピークに柔軟に
 対応できる。
と、良いこと尽くめであるが。

【爆縮と点火】
高温高密度に圧縮された核融合燃料はプラズマ状態になります。プラズマ
は電気を帯びた粒子なので、その静電気力にうち勝ち、強制的に核を衝突
させて融合反応を起こさせる必要があります。このためには1億度以上の
温度、200g/ccの密度(液体水素の1000倍の密度)、10億分の1秒以上の保
持時間の3つの条件が満足される必要。これらの条件は図に示すような燃料
の爆縮で実現。レーザー照射を受け、球対称に圧縮された燃料の中心でま
ず燃焼条件が満たされ、自己点火する。核融合の火は周りの燃料に燃え広
がり、爆発的にエネルギーを放出。この方式を「中心点火」と呼び、この
ほか、燃料が最大に圧縮された瞬間、別のレーザーで外部から燃料を追加
熱する「高速点火」と呼ばれる新方式の研究も開始されている。

【展望】
阪大学のレーザー核融合研究センターの出力10キロジュールのガラスレー
ザー「激光XII号」によると、燃料温度1億度、燃料密度120g/cc (液体水素
の600倍の密度)の圧縮が世界に先駆け実現されました。これを受け、米国
やフランスでは出力1.8メガジュール*のレーザー装置を建設して、核融合
点火・燃焼を実証しようとする計画(米:国立点火施設(NIF) 、仏:レー
ザーメガジュール(LMJ) )が進められています。将来のレーザー核融合動
力炉には現在開発中の高効率・高繰り返しのダイオード励起固体レーザー
が用いられるとのこと。また、高輝度X線応用は新しい分野として急速な
広がりを見せ、高出力レーザーを用いることにより発生したレーザープラ
ズマX線やX線レーザーはリソグラフ光源や物質解析などへの応用が期待
されている。
------------------------------------------------------------------


図1.実験的なセットアップ。 (左) ヘリオトロン プラズマの断面図を
備えた LHD 真空容器を示す 3D CAD モデル。 (右) LHD セパラトリクス
付近の PIPS 検出器、最後の閉じた流れ表面 (黄褐色) の一部、およびプ
ラスマの下に位置する PIPS 検出器に到達する計算されたアルファ粒子の
軌道 (緑色の曲線) を示す CAD 画像。

先進的核融合燃料を使った核融合反応の実証
中性子を生成しない軽水素ホウ素反応を利用したクリーンな核融合炉へ
第一歩---- TAE Technologies社との共同研究の成果
【概要】
核融合科学研究所は2021年9
月1日に、米国の最も歴史のある核融合スター
トアップ企業のTAE Technologies社と先進的核融合燃料である軽水素とホ
ウ素11を用いた共同研究を開始する契約書を締結。 核融合炉では、磁
場で高温のプラズマを閉じ込め、そのプラズマ中で核融合反応を起こして
エネルギーを発生させるが、これまで、そのようなプラズマ中での、軽水
素とホウ素11を使った核融合反応は実証されていない。磁場で閉じ込め
た高温プラズマに関する様々な研究を行っている本研究所の大型ヘリカル
装置(LHD)で、その反応を実証できれば、先進的核融合燃料を使った核
融合炉の実現に向けて、研究を大きく前進させることができる。
【成果】
小川国大准教授、大舘暁教授らの研究グループは、TAE Technologies社と
共同し、LHDにおいて、軽水素とホウ素11の核融合反応の実証に取り
組みました。 軽水素とホウ素11の核融合反応は、核融合燃料の第1候
補である水素同位体燃料と比べて極めて高い温度のプラズマが必要で実現
が難しい反応と考えられているが、高エネルギーのビームを使うことで実
現の可能性があります。その核融合反応を効率よく起こすためには、軽水
素を時速1500万kmの速さでホウ素11に衝突させる必要がある。L
HDでは、プラズマを加熱するために、時速1500万kmを超える速さ
の軽水素をプラズマに入射する装置を独自に開発してきました。また、高
温プラズマを制御するために、プラズマにホウ素の粉末を振りかける装置
を設置しています。これらを組み合わせることで、磁場閉じ込めプラズマ
中で軽水素とホウ素11との核融合反応が実現できる可能性がありました。
軽水素とホウ素11の核融合反応では、高エネルギーのヘリウムが生成さ
れます。反応の実証には、そのヘリウムを検出しなければなりません。そ
のために小川准教授らは、これまでのLHDにおける高度な実験研究によ
り信頼性が確認されている、数値シミュレーションに基づいて、発生する
ヘリウムの数と磁場の影響によって複雑な動きをするヘリウムの軌道を予
測した。そして、高エネルギーのヘリウムが飛来する予定のプラズマの表
面近くにTAE Technologies社が製作した検出器を設置しました(図)。ホ
ウ素をふりかけたプラズマに高エネルギー軽水素ビームを入射する実験を
行った結果、予測どおり、軽水素とホウ素11の核融合反応によって生成
した高エネルギーヘリウムの検出に成功しました。これにより、世界で初
めて、磁場で閉じ込めたプラズマ中での、軽水素とホウ素11の核融合反
応を実証したのです。 【展望】 軽水素とホウ素11から高エネルギーヘ
リウムを生成する核融合反応は、放射線である中性子を生成しないため、
よりクリーンな核融合炉を将来的に実現できる可能性がある。本研究成果
は、よりクリーンな磁場閉じ込め核融合炉実現のための大きな第一歩であ
る。この点が高く評価され、本研究成果をまとめた論文が、2023年2月21
日に世界最高峰の科学雑誌であるNature Communicationsへ掲載された。今
後、軽水素とホウ素11との核融合反応をより深く理解するための計測器
開発、生成された高エネルギーのヘリウムの閉じ込め特性の研究などを推
進していく。
【関係技術情報】
・雑誌名:Nature Communications
・題 名:First measurements of p11B fusion in a magnetically confined plasma(
 
磁場によって閉じ込められたプラズマ中でのp11B核融合の初めての計測) ・
 via レーザー核融合技術振興会

【脚注】
一般家庭のエネルギー消費
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/energy.html
石油の体積当たりのエネルギー量
https://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/h01110.htm
石油の重さと体積の関係
http://ryowa-oil.co.jp/data1.htmlWh
ジュールの変換法
https://kenkou888.com/category21/wh_j_henkan.html
------------------------------------------------------------------
LEDレジェンド中村が今、核融合を追う
核融合は原理的に、その主成分が宇宙で最も豊富な元素である水素であり、
比較的無限のエネルギー供給の前兆となります。 このプロセスでは、核
分裂とは異なり、有害な廃棄物は生成しない。核分裂に比べて放射能レベ
ルは低い。 が危険がないわけではない。 しかし、1950 年代以来、エネ
ルギー専門家は核融合がついに準備が整う日を心待ちにしてきた。 著名
な物理学者スティーブン・ホーキング博士はかつて、「核融合が実用的な
電源になってほしいと願っていた。核融合は、汚染や地球温暖化を起こす
ことなく、無尽蔵のエネルギーを供給してくれる」と述べた。 問題はそれ
を機能させること。核融合 の登場は 60年以上もずっと先のこと。水素の
抽出など多くのハードルが残っているが、すべての障害の中で最も根本的
なのは、核融合反応から生じるエネルギーの量が必要なレベルには程遠い
ということ。開発中のほぼすべてのプロジェクトでは、反応に費やされる
エネルギーの方が、出現するエネルギーよりも大きくなる。技
術的に言う
と、ゲイン(利得)が11 よりも小さいことにある


カリフォルニア州リバモアにある米国政府の国立点火施設(NIF)は昨年12
月、レーザーを使用して1.5のゲインを生成したが、反応は一瞬で終わった。
それは信頼性の高い電源に必要な持続可能な種類のものではない。 NIFレ
ーザーは連続的にではなく単発で発射されている。 同様に注目に値するの
は、NIF方式の核融合が電源として経済的実行可能であるが、その利得は
100か200のオーダー以上である必要、つまり1.5からの大幅な飛躍である
と専門家が考えていることに。 (今週、NIFが昨年12月のワンプラスの成
功を再現したというニュースが流れたが、詳細はまだ明らかになっていな
い)。

核融合クラブは成長中
世界のエネルギーの未来にとって良いニュースは、これまで以上に多くの
組織が核融合に取り組んでいること。 少し前までは、少数の政府機関だ
けが2 つのアプローチのいずれかを追求。 NIF
の技術は、水素同位体の
小さなペレットを192個のレーザー照射し、標的まで1マイルの距離を跳ね
飛ばす。 あるいは、トカマク法では、超伝導磁石に含まれる巨大プラズ
マに水素同位体が含まれる。それは、フランスのカダラッシュに建設中の
複数政府による巨大ITER施設と密接な関係がある。過去10 ~ 20年にわた
り、多くのベンチャー支援企業がリングに挑戦し、多くの場合、「従来の
レーザー」やトカマク方式だけでなく、斬新な設計を導入したが、これら
の方式を利用する傾向にある。 たとえば、2011年にアマゾン会長のジェ
フ・ベゾスは、磁化ターゲット融合と呼ばれるものを開発しているバンク
ーバー地域の会社ジェネラル・フュージョンに投資。ナカムラの Blue Laser
Fusion
は、核融合企業の名簿に加わった最も新しい企業で、日経アジアは3
週間前、同科学者が昨年11月にBlue Laser Fusionを共同設立したと報じた。
また、ブルーレーザーが「ベンチャーキャピタル会社ジャフコグループと、
トヨタ自動車やその他の投資家が支援し、スパークスグループが管理する
未来創造基金から」2,500万ドルを調達したとも報じている。ナカムラ氏
の共同創設者は、東京に本拠を置くドローンメーカーACSLの太田宏明氏で
ある。ブルーレーザーの特徴の1つは、重水素と三重水素として知られる
水素の2つの同位体を融合させるのではなく、ホウ素で動作する。ブルー
レーザーも水素を使用するかはわからない。 核融合クラブ(サークル?)
では重水素 - 三重水素の方が一般的。他の団体は標準的な水素 (中性子
を持たない) とホウ素を使用する、「無中性子核融合」としても知られる
水素 - ホウ素核融合を開発している。 水素-ホウ素は、タービンを駆動し
発電するための熱生成するのではなく、直接出力として電気を生み出す傾
向にある


レーザーを連続発射する
明らかなことは、光科学に深く没頭し、ナカムラ氏カリフォルニア大学サ
ンタバーバラ校で電子・光材料教授が、核融合を引き起こすためにレーザ
ー応用するということ。「私たちの目標は、半導体レーザーに関する知識
を活用し、繰り返しテストできる安全性の高い方法で核融合発電を商業化
すること」と同氏は日経新聞に語っている。「世界のエネルギー問題の解
決に貢献したい。」 ブルーレーザーは、核融合反応を持続させる連続高
速発射レーザーを採用する。 同社は、LEDから移行して以来、中村氏が共
同設立した2社目のレーザー企業。 彼は、2013年に自身の LED会社 Soraa
からスピンアウトし、カリフォルニア州ゴレタに拠点を置くSLD Laserを共
同設立。 SLDは、2021年1月に京セラが買収したため、現在は京セラSLD
レーザーと呼ばれる。商業的関心をレーザーに集中させる前に、ナカムラ
氏は 2008年に紫色 LED専門会社Soraaを設立し、別のフォトニック技術で
ある LEDの事業に注力。LED の分野では、彼は 1990 年代初頭の青色LED
に関する研究で、他の2人の科学者、赤崎勇氏と天野浩氏と2014年のノー
ベル物理学賞を共同受賞。青色 LED は一般的な照明光源としてのLEDの普
及に貢献。現在、レーザー愛好家として、69歳の彼は照明そのものではな
くエネルギーに商業的な取り組みを集中。日経新聞は、Blue Laser Fusionは、
原子力発電所用タービンのサプライヤーである東芝エネルギーシステムズ
&ソリューションズおよび東京に本拠を置く精密金属加工会社YUKIホール
ディングスと協力する予定である。「目標は、原子分裂の原子炉約1基に
相当する1ギガワットの電力を生成できる原子炉を、2030年までに日本か
米国で稼働させることだ」と記事は述べている。誰もその目標に近づくこ
となく60年以上が経過したことを考慮すると、これは野心的なスケジュー
ル。中村氏がそこに到達できれば、それは光の固体操作を一貫して伴う、
すでに予告されている光学キャリアにおける最高の成果となる。
via  LEDs Magazine Aug. 9, 2023


風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine





アルバム『終わりなきこの愛』2019.4.24>
ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調(リスト)




 

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Yes, I Can Work It Out.

2023年09月06日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

【今朝の水生植物図鑑:チヨウキンレイ(地湧金蓮)】


出所;水生植物公園みずの森
バショウ科 アビシニアバショウ属 Ensete lasiocarpum



 


【再エネ革命渦論 160: アフターコロナ時代 161

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
    特異点真っ直中 ㊵


スタートアップ投票 │ 超DXサミット2023 (Super DX/SUM2023) 
 気候テックペンチャド投資熱
脱炭素へ変革「産業革命以来」
via 2023.09.4 朝日新聞
今年の主役の一つ鍵「気候テック」だった。毎年3月に米テキサス州で開
かれるテックイベント「サウス・パイ・サウスウェスト(SXSW)」。
過去には、ツイッターや配車サービスのウーバ-・テクノロジーズなどの
スタートアップ (新興企業)が世界的喋注目を浴びるきっかけとなった。
魚類にやさしい水力発電のタービン開発、溶かした塩を使った蓄熱・蓄電
技術、醸造技術を使ったパーム油の代替品 20億ドル規模のベンチャ-キ
ャピタル(VC、投資会社) 「ブレークスルー・エナジー・ベンチャ-
ズ(BEV)」のタラ・バンサル氏は、これらを手がけるスタートアップ
の幹部らと登壇。グ「意識の変化を感じる。5年前にはなかったことだ」
と話した。気候テツクとは、温暖化問題の解決につながるテクノロジーの
ことだ。原因となる温室効果ガスの排出を減らす技術だけでなく、温暖化
の影響への備え(適応策)を進めたり、気候変動への理解を深めたりする
技術やサービスも含まれる。 米調査会社「Holon T⊥Q」によると、
気候テツクヘの投資は2022年に701億ドル(約9兆8千億円)となり、前年
比で89%増えた。今年1月時点で、気候テックで評価額10億ドル以上の未
上場企業「ユニコーン」とされるのは米国や中国を中心に世界で83社にの
ぼるという。  深刻化する気候変動に対し、各国は脱炭素化を加達させて
いる。国際エネルギー機関 (IEA)の試算では、温暖化対策の国際ルー
ル「パリ協定」の目標達成に必要な費用は約8千兆円。気候テック企業は
これをビジネスチヤンスとみる。  米国で気候変動対策を担当するジョン・
ケリー大統領特使は「産業革命以来鏝大の変革となるだろうと聯る。
(米テキサス州オーステイン=合田禄)


出所:朝日新聞

脱炭素ユニコーン企業次々 

投資会社「ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ」は、マイクロノフ
ト創痍者の
ビル・ゲイジ氏らが設立した。ジェフ・ペゾス氏(アマゾン創
業者)、孫正義氏(ソフトバンク)らの名も連ねる。20億ドル(約2,800
円)の投資先は、新型全国休電雌や一酸叱炭素貯蔵などの新技術を
開発す
るスタートアップが中心。世界では毎年計590億トンの温室効果ガスが
排出さ
れている
,国際ルール「パリ協定」の下、産業革命前からの気温上昇を
1.5℃に抑えるという目標達成には、2050年までに実質ゼロにする必要が
ある。IEA(国際エネルギー機関)によると 既存の技術でも排出の半減は
できるが、残り半分はまだ実証段階にある技術に頼る必要がある。


出所: SWI swissinfo.ch

「今後10年間に大きな技術革新の努力が必要」だとする。「世界最大の投
資会社」とされる米ブラックロックのラリー・フィンクCEO(最高経営
責任者)は 「次の1千社のユニコーン企業はン企業は、検索エンジンで
もメディアでもなく、グリーンな水素や農業、製鉄、セメントを開発する
ビジネスだ」と述べる。気候テックは「ビッグこアック」と呼ばれるIT
大手などで大量解雇が相次いだことで、そこにいた人材をひきつける。米
ソフトウェア会社で働いていたアレックス・ハロスさん(27)は今年、企
業の二酸化炭素排出量を算出するソフトウェアを提供する米企業「パーセ
フォニ」に転職した。
「気候変動は我々の世代にとって最も深刻な問題だ。テツク企業があらゆ
る産業の脱炭素化を導くと考えている」と語る。
気候変動業界に特化した人材紹介会社CLT⊥MATEBASEによると、
同社のサイトを訪問した求職者は昨年8月から今年3月で約6倍に増えた。
共同創業者のジェシー・ハイネス氏は「テック企業での大量解雇は気候テ
ックに追い風になった。能力がある人たちを数多く雇うことができる環境
ができた」と指摘する。(米オ
ースティン=合田禄)
                             この項了

※ 面白いイベントであるが、気候テックの実効力が期待されている。
  Yes, We Can Work It Out !


出所:朝日新聞

始まった処理水放出  via Do ↑
測定は政府・東電・福島県 それぞれ実施

東京電力福島第一原発で8月24日、処理水の放出が始まった。そもそも 処
理水はどういうもので、なぜ海に放出することになったのか。福島第一原
発の建屋にたまる汚染水は、多様な放射性物質が高濃度に含まれる。多核
種除去設備アルプス(ALPS)で大半の放射性物質を除去した後、海水
で希釈して、ALPSで取り除けないトリチウムの濃度を薄めた水が放出
する処理水だ。ただALPSは、トリチウム以外の放射性物質を、環境に
放出できる国の濃度基準(放出基準)を下回るまで取り除くための設備で、
微量の放射性ヨウ素や放射性ストロンチウムなどは残る。放出計画ではま
ず、海水で希釈する前にトリチウム以外の濃度が、放出基準を満たすかど
うかを確認する。政府の方針に基づき、東電に加え、第三者として民間検
査機関と日本原子力研究開発機構がそれぞれ測る。国の基準をクリアした
水だけを海水で希釈し、トリチウム濃度を1㍑あたり1,500 ベクトル未満(
国の放出基準の40分の1)にして海に流す。

放出後の環境での状況を調べる取り組みが、海水や魚の放射性物質の測定
(モニタリング)だ。原発事故後、政府や東電、福島県は「総合モニタリ
ング計画」をつくり、海水の放射性セシウムなどを調べてきた。処理水の
放出に向けて改定し、トリチウムの測定場所を増やし、ヨウ素やストロン
チウムなどの測定も強化した。国際原子力機関 (TエAEA)は今年7
月に公表した報告書で総合モニタリング計画について、政府や東電、福島
県がそれぞれ測定すること構がそれぞれ測る。

国の基準をクリアした水だけを海水で希釈し、トひチウム濃度を1㍑あた
1,500ベクトル未満(国の放出基準の40分の1)にして海に流す。放出後
の環境での状況を調べる取り組みが、海水や魚の放射性物質の測定(モニ
タリング)だ。
原発事故後、政府や東電、福島県は「総合モニタリング計画」をつくり、
海水の放射性セシウムなどを調べてきた。処理水の放出に向けて改定し、
トリチウムの測定場所を増やし、ヨウ素やストロンチウムなどの測定も強
化した。国際原子力機関 (TエAEA)は今年7月に公表した報告書で
総合モニタリング計画について、政府や東電、福島県がそれぞれ測定する
こと
どを調べてきた。処理水の放出に向けて改定し、トリチウムの測定場
所を増やし、ヨウ素やストロンチウムなどの測定も強化した。国際原子力
機関(TエAEA)は今年7月に公表した報告書で総合モニタリング計画
について、政府や東電、福島県がそれぞれ測定することで、齟齬がないか
チェックできると評価した。

放出開始後、東電は原発の3㎞以内の海水を毎日採取し、トリチウム濃度
を測っている。8月31白朝に放水□から約200㍍の位置で採取した海水で1
㍑あたり10ベクトルを確認したが、ほかはすべて検出限界値(同約10ベクレル)
を下回った。また、環境省と福島県はそれぞれ原発の周辺で週1回ずつ、
海水を測定。水産庁は放水□の南北数
キロのヒラメなど14検体を調べた。
いずれも同約10ベクレルを確認したが、ほかはすべて検出限界値(同約10ベク
レル)を下回った。また、環境省と福島県はそれぞれ原発の周辺で週1回ず
つ海水を測定。水産省は放水口の南北数キロのヒラメなど14検体を調べた。
いずれも同約10ベクレルの検出限界値を下回ったという。 東電が運営するサ
イト「包括的海域モニタリング閲覧システム」(https://www.monitororbs.jp
から、各機関が処理水放出開始後に実施した迅速測定の結果にアクセスで
きる。

なぜ海洋選択 環境影響「監視が容易」
処理水放出の理由は 1千基を超えるタンクを減らすため。8月24日時点で
容量の98%の約134万5千ブの水を保管する。東電は、タンクを空にして撤
去し、跡地を溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の保管場所などに使うと説
明。放出方法を検討した政府の専門家会議では、①海洋放出、②水蒸気放
出、③地層注入、④水素放出、⑤地下埋設の5つが議論された。2020年の
報告で、前例のある水蒸気放出海洋放出の2案に絞った上で、海洋放出
の方が環境影響を監視しやすいとした。政府が海洋放出を決めたのは、そ
の翌年だった。

海洋放出国内外の原発で
原発などを運転するとトリチウムが発生する。水の一部として存在するた
め、除去が難しい。海洋放出は、国内外の原発や原子力関連施設で主流の
方法だ。日本では、原子力規制委員会が認可する各原発の運転ルールで年
間の上限値を定め、国の放出基準に沿って放出している。電力各社による
と、再稼働した原発の昨年度のトリチウムの年間放出量原発などを運転す
るとトリチウムが発生する。水の一部として存在するため、除去が難しい。
海洋放出は、国内外の原発や原子力関連施設で主流の方法だ。 日本では、
原子力規制委員会が認可する各原発の運転ルールで 年間の上限値を定め、
国の放出基準に沿って放出している。   

電力各社によると、再稼働した原発の昨年度のトリチウムの年間放出量は、
関西電力美兆は、2.8兆ベクレル▽大飯24兆ベクレル▽高浜26兆ベクレル▽四国電力
伊方30兆ベクレル▽九州電力玄海19兆ベクレル
▽川内37兆ベクレル燃再処理工場で
は、試運転を度に1,300兆放出した。
経済産業省のまとめでは海外の主な施設の年間放出量は韓国の古里原発 49
兆ベクレル▽中国の陽江原発112兆ベクレル▽イギリスのセラフィールド再処理施
設186兆ベクレル▽カナダのダーリントン原発190兆ベクレル▽フランスの ラ・ア
ーグ再処理施設1京(1兆の1万倍)ベクレル。

孫島第一原発の事故前の放出上限値は年22兆ベクレルだった。処理水の放出計
画でも、その値を上限にした。今年度は5兆ベクレル放出する予定だという。
処理水放出に至った原因は、汚染水が今も増え続けているから。なぜ止め
られないのか。
福島第一原発1~3号機には燃料デブリが推計880トンある。燃料デブリを
冷やすために注入した水に、雨や地下水が混じることで汚染水が増え続け
ている。当初は増加を食い止め、必要なタンク容量も確保できる展望を描
いていた。政府と東電の13年の工程表では、建屋のすき間をふさいで地下
水の流入を止めるといった対策で増加量をゼロにする目標時期を「21年

月」とした。
16年には、建屋周辺の地下に水の壁を追って建屋への地下水の流入を阻む
として「凍土壁」の運用を始めた。建屋の止水完了までの予定だったが、
止水はできず、今も使い続けている。地下水のくみ上げや、地面をアスフ
アルトなどで覆って雨水の浸透を防ぐ対策も合わせて、増加量は15年度のI
490トンから、22年度は90トンに減少。28年度には50~70トンに 減らす計画
だが、その先は不透明だ。汚染水の増加が続くことで、処理水の放出に至
った。汚染水対策は廃炉作業における政府と東電の見通しの甘さが招いた
と言える。
※ 裏がとれていないので残件扱い。
PS. わたし(たち)を経験を寄せると、70~80年代取り組んだ淀川・瀬戸
内水系調査(故星野芳帝京大教授郎団長)などの環境保全運動の効率は百
%の効果があり、水質保全水質の規準を緩和するほどの反応が刻まれてい
ることに触れておきたい。             
                        関係者各位に感謝 

                             この項了                                        
 風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine

今夜の寸評:Yes, I Can Work it Out.

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映画音楽をロールピアノで

2023年09月01日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



核融合エネルギーも俺に任せろ ②
さぁ、ポジティブ・シンキングで新時代を開拓?ひらこう
核融合エネルギー解放に未来を託せるか

1.特開2008-64641 鋼又はフェライト鋼中の窒素同位体濃縮による放
 射
性核種の低減方法 独立行政法人 日本原子力研究開発
前回の続き ➲
【実施例】
(2)アウトボード側フェライト鋼中の炭素14濃度
  窒素15を95%濃縮したフェライト鋼を用いた場合の炭素14濃度およびそ
れぞれの核種の寄与度を図5(a)(b)に示す。窒素15濃縮後の窒素14濃度は5
%である。窒素15濃縮により第一壁における炭素14濃度は7.8 × 107から
3.2 × 107Bq/kgに減少した。窒素15濃縮により炭素14の生成量は41%に減
少した。この41%と窒素14の濃度である5%との差は窒素15に起因する炭素
14によるものである。図5(b)において、窒素15の寄与度は第一壁において
は支配的であるが、深くなるにつれて減少している。フェライト鋼中の窒
素15濃度(95%)は窒素14濃度(5%)よりもかなり大きいが、深い領域では窒
素15の寄与度は小さくなり、窒素14の寄与度を下回っている。未濃縮窒素
に対する窒素15濃縮窒素における、炭素14濃度の比を図6に示す。もっとも
大きかったのは第一壁表面で、その値は0.4であった。この比は深くなる
につれて減少し、深い領域では0.1以下になった。炭素14の生成量を減ら
すためには、深い領域での窒素15濃縮が、より有効であったのは注目に値
する。 これに関する議論を以下に示す。15 N(n,np)14Cおよび15N(n,d)14C
核反応にはそれぞれ11MeVおよび8.5MeVの閾値がある。 それにより8.5MeV
以上エネルギーを持つ中性子のみが窒素15から炭素14を生成することが可
能である。図7にアウトボード側のそれぞれの位置(第一壁、銅製の導体シ
ェルおよび固定ブランケットの外側表面)における中性子のエネルギースペ
クトルを示す。第一壁表面から離れるにつれて低エネルギー側と比較して、
高エネルギー中性子束が顕著に減少している。全中性子に対する8.5MeV以
上の中性子束の比を図6に示す。これらの結果から高エ ネルギー中性子の
減衰により、窒素15から生成される炭素14は、第一壁表面からの距離が大
きくなるにつれて減少することが分かった。

図6.天然存在比窒素に対する窒素15濃縮した場合の炭素14濃度の比、お
よび全中性子に対する8.5MeV以上の中性子束の比を示す図であり、炭素14の
生成量を減らすためには、深い領域における窒素15濃縮が、より有効であ
った。


図7.アウトボード側のそれぞれの位置(第一壁、銅製の導体シェルおよ
び固定ブランケットの外側表面)における中性子のエネルギースペクトル
を示す図であり、第一壁表面から離れるにつれて低エネルギー側と比較し
て、高エネルギー中性子束が顕著に減少している。

(3)低レベル放射性廃棄物に分類するための窒素15濃縮の効果
図8にアウトボード側フェライト鋼における炭素14濃度を示す。窒素15濃度
は天然存在比(0.37%)と95%濃縮である。実証炉における交換および固定ブ
ランケットの運転期間は、それぞれ2年(稼働率:80%)および30年(稼働率:5
0%)である。日本における低レベル放射性廃棄物分類のための炭素14濃度
の規制値は3.7 × 107 Bq/kgである。未濃縮窒素を用いた場合には、炭素1
4濃度はこの規制値を大きく超えているが、窒素15濃縮の場合には、第一
壁および固定ブランケット内表面における炭素14濃度は、それぞれ 3.2×
107および1.0 × 107Bq/kgであり、規制値を下回った。一方、上記(1)
で示したとおりインボード側においては、中性子束がアウトボード側より
小さい為に、炭素14濃度もアウトボード側より小さくなる。そのため炭素
14に関しては、窒素15濃縮によりインボートおよびアウトボードのすべて
のブランケットが低レベル放射性廃棄物に分類可能である。ブランケット
の交換頻度を考慮すると、交換および固定ブランケットに用いられるフェ
ライト鋼の全体積は1200 m以上になると見積もられる。図8に示すとおり
ブランケットの背後に設置された機器(ブランケット支持材など)の炭素1
4濃度はブランケットよりもかなり小さい。それゆえ炭素14濃度に関しては、
窒素15濃縮により実証炉に用いられるすべてのフェライト鋼 が低レベル放
射性廃棄物に分類することが可能である。実証炉と同様に商業炉などの将
来の核融合装置でも窒素15濃縮は炭素14の生成を抑え低レベル放射性廃棄
物に分類するための有効な手段である。


図8.アウトボード側フェライト鋼における炭素14濃度を示す図であり、
窒素15濃度は天然存在比(0.37%)と95%濃縮であり、日本における低レベル
放射性廃棄物分類のための炭素14濃度の規制値は3.7 ×107 Bq/kgである。
 
これに関する議論を以下に示す。 15N(n,np)14Cおよび15N(n,d)14C核反応
にはそれぞれ11MeVおよび8.5MeVの閾値がある。 それにより8.5MeV以上エ
ネルギーを持つ中性子のみが窒素15から炭素14を生成することが可能であ
る。図7にアウトボード側のそれぞれの位置(第一壁、銅製の導体シェルお
よび固定ブランケットの外側表面)における中性子のエネルギースペクト
ルを示す。第一壁表面から離れるにつれて低エネルギー側と比較して、高
エネルギー中性子束が顕著に減少している。全中性子に対する8.5MeV以上
の中性子束の比を図6に示す。これらの結果から高エネルギー中性子の減
衰により、窒素15から生成される炭素14は、第一壁表面からの距離が大き
くなるにつれて減少することが分かった。 

(3)低レベル放射性廃棄物に分類するための窒素15濃縮の効果
図8にアウトボード側フェライト鋼における炭素14濃度を示す。窒素15濃
度は天然存在比(0.37%)と95%濃縮である。実証炉における交換および固定
ブランケットの運転期間は、それぞれ2年(稼働率:80%)および30年(稼働率
:50%)である。日本における低レベル放射性廃棄物分類のための炭素14濃
度の規制値は3.7 × 107 Bq/kgである。未濃縮窒素を用いた場合には、炭
素14濃度はこの規制値を大きく超えているが、窒素15濃縮の場合には、第
一壁および固定ブランケット内表面における炭素14濃度は、それぞれ3.2
× 107および1.0 × 107 Bq/kgであり、規制値を下回った。一方、上記
(1)で示したとおりインボード側においては、中性子束がアウトボー
ド側より小さい為に、炭素14濃度もアウトボード側より小さくなる。その
ため炭素14に関しては、窒素15濃縮によりインボートおよびアウトボード
のすべてのブランケットが低レベル放射性廃棄物に分類可能である。ブラ
ンケットの交換頻度を考慮すると、交換および固定ブランケットに用いら
れるフェライト鋼の全体積は1200 m3以上になると見積もられる。図8に示
すとおりブランケットの背後に設置された機器(ブランケット支持材など)
の炭素14濃度はブランケットよりもかなり小さい。それゆえ炭素14濃度に
関しては、窒素15濃縮により実証炉に用いられるすべてのフェライト鋼
が低レベル放射性廃棄物に分類することが可能である。実証炉と同様に商
業炉などの将来の核融合装置でも窒素15濃縮は炭素14の生成を抑え低レベ
ル放射性廃棄物に分類するための有効な手段である。

[発明の効果] 
特に、核融合炉において、炭素14の生成量を減らし、浅地埋設可能なLLM
の割合を増やすためのフェライト鋼中の窒素15濃縮の効果を調べた。
(1) 炭素14濃度に関しては、200ppmの窒素添加したフェライト鋼にお
いて、窒素15を濃縮することにより、核融合炉に用いられるすべてのフェ
ライト鋼(第一壁やブランケットを含む)をLLMに分類することが可能であ
る。
(2) アウトボード側の第一壁におけるフェライト鋼中の炭素14濃度は、
窒素15濃縮により7.8 × 107から3.2 × 107 Bq/kgに減少した、この値は
日本のLLM分類のための炭素14濃度の上限値である3.7 × 107Bq/kgより
小さい。
(3) 固定ブランケットにおいては、窒素15濃縮した場合の炭素14濃度
の最大値は1.0× 107Bq/kgであり、日本のLLM分類のための炭素14濃度の
上限値である3.7 × 107 Bq/kgよりかなり小さい。また、15N(n,np)14Cお
よび15N(n,d)14C核反応の閾値のために窒素15濃縮の効果は交換ブランケ
ットより固定ブランケットのほうが大きかった。 
                                                      この項了
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2.特開2023-028231 核融合炉用ブランケット 京都フュージョニアリ
 ング株式会社
【概要】
核融合炉では、重水素と三重水素(トリチウム)を含む混合燃料を真空容
器内でプラズマ化して保持し、核融合反応で生じる14.1MeVの一次
中性子からエネルギーを取り出して発電を行う。トリチウムは自然界に存
在しないため、炉を継続的に運転するにはトリチウムの消費分を補いつつ、
増殖する必要がある。このため、核融合炉では、核融合反応により生成さ
れる中性子の捕獲によるトリチウム生成と、核融合反応により生じる熱の
回収とを行うために、真空容器の内面にブランケットが取り付けられる。

ブランケットの一例として、特別に成分調整された低放射化フェライト鋼
(例えば、F82H)で構成された箱形状の金属容器(筐体)に、リチウ
ムを含むトリチウム増殖材、ベリリウムを含む中性子増倍材の層を交互に
設けたものがある。筐体内部に冷却水が流通する流路が形成されて、発生
した熱が回収される。筐体には、冷却水を供給して、回収するための配管
、生成したトリチウムを回収するために搬送ガスを供給し、回収するため
の配管が取り付けられる(例えば特開2004-239807;核融合炉のブランケッ
トモジュール構造)。
しかしながら、発生した熱を回収するために冷却水を使用する場合、冷却
水が構造材の破損により高温部に吹き込んだ場合には、水素発生などのリ
スクが避けられない。特に、冷却水を循環させる配管や、精製したトリチ
ウムを回収するための配送ガスを供給・回収するための配管が複雑になる
と、プラント全体の安全上の懸念及び潜在的なリスクの一つになる。
そこで、本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、炉設計をシ
ンプル且つ軽量なものとすることによって、プラント全体の構造的な健全
性を維持しつつ、高いトリチウム増殖性能を実現する核融合炉用ブランケ
ットを提供することを目的とする。

【要約】
下図4のごとく、複数のブランケットモジュール4aのそれぞれは核融合
プラズマに臨ませて配置される第一壁41と、第一壁41の背後に配置さ
れSiC又はSiC複合材を含む構造材料により形成された内部が中空の
筐体40と、筐体40内部において核融合プラズマから離れる方向に複数
連設された内部槽421,422と、第一壁41側の構造材料と最前列に
位置する内部槽との間に形成された前面側流路45と、前面側流路45と
最前列に位置する内部槽421とを連通させる流入孔45aと、隣接され
た内部槽421,422同士を相互に連通させる連通孔43aと、筐体4
0の外部から前面側流路45に冷却材を供給する供給路46と、最後尾の
内部槽422から筐体40の外部に冷却材を排出する排出管47とを備え
ることで、炉設計をシンプル且つ軽量なものとすることによって、プラン
ト全体の構造的な健全性を維持しつつ、高いトリチウム増殖性能を実現す
る。

図4.実施形態に係るブランケットモジュールの内部構成を示す断面図

【符号の説明】 P…核融合プラズマ  Pc…コアプラズマ  Ps…ソ
ルプラズマ  1…核融合炉  3…真空容器  4…核融合炉用ブランケ
ット  4a…ブランケットモジュール  6…ダイバータ  40…筐体
40a~d…構造材  41…第一壁  42…内部槽  42a~d…構
造材  43…隔壁  43a…連通孔  44…供給管  45…前面側流
路  45a…流入孔  46…供給路  47…排出管  51…トロイダ
ルコイル  52…ポロイダルコイル  53…センターソレノイドコイル 
201…熱交換機  202…VST装置 203…電磁ポンプ  421,
422…内部槽

[発明を実施するための形態】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る核融合路用ブランケットの実施
形態を詳細に説明する。図1に本実施形態に係る核融合炉の構成を示す。
なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するため
の装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品
の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発
明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えことがで
きる。

(核融合炉の構成)
 下図1に示す核融合炉1では、重水素とトリチウムを含む混合燃料を真
空容器3の内部でプラズマ化する。発生した高温のプラズマは、各超伝導
コイル51~53などによる磁界によって真空容器3の内部に保持される。
そして、プラズマ内部では、重水素とトリチウムの核融合反応が発生する。
なお、ダイバータ6は、核融合反応により生じたヘリウムと燃料粒子の排
気を行うとともに、ダイバータ6に流れてきた熱エネルギーの排出を行う。
詳述すると、核融合炉1は、いわゆるトカマク型の核融合炉であり、ドー
ナツ状で、垂直な断面の形状がほぼD字形の形状の真空容器3が設けられ
ている。真空容器3の外側には、超伝導コイルが設けられており超伝導コ
イルは低温状態に維持される。この超伝導コイルとしては、真空容器3の
外側の空間に、トロイダルコイル51、ポロイダルコイル52及びセンタ
ーソレノイドコイル53が設けられている。

センターソレノイドコイル53は、真空容器3のドーナツの中心の空間に
設けられている。トロイダルコイル51は、真空容器3の大径に沿って互
いに間隔をあけて複数が配置されている。これら複数のトロイダルコイル
51のそれぞれは、真空容器3のドーナツ状の筒部分を囲むように配され
ている。それぞれのトロイダルコイル51においては、真空容器3の大径
沿って互いに同一方向の電流が流れるように構成されている。また、ポロ
イダルコイル52は、真空容器3の大径に沿って形成された環状をなし、
すなわちドーナツ状の大径と同心に、複数本が垂直方向に互いに間隔をあ
けて配されている。

そして、トロイダルコイル51によって形成されるトロイダル磁場は、設
置されている複数のトロイダルコイル51によって形成される磁場の合成
磁場である。トロイダル磁場は、真空容器3内で真空容器3の大径に沿っ
て形成される。このトロイダル磁場の方向を、以下、トロイダル方向と呼
び、磁場の外側の領域についても使用することとする。また、ポロイダル
コイル52によって形成されるポロイダル磁場は、プラズマ内に誘導され
るプラズマ電流によって形成される磁場の合成磁場である。このポロイダ
ル磁場は、真空容器3内で真空容器3のドーナツ状の筒部分の垂直断面内に
沿って形成される。 
これらの磁場を合成して形成される全体合成磁場は、トロイダル磁場、及
びポロイダル磁場の全体合成磁場である。この全体合成磁場は、ドーナツ
状の表面に沿って形成されプラズマの中心軸に向かうような捻れた磁場と
なる。
核融合炉1では、重水素とトリチウムを含む混合燃料を真空容器3の内部
でプラズマ化し、発生した高温の核融合プラズマP(図2に示すコアプラ
ズマPc及びソルプラズマPs)は、トロイダルコイル51及びポロイダ
ルコイル52などによる全体合成磁場によって、真空容器3の内部に保持
される。この核融合プラズマの内部では、重水素とトリチウムの核融合反応
が発生し、ヘリウムと中性子が生成される。 ポロイダルコイル52の鉛直
方向の下方には、ダイバータコイルが設けられており、ダイバータコイル
による磁場とポロイダル磁場が重なった結果、ポロイダル磁場がゼロとな
るヌル点及びヌル点を含む磁力面であるプラズマ境界が生成される。プラ
ズマ境界の外側では、磁力線が内部にとどまることはなく、このため、プ
ラズマ境界の外側の領域に存在するプラズマ粒子は、プラズマ境界に沿っ
て流出する。この粒子及び熱的エネルギーを真空容器3の内部で捕獲する
ために、ダイバータ6が設けられている。このダイバータ6は、核融合反
応により生じたヘリウム等の排気を行うとともに、ダイバータ6に流れて
きた熱エネルギーの排出・回収を行う。
なお、真空容器3の内側には、ダイバータ6の他に、核融合プラズマにエ
ネルギーを付与するための電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH:Electron 
CyclotronHeating
)装置や、プラズマ中に高エネルギー粒子を注入する中性
粒子ビーム入射加熱(NBI:NeutralBeamInjectionheating)装置などの一部も、
設けられている。 


図1.実施形態に係るトカマク型の核融合炉の構成を一部切り欠いて示す。
  斜視図

図2.実施形態において真空容器の内面に核融合炉用ブランケットが配置
された状態を模式的に示す説明図

図3.実施形態に係るブランケットモジュールの外部構成を示す斜視図

(核融合炉の動作)
以上説明した構成の核融合炉の動作は、以下の通りである。 先ず、重水
素とトリチウムを含む混合燃料を真空容器3の内部でプラズマ化する。発
生した高温のプラズマは、各超伝導コイル51~53などのコイルの磁界
によって真空容器3の内部に保持される。そして、プラズマ内部では、重
水素とトリチウムの核融合反応が発生し、ヘリウムと中性子が生成される。
粒子及び熱的エネルギーの一部は、ダイバータ6によって真空容器3の内
部で捕獲され、ダイバータ6により核融合反応により生じたヘリウム等の
排気が行われるとともにダイバータ6に流れてきた熱エネルギーが排出・
回収される。 【0030】 一方、核融合炉用ブランケット4では、各ブ
ランケットモジュール4aにおいて、電磁ポンプ203により供給管44
を通じて筐体40内部へ冷却材(液体リチウム鉛)が供給され、供給され
た冷却材によって筐体40内において発生した熱及びトリチウムが回収さ
れ、排出管47を通じて真空容器3の外部へ排出される。この各ブランケ
ットモジュール4aから排出された冷却材を介して熱交換機201及びV
ST装置202により熱及びトリチウムが回収される。そして電磁ポンプ
203により冷却材は再びブランケットモジュール4aに供給される。詳
述すると、電磁ポンプ203により供給管44を通じて筐体40内部へ冷
却材(液体リチウム鉛)が供給され、筐体40内に供給された冷却材は、
内部槽42の周囲に形成された供給路46を通じて、第一壁41側の構造
材料40aと最前列に位置する内部槽421との間に形成された前面側流
路45へと流入され、次いで前面側流路45から、内部槽421の構造材
42aに穿設された流入孔を通じて、内部槽421内へ供給される。また、
内部槽42内において冷却材は、隔壁43に多数穿設された連通孔43a
を通じて、プラズマ側の内部槽421から後方の内部槽422へと流通す
る。このように、冷却材は、供給管44から供給路46、前面側流路45
を経て、内部槽421,422を通過する間に、筐体40内において発生
した熱及びトリチウムを捕捉する。 この間、冷却材は、液体リチウム鉛で
あり、増殖材の機能を有することから、核融合反応により生じた一次中性
子の照射を受けて、リチウム鉛に含まれる質量数6のリチウムの核反応を
発生させてトリチウムが生成されるとともに、同時に、冷却材に含まれる
リチウム鉛と一次中性子との核反応が発生して二次中性子が生成される。

この二次中性子も核融合炉用ブランケット4内の冷却材と核反応してトリ
チウム生成に寄与する。その後、冷却材は、熱及びトリチウムを捕捉した
状態で、最後尾の内部槽422から排出管47を通じて、筐体40の外部
に排出され、これら各ブランケットモジュール4aから排出された冷却材
を介して熱交換機201及びVST装置202により熱及びトリチウムが
回収される。 (作用・効果) 以上説明した本実施形態に係る核融合炉用
ブランケット4によれば、先進的な炭化ケイ素複合材料(SiCf/SiC)及び
自己冷却リチウム鉛増殖材を用いた高温運転可能なブランケット設計が可
能となる。具体的に核融合炉用ブランケット4は、第一壁41にタングス
テン薄膜、ブランケットモジュール4aの構造材として炭化ケイ素複合材
料(SiCf/SiC)を採用し、液体リチウム鉛は増殖材と冷却材を兼ねること
から、核融合により発生した熱の取り出し、トリチウムの生産及び放射線
の遮蔽の役割を果たすこととなる。また、リチウム鉛は非圧縮性流体であ
り、空気や水との化学反応性が低いため、漏洩等の想定しうる事故シナリ
オにおいても安全である。さらにはリチウム鉛を循環させて冷却するため、
加圧水やヘリウムガスといった冷却材をブランケット内部に入れる必要が
なく、シンプルなブランケット構造が可能となる。

また、本実施形態では、筐体42内部に内部42槽を複数連設する構造と
するとともに、筐体40、内部槽42,各流路をSiC又はSiC複合材
を含む構造材料により形成するたため、内部槽42のサイズや配置を最適
化することができ、核発熱分布に応じた冷却材の流路を制御することがで
き、熱の回収率及びトリチウムの増殖性能を適正に向上させることができ
る。また、本実施形態のブランケット6では、供給管44から排出管47
に至る各流路が水平方向に配置されており、小さいポンプ動力で冷却材を
流動させることができる。 また、筐体40の各構造材や配管に密度3.21
g/cm3のSiCf/SiC構造材を使用していることから軽量性に優れ、鉄鋼材(
約8 g/cm3)に比べて遥かに軽いうえ、鉄鋼材料の構造材と比較して水素
同位体の透過が極めて少ない。SiCf/SiCを構造材とするブランケットでは
トリチウム透過による燃料損失や放射性物質の漏洩による問題がほとんど
生じない。
さらに、SiCf/SiCは、高温・中性子照射下においても、熱化学的安定性と
損傷回復性に優れており、従来材料よりも交換の頻度を下げることができ、
メンテナンスコストも低減できる。また、SiCf/SiCは、他の鉄鋼材料と比
較して中性子の反射・吸収が非常に少ないことから、高いトリチウム増殖
比を達成できる。 また、本実施形態に係るブランケットモ
ジュールでは、その構造材は全て中性子照射によって放射性同位体を生成
し、放射性廃棄物として処理される。SiCf/SiCの放射化レベルは、低放射
化フェライト鋼などの他の構造材と比較しても著しく低く、SiCf/SiCは1
日に3桁以上放射能を低減するするため、放射性廃棄物量を大幅に低減す
ることが可能となる。さらには、鉄鋼材料にリチウム鉛を流動させる場合、
ブランケット中で液体リチウム鉛の流れに対して強いブレーキが働く現象
などのMHD圧力損失が問題となるが、SiCf/SiCでは原理的にMHD圧力損失が
生じない。また、シリコンとカーボンは自然界に豊富に存在するため、Si
Cf/SiC材料は環境負荷が小さく、安定して調達できる。
また、本実施形態の第一壁41は、タングステン薄膜が塗布されているた
め、高熱負荷耐性を有し、中性粒子のスパッタリングの発生を低減するこ
とができる。また、タングステンとSiCf/SiCは熱膨張率の差が小さく、第
一壁41と筐体40との接合性も確保することができる。 
また、本実施形態に係るブランケットモジュールでは、冷却材として液体
リチウム鉛を用いるとともに構造材として炭化ケイ素複合材料(SiCf/SiC:
SiC又はSiC複合材)を採用しており、これらは高温で優れた共存性
を示すことから、安定性が隠されている。すなわち、SiCf/SiCは、1000℃
を超える温度においても安定しており、他の冷却材と比較して遥かに高い
温度で循環させることができ、鋼構造材にとって重大な課題である化学的
な腐食を引き起こさず、また高温で利用可能であるため、高効率ブレイト
ンサイクルを用いると、55%を超える発電効率が達成される。
なお、冷却材に加圧水を用いる場合、熱効率は33%程度である。また、
加圧冷却水を使用する場合、加圧冷却水が構造材の破損により高温部に吹
き込んだ場合に冷却水損失事故時の水素発生など、事故のリスクが避けら
れない。これに対して、本実施形態に係るブランケットモジュールでは、
自己冷却で冷却水を使用しないため、この冷却水損失事故が原理的に生じ
ない。なお、冷却材に水やヘリウムを利用するシステムの場合、トリチウ
ム汚染を伴う一次冷却材の想定される漏洩の軽減は重要であり、起こりう
る環境汚染の脅威に備えて、ヘリウム又は水が体積膨張した場合のサプレ
ッションプールの準備が必要である。さらに、本実施形態に係るブランケ
ットモジュールでは、細かい配管を使わないためシンプルな構造とするこ
とができることから、複雑な炉設計によるプラント全体の安全上の懸念及
び潜在的なリスクを低減することができるとともに、プラント全体の構造
的な健全性を維持しつつ、高いトリチウム増殖性能を実現できる。さらに、
本発明において冷却材としてベリリウムを配合する場合には、ベリリウム
増倍反応(Be + n →2He +2n)を誘発する高速中性子束の高い位置に必要
量のベリリウムを配置できるため、トリチウム増殖比が調整できる。特に、
本発明では、自然比のリチウム鉛やベリリウムを配合することにより、非
常にコストが高い高濃縮リチウム鉛(6Li 濃縮度:90%程度)を不要とす
るか、或いは使用量を低減することができ、コストの低減が可能となる。 
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、
例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していな
い。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可
能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更
を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に
含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に
含まれる。 
                                                      この項了

風蕭々と碧いの時

 









John Lennon Imagine






家仕舞作業の一環の作業時、偶然に、「映画音楽名曲全集」(洋楽)1997
年版 山野楽器(325曲)と「ハンド・ロール・ピアノ」(新品)を発見。
そういえば、作詞作曲をすることが若い頃の夢だったんだったことを思い
つき。「J-POP のルーッ考察」も本日で終了したこともあり、ブログで回
想録をつづりながら(2年はかかる)、ピアノ演奏をしながら、折々に創
作活動をきすることにした。どうなることやら、「核融合発電エネルーギ
ーの考察でも大変なのに」とおもいつつ、その実行を決める。

今夜の寸評:Yes, I Can Work it Out.

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新時代を突き抜ける

2023年08月30日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。


Image:CNET

核融合エネルギーも俺に任せろ ①
さぁ、ポジティブ・シンキングで新時代を開拓?ひらこう
核融合エネルギー解放に未来を託せるか?
2022年12月、太陽がエネルギーを生み出す“核融合反応”を人工的に作り
出す核融合発電、アメリカの研究所が、投入エネルギーを上回るエネルギ
ーを取り出すことに初めて成功(これは、1989年の常温核融合騒動ではな
い)。2006年には世界各国によるITER協定が署名されました。一昨年
からはフランス南部で核融合炉の組み立ても始まっており、コロナ禍で作
業に遅れも出たが現在は順調に進み、2035年に核融合の運転開始予定。な
ぜ、核融合が注目されている?のかは以下のとおり。



ERESTAGE LAB 2023.8.9 via  YouTube

核融合エネルギ-は、水素やヘリウムのように軽い小さな原子核を持った
原子やその同位体の、原子核同士の融合によって取り出されるエネルギー。
その反応を核融合反応と呼び、本来、原子核の安定度は鉄を中心に、軽い
小さな原子核は融合する事でより重く大きく、反対に重く大きい原子核は
分裂する事で軽く小さくなったほうが自身の持つエネルギーが少なくて済
むので安定となる。原子力発電の核分裂反応は、ウランのように特に重い
元素を利用している。核融合反応では反対に小さく軽い原子核を持つ水素
やヘリウム、そしてその同位体である重水素や三重水素、ヘリウム3を利用
する。しかしヘリウム3は地球上にほとんど存在しない極めて入手が難
しい。
さて、核融合エネルギーの使い方は、核分裂エネルギーと同様に平和利用
と軍事利用に分けることができる。 



図.セントラル ソレノイドは、ITER の中心にある 5 階建て、1,000トン
 の磁石。 これは32マイルの超電導ケーブルで構成され、ITERのプラズマ
 内に1,500万アンペア(住宅内の電流の数百万倍)の電流を流す。

【平和利用】
将来実現の期待される未来技術として、核融合反応に基づく熱エネルギー
によって発電を行なう核融合炉がある。核融合炉は「地上の太陽」とも呼
ばれ、きわめて希薄なエネルギー密度の太陽に比べて核融合炉のエネルギ
ー密度は桁違いに高い。実現は上手くいっても数十年先と言われてきたが、
近年では、米国・英国を中心に核融合スタートアップが総額数千億円の投
資を受けて実用化をめざしており、2022年12月には、米国ローレンス・リ
バモア国立研究所で、発生したエネルギーが投入量を上回る「純増」を初
めて達成するなど、技術的にも画期的な進歩が続いている。また: 将来実
現の期待される未来技術として、核融合反応に基づく熱エネルギーによっ
て発電を行なう核融合炉がある。2022年12月には、米国ローレンス・リバ
モア国立研究所で、発生したエネルギーが投入量を上回る「純増」を初め
て達成するなど、技術的にも画期的な進歩が続いているなお、2023年7月30
日に再成功している。



出所:建設進むITER~核融合計画・最新状況 NHK解説委員室
2022.09.07

【軍事利用】
水素爆弾(水爆)という核爆弾・大量破壊兵器で使われている。実験を除
けば、まだ本来の用途である大量破壊には使用されていない。水爆の起爆
に核分裂反応である原子爆弾が使われているが、核融合炉で使用するヘリ
ウム3も原子炉内でリチウム6に中性子を当てて三重水素を作り、これが
ータ崩壊してヘリウム3を得る方法
が考えられている。

 量子核物理学

実は既に短時間・小規模な核融合反応自体は実現していて、ITERはこ
れをより大型化・効率化した「実験炉」と呼ばれるもので、縦横高さが30
メートルもある巨大な装置だが、「効率よく安定して核融合反応を起こす」
技術の蓄積が目的で、発電などはまだ行なわず、これがうまくいったら今
世紀中頃に発電も行う「原型炉」のを建設した上で各国が商業的前段階に
突入する。
大きな理由として、現在の原子力と共通するが二酸化炭素を出さず大量の
エネルギーを生み出せるので温暖化対策になる点。ただし、いま急がれて
いる温暖化対策は「2050年にC二酸化炭素排出を実質ゼロ」という時間軸
に、そこには間に合わず(わたしは112歳ですが)、あくまでその先の将来
的な脱炭素社会を支えるエネルギーと期待されている(2047年には平均気
温2℃上昇到達の予想されている)。さらに、核融合では現在の原発と違
い高レベル放射性廃棄物が出ない、それらの最終処分場をどこに建設でき
るか悩む必要がない、という長所もある。原発ではウランが核分裂して高
レベルの放射性物質ができるのに対し、核融合ではヘリウム(放射能レベ
ルが比較的低い廃棄物は出る)。もうひとつは、燃料が豊富で国際情勢の
影響も受けにくいことがある。ITERの燃料になるのは水素の一種であ
る放射性同位体のトリチウムなどで、これらは海水からほぼ無尽蔵に作り
出せる


核融合が実際に世の中に普及するための課題
核融合を起こすこと自体は既に可能ではあっても、実用化するにはより効
率よく安定的に核融合を続ける技術の確立が必要。日本は技術面でもIT
ER計画に大きく貢献している。それが、核融合を起こすための強力な磁
場、磁石の力で水素を封じ込めるための「超強力な磁石」など多くの重要
部品供給に日本の製造力が貢献する。ITERの技術者など職員数では日
本人は3%。これは欧米のみならず韓国より少ない。核融合の実現は、先
日亡くなったゴルバチョフ氏ら米ソ首脳が冷戦の終わりに合意して始まっ
た「国際協調」と「原子力の平和利用」の事業(プーチン・ロシアの反動
抑止)である。



2023.5.15

スプーン1杯の水素で原油8トン分エネルギーが生まれる
核融合技術で新エネルギー開発に取り組む、京都大学発スタートアップ
の京都フュージョニアリング ➲環境ビジネス 2023年 夏季号

究極のエネルギー源とも呼ばれ、今後数百万年にわたり人類にエネルギー
を供給することが期待される核融合(フュージョン)エネルギー。京都大学
の有する最先端の技術力を生かし核融合エネルギーの実現を加速する、同
社の挑戦とは。 安全性が高くクリーンなエネルギー。脱炭素実現へ向け、
安全かつクリーンで供給量を十分満たす新しいエネルギーが求められる中
究極のエネルギーソリューションとして期待される核融合エネルギー。
世界のエネルギー問題と環境問題を 根本的に解決する力を持つ核融合エ
ネルギーが“究極のエネルギ ー源”と呼ばれる所以。

世界各国の研究機関は、次世代クリーンエネルギー〈核融合〉の実現へ向
け長年にわたる技術開発を続けている。ただ、科学的根拠に基づいた着実
なステップアップを求められる公的機関では、素晴らしい技術があっても
あまりにチヤレンジングなことはできない。脱炭素が待ったなしの状況と
なった今、これまでに積み上げられた技術や知見をベースに“新しい核融
合炉" の建設を目指す民間企業が世界中で登場している。米国では近年の
飛躍的な技術進歩で実現の可能性が増したことから  2021年に民間投資が
公的投資を大幅に上回った。リスクを取ってイノベーティブな技術を加速
的に実現していくのがスタートアップの使命と、 京都フュージョニアリン
グの中原大輔氏。核融合プラントエンジニアリングの専門家集団 2019年
10月に設立した京都フユージョニアリングは、 プラントエンジニアリング
会社として、核融合発電プラントに必要となるコンポーネントや技術を開
発する。  

核融合ではまずプラズマを作る必要がある。核融合反応を起こすために投
入したエネルギーと核融合反応で発生したエネルギー比率を示すQ値をい
かに高くするか。多くの核融合スタートアップがこのプラズマコアの分野
にチャレンジする中、同社では京都大学の有する炉工学の知見と技術力を
活かし、プラズマ周辺にフォーカスする。米国、欧州、日本。現在さまざ
まなスタートアップがプラズマコアにチャレンジしている
が、これだけで
は、手頃な値段で民間が実際に使えるようなエネルギーにはならない。プ
ラズマ周辺を我々が実現することで、一緒になって商用核融合を実現して
いく。日本には数十年の核融合炉開発の歴史があり、その技術を活用し、
核融合エネルギーを人類が利用できるエネルギーに転換していくとのこと。
核融合エネルギーの実用化には、ま だ見ぬ核融合プラント機器の開発がそ
のカギを握る。燃料資源に縛られない無尽蔵の発電、二酸化炭素を排出し
な い水素・液体燃料の産出、大気中から の二酸炭素回収・固定。京都フ
ュージョニアリングでは国内パートナー企業 と共同し、最高品質の核融合
プラント機器を開発、世界中の顧客に提供する。

最も高い水準の要求を満たす各種炉心 要素技術の研究開発を行う同社は、
プラズマ加熱装置、熱取り出しブランケット、高性能熱交換器水素同位体
廃棄循環装置をはじめ、一連の特殊プラント機器群において世界有数の技
術力を有す。

核融合プラントエンジニアリングの専門家集団として、世界の核融合プラ
ント開発に対し、プラントその ものの設計とシステムデザイン、さらに
は機器コンポーネントの設計・構築 に取り組んでいます」  2021年11月
には、英国の公的研究機験施設に提供。 世界をリードできるポテンシャ
ル。同社では2022年8月、世界で初めて核融合発電システムによる発電を
試験するプラント『UNITY』の基本設計を完了。2024年末の発電試験
開始に向けた建設プロジェクトに着手。同プラントにおいて、同社の核融
合プラント機器、プラントエンジニアリング技術を統合的に実証すること
で、核融合の商用化に向けた未踏 の炉工学製品群を開発していく。  
世界が脱炭素へ向け突き進む中、化石燃料や原子力に依存する時代はいず
れ終焉を迎える。それらが使えなくなった世界において、今と同じ豊かな
生活を何で実現するのかの解を人類はまだ持っていない。大陽光も風力も
変動が大きいので、核融合だけが、ある意味、唯一の解になるのではない
かと考える。核融合発電について、米国のスター トアップ等は2030年代前
半の実現を目 指している。また、英国の公的機関は 2040年をターゲット
にしたプログラムを進めている。米国では近年、核融合の 実現ぱ「聖杯
を手にするようなもの」とも言われている。
「核融合における日本の技術は素晴らしく、現状はトップレベルかと思う。
事実、世界協力で建設が進むITER計 画の主要な機器は日本から幅広く
納入されていまる。日本が核融合をどう実現していくかには世界が注目し
ており、界をリードできるポテンシャルを持っていると自負する。



【最新特許議技術事例】
1.特開2008-64641 鋼又はフェライト鋼中の窒素同位体濃縮による放射
 性
核種の低減方法 独立行政法人 日本原子力研究開発機構
【要約】
鋼またはフェライト鋼中の窒素14の濃度を減らして、窒素15を95%
濃縮とし、運転期間を30年、稼働率を50%とした場合の、生成放射性
核種である炭素14の濃度を評価すると、炭素14の浅地埋設基準値であ
る7x107Bq/kg以下とすることができた。核融合炉の炉構成材であ
る鋼またはフェライト鋼において、放射線照射によって生ずる炭素14の
生成量を減らし、使用済みの炉構成材を浅地埋設可能な低レベル放射性廃
棄物(LLM,Low Level material)に分類される材料を得る。

図8.アウトボード側フェライト鋼における炭素14濃度を示す図であり、
 窒素15濃度は天然存在比(0.37%)と95%濃縮であり、日本における低レベ
 ル放射性廃棄物分類のための炭素14濃度の規制値は3.7 ×107 Bq/kgで
 ある。
【概要】
本発明は、鋼又はフェライト鋼中の窒素同位体濃縮による放射性核種の低
減方法に関するものであり、特に、核融合炉で使用される炉構成材の低放
射化フェライト鋼中の放射性核種である炭素14の生成量を減らすために、
フェライト鋼中の窒素同位体である窒素15を濃縮することにより、浅地
埋設可能な低レベル放射性廃棄物(LLM, low level material)にすることから
なる、放射性廃棄物中の放射性核種を低減する方法に関するものである。
また、フェライト鋼以外の一般鋼においても中性子照射に曝される箇所で
使用された結果、その鋼中に放射性核種の炭素14が生成される場合でも、
その使用済み鋼を浅地埋設可能な低レベル放射性廃棄物として廃棄できる
ようにするものである
【背景技術】
日本では放射性廃棄物は原子力安全委員会が定めた上限値を一つでも上回
る核種が含まれていると、浅地埋設可能な低レベル放射性廃棄物(LLM, low
level material
)には分類されない。これらの上限値を一つでも上回る核種が
含まれているものは、中レベル放射性廃棄物(MLM, medium level material)
に分類され浅地埋設することが出来ない。炭素14は半減期が5730年であり、
LLMに分類する上で重要な核種である。日本における炭素14の濃度がLLM
分類のための上限値は3.7 × 107 Bq/kgである[非特許文献1]。
日本原子力機構では、核融合炉の研究を行っており[非特許文献2-5]、低放
射化フェライト鋼は核融合炉(実証炉やそれ以降の商業炉など)において、
その高温条件下での耐放射線特性などから、構造材の有力な材料である。
強度や信頼性の為には、(7-9)%Cr-2%W-Feなどのフェライト鋼中の窒素濃
度はある程度以上必要である。炭素14の生成を抑制するために、原子力機
構で開発を進めてきたフェライト鋼(F82H)の初期の窒素濃度は20ppmである
が、機械的強度をより高めるために窒素濃度を増やすことが検討されてい
る。
【非特許文献1】Y. Seki, T. Tabara, I. Aoki, S. Ueda, S. Nishio, R. Kurihara,
Composition adjustment of low activation materials
for shallow land burial, Fusion
Eng. Des., 48 (2000) 435-441.

【非特許文献2】K. Tobita, S. Nishio, M. Enoeda, M. Sato, T. Isono, S. Sakurai
et al., Design Study of Fusion DEMO Plant at JAERI, Fusion Eng. Des., 81 (2006)
1151-1158. 【非特許文献3】T. Hayashi, K. Tobita, S. Nishio, K. Ikeda Y. Nakamori,
S. Orimo, Neutronics assessment of advanced shield materials using metal hydride-
and borohydride for fusion reactors, Fusion Eng. Des., 81 (2006) 1285-1290.
【非特許文献4】K. Tobita, S. Nishio, S. Konishi, S. Jatsukawa, Waste management
for JAERI fusion reactors, J. Nucl. Mater. 329-333 (2004) 1610-1614.

【非特許文献5】T. Hayashi, K.Tobita, S. Nishio, S. Sato, T. Nishitani, M. Yama-
uchi, Possibility of tritium self-sufficiency in low aspect ratio tokamak reactor wit-
h the outboard blanket only, to be published in Fusion Eng. Des..

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
核融合炉では、鋼又はフェライト鋼中の窒素14の天然存在比が99.63%であ
るので、14N(n,p)14C核反応により窒素14から炭素14が生成される。それゆ
え窒素14濃度を減らし、窒素15を濃縮することは、炭素14の抑制に効果的
である。本発明では、核融合炉において、炭素14の生成量を減らし、浅地
埋設可能な低レベル放射性廃棄物の割合を増やすために、フェライト鋼中
の窒素同位体窒素15の濃縮の効果を調べることに基づいて発明された。
【課題を解決するための手段】 
本発明は、鋼又はフェライト鋼中の窒素同位体濃縮による放射性核種の低
減方法に関するものである。 特に、フェライト鋼を使用する核融合炉にお
いて、炉構成材中の炭素14の生成量を減らし、浅地埋設可能な低レベル放
射性廃棄物(LLM, low level material)の割合を増やすための低放射化フェラ
イト鋼(RAFS, Reduced-activation ferritic steel)中の窒素同位体濃縮の効果を
調べた。炭素14は放射性廃棄物を低レベル放射性廃棄物(LLM)に分類す
る上で重要な核種である。強度や信頼性の為にフェライト鋼製造時に窒素
を添加する必要があり、本発明においてはフェライト鋼中の窒素濃度は200
ppm
とした。一方、核融合炉材では窒素14の天然存在比が99.63%であるの
で、14N(n,p)14C核反応により炭素14が生成され、フェライト鋼中の炭素14
の濃度が浅地埋設上限値(3.7 × 107 Bq/kg)を超えてしまう。
核融合炉構成材における窒素15濃縮は、炭素14の抑制に効果的である。窒
素15濃縮により、核融合炉の第一壁および固定ブランケットの内面の炭素
14濃度は、それぞれ3.2 × 107および1.0 × 107 Bq/kgになり、浅地埋設
上限値を下回った。この結果から炭素14濃度に関しては、窒素15濃縮
により炉構成材中の窒素濃度を200ppmにしても核融合炉で使用したすべて
のフェライト鋼は浅地埋設可能である。

【発明を実施するための最良の実施形態】 
窒素15に富んだ鋼又はフェライト鋼を得る手法は次のようである。鋼又
は  フェライト鋼中の窒素15濃縮は圧力スイング吸着法を使用して行われ
ている。即ち、気体を吸着により分離する際、平衡関係から、圧力が高け
れば吸着量が多く、圧力が低くなると脱着が多くなる。この原理を利用し
て、様々な成分の混合ガスから目的とする製品ガスを、吸着剤との吸着力
の差および圧力変動を利用して分離精製する技術である。この技術の鋼又
はフェライト鋼中の窒素15濃縮への適用としては、窒素15のアンモニア分
子(NH3)と同じ大きさの孔を持つ吸着剤(ゼオライト)を用い、ガス
の圧力を変化させて窒素15アンモニア分子を選択的に濃縮回収し、この
濃縮された窒素15を用いて鋼又はフェライト鋼を製造することにより、
窒素15に富んだ鋼又はフェライト鋼とする。
【実施例】 
図1にトカマク型核融合炉の断面図および計算モデルの概略を示す。アウ
トボード側には交換ブランケットおよび固定ブランケットを設置し、イン
ボード側には設置場所の制限から交換ブランケットのみとした。平均の中
性子壁負荷は3.6 MW/m2とした。フェライト鋼の組成を表1に示す。窒素濃
度は200ppmとし、窒素15濃度を天然存在比の0.37%から95%に濃縮し、炭素1
4生成濃度への影響を調べた。 
【表1】

図1に示されるように、核融合炉では、プラズマが、インボード側(図中
の半径=0~4mで示される領域)の第一壁とアウトボード側(図中の半
径=8~13mで示される領域)の第一壁との間に発生し、そのプラズマ
から発生する中性子がインボード側とアウトボード側に設けられた第一壁、
ブランケット及び遮蔽等に入射される。その結果、この入射中性子により、
第一壁、ブランケット及び遮蔽等を構成するフェライト鋼中の炭素又は窒
素同位体から炭素14が生成される。計算モデルでは、インボード側の第
一壁表面又はアウトボード側の第一壁表面を基点とし、入射中性子による
フェライト鋼中の炭素又は窒素同位体の炭素14への生成状態を図2等に
おいて示している。

図1.トカマク型核融合炉の断面および計算モデルの概略を示す図

(1)インボードおよびアウトボードの中性子束の比較
図2に核融合炉で発生したプラズマからの中性子束の計算結果を示す、
(a)は核融合炉のインボード側に関するものであり、(b)はアウトボード
側に関するものである。インボード側の中性子束はアウトボード側より低
い。それゆえ炭素14濃度に関する議論はアウ トボード側の機器を主な対象
とする。

図2.核融合炉の中性子束の計算結果を示す図であり、(a)はインボード側、
  (b)はアウトボード側である。

(2)アウトボード側フェライト鋼中の炭素14濃度
炭素14が生成される核反応を図3に示す。炭素14は炭素12,炭素13,窒素14
および窒素15から生成される。

図3.炭素14が生成される核反応図
炭素14は炭素12,炭素13,窒素14および窒素15から生成される。

図4. 図4(a)にフェライト鋼中の炭素14の濃度を示す。横軸はアウトボ
 ード側第一壁表面からの距離である。窒素15の濃度は天然存在比(0.37%
 )である。運転期間は2年運転でその間の稼働率は80%とした。第一壁に
 おける炭素14濃度は7.8 × 107Bq/kgである。図4(b)は炭素14の生成に
 対する、窒素14、窒素15および炭素13の寄与度を示す。ほとんどすべ
 ての炭素14は窒素14を起源としていた。窒素15の寄与度は0.14%以下であ
  り、深くなるにつれて、その寄与度は小さくなった。

これらの結果は、窒素15濃縮は炭素14生成の抑制に効果的であることを示
している。 窒素15を95%濃縮したフェライト鋼を用いた場合の炭素14濃度
およびそれぞれの核種の寄与度を図5(a)(b)に示す。窒素15濃縮後の窒素1
4濃度は5%である。窒素15濃縮により第一壁にける炭素14濃度は7.8 × 10
7から3.2 × 107 Bq/kgに減少した。窒素15濃縮により炭素14の生成量は41
%に減少した。この41%と窒素14の濃度である5%との差は窒素15に起因する
炭素14によるものである。
図5(b)において、窒素15の寄与度は第一壁においては支配的であるが、深
くなるにつれて減少している。フェライト鋼中の窒素15濃度(95%)は窒素14
濃度(5%)よりもかなり大きいが、深い領域では窒素15の寄与度は小さくな
り、窒素14の寄与度を下回っている。未濃縮窒素に対する窒素15濃縮窒素
における、
炭素14濃度の比を図6に示す。もっとも大きかったのは第一壁表面で、その
値は0.4であった。この比は深くなるにつれて減少し、深い領域では0.1以下
になった。炭素14の生成量を減らすためには、深い領域での窒素15濃縮が、
より有効であったのは注目に値する。
                           この項つづく
  
風蕭々と碧いの時

 

John Lennon Imagine

POPの系譜を探る:2023年代】

 

milet(ミレイ)は、日本のシンガーソングライター。 生年月日などプロ
フィールは未公表。所属事務所はソニー・ミュージックアーティスツ。早
稲田大学文学部卒業。早大ではにゃんこスターのアンゴラ村長と同級生で
あり、互いに面識がある。 好きな動物はハイエナ。天王寺動物園のハイエ
ナが凄く可愛いと語っている]。映画『ライオン・キング』では悪者扱いさ
れているが、実は仲間思いで狩りも凄く上手だと知り、好きになったと語
っているが、熊は嫌い。 好きな映画は『2001年宇宙の旅』『スリ』『穴』
『タクシードライバー。アニメ「刃牙」が好きで観ながら食事をする。魔
法使いに憧れを抱いている。行ってみたい国はシンガポール。 食欲旺盛で
3人前食べてしまうこともある。好きな食べ物はグミ、馬刺し。馬刺しは、
山梨に家族でよくドライブに行き食べていたと語っている。2020年、新型
コロナウイルス感染予防に伴う自粛期間中に、苦手であった納豆とアボカ
ドが食べられるようになったと語っている。また、同時期に元々興味のあ
った手話の勉強を始めたことを報告している。ステージに立つ前は唐揚げ
を4個食べるが、東京オリンピック2020の際は緊張で1つしか食べることが
できなかったと語っている。喉が油でコーティングされて歌いやすくなる
そう[28]。 趣味は歩くことで、時間がある時はスカイツリーや東京タワー、
羽田空港まで6〜9時間程歩いて行くことがある。筋肉質らしく「Drown
のMV撮影でアメリカへ行った際に、前日に重い荷物を多く持ったため撮影
時に筋肉がついていたと語っている。
J-POPもテクノポップ・シティーポップ・和楽をベースにと様々な洋楽と
 マルチメディアに融合し巨大な渦を形成し進化している。歌自体は英語
 日本の母音を旋律をあわせ同調させることで、ボーダレスにシンクロさ
 せる独自の9技法を海だし、シンクロにしている。Da-iCEなでおもそうであ
   るように、日本が歌詞の共有化も進展していくだろうと感心する。

今夜の寸評:J-POPの世界化?!

 

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森を守る最新システム開発 ①

2023年06月23日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。





『源氏物語』の作者および作品を深層で統御しているものは何か?
『源氏物語』を論ずるのは、ひとつの特定の物語、特定の作品を論
ずることではなく、作品そのもので物語、文学という概念を論ずる
ことである。―作品をつらぬく無意識としての“自然”、霊威=物
の怪に対する人々のありよう、また歴史物語『大鏡』や『栄花物語
』とのトポロジカルな同型性に着目し、作品の構造と深層を浮き彫
りにする。著者の方法意識がもっとも鮮明に発揮された、これぞ吉
本『源氏』論と評される古典論の代表作。

吉本 隆明【著】1982年 大和書房
目次
第1部 母型論
第2部 異和論
第3部 厭離論
第4部 環界論
附録 わが『源氏』
------------------------------------------------------------
  わたしたちは、桐壺帝と桐壺更衣や、そのあとの藤壺との愛
 執の関わり、桐壺更衣と更衣が死とひきかえに生んだ光源氏、
 藤壺と母に似たひととしてその藤壺を慕う光源氏といった近親
 の濃密な関係を暗示する描写に、閉ざされた世界にゆきかうエ
 ロスの密度が象徴されるおもいがする。それは相似と反復が近
 親の男女のエロス的な関係を占めている世界なのだ。
  亡き桐豆更衣への寵愛を忘れられないために、容貌や挙措が
 似ている藤豆を寵愛する桐豆帝と、亡き母銅壷更衣の容貌や挙
 措に似ていると聴かされて、母を慕うように継母藤豆を恋慕す
 るようになる光源氏とが、いねばこの世界のかなめに当ってい
 る。そしてこの世界を同型に結びつけているのは、おなじ母型
 から投射される「前の世」からの定めなのだ。すくなくとも『
 源氏物語』が光源氏の物語として展開されているあいだ、この
 型の反復と、それを深層から統御する「前の世」からの定めが、
 物語をおおいつくしている。もちろん『源氏物語』は生れつい
 た身分、地位、容貌、心ばえなど欠けたところのない理想の人
 物をおもい描きこの人物が女性だちとの遍歴をかされるという
 説話的な仕組みをふっ切っているわけではない。その意味では
 型の反復のあいだに、ひとりでに溶みでてくる内在性は、語り
 の外在性と結抗して矛盾や対立をかもしている。むしろ稀にし
 かしっくりした関係をみせない。

  『源氏物語』の外在的な構成をきめている鍵は、はじめの「
 桐豆」の巻につづく「帚木」で展開された、登場人物のかわし
 あう女性観に秘されている。さまざまな身分やタイプの女性た
 ちへの品定めが、光源氏と親しい若い殿上人から披樫される。
  その場面の光源氏はときどき疑問をはさんだりするが、おお
 く聴き役にまわっている。だが気ごころの知れた若い殿上人た
 ちがかおるかおる披樫しあう女性たちの像には、源氏がまだ一
 度もいったこともない巷の、まるで接したこともない階層の女
 性たちが含まれていて、光源氏はひそかに刺激をうけとってい
 る。そしてまだ接したことのない巷で、接したこともない女性
 たちに出会い、懸想し、愛を体験したいと思うようになる。こ
 こで光源氏がひそかに好奇心をみたしたいと思い立ったことと、
 この『物語』が展開の緒口に立ったこととは、おなじ意味をも
 っている。作者はまず語り手を介して、登場する主人物たちに
 じぶんの女性欲を繰りひろげさせ、主人公はやがてその軌道に
 のって女性遍歴を体験する。語り手はそれを語る。だが〈雨夜
 の品定め〉のモチーフはそれだけではあるまい。頭の中将や左
 馬の頭が語りだす「中の品」の階層の女性論がとりわけ注意を
 惹くからだ。
  頭の中将によれば、とり柄もなくまったくつまらない女性も、
 すばらしい優れた女性も、おなじく数はすくない。高い格式の
 家に生れると、人に犬切にかしずかれて、欠点がかくされてし
 まうこともおおく、ひとりでにたたずまいも、じっさいより良
 くみえたりする。だから「中の品」の女性こそ、ひとりひとり
 の個性、それぞれの持ちまえの情趣もあらわれて、特徴を区別
 できる優れた点をたくさんもっている。もと銅壷がいた光源氏
 の溜り場にあつまった風流男たちの、得手勝手な女性の品定め
 のなかで、この頭の中将の「中の品」の女性にたいする評価は、
 ただひとつ讃め言葉になっている。そしてこれは作者がたぶん
 意図したものだ。
  どうでもいいようにおもえるが、光源氏はこれをぎいて、も
 とは上層にうまれながら、没落して官位も低く、人なみでない
 生活をしているものもいれば、低い身分のもので上達部などに
 まで成り上って、自慢気に家の内を飾り、他のものに劣らじと
 構えているものもある。
  その区別をどこでつけるのかと問い返す。これをひぎとった
 左馬の頭は、そのいずれも択りわけたうえで「中の品」をきめ
 るべきだと語る。左馬の頭はつづけて、「受領といって、地方
 の国箭の政務に関係して勤め、地方言の位階の定まったものの
 なかにも、それぞれ段階がわかれていて『中の品』がふさわし
 い女性を、択びだすことができる御時勢です。なまなかの上達
 部よりも、参議でない四位の位階のもので、世間の評価もわる
 くなく、もとの家系も賤しくない身分のものが、安楽な身のさ
 ばきで振舞っているのなどは、とてもおおらかな感じがします。
 家の内に不足なことなど、ちっともないでしょうから、けちけ
 ちせずにきらび
やかに、守り育てられた女性などで、非のうち
 ようもない生長の仕方をしたものもたくさんあるにちがいあり
 ません。官仕へに出て、思いがけない幸運にめぐまれる例もお
 おいことでしよう。」(「帚木」)と説明する。
                         
                               「第一部 母型論」P.17
 桐壺 第一帖
源氏物語の主人公・光源氏は、桐壺帝と桐壺更衣との間の皇子とし
て生まれる。母・桐壺更衣は宮中で冷遇されていたが、子供である
光源氏は、その美貌ゆえに瞬く間に注目の的になる。不幸にも桐壺
更衣は、光源氏が三歳のときに亡くなってしまうが、十二1歳になっ
た頃、彼は桐壷更衣に似た容姿を持つ藤壺の女御に出会い、惹かれ
ていく。
via 【相関図でわかる!】源氏物語の登場人物・人間関係をわかり
やすく解説
※桐壺帝:『源氏物語』に登場する一番目の帝(在位「桐壺」~「
花宴」)。架空の人物。左大臣の妻である三条の大宮と同腹。桐壺
更衣を寵愛したため、「桐壺帝」と呼ばれる。『源氏物語』の主人
公光源氏の父親である。理想的帝王として描写され、聖代とされる
醍醐天皇の時代がモデルとされる。 他の有力な妃を差し置いて桐
壺更衣を偏愛し、やがて源氏が誕生するが、更衣はその心労が祟っ
て病死する。悲しみに暮れる桐壺帝を見かねた周囲の勧めにより、
亡き桐壺更衣に瓜二つである藤壺(先帝の第四皇女)を入内させて
寵愛し、第十皇子(後の冷泉帝)を産んだのを機に中宮に据えた。
なお冷泉帝は、実は光源氏と藤壺との不義の子であるが、桐壺帝が
そのことを知っていたかどうかは作中では語られない。「賢木」で
病が重くなり、源氏23歳の年に崩御。「明石」で亡霊として現れ、
源氏の苦難を救う。
※桐壺更衣(きりつぼのこうい):紫式部の物語『源氏物語』の登
場人物。主人公光源氏の母。按察大納言と北の方との一人娘で、桐
壺帝の更衣。後宮では後ろ盾が無いこともあり、局として清涼殿か
らもっとも遠く不便な淑景舎(桐壺)を与えられたことから桐壺更
衣と称する。早くに父親を亡くした、父の遺言を受けた母北の方の
尽力により、一族再興の期待を背負って入内した。出家した兄が一
人いる(「賢木」)。 特別身分高い出自ではなかったが、桐壺帝の
寵愛を一身に受けていたため、他の女御、更衣たちから疎まれたう
え、彼女らの後ろ盾である重鎮の貴族からは楊貴妃にあてこすられ
て、有形無形の嫌がらせを受けた。その心労から病気がちになり、
帝の第二皇子(光源氏)を出産するも、源氏が3歳の夏に病状が急
変、里下り直後にそのまま死去。女御にもできなかったことを後悔
した帝により、従三位を追贈された。エピソードは無い。
via jp・Wikipedia
                                    この項つづく

      
 

 
 
【再エネ革命渦論 140: アフターコロナ時代 139】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ㉓

ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。

森を守る最新システム開発 ①
仮に環境条件の気温を主要因として平均気温1℃上昇した場合、日
本の森林の成長に伴う、全植林重量及び体積は変化(増加)するの
だろうかと鬱蒼とした河川敷の間食する雑木林をみて考える。

  

 今回は、計画植林の「伐採・回収」について考えてみる。 下図
7は、「地雷処理装置」を植林伐採後の表明に残る切り株を粉砕処
理部(符号番号13)を掲載(下図;草刈機)しているように、杉・
桧などの幹下部にに垂直に切断装置ユニット(アタッチメント)--
この場合、ユニットの天空側に枝を回転式切断刃と地面側に下部に
任意幅に幹部を切断刃を合体ユニットを備えたショベルカーで、
ここでは記載されていないが、①樹木上で垂直方向とは逆にぶれない
ように固定するアームアタッチメント、②上部側ユニット切断の枝
木の落下を防止し所定の位置に収納するロボットアーム(1~3セ
ット)、③下部側のユニットから切り出され幹切断片を回収ロボッ
ト乃至は搬出ユニット(アタッチメント)を備えている。
ここでは、採取する資源用途はは2つあり、1つは、建築・家具な
どの長尺資材、2つは、粉砕し化成・医療資材或いは燃料ペレット
パルプなどの資材用途がある。前者は下部ユニット(アタッチメン
ト)の使用ウエイトがある(スライス切断すれば、後者でも食器な
ど様々の用途がある)。スライス処理では、様々な検出機で情報を
収集し例えばナンバーリング・ラベリング処理し、カーボン・セル
ロースファイバーや薬剤有効部など選択・再利用か可能である。ま
たスライス回収でなく現地粉砕なども可能であり無限に用途がひろ
がるはずである。


図7 従来例の草刈機が取付けられた油圧ショベルの構造の側面図 


図1.樹木伐採用アタッチメントを取り付けた樹木伐採装置を示す
  側面図

図3.ソー装置による伐採状態を示す(A)側面図、(B)平面図

特開2019-54734 樹木の伐採用ソー装置、及びこれを用いた樹木伐採
用アタッチメント及び樹木伐採装置 佐藤機工株式会社

【概要】
上 図1のごとく、樹木を伐採するための伐採用ソー装置であって、
ハウジングを構成するフレーム部材と、当該フレーム部材に設けら
れて、樹木を切断可能なソー部材と、前記ソー部材の切断動作に追従
するとともに、当該ソー部材の切断方向に向かって進退自在に前記
フレーム部材に設けられたスペーサ部材とからなる伐採用ソー装置
とする ことで、大木のような質量のある樹木であっても、切断終
了時における切断部材の破壊を防止できる伐採用ソー装置、及びこれ
を用いた樹木伐採用アタッチメント及び樹木伐採装置を提供する。


図1.生チップの加熱乾燥時における乾燥時間と含水率との関係を
示す一般的なグラフ

特開2022-167251 被処理木材の乾燥脱水方法及び木質ペレットの
造方法 ジェイパワー・エンテック株式会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥し
て含水率が湿量基準で20~25質量%である乾燥チップを得る加
熱乾燥工程と、前記乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水する
ことにより、含水率が湿量基準で20質量%未満である乾燥粉砕物
を得る機械的脱水工程と、を含むことを特徴とする被処理木材の乾
燥脱水方法。
【請求項2】前記粉砕が、スクリーンを有さない衝撃式粉砕機を用
いる粉砕であり、前記機械的脱水が、風力分級器を用いる脱水であ
る請求項1に記載の被処理木材の乾燥脱水方法。
【請求項3】前記加熱乾燥が、100℃以下の温風で行われる加熱
乾燥である請求項1に記載の被処理木材の乾燥脱水方法。
【請求項4】 被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥し
て含水率が湿量基準で20~25質量%である乾燥チップを得る加
熱乾燥工程と、前記乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水する
ことにより、含水率が湿量基準で20質量%未満である乾燥粉砕物
を得る機械的脱水工程と、前記乾燥粉砕物を造粒してペレット化す
る造粒工程と、 を含むことを特徴とする木質ペレットの製造方法。

【課題】
従来の方法による木質ペレットの製造方法は以下の問題を有してい
る。① 先ず、加熱乾燥によって被乾燥木材の含水率を10~15質
量%に到達させるまでに長時間を要する。② 次に、生チップの粉砕
工程において、1段階の粉砕処理で所期の粒度に到達させることが
困難であり、多段階の粉砕を行う必要がある。③ さらには、粉砕機
の金属製スクリーンに目詰まりが生じ易く、粉砕を継続的に行う事
が困難である。④ また、燃料燃焼排ガスを熱源とする乾燥機は、火
の粉が燃料燃焼排ガスに同伴して乾燥機内に侵入し、木質原料に着
火して火災を引き起こす恐れがある。

【解決手段】
被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥する場合、①含
水率が20~25質量%に到達するまでは、乾燥時間に比例して含
水率が低下する(以下、「定率乾燥期間」ともいう)が、②含水率
が20~25質量%に到達した後には乾燥効率が著しく低下し、乾
燥時間に比例して含水率が低下しなくなる(以下、「減率乾燥期間」
ともいう)。図1は、生チップの加熱乾燥時における乾燥時間と含
水率との関係を示す一般的なグラフである。図1中、乾燥時間0~
Iの区間は材料予熱期間であり、I~ⅱの区間は定率乾燥期間であ
り、ⅱ~ⅲの区間は減率乾燥期間である。乾燥時間ⅱにおける材料
の含水率は20~25質量%である。このような定率乾燥期間と減
率乾燥期間とが生じる理由は、含水率が20~25質量%に到達す
るまでは、自由水とよばれる被処理木材の細胞内や細胞間の水分が
表面に浸み出して順次蒸発していくのに対して含水率が20~25
質量%に到達した後には、結合水とよばれる被処理木材の細胞壁や
繊維などと化学的に結合し残存している水分が表面に浸み出し難く、
蒸発し難いためと推定される。そのため、この減率乾燥期間におい
ては、乾燥効率が低く、加熱乾燥に長時間を要する。そこで、この
減率乾燥期間における加熱乾燥を機械的脱水に置き換えて、細孔内
の水分を機械的に離脱させるか、細孔内の水分を表面に露出させて
離脱し易い状態とすることにより、効率的に水分を除去できること
を見出し、本発明を完成するに至る。


図2.木質ペレットの製造方法を示すフロー図

以下、本件の工程作業流れの特徴を記載する(図2参照)。

1)被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥して含水率
 が湿量基準で20~25質量%である乾燥チップを得る加熱乾燥
 工程と、乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水することによ
 り、含水率が湿量基準で20質量%未満である乾燥粉砕物を得る
 機械的脱水工程と、を含むことを特徴とする被処理木材の乾燥脱
 水方法である。
2)この粉砕工程では、スクリーンを有さない衝撃式粉砕機を用い
 る粉砕であり、機械的脱水が、風力分級器を用いる脱水であり、
3)加熱乾燥が、100℃以下の温風で行われる加熱乾燥である。
4)被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥して含水率
 が20~25質量%(湿量基準)である乾燥チップを得る加熱乾
 燥工程と前記乾燥粉砕物を造粒してペレット化する造粒工程と、
 を含むことを特徴とする木質ペレットの製造方法である。

図3.乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水する装置の構成例
  を示す説明図
【符号の説明】
100・・・粉砕及び風力分級の装置構成 11・・・衝撃式粉砕機
13・・・粉体輸送機 15・・・風力分級器  17・・・粉体輸送
機 19・・・サイクロンセパレータ 21・・・ファン A・・・乾
燥チップ+空気 B・・・空気+水分(ミスト) C・・・乾燥粉砕
物+乾燥チップ(未達粉砕物)+空気+水分(ミスト) D・・・乾
燥粉砕物+空気+水分(ミスト) E・・・乾燥粉砕物 F・・・空
気+水分(ミスト) G・・・乾燥チップ(未達粉砕物)+空気+水
分(ミスト)
【実施形態】
1)被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥して含水率
が20~25質量%である乾燥チップを得る加熱乾燥工程と、この
乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水することにより、含水率
が20質量%未満である乾燥粉砕物を得る機械的脱水工程を含むこ
とを特徴とする被処理木材の乾燥脱水方法で、先ず、間伐材等の被
処理木材を切削して生チップを得るが、例えば、間伐材を一辺が数
cm~十数cmに切断して生チップを得る。樹種にもよるが、通常
生チップの含水率は45~55質量%である。
2)この生チップを加熱乾燥することにより、含水率が20~25
質量%である乾燥チップを得る。この加熱乾燥工程は、主として、
乾燥時間に比例して含水率が低下する定率乾燥期間の範囲で行われ
る。即ち、定率乾燥期間の終期における含水率は樹種や生チップの
形状によって変動するが、概ね20~25質量%である。加熱乾燥
の終了は、定率乾燥期間の終期であることが好ましい。定率乾燥期
間の終期は、加熱時間に対する含水率の低下割合を計測することに
より判断できる。例えば、乾燥効率が10%以上低下した場合に、
定率乾燥期間の終期と判断する。
3)乾燥方法としては、バンド式乾燥機やキルン式乾燥機を用いる
連続的な乾燥方法が例示される。 乾燥温度としては 特に限定され
ないが、木材の自然発火温度未満の温風であることが好ましく1500
℃以下の温風であることが好ましく 120℃以下の温風であることが
より好ましく 100℃以下の温風であることが特に好ましい。熱源に
燃料燃焼排ガスを直接用いる場合は、火の粉が同伴して乾燥機内に
侵入し、火災等の危険が生じるため好ましくない。例えば、蒸気や
温水を熱源とする温風を用いることが好ましい。乾燥温度の下限は
特に限定されないが、80℃以上が特に好ましい。
3)次に、この乾燥チップを粉砕して機械的脱水することにより、
含水率が20質量%未満である乾燥粉砕物を得る。
4)粉砕としては、衝撃式粉砕機を用いて行う粉砕が例示される。
これらの粉砕機は、乾燥チップの粒度が所定の範囲となるまで粉砕
機の粉砕室内に滞留させるためのスクリーンを有さないことが好ま
しい。
5)乾燥粉砕物の粒度は、篩下粒度積算値D50が1mm以下であ
ることが好ましく、篩下粒度積算値D90が2mm以下であること
が好ましく、篩下粒度積算値D98が3.15mm以下であることが
好ましい。即ち、ISO17225-2に定義されるI2クラスの
粒度以下となるまで粉砕することが好ましい。
6)機械的脱水としては、乾燥チップを上記のように粉砕機によっ
て粉砕した後に、風力分級する方法が例示される。粉砕により、乾
燥チップは粉砕機のハンマーと機械的に衝突し、所期の粒径を有す
る粉砕物と、所期の粒径に達しない未達粉砕物と、水分のミストと、
が生成される。即ち、粉砕により、乾燥チップの内部に包含されて
いた水分が露出し、乾燥チップから離脱してミストとなる。この水
分(ミスト)は、風力分級によって除去され、乾燥粉砕物が得られ
る。所期の粒径に達しない未達粉砕物は、粉砕機で再粉砕される。
7)乾燥粉砕物の含水率は、15質量%以下であることがより好ま
しい。乾燥粉砕物の含水率の下限は特に限定されないが、10質量
%以上であることが特に好ましい。水分は木質ペレットとする際の
造粒工程で潤滑剤の役割を担うため、含水率が低すぎると目詰まり
等の不具合を生じる場合がある。
8)風力分級器は、サイクロンセパレータのみで構成しても良いし、
他の気流分級器や回転式分級器、振動篩等を併用しても良い。サイ
クロンセパレータや他の気流分級器の旋回流の遠心力を利用して乾
燥粉砕物と水分(ミスト)とを分離させることにより、乾燥チップ
から離脱した水分が除去されるとともに、所定粒度に到達した乾燥
粉砕物を回収することができる。
また、所定の粒度に達していない未達粉砕物は、分級器で分級され
て再度粉砕機内に導入される。風力分級を行うことにより、粉砕機
の粉砕室にスクリーンを設ける必要がなくなり、スクリーン目詰ま
りによる滞留が生じないため、効率的に乾燥できるとともに、粉砕
機の粉砕部の摩耗が抑制される。風力分級器は粉砕機と一体となっ
ていても良く、粉砕機外に独立して設けられても良い。

図3は、乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水する装置100
の構成例を示す説明図である。図3中、11は衝撃式粉砕機であり、
輸送機13を介して風力分級器15に接続され、輸送機17を介し
て衝撃式粉砕機11に戻る循環流路が形成されている。風力分級器
15には、サイクロンセパレータ19及びファン21を介して風力
分級器15に戻る循環流路が形成されている。

図3中、Aは乾燥チップと空気であり、乾燥チップは空気とともに
衝撃式粉砕機11内に導入され、ここで粉砕される。粉砕によって
、所期の粒度に到達した乾燥粉砕物と、水分(ミスト)と、所期の
粒度に到達しなかった乾燥チップ(未達粉砕物)とが生じる。この
うち、空気の一部と水分(ミスト)は、符号Bとして衝撃式粉砕機
11外に排出され、乾燥粉砕物と乾燥チップ(未達粉砕物)は、空
気とともに符号Cとして風力分級器15内に導入される。乾燥粉砕
物と乾燥チップ(未達粉砕物)とはここで分級され、乾燥粉砕物と
水分(ミスト)は、空気とともに符号Dとしてサイクロンセパレー
タ19に導入される。乾燥チップ(未達粉砕物)は、空気及び水分
(ミスト)とともに符号Gとして衝撃式粉砕機11に返送され、こ
こで再粉砕される。乾燥粉砕物と水分(ミスト)は、サイクロンセ
パレータ19で分離され、乾燥粉砕物は符号Eとしてサイクロンセ
パレータ19外に排出され、空気と水分(ミスト)はファン21を
通って風力分級器15に返送される。このように乾燥チップから水
分(ミスト)が除去されて、含水率が20質量%未満の乾燥粉砕物
が得られる。
9)乾燥粉砕物は、公知の方法でペレット化され、木質ペレットが
得られる。具体的には、リングダイ方式やフラットダイ式、スクリ
ュー式、押出式等の造粒機を用いて成形される。造粒の際には、公
知のバインダ等を添加してもよい。ペレットの形状は特に限定され
ず、ボイラ等混焼設備の仕様に合わせて適宜変更できるが、一般的
には、直径6~8mm、長さ5~40mm程度の円筒形である。


図6.粉砕部ケーシングの内部を解放した様子を示す横断面図
(特開2022-136306 微粉砕機) 
尚、ドローンロボットとの総合的なシステムとして高度化・高付加
価値化含まれていることは、ブログ読者諸氏はご存知である。
                       この項つづく

 

渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

 

韓国野党議員が福島第一原発を視察 処理水の海洋放出について
 反対の姿勢示す;2023.06.23 福島テレビ 
------------------------------------------------------------
自然エネルギー100%に向けて「出力抑制」の前に行うべき7つの
提言 
2023.06.11 原発ゼロ・自然エネルギー100世界会議
幹事長   河合  弘之
事務局次長 木村  結      

自然エネルギー(とくに太陽光発電と風力発電)への大転換は、気
候危機、エネルギー自立と安全保障の切り札として、全世界で拡大
がますます加速している。当連盟が目指す原発ゼロの実現にも大い
に貢献する。

ところが今年に入って、九州電力を筆頭に、ほぼ全ての電力会社に
よる自然エネルギーの出力抑制が一段と激しくなっている。九州電
力の今年4〜5月の出力抑制は44回(昨年24回)・抑制率39%(昨年
13%)に達した。中国電力の今年4〜5月の出力抑制は36回(昨年7回)
・抑制率31%(昨年8%)に達した。6月4日には、ついに関西電力ま
でも出力抑制を開始した。日本全体の自然エネルギー電力比率はま
だ22%(2022年末。うち太陽光+風力は12%)に過ぎないのに、
れほどの出力抑制は異常である。
この低い自然エネルギー比率の段階でこれほどの激しい出力抑制を
していては、「自然エネルギー100%」どころか、国が掲げる2030
年の自然エネルギー導入目標(36〜38%)や「主力電源化」さえ、お
よそ実現できない。
以下、国と電力会社が自然エネルギー出力抑制の前にすべき7点を
提言する。

その1:自然エネルギー(太陽光+風力)を最優先し、原発を停止
    すべし
自然エネルギー(太陽光+風力)は、原発と比べると、経済的にも
限界費用が最も安く、エネルギー安全保障的にも純国産資源であり
環境的にも核廃棄物やCO2などの汚染がないなどから、エネルギーと
して最優先されるべきである。事実、欧州や米国など日本以外のほ
とんどの国や地域で、自然エネルギーは最優先されている。したが
って、国が定める優先給電ルールを「自然エネルギー最優先」に見
直すべきであるとともに、そもそも原発はテロや事故があれば国家
滅亡の危険があるので、直ちに停止し、廃炉すべきである。

その2:出力抑制に対して経済的補償すること
現在、電力会社が行っている自然エネルギーの出力抑制は需給調整
と系統安定化のためであるから、ドイツが行っているように、自然
エネルギー発電事業者に対して託送料金を原資として経済的な補償
を行うべきである。なお、系統連系契約時の旧ルール・新ルール・
無制限無補償などは、優越的地位を濫用した違法な契約条項であり、
直ちに撤廃すべきである。

その3:完全な発送電(所有権)分離と電力市場の抜本的な見直し
       を
行うこと
出力抑制を行っている一般送配電会社は旧一般電気事業者の「子会
社」であるため、自然エネルギーの出力抑制をして、自社の火力発
電や原発を優先することは、利益相反行為そのものであり、違法で
ある。最近でも不正閲覧問題を起こすなどモラルハザード、違法行
為を起こしており、直ちに完全な発送電(所有権)分離を行うこと
が不可欠である。加えて、卸電力取引所など電力市場に対して圧倒
的に市場支配が大きい旧一般電気事業者の自社内取引が有利な構図
を廃する電力市場の見直しを行い(内外無差別)、容量市場や需給
調整市場も蓄電池による柔軟性向上が進むように見直しを行うこと。

その4:火力発電を出力抑制に使い、かつ最低出力まで落とすこと
       を
徹底すること
自然エネルギー(太陽光+風力)は、経済的にも、エネルギー安全
保障的にも、環境的にも最優先すべきであり、これを出力抑制する
のではなく、電気の需給調整には、火力発電を弾力的に運転し、出
力抑制に使うべきである。我々の調べでは、電力会社は自社の火力
や購入契約火力の出力を充分に落としていない状況があると疑われ
る。電力会社は火力発電毎の運転状況の情報公開をするとともに、
既存の優先給電ルールに従うとしても、火力発電はさらに大幅に削
減できるはずであり、これを徹底すべきである。

その5:電力会社を超えた広域で自然エネルギーを利用すること 
自然エネルギーの出力抑制は、各電力会社の需給調整の都合でしか
なく、全国的に電気が不足していても、各電力会社では出力抑制が
行われているなど、せっかくのエネルギーを無駄に捨てているのが
我が国の実態である。こうした無駄を無くすため、すべての電力会
社管内を越えて送電網を開放し、全国レベルで活用すべきである。
火力発電の最低出力化や地域関連系線の最大活用、さらに抑制対象
外となっていると推測される電源開発の石炭火力(長崎県松島・松
浦火力、徳島県橘湾火力など)も抑制すべきである。

その6:系統蓄電池を急速かつ大幅に拡大すること
これから飛躍的に自然エネルギー(特に太陽光と風力)を拡大して
いくことが必要であることを考えると、本質的には、系統全体の柔
軟性が欠けていることが最大の課題である。短期的に系統全体の柔
軟性を増すには、系統蓄電池の急速かつ大幅な拡大をすべきである。
現在、蓄電池は世界的に爆発的な拡大期に入っており、これは日本
でも導入可能であるだけでなく、日本の蓄電池産業や市場を創出す
るためにも貢献しうる。具体的には、現状、約10GWの系統蓄電池の
計画が把握されているが、これを2030年までに最低でも5倍・約50G
W・200GWhの目標を掲げ、普及拡大策を採るべきである。この系統
蓄電池拡大を補完するため、既存のFIT太陽光発電所やFIT風力発電
所に対しても、FIT価格を維持したまま、事後的な蓄電池設置を認め
るべきである。

その7:需要側でも柔軟性を急速かつ大幅に拡大すること
系統全体の柔軟性を増すには、需要側でも対応することができる。
需要応答(DR)も導入されているものの、未だに充分に進んでいな
い。需要側に蓄電池を設置拡大してこれをアグリゲーション(取り
まとめ)して需要応答(DR)に活用することは、系統全体の柔軟性
向上に加えて、乱高下する電力市場の安定化にも貢献し、需要家の
収益機会にもなるため、ウィン・ウィン・ウィンとなる良策である。
系統全体の柔軟性を増すには、需要側でも対応することができる。
需要応答(DR)も導入されているものの、未だに充分に進んでいな
い。需要側に蓄電池を設置拡大してこれをアグリゲーション(取り
まとめ)して需要応答(DR)に活用することは、系統全体の柔軟性
向上に加えて、乱高下する電力市場の安定化にも貢献し、需要家の
収益機会にもなるため、ウィン・ウィン・ウィンとなる良策である。 
                                                      以上 

   風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

 J-POPの系譜を探る2010年代】

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)  
      
昨日は雨で、今日に変更し、2021年 7月29日に亡くなられ久保晴彦
宅に弔問に向かう。新型コロナで遅れたことを奥様にお詫びしお悔
やみ申し上げ帰る。
                                              南無阿弥陀仏

コメント
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産業競争力世界一のデンマーク

2023年06月20日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

 

 6月20日、スイス・ローザンヌに拠点を置くビジネススクール「国
際経営開発研究所(IMD)」は各国の経営環境などを評価する「世界競
争力ランキング」の2023年版を発表。日本は昨年より1つ順位を落と
し、35位と過去最低を更新する。ランキングによると、デンマーク
は2年連続の1位となった。ビジネスや政府の効率性、インフラ整備
が高く評価された。2位は高い経済指標の後押しを受けたアイルラ
ンドとなった。昨年の11位から順位を急上昇させた。3位はスイス
となっている。


2022.06.20

 デンマークといえば、風力発電百パーセントで余剰電力は欧州各
国に送電するエネルギー大国だというのが第一印象だが?それにし
ても何故世界一になるたのか? デンマークのほとんどの企業は、
模が非常に小さい中小企業で構成され、人件費も生活費も非常に高
いうえ、小国だから国内市場は小さい。だから、成功している企業
は例外なく、国際市場を見ている。そして、海外の顧客が高い価格
でも喜んで払うような製品やサービスを提供しているとか(via Bu-
siness Insider Japan, 2022.12.7
)。そして、デンマークでは大企業とさ
れている企業、例えば、玩具メーカーのレゴや、糖尿病治療薬で知
られるノボノルディスクなどを含め、デンマークで成功している企
業の共通点は1つのニッチな分野に深く特化していること。
そして、こうした企業が狙うのは「アップマーケット」と呼ばれる
級市場である。もちろん、皆が皆そんな企業というわけじゃなく、
大企業の下請けだってたくさんある。でも、成功している企業の共
通点は、非常に創造性に富み、国際的視野を持った、ニッチに特化
した企業。そして、デンマークと他の国の間に違いかあるとすれば、
これを、研究開発部門を持つような大企業ではなく、ごく小さな企
業でもできるという説明主要因をもつが、もちろん、皆が皆そんな
企業というわけじゃなく、大企業の下請けだってたくさんあるが(
安堵?!)。成功している企業の共通点は、非常に創造性に富み、
国際的視野を持った、ニッチに特化企業(日本では、キーエンスに
該当するかな?)そして、デンマークと他の圃との間に違いかある
とすれば、これを、研究開発部門を持つような大企業ではなく、ご
く小さな企業でもできるという点だと地元識者は説明している。



説明はそれだけでない、溶接工や機械オペレーターといった職業で
4~5年の訓練を受けるなど、教育やスキル向上に力を入れている
ため、一般労働者の教育レベルが高いこと。はたまた子どもの頃か
ら先生に対しても意見を言うよう教育されてきたこともあり、上司
や社長に対 しても物申す企業文化があり、そのようなフラットざか
自由なアイデアとイノベーションを育んでいると補足しているが、
言い換えれば、スマートで個性豊かな勤労者を生んでいる労働・厚
生環境が充実している----言い換えればブラック企業が横行する日
本社会とは対象的ではないか----と感じた。
------------------------------------------------------------
※デンマーク企業の98.5%は従業員50人未満の小企業、250人以上
の企業は0.3%しかない。


Captura offers a critical tool in the fight against climate change utilizing unique 

  特集|直接海洋回収技術とは
 脱酸素技術に新星が現れた。カリフォルニアエ科大学のスピンオ
フ企業キャプチュラ(2021年設立)は、地球表面の70%を占める海洋
を活用することで、大気中の二酸化炭素を低コストで除去する施設
の建設を目指している。
 海水には大気から二酸化炭素を吸収する性質がある。同社の技術
DOC(ダイレクト・オーシャン・キャプチャー)はこれを利用する。
まず、ろ過した海水をプラント内に引き込み、再生可能エネルギー
を使って海水を電気処理し二酸化炭素を除去する。取り出した二酸
化炭素は永久的に隔離されるか炭素製品に活用される。二酸化炭素
を含まない海水は海へ戻され、再び二酸化炭素を吸収するという流
れだ。海水を海に戻すため、海洋生物への影響は最小限に抑えるこ
とができるという。



 昨夏から実験的な運用が始まっている。また今年5月には、数カ
月内にロサンゼルス港の官民海洋研究所アルタシーのキャンパスで
2つ目のシステムの実証試験を開始すると発表。この2基目は、海
から年間100トンの二酸化炭素を回収できる。
 キャプチュラのテクノロジーの強みは、再生可能エネルギーの供
給と海水があれば世界のどこでも導入できることだ。また、沖合に
設置すれば土地利用上の課題も解消される。同社は将来、ライセン
ス供与してグローバルに展開したいという。



図 1 (a) 海水から CO2 を除去するための塩化物媒介電気化学 pH
スイング システムの一般原理。 (b) 各ステップにおけるビスマス
(赤) 電極と銀 (青) 電極での電気化学反応、およびその後の酸性化
した海水中での CO2 放出
【関連論文】
Title:Asymmetric chloride-mediated electrochemical process for CO2
removal from oceanwater,
DOI: 10.1039/D2EE03804H
(Paper)  Energy Environ. Sci., 2023, 16, 2030-2044
【概論】
大気中の二酸化炭素の継続的な蓄積が気温の上昇と地球規模の気候
パターンの混乱につながるため、産業による二酸化炭素の排出は環
境に大損害を与えている。この問題を緩和するために、点発生源か
らの CO2 排出量を削減することに加えて、周囲環境から二酸化炭素
を直接除去するネガティブエミッション技術が注目されているが、
非常に希薄なレベルの CO2 が除去を困難にしている。海洋に分配さ
れるCO2 排出総量は大気中に保持されるCO2排出量に匹敵し、効果的
な除去手段は、他のマイナス排出技術を強化し、この温室効果ガス
による環境負荷を軽減できる可能性がある。海水から CO2を除去す
るアプローチは、水の pHを約 8.1 から 7未満に調整し、炭酸塩お
よび重炭酸塩からの溶存無機炭素 (DIC) の種分化が分子状 CO2
確実に変化し、その後真空下で除去することに依存させる。化学物
質の添加を必要とせず、望ましくない化合物の形成による寄生反応
を引き起こさないアプローチが特定されることが望ましい。このた
め電気化学システムは、制御可能な方法で電子供給し反応促進でき、
化学的使用や寄生反応を回避でき、海水の pH 変動に適した選択肢
と考えられていた。海水からの CO2 除去に関する現在の研究では、
双極膜電気透析 (BPMED) が使用されているが、双極膜の高コストが
プロセスの商用化を妨げる可能性があり、これらの構造の一部では、
有毒な酸化還元対が海水に漏れるリスクさにさらされる。ここでは、
最初にCO2を放出し、次に海洋に戻す前に処理水をアルカリ化するた
めのpHの電気化学的調整のみに基づいた新しいアプローチを提案す
る。このアプローチは、(i)高価な膜や化学薬品の追加を必要とせず、
(ⅱ) 展開が簡単で、(ⅲ) 副生成物や二次的生成物を引き起こさず、
(iv) 必要なエネルギー入力が少なくて済み(122 kJ mol-1)。私た
ちの知る限り、他のアプローチより優れており、さらに、予備的な
技術経済分析では、この海洋捕獲システムが経済的に実現可能であ
ることを示唆する。


画像:CarbonCapture Inc

 期待の脱炭素技術DAC(直接空気期回収)の研究実用化が各地で進
んでいる。米国では、史上最大になると言われている巨大なサイズ
DAC施設の建設が進行。ワイオミング州のDACプ ラント「バイ
ソン」は、ロサンゼルスのカーボ ン・キャプチャー社とダラスのフロ
ンティア・カーボン・ソリューションズ社による一大プロジェクト。
 2024年後半に最初の モジュールの稼働を予定し、2030年に全てが
完成した時点で、年間500方トンのCO2(1年間に約100万台の自動車
が排 出する量)を除去する見込み。  
 回収したCO2は地中深くに埋め、カー ボン・クレジットとして販
売される。マイク ロソフト社は、このクレジットを購入する 契約
をすでに交わした。  
 DAC建設には多額の費用が必要だが、民間セクターからの支援に
加え、米国では昨夏成立したインフレ抑制法によりクリーンエネル
ギーの分野でも各種設備の導入に大幅な税額控除が認められ、DAC
やCCS(CO2回収・貯留)に追い風が吹い ている。ワイオミング州
が選択された理由は、安価な再生可能エネルギーヘのアクス、手頃
な土地価格、最適な炭素貯蔵 場所が近隣にある点など、コスト低減
の要 素に恵まれている。カーボン・キャプチャー社の経営責任者は、
今後、さまざまな地域で多様なプロジェクトを展開したいと語る。

 
  06/01/2023 
     

 
【再エネ革命渦論 139: アフターコロナ時代 338】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ㉒

ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


ペロブスカイト太陽電池で空気監視実証
    6月19日、東京都と,自治体として初となる「ペロブスカイト太陽電池」を
用いた空気質モニタリングソリューションの実証事業を開始したと発表。
ペロブスカイト太陽電池は,薄く,軽く,曲がり,材料によって半透明にす
ることが可能なことから,次世代太陽電池として注目されている。少ない
光量でも発電することができるため,身の回りの小型電子機器や,これま
で太陽光パネルを設置できなかったようなビルの壁面,宇宙空間など,さ
まざまな場所で独立電源を得ることが可能となり,大面積塗布技術によ
って大幅なコスト削減も期待されている。 マクニカは,昨年,京都大学発
スタートアップのエネコートテクノロジーズの「ペロブスカイト太陽電池」を
採用した空気質センサーを開発,実証実験を続けてきたが,今回東京都
の協力のもと,エネコートと三者で,自治体として初,また実オフィス環境
下においても初となる実証事業を開始する。使用する「空気質センサー」
は,空気の品質を常時チェックし,モニターする。CO2,PM(ほこり,ちり)
,有害物質,および湿度・温度の数値から,快適に過ごせる空気質空間
かを可視化する(商品名「AiryQonnect(エアリーコネクト)」)。



 今回「ペロブスカイト太陽電池」を組み込むことで,独立電源を確保し,
設置場所の自由度やバッテリー交換不要といった面で,環境負荷の少な
い空気質の観測が可能になることが期待される。
 同社は今後,東京都庁の執務室内を,空気質モニタリング(CO2,温湿
度,照度)の実証の場として活用し,「ペロブスカイト太陽電池」搭載のIoT
センサー端末の量産化に向けて,検討・検証を進めていく。 三者はこれ
を機に,「ペロブスカイト太陽電池」の実用化と,空気質改善によ
る都民の生活品質の向上が実現できるよう,積極的に取り組んでい
くとしている。

 安全な遠紫外線が殺菌に最も有効
 コロナウイルスの紫外線殺菌において人体に照射しても安全な遠
  紫外線が最も有効に殺菌効果を有することを実証!人体に安全な
  感染防止空間の実現へ
 6月19日、熊本大学らの研究グループは、コロナウイルスの感染経
路としてエアロゾル感染(空気感染)と⾶沫感染があります。コロ
ナウイルスの変異株のいくつか(例えばBA株)は感染⼒が⾮常に強
いため、5類感染症に移⾏しマスクの着⽤は個⼈の判断に委ねられ
る現段階においては、感染症の再流⾏が起こる可能性も否定できな
いため、⼤規模空間での感染対策は以前にも増してその重要性が⾼
まっている。
 感染拡⼤を防⽌し、かつ簡便に殺菌をおこなえる⼿段の⼀つとし
て、紫外線が有効であるが、従来⽤いられている紫外線(例えば⽔
銀灯から発せられる深紫外線)は、⼈体のタンパク質やDNA に損傷
を与えるため、この深紫外線を⽤いて⼈が存在する空間を殺菌し、
ウイルスの感染防⽌を⾏うことは法律で厳しく制限されています(
1 ⽇に照射できる深紫外線量は極微量)。
 近年では、⼈体に照射しても安全な“遠紫外線”が新しい殺菌光
として注⽬を集めていますが、コロナウイルスの種々の感染⼒の⾼
い変異株に対して、この遠紫外線が従来の深紫外線と⽐較してどの
程度殺菌効果を有するのか、系統的かつ定量的な実験及び評価は為
されていなかぅた。(従来は、様々な研究機関が、市販されている
殺菌光源(例えば⽔銀灯)を⽤いてコロナウイルスの感染⼒を評価
していた。)


図1.(a)新たに構築した波⻑可変紫外線照射光源。波⻑170 nm〜
2000 nm を出⼒する光源から波⻑選択素⼦(⼲渉フィルター)を⽤
いて、図(b)に⽰すように照射波⻑を選択(遠紫外線︓200 nm及び
220 nm、深紫外線︓240 nm 及び260 nm)。単⼀波⻑の遠紫外線ま
たは深紫外線をコロナウイルスに照射して、その殺菌効果をTCID50
法及びq-PCR 法で評価。

図2.各紫外線照射波⻑におけるSARS-CoV-2 BA.2 及びBA.5ウイル
スの殺菌効果を評価した結果。(a)220nm(BA.2︔濃緑、BA.5︔淡緑
)及び(b) 260nm(BA.2︔濃⾚、BA.5︔薄⾚)。丸印はTCID50で得
られたウイルス感染⼒(ウイルス⼒価)の紫外線照射線量に対する
低下度合いを⽰し、四⾓印はq-PCRで得られたウイルス感染⼒(RNA
増幅率)の紫外線照射線量に対する低下度合いを⽰す。
図2 の結果より、220 nm の⼈体に照射しても安全な遠紫外線 [(a)
の結果] は,⼈体に悪い影響を及ぼす260 nmの深紫外線[(b)の結果]
と同程度に⾼い殺菌効果を有することが判明。⼈体に照射できる紫
外線量の閾値(⼈体に1 ⽇に照射して良い紫外線総量)を考慮すると
 遠紫外線(220 nm)は深紫外線(260 nm)と⽐べて⾮常に有効で
あることが判る----1 ⽇に照射できる紫外線の総量は、220 nm で
25 mJ/cm2、260 nm で3 mJ/cm2 ですが、これらの値と今回得られた
結果の双⽅を考慮うると、220 nmで25 mJ/cm2 の遠紫外線を照射す
れば、コロナウイルス量を1/1000まで殺菌できるのに対して、260nm
で3 mJ/cm2の照射ではコロナウイルス量を1/3 までしか低減できない
ことが判る。従って、⼈体への 安全性を考慮すると、⼀般的に使⽤
されている深紫外線波⻑域(235〜315 nm)と⽐較して、遠紫外線は
コロナウイルスを効率良く殺菌できることが今回の研究で判明し。
また、今回の論⽂では、コロナウイルス紫外線殺菌効果を更に⾼め
るための光学理論を提唱しました。⽔の微粒⼦内で紫外線強度が増
強する効果(ミー散乱6 増強効果)を利⽤するものである。


 図3. ⽔滴内における遠紫外線(220 nm)増強効果を理論的に計
算した結果。縦軸は紫外線の増強度、横軸はサイズパラメーター(
2・×⽔の微粒⼦半径/220 nm)。遠紫外線の強度が⽔滴内全体で平
均すると2から3 倍⾼くなる結果を⽰している。挿図は,⽔滴(直径
400 nm)表⾯部は特に遠紫外線(220 nm)の増強効果が⾼い(10
倍以上)様⼦を⽰している。
 遠紫外線(220 nm)の⽅が、従来殺菌に利⽤されていた深紫外線
(例えば⽔銀灯)より⼤きな殺菌効果を引き出せるという今回の知
⾒は、⼈体への紫外線照射線量を低減することができるため、今後の
紫外線を⽤いた居住空間や病室の紫外線殺菌技術及び装置開発に⼤
きく貢献できるものと考えております。現在、名古屋市⽴⼤学にお
いて、環境負荷が少なく(⽔銀を含まない)、かつ⼈体に照射して
も安全な“遠紫外光源の実⽤化”に邁進している段階である。

【展望】
 遠紫外線(220 nm)の⽅が、従来殺菌に利⽤されていた深紫外線
(例えば⽔銀灯)より⼤きな殺菌効果を引き出せるという今回の知
は、⼈体への紫外線照射線量を低減することができるため、今後
紫外線を⽤いた居住空間や病室の紫外線殺菌技術及び装置開発に
⼤きく貢献できるものと考えられ、名古屋市⽴⼤学において、環境
負荷が少なく(⽔銀を含まない)、かつ⼈体に照射しても安全な“
遠紫外光源の実⽤化”に邁進している。
(参考 https://www.nagoya-cu.ac.jp/press-news/202303081400/



渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

 

福島原発汚染処理水とは⑩
原 題:海洋におけるトリチウムの動態と海生生物への蓄積:
Behavior of Tritium in the Ocean and Marine Organisms
著 者:宮本霧子 公益財団法人海洋生物環境研究所 
掲載誌:海生研研報,第27号,71-80,2022


図1.北東大西洋における海洋調査プロジェクトの対象海域,及び
  トリチウムデータベース関連地域の地図。
  :核燃料再処理施設操業地域とその名称,:放射性医薬品
  工業活動地域とその名称,:IAEAの月間降水中トリチウム濃
  度観測地点とその都市名


 
     トリチウムの生物への蓄積

 第6図に,水生植物と水生動物のTFWT濃度とOBT濃度の観測値の
関係を示したが,OBT濃度/TFWT濃度は0.5~0.8と整理ができ,O
BT
へのトリチウムの濃縮は起きていない。この観測の結果,水生生
物のTFWT濃度は水のHTO濃度と等しくなるが,OBT濃度はTFWT濃
度を越えることがないばかりか,TFWT濃度より低くなることが示さ
れた。なぜ低くなるかは,質量数が大きい同位体の方が化学反応を
起こしにくいということから,トリチウムが生化学反応過程におけ
る同位体効果により,OBTになりにくい結果と説明されている。
 パーチ湖の観測結果から下記のことが推定された。水生生物のTF
W
T濃度は,生物の水代謝反応によって,生物が留まる水塊のHTO
濃度と等しくなる。しかし移動する生物は,移動先の水塊のHTO
度に等しくなるまで一定時間かかるので,水塊のHTO濃度と異なるT
FWT
濃度を持つ期間がある。それはOBT濃度についても同じことが
起こり,生物が留まる水塊のHTO濃度との大小関係は流動的である。
ただし一定時間が過ぎ,平衡状態になるときは水塊のHTO濃度を越
えることはない 方が化学反応を起こしにくいということから,トリ
チウムが生化学反応過程における同位体効果により,OBTになりにく
い結果と説明されている。
 パーチ湖の観測結果から下記のことが推定された。水生生物のTF
WT
濃度は,生物の水代謝反応によって,生物が留まる水塊のHTO
濃度と等しくなる。しかし移動する生物は,移動先の水塊のHTO
度に等しくなるまで一定時間かかるので,水塊のHTO濃度と異なる
TFWT濃度を持つ期間がある。それはOBT濃度についても同じことが
起こり,生物が留まる水塊のHTO濃度との大小関係は流動的である。
ただし一定時間が過ぎ,平衡状態になるときは水塊のHTO濃度を越え
ることはない。

      海生生物のOBT濃度を上昇させる原因

 パーチ湖での観測結果は,湖水のトリチウム濃度が高い場合でも
水生生物体内のトリチウム濃度は湖水の濃度を越えて蓄積されるこ
とはないことを示したが,ある地域では環境水のHTO濃度よりもOB
T
濃度が高い水生生物が観測されており,その現象については詳細
な調査報告がある。
 まず英国ウェールズ州カーディフ湾(第1図)の河口海域では,
OBT濃度が高い底質微生物や魚類の存在が観測されたが,その原因
となったのは,1940年代より当地で製造されてきた,医学・生命科
学研究や医療診断においてトレーサー物質として使用されるトリチ
ウム標識放射性医薬品の環境中放出である。海水のHTO濃度は10 Bq
/Lまでのレベルだが,底質の有機物や微生物はそれよりも高く,O
BT
濃度が最大1.2×105 Bq / kgの底生魚が観測された時期もあった。
Williams et al. ,2001)。
 同じ現象はフランス地中海側のリオン湾(第1図)でも観測されて
いる。これらの事象の原因物質は,生体内の生理・生化学的代謝反
応を調べるトレーサーとして,医学・薬学分野で利用されることを
目的に意図的に合成されたトリチウム化有機合成化合物であり,一
部は環境中では分解されにくい高分子のものもある。排出基準を守
って環境中に排出された場合でも,自然環境中で分解されにくく,
底質から食物連鎖に入って生態系を循環・残留したものと推定され
た。今では放出が管理され濃度は下がっているとのことであるが,
国際的な警告事象となった例である。しかしトリチウムの線量係数
が小さいため,ヒトの受ける線量は安全な範囲であると結論されて
いる(Eyrolle-Boyer et al ., 2014a, 2014b; Eyrollea et al .,2018)。
 一方,同じフランス国内でも核燃料再処理施設のあるラ・アーグ
では,トリチウムがHTOとして年間1015Bq以上放出されており,第4
図のように海水のHTO濃度がしばしば高いが,底質や海生生物のOBT
濃度は海水のHTO濃度より高くなく,濃縮係数は1,すなわちトリチ
ウムは海洋生物には濃縮されていないと結論されている(Fiévet et al. ,
2021; Masson et al. , 200
5)。
 パーチ湖の観測結果でも,湖底堆積物のTFWTもOBTも湖水のHTO濃
度を越えて濃縮されることはなかった。しかし工業的に生産された
トリチウムで標識された有機化合物が環境中へ排出され,自然界で
は十分に分解されないまま生態系で食物連鎖に入った場合の蓄積現
象は,農薬やその他の環境有害物質の影響評価と同様に観測を継続
しなければならない課題であり,今後も生物の取り込みと排泄モデ
ルの議論を行い,放射線防護・環境管理に役立てることが必要であ
る。
       日本の降水と海水そして陸水のトリチウム

 日本国内では,気象研究所が核実験フォールアウト核種の測定調
査を行う中で,IAEAに東京都内の月間降水中のトリチウム濃度のデ
ータ提供をい, 海水の測定も試みた(Miyake et al .,1975)。その後
気象庁がIAEAに月間降水の水試料自体を提供することになり,採水
場所も公害を避けて岩手県綾里に変更して継続していたが,1986年
にその試料提供も終了されている。また放射線医学総合研究所は,
1973年~2007年まで千葉市の月間降水中トリチウム濃度を独自に測
定しており(放射線医学総合研究所,1979-2002),毎年度の報告書
から抽出して整理されたデータを2010年までデータベースとしてオ
ンライン公開していた。今ではオンライン公開を終了しているが,
研究者の円滑なデータ利用のため,再開されることが望ましい。
 2007年以降の月間降水中トリチウム濃度は原子力規制庁が日本分
析センターに委託して測定し,環境放射線データベース(原子力規
制庁,2021)で公開中である。2011年の3月の測定値は福島事故の影
響を微妙に捉えている。
 日本近海の海水は,放射線医学総合研究所が1970年~1980年に,
日本全国の原子力発電所施設のある海域で原子炉の二次冷却水に使
用される沿岸海水のトリチウム濃度を年に2回測定した。(Inoue and
Kasida, 1978; Tanaka et al ., 1981
)。1975年以降は全国の原子力発電
所立地県を中心に,沿岸の表面海水の濃度が各県の専門家によって
測定されており,原子力規制庁の環境放射線データベース(原子力
規制庁, 2021)に登録されている。


 第7図にそれらの測定値をまとめて図示した。降水中のフォール
アウト起源のトリチウム濃度が減少して,核実験が開始される前の
レベルまで下がっていることが見られる。日本沿岸の表面海水のレ
ベルとして1Bq/Lを前後しているが,採取地点が原子力施設立地県の
沿岸表面海水であるため,時々100Bq/L近くを検出することがある。
また関東平野から流出する陸水の例として,茨城県の河川・湖沼水
の濃度レベルと比較すると同期間の降水中濃度よりも高く,内陸で
一定期間地下に滞留していた地下水が河川に遅れて流出することに
よって,既に濃度が減少した降水の濃度よりも高いことが示されて
いる。沿岸海水のトリチウム濃度が内陸から流出する河川水等の影
響を受けることは,沿岸の海洋環境生態系が陸地から供給される栄
養源物質の影響を受けて形成されることと相似する。
 なお1987~1990年には海洋循環研究の目的で北海道大学によって
日本海の北東部海域のトリチウム濃度測定が行われている(渡辺,
1991)。その後1993年には,旧ソ連が1966年~1992年に日本海北西
部及びカムチャツカ半島南東岸沖の極東海域において,放射性廃棄
物を海洋投棄したことが公に報じられ緊急海洋調査も行われたが,
影響は観測されなかった。投棄が公表される前に行われた北海道大
学の測定は,投棄が継続した時期に偶然相当するが,測定結果の濃
度レベルにその影響は見られていない。ちなみに旧ソ連の放射性廃
棄物海洋投棄はバルト海,バレンツ海,白海(第1図),カラ海にお
いても1959年~1992年に行われていて,上述のHELCOM,OSPARなど
の海洋調査もそれを視野に入れて盛んになったと思われる。

             おわりに

 2011年の福島における原子力事故後,国内外の研究者・事業者が
日本近海での多種の放射性核種の拡散や海生生物への蓄積について,
多くの報告を行いデータベース化への努力がなされており成果が期
待される。欧州では,海洋環境の汚染を監視しつつ工業活動を継続
する中で,特に放出される放射能量が多いトリチウムについて,地
道な分析・測定とデータベース化の努力,安全評価が国際協力の下
で行われている。これらを参考にして,日本でも過去から集積され
てきたトリチウムのデータが,今後の安心度評価のための材料とし
て自由に,また効果的に使用できるよう,効率的に情報公開されて
いくことが望まれる
                       
風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

 J-POPの系譜を探る2009年代】

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ネオビジネスマン考 ④ 

2023年06月19日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。


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絶好調!オオタニ&トラウト
Ohtani & Trout Homerun duo of Angels are out of control in June!

エリアから探す高島市

       三尾の海に網引く民のてまもなく 
          立居につけて都恋しも
                       紫式部

※ この歌は「源氏物語」の作者紫式部が、この地を通ったときに
詠んだもの。平安時代の長徳2年(996年)越前の国司となった父藤
原為時から船路にて湖西を通り越前に向かう。途中、高島の三尾崎
の浜辺で、漁をする人々の網を引く見なれぬ光景に、都の生活を恋
しく思い出し詠める。紫式部の若き日を偲んで、白鬚神社の境内に
歌碑を建立。



『源氏物語』の作者および作品を深層で統御しているものは何か?
『源氏物語』を論ずるのは、ひとつの特定の物語、特定の作品を論
ずることではなく、作品そのもので物語、文学という概念を論ずる
ことである。―作品をつらぬく無意識としての“自然”、霊威=物
の怪に対する人々のありよう、また歴史物語『大鏡』や『栄花物語
』とのトポロジカルな同型性に着目し、作品の構造と深層を浮き彫
りにする。著者の方法意識がもっとも鮮明に発揮された、これぞ吉
本『源氏』論と評される古典論の代表作。

吉本 隆明【著】1982年 大和書房
目次
第1部 母型論
第2部 異和論
第3部 厭離論
第4部 環界論
附録 わが『源氏』
------------------------------------------------------------
  つまりわたしたちはここで、物の怪が病いや、おびえや、憑
 依状態の原因とみなされた、異常に過敏な内面性、しかも集合
 的な内脂性に統御されて振舞う登場人物たちの、ある異様な世
 界を想像する必要があるとおもえる。この世界ではどんな魔も
 憤怨も他者に投射することができるし、他者から被害感として
 感受することもできる。その世界の全体が、さらに「前の世」
 から本質的には決定されているかも知れないのだ。
  桐壷帝は悲嘆のうちにも、いつか先帝の第四の内親王が、亡
 くなった桐壷更衣にそっくりだといううわさをきいて入内させ、
 やがて更衣にもまして寵愛するようになる。なぜかといえば「
 前の世」の定めに、いまもからめとられているからだ。この女
 御(藤壷)は銅壷更衣の輪廻による生れかわりと感じられたの
 だ。藤壷の宮が亡くなった桐壷更衣と、容貌や挙措がそっくり
 だからうっとうしいとか、似てはいるか微妙にちがうのがよい
 とかいった、撰りわけの認識、つまり世界の差異が桐壷帝を動
 かしているのではない。ただ生れかおりの理念に叶っているこ
 とが深い寵愛の根拠なのだ。この理念がまた光源氏をどれだけ
 拘束するかをやがてみることになる。帝はかつて桐壷更衣を異
 常なほどはげしく寵愛し、そのあまりほかの女御たちの冷眼や
 嫉妬をすべて無視するほどだった。それが更衣をみすみす死の
 淵へ追いこんでゆくのを知りながら、寵愛を制御することがで
 きなかった。その「前の世」の定めが蘇えるように、藤壷の宮
 を寵愛することになる。帝が、桐壷更衣から生まれた第二皇子
 である光源氏を、ほかの皇子よりことさら可愛がるのも、銅壷
 更衣から放射される「前の世」の定めの圏内に光源氏が存在す
  るからだ。

    わたしたちは冒頭からすでに特異な相似と反復の世界におか
  れ、その世界を流れる無常と因縁にからめとられる気がする
  だがほんとは、たったいまこの物語の世界に入ったばかりなの
  だ。やがていやおうなくこの世界の特異点に遭遇し、そこで起
  るカタストロフィの定型にふれることになる
    幼い光源氏は母である亡き銅壷更衣の面影などおぼえてはい
  ない。だが亡き母にたいへんよく似たひとだと典侍からいわれ
  たので、子供心にあたらしく継母になった藤壷を「恋しい」と
  おもうようになる。そしていつも藤壷の宮のところへ行き、親
  しくなって、その面影をひたすら眺めていたいとかんがえる。
   桐壷帝は光源氏が元服した後もいつも側においておぎたがっ
  た。光源氏のほうは心のなかで、ただ藤壷の姿が類いなくおも
  えて、ああいう人と婚姻したいものだと憧れるようになる。
  だが元服したあとは、もう前のように御廉の内に入れてはもら
  えない。そして音曲の遊びのおりに、琴や笛の音を聴いて心を
  通わせたり、ほのかなその声をきくのを慰めに、内裏住いを好
  ぎだとおもうようになる。
------------------------------------------------------------
『わが源氏物語ノート ①』:そもそもひらがなとは
 
 野坂山地

       知りぬらむ行き来にならす塩津山 
        世にふる道はからきものとは 
                       紫式部

※ 塩津山を行く人足よ、そなた達も人生の道はこの峠のように険
  しいと知っているだろうに/紫式部の一行の旅の荷物を人足に
    持たせ、難所の塩津峠を越える時、人足たちが愚痴っているの
    を聞いて詠んだ歌。

 ひらがなは、中国から伝来した漢字から日本で派生したもの。西
暦900年頃の平安時代に、そのまえの奈良時代を中心に使われていた
万葉仮名に代わるものとして、ひらがなが広がる。漢字で表されて
いた文章は画数が多く面倒で、日本人は省略して書くようになる。
それを行書と呼び、その漢字の意味にかかわらず、日本語の1音に
漢字1字をあてて音節を表記するようになります(万葉仮名、奈良
時代)。やがて、より簡単に速くかけるようにと、行書はさらに省
略され(草書体)変化しし定着。漢字は本来の日本語の音節に併せ
てバージョンアップを重ね、ひらがなという副産物を生む。また、
その漢字の意味にかかわらず、日本語の1音に漢字1字をあてて音
節を表記するようになる(万葉仮名、奈良時代)。やがて、より簡
単に速くかけるようにと、行書はさらに省略され(草書体)、それ
がひらがなとして定着 。万葉仮名は画数が多く、その省略形として
ひらがなが生まれ、これは最近の日本語でも省略形が次々生まれて
いることと無関係ではない。たとえば明治期には、それまで略字や
誤字として使われていた漢字が正式な字として昇格した(國→国、
學→学、櫻→桜など)。また、ヤバい、エモい、それな、など「感
情の省略形」とも言うべき言葉も若者によって生み出されている。
ひらがなが長い時の要望に応えた一手であるとし、受け入れられる
のも早かったょうで、平安時代にも、官人が地方へ赴任する、いわ
ゆる転勤があったため、ひらがなが日本各地に普及したのは早かっ
たと言われ、わたしたちが使う日本語は、「簡素化」の歴史の上に
横たわっているのでしょう。
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再エネ革命渦論 138: アフターコロナ時代 337
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。



図.宇宙線ミュー粒子によるナビゲーション© 2021 Hiroyuki Tanaka/
Muographix


世界初、ミュー粒子による地下ナビゲーションに成功
【要点】
1.GPSを使えない地下空間等におけるナビゲーション技術の開発に
 成功
2.GPSに変わる新たなグローバルナビゲーション技術の創出
3.将来、屋内、地下、海中等における自律移動ロボットへの活用
 が期待

6月16日、東京大学国際ミュオグラフィ連携研究機構は、同大学生産
技術研究所、および日本電気株式会社、株式会社テクノランドコー
ポレーション、カターニア大学、ダラム大学、北京大学と共同でGP
Sを使えない地下空間等におけるナビゲーション技術(muPS)の開
発に成功。これまで、muPSの受信機は地上局と有線接続されていた
ためナビゲーションの自由度は大きく制限されていたが、今回、無
線muPS技術(MuWNS: muometric wireless navigation system)の実証に
成功したことで、muPSによるナビゲーションの自由度が大きく向上
した。muPSでは、宇宙線ミュー粒子の強い透過力と物質によらない
飛行速度の普遍性から受信機と地上局との間を隔てる物質に依らず、
受信機と地上局との間の距離を高い精度で決定できる。



図1.MuWNSの原理 ©2021 Hiroyuki Tanaka/Muographix Reference1〜
Reference4が4ヶ所の地上局に対応する。BF及び1Fにおける赤矢印が
今回移動した経路。白丸がナビゲーション結果

muPSについて
宇宙線ミュー粒子は、銀河系における超新星爆発などの高エネルギ
ーイベントによって加速される宇宙線と、地球大気が反応してでき
る素粒子の一つである。宇宙線ミュー粒子は透過力が強く、あらゆ
る人工構造物をほぼ真空中の光速度で貫通することができる。送信
者は基準となる地上局と地下受信機との間の宇宙線ミュー粒子飛行
時間を測定することで、地上局と地下受信機との間の距離を正確に
決定できる。地上局を4ヶ所以上設置することで、地下受信機の位置
(x, y, z)および時間の4変数を導出することができる。宇宙線ミ
ュー粒子は地球上いたる所に同じように降り注ぎ、その速度は屋内、
屋外、地上、地下問わず同じ速度が担保されているので、グローバ
ルにmuPSを実施することが可能である(図1)。従来、muPSでは地上
局と受信機との間をケーブルで結び時刻同期を保証していたが、ケ
ーブルの存在はナビゲーションの自由度を大きく制限していた。今
回、受信機に高精度のクロックを実装することで、地上局=受信機間
の時刻同期をケーブルレスで実現。表1に地階におけるMuWNSのナビ
ゲーション精度と地表におけるGPS/GNSS単独測位)精度とを比較す
る。目標精度(1m)には届かないが、都市内におけるGPS単独測位精
度と比べて高いナビゲーション精度を得ることに成功した。

表1:MuWNSのナビゲーション精度
©2021 Hiroyuki Tanaka/Muographix
MuWNSによるナビゲーション誤差と都内、およびカルガリー市街地
で測定されたGPS/GNSS測位誤差とを比較する

【展望】
目標精度(1m)を達成するためには受信機のクロックの精度を上げ
る必要がある。一方、ポスト5Gに向け昨今ではチップスケール原子
時計(CSAC)(注5)の低価格化が進んでいる。現在、受信機のクロ
ックとして実装しているクオーツをCSACに置き換えることで目標精
度の達成が見込まれる。目標精度が達成できれば、自律移動ロボッ
トへの実装が可能となる。MuWNSによる自律移動ロボットは、屋内、
地下、海中等の環境下で複雑な任務の効率的な遂行を可能とする。
家庭、病院、オフィス、工場、鉱山、海洋調査、港湾等において、
緊急対応、セキュリティなど様々なサービスの自動化を含む広範囲
にわたる応用の可能性を秘めている。
【関連論文】
<雑誌名> iScience
<論 文> First Navigation with Wireless Muometric Navigation System (M-
       uWNS) in Indoor and Underground Environments

<著 者> Hiroyuki K. M. Tanaka, Giuseppe Gallo, Jon Gluyas, Osamu
        Kamoshida, Domenico Lo Presti, Takashi Shimizu, Sara Steige-
                  rwald, Koji. Takano6, Yucheng Yang, Yusuke Yokota (muPS
                 collaboration)




Intel12量子ビット搭載チップ「Tunnel Falls研究者向けに提供
6月15日(米国時間)、12量子ビットを搭載した量子研究用チップ
Tunnel Falls」を公開し、量子研究コミュニティに対して提供する
と発表した。Tunnel Fallsは、Intelが研究者向けに発表した初のシリ
コンスピン量子ビットデバイス。標準的なCMOSロジックの処理プロ
セスと同様のフローで製造が可能で、同社の持つプロセス制御技術
と組み合わせることで、ウェハ全体に対して95%の歩留率を実現で
きるとしている。300mmウェハで製造され、1枚で2万4,000個以上の
量子ドットデバイスを提供できる。
同社では、大量生産用の製造設
備を持たない学術機関に対して、Tunnel Fallsを提供。研究者がす
ぐに実験や調査に取り組めるようにし、量子技術に関する幅広い研
究や技術開発を可能にするという。また、すでにTunnel Fallsをベー
スとした次世代量子チップの開発を進めており、2024年にも発表を
予定している。あわせて、Laboratory for Physical Sciences(LPS)、LPS
Qubit Collaboratory(LQC)、Quantum Information Sciences(QIS)
らと、量
子コンピューティングに関する共同研究を行なうなど、各国の研究
機関と連携して、量子エコシステムの構築を進めていく。
via Gigazine

参考図 光吸収能の高い薄膜を用い、効率の良いエネル}ギー移動
を起こさせることによって、錯体単体に比べ約400倍の強発光を達成
した。
薄膜中の発光機構解明で高効率・強発光

6月19日、九州大学と北海道大学は,三価ユウロピウム(Eu(III))錯体を
用いた薄膜における発光過程を1兆分の1秒の時間分解能で逐次解析す
ることによって,その機構を詳細に解明し,薄膜内の光エネルギー移動
効率100%,錯体単体と比較した発光強度400倍を達成。



ところで、発光性希土類金属錯体は色再現度の高い次世代型有機ELデ
ィスプレーなどの発光材料としての応用が期待されている。これまで,
土類金属自身の欠点である非常に低い光吸収能力を克服するため,光
吸収能力の高い有機配位子をアンテナとして配位させ,アンテナからの
光エネルギー移動を利用することで高効率・強発光を実現してきた。


-----------------------------------------------------------------------------------------
しかし,希土類金属の配位構造の制御は非常に難しく,アンテナに使用
できる配位子の開発は限られている。そこで,実際に有機EL素子に使わ
れる発光層状態であるホスト-ゲスト薄膜に着目。   ホスト分子として高い
光吸収能力を持つ分子を用い,さらにホスト分子間,ホスト-ゲスト分子間
のエネルギー移動を高効率に起こさせることができれば, 極めて効率の
高いアンテナとして利用できると考えた。しかし, そのエネルギー移動機
構含む発光機構の詳細は不明で, ホスト-ゲスト膜の設計法は分かって
いなかった。 研究グループは,ゲスト分子として鮮やかな赤色発光を示す
三価ユウロピウムEu(III)錯体:Eu(hfa)3(TPPO)2を用い,様々なホスト分
子を用いたホスト-ゲスト薄膜を作製した。その結果,ホスト分子としてトリ
アジン誘導体:mT2Tを用いた場合に,錯体の配位子の直接励起より約
400倍強い発光を示すことを見出した。これは,高い光吸収能力を持つ数
多くのホスト分子から,発光体であるゲスト分子へ非常に高い効率でエネ
ルギー移動が起こっていることを示す。 さらに,時間分解発光分光で発
光過程を,過渡吸収分光で  非発光性の過渡種の時間変化を  実時間観
測し,ホスト分子励起後の全てのエネルギー移動経路とその時定数を逐
次的に明らかにした結果,このホスト-ゲスト薄膜では,全てのエネルギー
移動効率が約 100% であることが明らかになった。 またこの結果に基づ
き、アンテナとなるホスト分子の選択指針として、(1) 光励起一重項状態
(S1)-三重項状態(T1)間変換(項間交差)効率の最大化、(2) ホスト分子の
T1と有機配位子のT1間エネルギーマッチングの二点が高い発光効率を実
現するために必須であるということを示した。
【展望】
これまでに、Eu(III) 錯体をEL素子へと応用した例は数多くある一方、実
用化に及ぶ発光効率は達成されていない。 理想的な効率が得られない
要因を明らかにするためには、 その発光機構解明が不可欠です。 希土
類錯体を用いたホスト-ゲスト薄膜だけでなくこの手法は, 一般的な発光
性有機分子を用いた薄膜についても適応可能。 分子レベルで 明らかに
した発光機構をもとに 適切な材料選択を行なうことで,さらなる発光効率
化が期待される。 

※ 発光性希土類金属錯体とは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ラン
タノイド15 元素の計 17 元素を希土類金属元素といいます。 この希土類
元素を中心として有機分子などの配位子が配位したものを希土類金属錯
体といい、なかでも鮮やかな発光を示す希土類金属錯体を 発光性希土
類金属錯体といいます。例えば、ユウロピウム(Eu)は赤色、テルビウム(
Tb) は緑色といったように、金属イオンに依存した鋭い発光スペクトルを
持つことが知られている。



渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)



福島原発汚染処理水とは

原 題:海洋におけるトリチウムの動態と海生生物への蓄積:
Behavior of Tritium in the Ocean and Marine Organisms
著 者:宮本霧子 公益財団法人海洋生物環境研究所 
掲載誌:海生研研報,第27号,71-80,2022       

         トリチウムの生物への蓄積

  基準となる数値の1つとして,放射性核種がヒトの健康に影響を
与え
る危険度・安全度の程度を表す定数として,線量係数Dose Coe-
ffi cient,単
位Sv / Bq)というものが放射性核種毎に勧告されている。
具体的には,1Bqの放射性核種を体内に取り込んだ以後50年間に亘り
全身へ負荷されると見積もられる内部被ばくの実効線量(預託実効
線量,committed effective dose,単位Sv)の大きさを表す定数である。
線量係数は1990年まで「実効線量当量(effective dose equivalent)」と
呼ばれていたもので,今でも「線量換算係数」,「実効線量係数」
などという言葉も使われている。

 トリチウムの線量係数は137Cs1000分の1と大変小さい。体内に
取り込んだ場合の影響が小さいことが動物実験などで見積もられて
おり,その結果環境中濃度の管理基準における放出可能な限度量が
大きく設定されている。そうなる原因は,トリチウムの放射線のエ
ネルギーが弱いことや半減期が短いこと,また体内に取り込まれた
後の体外への排泄が早いことによる。水や有機物として体内に取り
込まれたトリチウムは水素として体内で代謝され,一部は有機物へ
合成もされるが,呼吸,分解などの体内代謝で水や有機物として排
泄される。有機物になったトリチウムは水と比べれば排泄が遅くな
るので,その観測結果は一時的にしても体内での蓄積現象と解釈さ
れることもある。

  一方「トリチウム原子は化学反応としては基本的に水素原子とし
て同じように振る舞う」と既述したが,実は「基本的でない振る舞
い」もあり,それはトリチウム原子の質量数(原子核にある中性子
の個数)が3で,プロトン水素よりも重いことによる。水を電気分
解すると,電気化学反応の起こり易さの違いにより,水の同位体濃
縮が可能であることを前述したが,同じように有機物の合成化学反
応においてトリチウムの方がプロトン水素よりも化学結合反応を起
こしにくくなることが推定されよう。過去にこの命題を実証するた
め屋内の計画実験が行われてきたが,トリチウム水を生物に取り込
ませる実験であるため,大気中水蒸気との交換によるトリチウム濃
度の変動(主にはトリチウム水の蒸発による減少)を防止し,実験
期間中に一定濃度を保つための機密性の高い実験系を作ることが難
しく,初期の実験報告値はなかなか定まらなかった。また工業的に
トリチウムを取り扱う施設が周辺環境のモニタリングを行う場合に,
野外で採取した生物試料の有機物中トリチウム濃度が高いとの報告
を行って,物議を醸すことも多々あった。しかしモニタリング当事
者が生物試料を分析・測定する場合,分析室が大気水蒸気中トリチ
ウム濃度が高い施設敷地内にあることが多いため,生物試料を常温
に置いているうちに大気中のトリチウム水蒸気を吸収し,有機化合
物の交換し易い位置に化合した水素と置き換わる現象があることも,
今では理解されるようになった。ここでは数十年に亘る幾多の議論
の末に,IAEAが行ったプロジェクトから導かれた統一的であり最終
的ともいえる報告を紹介したい。

      カナダの観測データから

 カナダは中性子減速材と冷却水として重水素を多く含んだ重水を
利用することにより,235Uを濃縮しないウラン燃料を核分裂させる
CANDU(Canadian Deuterium Uranium) 炉を利用している。北米五大
湖の1つであるオンタリオ湖畔には,CANDU型の原子炉が多くあり
米国にも 電気を供給するほどの運転実績があるが,冷却水中に重
水素の中性子捕獲の核反応によりトリチウムが生成するので,周辺
環境のトリチウム濃度レベルは高く,モニタリングの実績も大きく,
またトリチウムの生物影響や線量評価についての研究も盛んである。
 1940年代から首都オタワの西200kmにあるチョークリバー研究所
でCANDU炉の開発を始めたが,サイト内にある直径約1kmのパーチ
湖には,廃棄物埋設地区から長期間トリチウムが流れ込み,湖水や
生態系のトリチウム濃度レベルが高い平衡状態にある従って湖を自
然界にある水槽のように利用して,水生生物のトリチウム取り込み
について観測データが得られた。
 IAEAではチェルノブイリ事故の後,各国が利用する放射性核種
環境移行モデルの斉一性の議論を行うために,1986年以来モデル相
互比較プロジェクトをいくつも行ってきた。最近では福島の事故に
ついても環境移行モデルの構築とパラメータ収集が行われ,世界で
利用できるモデルの高度化と精緻化の議論が続けられている。その
中で2003~2007年に行われたEMRAS(EnvironmentalModeling for Radi-
ation Safety
)プロジェクトでは,パーチ湖で得られた藻類や魚介類
のトリチウム取り込みデータについてモデルの議論がなされた。
 測定データとして,パーチ湖の湖水,湖底堆積物のトリチウム濃
度などが提供され,参加各国が自国のモデルを使って水生植物,淡
水アサリ,淡水魚などのトリチウム濃度を推測して,後に公開され
る実測値と比較して,モデルやパラメータの是非を議論するもので
ある。(IAEA, 2008)。 
 生物体内のトリチウムのうち,体液・細胞水などのトリチウム水
は,TFWT(Tissue Free Water Tritium,組織自由水トリチウム)
と表現することが多い。一方体内の有機物に結合しているトリチウ
ムはOBT(Organically Bound Tritium,有機結合型トリチウム)と
表現される。



 第5図に公開されたパーチ湖の実測値データをまとめて図示した
ものを示す。湖水のHTO濃度は4000~5000Bq/Lで高く,場所的には
ほぼ均一だが多少の季節変化があった。また水生植物のTFWT濃度は,
採取された場所の湖水中HTO濃度とほぼ同じであったが,枝葉が水
上にもある種類の水生植物は大気中の水蒸気も取り込むため,湖水
中HTO濃度よりも低い観測値もあった。水生動物であるアサリと魚
のTFWT濃度は類似しており,生物体全体に均一に分布していた。ま
た水生動物体の各部分のOBT濃度は5%以内で一致しており,採取時
間や場所での変化をほとんど示さずに,湖水のHTO濃度と同レベル
にあった。また湖底堆積物は,TFWTもOBTも低いレベルであること
が分かった。


 第6図に,水生植物と水生動物のTFWT濃度とOBT濃度の観測値の関
係を示したが,OBT濃度/TFWT濃度は0.5~0.8と整理ができ,OBTへ
のトリチウムの濃縮は起きていない。この観測の結果,水生生物の
TFWT濃度は水のHTO濃度と等しくなるが,OBT濃度はTFWT濃度を越え
ることがないばかりか,TFWT濃度より低くなることが示された。な
ぜ低くなるかは,質量数が大きい同位体の方が化学反応を起こしに
くいということから,トリチウムが生化学反応過程における同位体
効果により,OBTになりにくい結果と説明されている。

 パーチ湖の観測結果から下記のことが推定された。水生生物のTF
WT
濃度は,生物の水代謝反応によって,生物が留まる水塊のHTO
度と等しくなる。しかし移動する生物は,移動先の水塊のHTO濃度に
等しくなるまで一定時間かかるので,水塊のHTO濃度と異なるTFWT
濃度を持つ期間がある。それはOBT濃度についても同じことが起こ
り,生物が留まる水塊のHTO濃度との大小関係は流動的である。ただ
し一定時間が過ぎ,平衡状態になるときは水塊のHTO濃度を越える
ことはない。
                                              この項つづく


きらりと光るDIY 電気ドリルでバフ研磨
最近のDIY器機資材にちょっとした日常革命が進行している。最近、
シェ
イドのパンチング・ホール加工でそれないり効果を発揮して、かな
りの強風に耐え、70%遮光と通気ができるようになっての、防災
窓シャッタなどのの塗装を行う予定で下調べ。資材と工具器機が簡
単に入手できることがわかった。

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

 J-POPの系譜を探る2008年代】



ネオビジネスマン考 ④ わたしの周辺は価値ある仕事があふれている。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)  待ったなし、大季候変動
        例えば、高機動環境グローカル自衛隊の設立とか

※ 思えば、1995年をさかいとして次期事業創生と大規模気候変動対
   策を主要課題の調査研究に入る。
いってみれば、人類の肥大化す
  した欲望を眠らせ慰撫する思索をテーマとする一冊の本を購読し
  たことを思い起こし、相撲でいうところの徳俵ぎりぎりまで追い
  詰められ必死に堪え凌ぐ絵を遊体分離し、覗き込む展開図が頭を
  よぎる。

 

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ネオビジネスマン考 ③

2023年06月17日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



hibiscus yellow eucalyptus
『今朝の一華』
ハイビスカス イエローユカリン
別名:ブッソウゲ(仏桑花)
学名:Hibiscus
科名 / 属名:アオイ科 / フヨウ属(ヒビスクス、ハイビスカス属)
夏の花というイメージが強いハイビスカスは、実は四季咲き性の種
類が多い。戸内での栽培など環境次第では、春から初秋を通じて開
花がのぞめる。
※さし木:在来系とハワイアン系は4月中旬から6月、コーラル系は
5月から9月に枝を10cmほど切ってさします。さし床には水はけ、水
もちのよい清潔な用土(鹿沼土、赤玉土)などが適す。
※知っている? 黄色いハイビスカスの花言葉は「輝き」。由来に
ついて詳しい記載はないものの、ビタミンカラーだってことを。コロ
ナ騒動も落ち着きをみせ。我が家にも「輝き」と「信頼」が降り注ぐ
ような日々が訪れるでしょうか
 

 


午後のお出かけ推し一番! 
先日、ベルロードの「アンデケン」のショートケーキが食べたいと
いうリクエストで『アンデケン彦根店』に出かける。久しぶりの本
格的なショートケーキとあってテンション・アップ。帰りにお土産
のケーキを持参し、新型コロナで疎遠となっていた近くにお住まい
の元上役宅に立ち寄りし近況情報を伝え交換。安堵し帰宅。

 

     


 

【再エネ革命渦論 137: アフターコロナ時代 336】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。

300mmファブ装置投資額、2026年に1188億米ドル
300mm半導体前工程ファブ用装置の投資額は、2026年に全世界で1188
億米ドル規模に達し、過去最高となる予測をSEMIが発表(➲2023.06.
30/EE Times Japan)
韓国が世界をリード、2026年の設備投資額は302億米ドル
SEMIは2023年6月13日(米国時間)、300mm半導体前工程ファブ用装
置の投資額が2026年には全世界で1188億米ドル規模に達し、過去最
高となる予測を発表。高性能コンピュータや車載用途に向けたICの
需要増大によって、2024年以降は設備投資額も2桁伸長を続けると。

 


出所:SEMI
分野別で設備投資をけん引するのはファウンドリー。2023年の446
億米ドルに対し、2026年は621億米ドルに増加。メモリに対する投
資額は2026年に429億米ドルとなる。2023年比で170%増る。この他、ア
ナログ関連の投資は2023年の50億米ドルに対し、2026年は62億米ド
ルとなる予想。

「ネガティブエミッション」日本市場創出向検討スタート
地球レベルでの炭素循環からCO2を固定化・除去するネガティブエミ
ッション技術(NETs)にはさまざまなものがあるが、その固定化・
除去期間は100年以上の長期間であることが重要とされている。大
気中のCO2を除去する「ネガティブエミッション技術(NETs)」。脱炭
素化に貢献する技術の一つとして国際的に普及を目指す動きが広が
っており、日本でもネガティブエミッション市場創出に向けた方針
の検討が始まった。(➲2023年06月09日/スマートジャパン
※ネガティブエミッション技術(NETs)とは、大気中のCO2を回収・
吸収し、貯留・固定化することで大気中のCO2を除去 (CDR:Carbo-
n Dioxide Removal
)することに資する技術の総称である。

【概要】代表的なネガティブエミッション技術(NETs)


エネペディア「ネガティブエミッション技術」を3分解説!」

-------------------------------------------------------------
 

『目次』
プロローグ 衝撃の海外レポート
第1章 一億人国家シナリオの行方
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
第3章 出生率向上のための「3本柱」
第4章 「地方創生」と「移民政策」
第5章 議論百出の人口戦略法案
第6章 波乱の「人口戦略国会」
エピローグ 「始まり」の終わりか、「終わり」の始まりか

【著者略歴】
山崎 史郎(やまさき しろう、1954年〈昭和29年〉12月17日 -)は、
日本の厚生・厚労官僚。リトアニア国駐箚日本国特命全権大使等を
経て、内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。 
------------------------------------------------------------
 第1章 一億人国家シナリオの行方
 2 新政権の発足(202X年10月)  
  
新総理による所信表明演説
  
9月末の与党政友党の総裁選は、4名の候補者で争われた。
 選出されたのは、厚労大臣や財務大臣を歴任し、政策通で知ら
 れている佐野徹であった。
  佐野新総裁が臨時国会で内閣総理大臣の指名を受けたあと、
 10月中旬に召集された臨時国会の冒頭で、新総理による所信表
 明演説が行われた。
   所信表明演説では、総理は個人の所信として、国政の基本方
  針や自らが重要と考えている政策課題を述べる。演説の内容ぱ、
 総理の考えを基に、官房長官や副長官、内閣総務官などで練り
 上げていくケースが多いが、今回は、総裁選直後の早い段階か
 ら、内開府政策統括官の百瀬高太が作成に深く閣わっていた。
 百瀬は、佐野総理とぱ厚労大臣当時から親しく、演説作成を手
 伝うようにとの直々の要請がめったのだ。
  佐野自らが数度にわたって筆を入れて、最終的に閣議で決定
 された所信表明演説は、異例にも、人口減少問題に多くの時間
 を割くものであった。

 所信表明演説の内容(人口戦略部分の抜粋)
 人口減少という、長くて急な坂道
 「今、日本を覆っている暗雲は何か。それは、多くの人びとが
 抱いている、日本の将来に対する不安です。今の日本は、世界
 三位の強い経済力を持ち、国民の多くは豊かで安心した暮らし
 をしています。しかし、将来は一体どうなるのだろうか。子ど
 もや孫、さらに後の将来世代には、一体どんな社会が待ち受け
 ているのだろうか。国民が抱くこうした不安が、新たな物事に
 チャレンジしていく気持ちを萎えさせ、消費や投資を鈍らせて
 います。
  この不安は、100年前、芥川龍之介が書き遺した「将来に
 対する唯ぼんやりとした不安」ではありません。誰もが、しか
 も日本だけでなく世界もが認識している「明白な不安」です。
 多くの人はご存知と思いますが、数カ月前、ある海外シンクタ
 ンクが、日本の将来を予測したレポートを発表しました。この
 予測は、日本の人口減少に、まったく歯止めがかかっていない
 現状がベースになっています。
  日本が人口減少の局面に入ったのは2008年でした。いっ
 たん人口減少が始まると、減少のスピードは速くなっていきま
 す。2020年は、1年間で53万2000人の人口が減りまし
 た。
  年間の出生数が減り続けているのがその要因です。出生数は、
 出生率と子どもを生む若年世代の女性人口によって決まります。
 出生率は、1・34に低下しており、反転の兆しが見えません。
 むしろ、最近のコロナ禍によって一段と低下する可能性が高ま
 っています。そして、若年世代の女性人口はこれからさらに減
 少していくため、このままだと出生数はますます減っていきま
 す。こ傾向が収まるには、出生率が反転し、高い水準で安定す
 る必要がありますが、それには長い期間を要します。残念なこ
 とですが、日本は、人口減少という長くて急な坂道を、まさに
 転げ落ちつつあります。
  日本の人口は、このままいけば2110年には約5300万
 人になる、と推計されています。
  今から約100年前の1915年は同じような人口だったの
 だから、昔に戻るだけではないかという意見もあります。
  しかし、そうした意見は高齢化の問題を度外視しています。
 人口減少は、必ず高齢化の進行を伴います。1915年頃の日
 本は、高齢化率5%の若々しい国でした。これに対して、予想
 されている将来の日本は、高齢化率が匍%に近い、年老いた国
 です。

 三度のチャンス
  なぜ、こんな事態になったのか。率直に申し上げます。これ
 まで日本には、今日の事態を阻止できそうな機会が三度ありま
 した。
 一戻目は、1970年代後半から80年代にかけて、2前後で安
 定していた出生率が大きく低下していった時期です。しかし、
 当時は、戦前の「産めよ、殖やせよ」の政策への反省や、戦後
 以来の出生抑制政策の流れが強かったことから、出産奨励策は
 タブー視され、対策はまったく講じられませんでした。また、
 その背景には、出生率が下がったのは「出産のタイミングの遅
 れ」による一時的現象で、いずれ回復するだろうという楽観的
 見通しが、専門家の間でさえ共有されていたこともありました。
 『出産奨励のタブー視』です。
  この敗北は、私たち日本国民すべてが、力を出し尽くした上
 での敗北だったのでしょうか。
  そうではなくて、いわば、「不戦敗」だったのではないでし
 ょうか。
  乳幼児を抱え、保育所探しに走り回る毎日。親元から遠く離
 れて、相談相手もなく、孤独に耐えながら育児をする毎日。こ
 の間、多くの女性は自らの生活を懸け、仕事をあきらめてまで
 して、出産、子育てに奮闘してきました。保育や幼児教育の現
 場では、不足がちな態勢の中で、懸命に子どもを預かってきま
 した。しかし、多くの父親はどうだったでしょうか。企業はど
 うだったのでしょうか。そして、行政は。政治は。この問題に、
  全身全霊をもって取り組んだのでしょうか。会社の仕事が忙し
  からといって、育児から逃げ、目の前の問題への対処が優先
  れるからといって、少子化対策をなおざりにしてこなかった
  しょうか。 いろいろな制度を作り、対策を講じたといっても
 本当に出生率回復に効果があるものだったのでしょうか。
  このままだと、私たちは、将来世代を育て、日本という国を
 未来につないでいくという、最も重要な責務を怠ったと、後世
 の人々から言われかねません。決して、責任追及や自らの責任
 転嫁のために、このようなことを申し上げているのではありま
 せん。
  私は、この場を借りて、国民の皆様に訴えたいと思います。
 いま一度、いま一度、すべての国民が人口減少を自らの問題と
 してとらえ、今の流れを変えることに、勇気をもって挑戦して
 みようではありませんか。

  人口戦略への挑戦
 諸外国を見ても、スウェーデンやフランスのように、出生率を
 1・8程度に保っている国もありますしかつて日本と並んで出
 生率が低かったドイツは、近年、国をあげて政策を大転換させ
 ました。日本にできないはずはありません。私は、人口減少問
 題を新内閣の最重要課題に位置付け、「一偉人国家」の実現に
 向けて、あらゆる政策を動員していく覚悟です。
  今、政府与党では、子どもに問する様々な課題に総合的に対
 応するために、新たな行政組織を創設することが検討されてい
 ます。これは、組織の縦割りを排除し、関係者が一丸となって
 取り組む上で重要なことです。ただし、当然ですが、組織づく
 りだけでは、人口減少問題は解決しません。それにも増して重
 要なのは、効果ある具体的政策の実行です。
  これまでも政府は、待機児童解消や不妊治療の充実などに取
 り組んできました。しかし、出生率の低下という現象は、結婚、
 出産、育児そして就職、居住、学習といった、様々なライフイ
 ベントの結果として生じているものです。したがって、個別分
 野の施策だけでは解決できません。若年世代の生活全般にわた
 る総合戦略が必要となってきます。 私は、これを「人口戦略」
 と呼んでいます。この人口戦略を検討するため、私を本部長と
 する「人口戦略検討本部」をただちに設置します。この本部に
 おいて精力的に検討を進め、そして、来るべき次期通常国会に、
 人口戦略のため に必要な法案を提出します。 まさに「国家百
 年の大計」であり、「未来への投資」です。論議を尽くそうで
 はありませんか。そして、今度こそ、1つの結論を得て、新た
 な挑戦に向けて、国民の皆様とともに力強い一歩 を踏み出した
 いと思います。日本の将来世代のために、今、我々はこの挑戦
 をあきらめるわけにはいかないからです。
 なにとぞ、皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。

  閣議決定による検討本部の設置
  佐野総理の所信表明演説には、百瀬が主宰した朝食勉強会の成
 果がふんだんに盛り込まれていた。総理が人目減少問題を最重要
 課題とする方針を表明したことぱ、新聞などのメディアで大きく
 取り上げられた。40分近い演説のうち、3分のI以上の時間が割
 かれたことを、総理の並々ならぬ意気込みを示すものとする記事
 が多かった。
  しかし、一方では、これまでも「国難」と言われてきたが、有
 効な政策は実施されてこなかった、要は実効性のある政策が打ち
 出されるかどうかだとして、「お手並み拝見」といった冷ややか
 な見方をするものもあった。
  演説後、週末を挟んでの火曜日の閣議で、「人口戦略検討本
 部」の設置が決定された。本部長(総理人臣)の下に、副本部
 長として、内開府の少子化対策担当大臣の岩淵勝雄が任命され
 た。社会保障分野の経験が長く、丁半芯の通った政治家という
 評判の人物である。そして、官房長官や厚労大臣をはじめ関係
 閣僚が本部長として参加することとなった。
  この検討本部を支える事務局長には、官房副長官(事務)が
 充てられたが、実際に企画立案で中心になったのは、事務局次
 長任命された百瀬である。彼の下に、各府省庁の優秀な官僚や
 民間人材が必要となるため、検討本部設置くと同時に「政府与
 党調整会議」が設置された。メンバーは政府側は、検討木部設
 置と同時に総理、官房長官、少子化対策担当大臣、財務大臣、
 与党側は 欧友党の幹事長と欧洲会長、福祉党の党首、幹事長、
 政調会長であった。こうして政策決定の体制が整えられていっ
 た。
  有識者ヒアリングの実施翌日開催された検討本部の第1回本
  部会議は、佐野総理の人目戦略にかける意気込みを表す挨拶と
  事務局による趣旨説明で、短時間に終わった。
  会議のあと、総理執務室では、総理と総理秘書官たちが会話
  を交わしていた。佐野総理との関わりが長く、佐野の考えを熟
  知している総理秘書官の外山が話しかける。
 「お疲れ様でした。総理の熱意ぱ、メンバーの皆さんによく伝
  わったと思います」
 「そうだといいけどね」
  少し疲れた表情を浮かべる佐野に、外山は新聞を取り出しな
  がから、「週末の世論調査では、内閣支持率が50%を超え圭し
 たし国民も理解してくれていると思います」と言う。
  そこに割って入ったのが、新参の総理秘書官の久保だった。
 「ただ、来年7には参議院選挙が予定されてい圭すので、国民
 負担がからかような話を持ち出すのには、やはり環境は厳しい
 ですね」
 「まあ、そうだけど、選挙のことを言い始めたら、何もできな
 くなるしね」と佐野が外山に視線を送ると、
 「そうですよ。来年は参議院選挙だけど、再来年になれば、衆
 議院の解歌風が強まるかもしれないし。いつも何がしかの選挙
 があると思わないと……」と外山が返した。
 それにしても、これだけの大きなテーマだと、通常はI~2年
 程度かけて、審議会などの議論や関係団体との調整を積み上げ
 ていくのだが、それをすっ飛ばしての荒業になってしまう」。
 久保がそのことを指摘すると、
 「時間がないのだから、しょうがないよ。それに、審議会や検
 討会での議論は、これまで散々やってきたんじやないか」と、
 外山も譲らない。
 「私も、厚労大臣の時から何度も少子化対策に取り組んできた
 のだけど、うまくいかないことが多くてね・・・・・・。もう、残さ
 れた時間はあまりないんだ。最終的には、私が決めるよ」
 こう言って佐野が議論を収めたが、その後、衆議を尽くすプロ
 セスが大事だとする周囲からのアドバイスもあり、総理大臣が
 有識者や関係団体の意見を直接聴く、「有識者ヒアリング」が
 行われることとなった。
  この有識者ヒアリングは、おおむね週I回というハイペース
 で年内に7回開催され、人口・経済・社会保障などの専門家、
 保育・幼児教育や医療福祉の関係団体、経済団体、労働団体、
 女性団体、地方自治体など幅広い関係者が招かれ、人目減少や
 若年世代支援などをめぐり活発な意見交換が行われた。総理の
 みならず検討本部の事務局にとって、様々な関係者の意見を聴
 く貴重な機会となるとともに、会議はすべて公開で行われたた
 め、国民への情報発信にもなった。そして、この有識者ヒアリ
 ングをきっかけは、人口戦略し関するいくつかの収要な政策決
 定が行われることになつたのである。

✔当初は、経済・所得政策の再構築で問題経穴すると考え読えたが
読み始めると、「教育(学校)とは社会の縮図」の延長ではなく「
文明論」まで拡張しなければならないとの疑問にとりつかれる。ど
ちらにしろこのまま読み切ることで決着させたいと思う。

                      この項つづく
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「ネガティブエミッション」、日本の市場創出向け検討始動
ネガティブエミッション技術(NETs)とは、大気中のCO2を回収・吸
収し、貯留・固定化することで大気中のCO2を除去 (CDR:Carbon
Dioxide Removal)することに資する技術の総称である。
脱炭素化に貢献する技術の一つとして国際的に普及を目指す動きが広
がっており、日本でもネガティブエミッション市場創出に向けた方針
の検討が始まった。(➲2023.06.09 スマートジャパン)


【概要】
地球レベルでの炭素循環からCO2を固定化・除去するネガティブエミ
ッション技術(NETs)にはさまざまなものがあるが、その固定化・
除去期間は100年以上の長期間であることが重要とされている。

IPCC第6次評価報告書においては、CDRは排出削減を代替することはで
きないものの、短期的にはネット排出削減の強化、中長期的にはネッ
トゼロやネットマイナス達成のための手法としての補完的な役割が認
められており、カーボンニュートラル達成には世界全体で、年間約
2~10Gt(20~100億トン)の「除去」が必要と試算されている。この
ため、経済産業省では「ネガティブエミッション市場創出に向けた検
討会」を設置し、国内外のNETsの動向を整理し、ネガティブエミッシ
ョン市場創出に向けた方針を検討することとした。


出典:ネガティブエミッション市場創出に向けた検討会
参考:エネペディア.「ネガティブエミッション技術」を3分解説!

 再生可能な魔法のような接着剤、光で制御
  水中でのリモート接着作業も可能
6月14日、国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS) は、接着と
剥離を何度でも繰り返すことができ、かつ、必要な時には基材と接
着剤を元の状態にリセットできる、再生可能な接着剤を開発。


図 1 使用中に破断しても何度でもリユースすることができ、役目
 が終わったらリセット・再利用できる接着剤の概略図

【概要】
境への配慮と経済成長の両立への意識の高まりの中、複数部材からな
る成形加工品を原材料に分離・回収する技術が求められています。そ
の中で、使用時には十分な接着力を発揮し、役目が終わると容易に剥
離することができる新たな接着方法が注目されています。そもそも
接着と剥離は、矛盾する要素が含まれていることから、強力な接着力
と容易な剥離を両立することは困難でした。また、解体できたとして
も、基材に接着剤が残ったり、基材が壊れたりすることもあり、マテ
リアル循環を妨げる要因になっていた。
同研究チームは、波長の異なる紫外線を照射することで架橋・脱架橋
反応を可逆的に引き起こすカフェ酸に注目。カフェ酸を組み込んだ高
分子を基材に塗布したのちに、波長365nmの紫外線を当てると、架橋
反応によって不溶化した塗膜となります。この塗膜は室温で保存して
いる状態では接着性を示さないのですが、加熱することで接着と剥離
を何度でも繰り返すことができます。さらに、使用期間が終わった際
には、波長254 nmの紫外線を照射することで、架橋した部分が開裂し
塗布前と同じ状態にリセットされることで、接着剤と基板の両方を回
収、再利用できるようになります。また、カフェ酸の化学構造に含ま
れるカテコール基は、付着生物であるムラサキイガイが分泌する接着
成分にも多く含まれており、フッ素樹脂や水中での接着など、一般的
な接着剤が苦手とする基材や使用環境においても、強力な接着力とリ
サイクル性を発揮。
【展望】
今後は、マテリアル循環を指向したものづくりに貢献する接着剤とし
て、電子機器や輸送機器、医療機器、インフラ補修など様々な用途に
展開する。
【関連技術論文】
1.原 題:Bio-inspired Adhesive with Reset-On Demand, Reuse-M
      any (RORM) Modes
2.掲載誌;Advanced Functional Materials
3.掲載日:2023年6月13日 (日本時間) 
4.DOI  :10.1002/adfm.202215064


図1.窒化ホウ素量子センサのナノ配列
(a)六方晶窒化ホウ素中のホウ素空孔欠陥。ホウ素原子が空孔に置き
換わった構造をもつ。原子サイズの量子センサとして磁場測定に利
用できる。この磁場に敏感な量子センサは、ナノサイズの“方位磁
針のように振る舞う。(b)量子センサのナノ配列の発光量分布。整
列した複数の輝点の位置には、量子センサが多数生成される。シリ
コン基板上の金線に貼り付けた窒化ホウ素のナノ薄膜に対してヘリ
ウムイオンビームを照射して量子センサを配置。各スポットは光学
分解能(400 nm)と同程度に広がって見えますが、実際にはイオン
ビームの照射スポット(100 nm)と同じ大きさであり、金線上の量
子センサは発光量が増すため磁場感度が高くなる。

 狙った場所に発光欠陥を生成し量子センサに変換
    量子センサを自在に並べる! 
    狙った位置にナノサイズの方位磁針をつくる
6月14日、東京大学らの研究グループは、量子センサをナノスケー
ルのサイズで自在に並べる技術の開発に成功する。
【要点】
1.量子センサ:量子化されたエネルギー準位を利用して物理量を
 測定できるセンサ。電子の磁気的な性質であるスピンが、磁場に
 対して上向き、下向きに量子化した準位を利用して磁場強度を測
 定。この磁場に敏感な量子センサは、原子サイズの方位磁針
 
と例え ることができる。
2.窒化ホウ素結晶中の狙った場所にヘリウムイオン顕微鏡で発光
 欠陥を生成し、量子センサ動作を実証
3.ナノ配列した量子センサによる高空間分解能な磁場イメージン
 グが可能
4.磁性・電流を局所的かつ定量的に検出する手法として幅広い研
 究分野への貢献できる。


図2:金線を流れる電流が作る磁場のイメージング
異なる位置にある量子センサの磁場測定で得られたデータを金線か
らの距離に対して解析した結果です。電流が作る磁場分布は高精度
に数値シミュレーションでき、実験結果はこのシミュレーション結
果と良く整合する。この結果、この手法で配置した量子センサが高
い空間分解能で磁場を検出できる原理を実証する。



産業用フルSiCパワー半導体モジュールNXタイプ」サンプル提供開
内部インダクタンス低減とSiCチップ搭載により産業用機器の高
効率
化、小型・軽量化
6月13日、2010年からSiCチップを搭載したモジュール製品を市場投
入してきた。今回、パッケージ内の電極構造の最適化により、内部
インダクタンスを従来比で約47%低減※2した9nH※3を実現すると
ともに、第二世代SiCチップを搭載した「産業用フルSiCパワー半導
体モジュールNXタイプ」のサンプル提供を開始します。SiCチップ
の低損失特性に加え、内部インダクタンス低減により、さらなる電
力損失の低減が可能となり、産業用機器の高効率化、小型・軽量化
に貢献する。


ネオビジネスマン考 ③


知識ゼロからの空き家対策
著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればい
いかわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことを
お教えします!
【要点】
●多様化する空き家の活用法
●親が元気なうちから対策を
●空き家対策の流れ ほか
【目次】
第1章 ●空き家問題と対策のポイントを理解する ●負不動産にな
る空き家と富動産になる空き家 ほか
第2章 ●空き家の履歴書を作成し、実態を把握する ●空き家の履
歴書の作り方 ほか
第3章 ●空き家の片づけ ●空き家の管理 ●外部に相談する ●相
続登記 ほか
第4章 相続争いを防ぎ、“未来の空き家”に備える ●未来の空き
家の原因 ●家族信託とは ●遺言とは ほか
第5章 これだけは知っておきたい トラブルを防ぐ不動産取引の基
礎知識 ●不動産取引の基本 不動産会社の選び方 査定 媒介契約
など ●売るとき 全体の流れ インスペクション 測量 など ●貸
すとき全体の流れ 賃貸条件 賃貸借契約 など 知識ゼロからの空き
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渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)



福島原発汚染処理水とは ⑧

原 題:海洋におけるトリチウムの動態と海生生物への蓄積:
Behavior of Tritium in the Ocean and Marine Organisms
著 者:宮本霧子 公益財団法人海洋生物環境研究所 
掲載誌:海生研研報,第27号,71-80,2022



トリチウムの生物への蓄積
 本稿題名の中の「海生生物への蓄積」の趣意は,海生生物が海洋
環境からトリチウムを取り込むとその後どうなるのか,濃縮される
のではないか,という基本的な問いかけを意味する。トリチウム原
子は化学反応としては基本的に水素原子として同じに振る舞うので,
まず海水から水として,また様々な有機物に化合した水素として生
物体内に摂取され,その後の振舞いが問題になる。137Csなどの放射
性核種の取り込みについての研究では,室内に置いた水槽の中で生
物を飼い,水中の137Csが生物体内に取り込まれた量を,時間を追っ
て測定し,蓄積量を調査することが行われてきた。水中の濃度に対
する生物体内中の濃度を比較し,何倍濃縮されるかその濃縮係数を
求めることが,様々な実験条件で多くの生物種について調査研究さ
れ,そのデータが各国で,日本においても,そしてIAEAのデータブ
ックとしてまとめられている。その数値を利用して,原子力施設か
ら環境中に放出できる放射性核種の量を決め,原子力平和利用を行
う仕組みになっている。

 放射性核種が発する放射線には種類がありエネルギーも異なる。
またヒトが放射性核種を体内に取り込んだ場合の,その核種の生理
代謝的な振る舞いもさまざまである。骨に集まる性質のある元素の
同位体であれば骨に蓄積し,筋肉を構成する元素の同位体なら筋肉
に移動する。また蓄積した後に,発する放射線がヒトにどのような
健康影響を及ぼすかについても,様々な影響因子が関係する。こう
して,防護の基準となる数値を定めて安全に放射線を利用すること
を目的に,様々な角度から多くの研究が過去に行われたが,それら
の公開された研究結果を,ICRP(International Commission on Radiolo-
gical Protection
, 国際放射線防護委員会)が解析評価し,基準とす
べき数値を決定して勧告を行ってきている。日本もICRP勧告にある
考え方や基準の数値を取り入れて,トリチウムも含め,様々な放射
線から防護するための法律を定めている。
                                               この項つづく
風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2007年代


● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)  

 

 

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源氏物語論考②

2023年06月14日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。




                   大南風おおはえや 天の叫びに 覚醒す
                                             



『源氏物語』の作者および作品を深層で統御しているものは何か?
『源氏物語』を論ずるのは、ひとつの特定の物語、特定の作品を論
ずることではなく、作品そのもので物語、文学という概念を論ずる
ことである。―作品をつらぬく無意識としての“自然”、霊威=物
の怪に対する人々のありよう、また歴史物語『大鏡』や『栄花物語
』とのトポロジカルな同型性に着目し、作品の構造と深層を浮き彫
りにする。著者の方法意識がもっとも鮮明に発揮された、これぞ吉
本『源氏』論と評される古典論の代表作。

吉本 隆明【著】1982年 大和書房
目次
第1部 母型論
第2部 異和論
第3部 厭離論
第4部 環界論
附録 わが『源氏』
------------------------------------------------------------

 

桐壷更衣が死んだあとも、面影が忘れられず悲嘆がつのるばかりの
帝は、更衣の母のところに「靭負の命婦」を見舞に訪ぱせる。そし
てとりのこされた更衣の母に、命婦がいうところがある。

 お上もおなじような思いであられるのでしょう。「じぶんの心
 から出たとはいえ、はげしく人目を驚かすほどに、更衣を寵愛
 してしまったのも、良くはつづかないような契りが、前の世の
 定めなのだと予感していたからだとおもえて、可哀そうな気が
 する。じぶんはすこしも世間の人の心を歪めたりしたことはな
 いとおもってきたが、ただこの更衣への寵愛のためにだけ、た
 くさんの人から負わなくてもいい恨みを負ってしまい、そのは
 ての果てに、こうして独りとりのこされて、気持をしづめる手
 だてもない思いなのに、ますますまわりの人目が悪く、かたく
 なに冷たくなってゆくにつけても、更衣との前世からの結びつ
 きが懐しくてならない。」と繰返しおっしゃりながら、しょげ
 がちにして ばかりおられます。       (「桐壹」)

身分今後立てのない銅壷更衣を、はげしくひたすらに寵愛し、見さ
かいもなくのめり込んでいったため、宮廷の顕官を背景にもった高
ぶった女御たちの反感や恨みや嫉妬を浴び、それが病弱の更衣をま
すまます衰弱に追いやった。はては哀れな更衣を死なせてしまった。
そういうのを実際の認識の順序とすれば、ここで命婦が語る桐壷帝
の認識は遂になっている。
「前の世」にすでに長くはつづかない契りだと定められていたから
こそ、じぶんは周囲の思惑などを顕りみる余裕もなく、かくもひた
すら更衣を寵愛するはめになったのだ。これが桐壷帝をとらえてい
る認識である。前世の約定がはじめにあり、その約定が無意識の世
界に溶遠して、じぶんの挙動をうながした。そのためにじぶんはあ
んな異常なほどはげしい行為をとった。そう思い入れている。これ
はじぶんの振舞いを反省し、弁解するため語られているのではない。
登場人物の挙動を統御する名づけられない認識の装置として語られ
ていることがわかる。人びとの挙動を支配し、遠隔操作みたいに眼
に視えない形で制御し、知らずしらずその通りにさせてしまう無声
の声がある。それは「前の世」から聞えてきて、無意識をおとづれ
るふうに今ってくる。すると運命は自然とにた潜在力で人びとを動
かしているとおもわれてくる。この世界のかこう岸に「前の世」と
いう母型があり、人びとはこの母型からやってくる声に幼児みたい
に暗示されて振舞うのだ。
 はじめの「桐壷」の巻は、語りの構成としてみれば、家柄今後立
てがない無力で病弱な桐壷更衣から生れた第二皇子を、外戚の威力
もない無品の親王にしておきたくない帝が、源氏の姓を与えて臣籍
にうつす。いねば主人公光源氏の生誕にまつわる挿話ということに
なる。だが作品の本質からいえば『源氏物語』全体の認識の型をは
じめに暗示するものとなっている。
 銅壷帝は、女御たちの嫉妬や冷眼の渦が、ますますじぶんを疎ま
しくさせる世界にいて、寵愛すればするほど、桐壷更衣を苦境に追
いこんでゆく。それをよく知りながら、異常なほどこの更衣に心を
傾け、片時も傍から離したがらない。桐壷更衣がやさしい思いやり
をもった美貌の魅力ある女性だとは、もちろん書かれている。だが
桐壷更衣を死に追いこんでもなお、寵愛せずにおられない帝の内的
な必然は、まったく描かれていない。まるで物の怪に憑かれて「前
の世」の定めに吸引されていった。そう解するよりしようがないよ
うに描かれているだけだ。いねば桐壷帝の寵愛の仕方は非個性的で
唐突であり、その分だけ無意識の約束という理念が代償している。

✔ これは面白い。しかし時間だ。またにしよう。


渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)



福島原発汚染処理水とは ⑦
この問題では、「内部被爆」と「不評被害」を中心に考えられてき
たように思えるが、
①福島原発事故後の自然災害及び人的災害などの被災時の対応はど
のように想定され、その危機管理工程図は存在するのか?
②ALPS処理水輩出前後の福島周辺生態系での放射性物質の時系列生
物濃縮実追跡態調査※1工程図は存在するのか?
いま、これに関する情報収集を今日から開始しようと考えている。
以下次の技術報告書を参照する。

原 題:海洋におけるトリチウムの動態と海生生物への蓄積:
Behavior of Tritium in the Ocean and Marine Organisms
著 者:宮本霧子 公益財団法人海洋生物環境研究所 
掲載誌:海生研研報,第27号,71-80,2022
【要約】海洋環境保全や気候変動適応を目的として,国際的な海洋
調査プロジェクトで測定された海水や海生生物中の放射性核種濃度
が地域から全球まで様々なレベルでデータベース化されている。宇
宙線粒子と大気中原子との核反応と,核実験や原子力平和利用で生
成したトリチウムも同様で,最初は1970年代のGEOSECSで海洋循環
を解明するトレーサーとして利用された。欧州の海域では,核廃棄
物 の海洋投棄や原子力施設排水の影響が調査されているが、トリチ
ウムで標識された有機化合物が廃棄された地域の海生生物には蓄積
現象が観測された。原子力発電所のある日本沿岸海水も,1970年代
より地域の降水やその海域に流出する陸水とともに測定値がデータ
ベース化されているので,様々な視点から今後の有効利用が望まれる
【鍵語】トリチウム,海水,海洋調査,海生生物,蓄積,データベ
ース,IAEA,MARIS
------------------------------------------------------------
まえがき
(前略)水素の同位体である放射性のトリチウムを含む ALPS処理水が
福島から海洋へ放出される計画が 公表され世間を騒がせている(経
済産業省, 2021)。トリチウムは太古より地球上に常に一定量存在
した放射性核種だが,核実験により地球上の濃度レベルが一時期100
倍に増加したこともあった。1970年代には海洋循環を解明するトレ
ーサー物質として有効利用する目的で国際的な海洋調査も行われた
が,現在では原子力平和利用から海洋環境を保全する目的で測定が
様々に行われてきている。本稿では一部だがそれらのデータを見る
ことによって,海水中のトリチウム動態について過去から現在まで
の変遷を概観する。また,環境汚染物質について懸念されるのは海
生生物への蓄積現象であろう。トリチウムについて蓄積ありやなし
やと行われた国際的な議論を解説して,読者の判断材料に供したい。

海洋循環の解明と海洋生態系保全のために
GEOSECS(Geochemical Ocean Sections Study (当初はSurvey)は国際的
な海洋調査プロジェクトとして不滅の金字塔である。1972年~1978
年に行われ,大西洋,太平洋,インド洋において,温度や密度など
の物理的測定と共に,化学物質や放射性核種の濃度測定も行われた。
海洋の循環について知見を求めるプロジェクトであったが,1945年
以来行われた大気圏内核実験で地球上に放出された人工の放射性核
種(フォールアウト核種)も測定された。特にトリチウムや炭素14
の核種は,それぞれ水素元素と炭素元素の同位体であるため,海洋
の循環についての知見を得るトレーサー物質(目的とする物質の移
動現象を追跡するために目印として使える物質)として利用できるこ
とが期待された。海洋汚染を監視するために測定対象となるのは海
水中の溶存・浮遊物質であるが,その運び屋である水分子の循環現
象がまず興味の対象となる。トリチウムも水として挙動するので,
トレーサーとして当初より期待が大きかった。同じく水素の非放射
性同位体である重水素はトリチウムに比べて多量にあるため,海水
中の濃度が世界の海で均一と見做され,地球規模の海洋循環のトレ
ーサーとして使用できない。トリチウムは全水素原子数の10-16%し
か存在しないが,放出するβ放射線の精密測定が可能になりトレー
サーとして期待されたのである。現在でも,大小の様々な海洋調査
が行われているが,特に欧州近くの北東大西洋,北海,バルト海な
ど,人口が多く原子力施設があり,工業生産や物流活動が盛んで汚
染物質の負荷が大きくかかる海域では危機感も強く,継続的に調査
活動が行われている。その結果として得られた測定値をデータベー
ス化し,オンライン公開して世界中に自由にデータ利用を促すもの
もある。IAEA(International Atomic Energy Association,国際原子力機
関)に所属するモナコの環境研究所(IAEA Environment Laborato
ries
)は,MARISデータベース(Marine Radioactivity Information System
海洋放射能情報システム)を運営して,世界各国からのデータ提供
も呼び掛けている(IAEA MARIS, 2021)。MARISに登録されている
海水中の トリチウム濃度としては,まずバルト海(第1図)の環境
保護を目的とする1980年発効のヘルシンキ条約に基べくヘルシンキ
委員会(HELCOM, Baltic Marine Environment Protection Commission
)の観測データと,北東大西洋を中心に1998年発効のオスパール条
約(OSPAR,Convention for the Protection of the Marine Environment
of the NorthEast Atlantic
)に基づくオスパール委員会が提供する観測
データ,そしてフランスがラ・アーグにある核燃料再処理施設を視
野に置き1982年から収 集したBailly du Boisらの観測デタなど,大量
にある。
本稿に関連する海域名や地名を図示した。ちなみに海洋生
物環境研究所の観測した福島沖や青森沖の海水中トリチウム濃度デ
ータも2014年以来MARISに掲載されている。

1990年から始まった大規模な国際協同研究計画 WOCE(World Ocean
Circulation Experi
ment, 世界海洋循環実験計画)においては,eWO
CEの
名称でデータベースがオンラインで公開されている が,トリ
チウムも重要な位置を占めている。ただし,現在の海水中トリチウ
ム濃度は小さく,鉛直分布を精密測定することが困難なので,海洋
循環の研究にはトリチウムの娘核種である質量数3のヘリウム同位体
の存在量が利用されている。大気から海表面に降下したトリチウム
が放射壊変してできる 3Heは,海表面からは気圏に逃げるので表面
海水中には少ない。しかし,フォールアウト起源のトリチウムが大
量にあった時期に海表面に降下して海洋循環によって深部へ降下し
た後のトリチウムは,3He になってもそのまま深部に残存し 移動す
るので,今現在の3Heの分布を測定すれば 海洋循環のトレーサーとし
て利用できる。真空管理装置と質量分析技術の進歩により,宇宙科
学や 地球科学の分野においても大気圏・地殻圏に存在するヘリウム
同位体比を利用した様々な研究が行われているが,深層海水中の
3Heの原子数を測定することによって,かつてあっ
たトリチウム存在量を推定し,海洋循環について総論もまとめられ
ている(Jenkins et al., 2019)。
また 2005 年より 30か国以上が協力して GEOTRACES(An Internat-
ional Study of the Marine Biogeochemical Cycles of Trace Elements and
Their Isotopes
,海洋の微量元素・同位体による生物地 球化学研究)
という国際プロジェクトも進行中である。海洋循環の解明が,地球
にとって喫緊の課題である気候変動問題の課題の洗い出しと解決策
の提言にとって重要であることを視野に入れて行われている。

日本も力を入れているので,海洋のトリチウム濃度の測定値が提供
され,解析されていくことが期待される。自然界でのトリチウム生
成トリチウムは,核実験が終息した現在では原子力平和利用によっ
て環境へ放出されることが改めて世間を騒がせているが,そもそも
は天然に存在する放射性核種である。宇宙線が成層圏大気中の窒素
や酸素原子と衝突して核反応を起こし,恒久的・永続的に生成され
ている。計算によると,1年間に1017 Bq(ベクレル近くのトリチウ
ムが大 気中で粛々と生成されている。地球科学,海洋科学の分野に
おける物質中のトリチウム存在量・濃度の単位にはTU(Tritium Unit)
が使用されることが多い。1TUとは,プロトン(H2軽水素,質量数1
の水素原子)の原子数存在量を1とした場合 トリチウム(3H,tritium
三重水素,質量数3の水素原子)の存在する原子数存在量が10-18
ベルであることを意味する。非常に少ない物質が水の場合の1TUは
0.118 Bq/L に等しい。ちなみにもう1つの水素 同位体であるデュ
ウテリウム(2 H,deuterium,重水素,質量数2の水素原子)の原子
数存在量は,1.5×10-4レベルであり,レベルで比較してみれば ト
リチウムの1014倍多い。なお1970年代の論文。などでは,トリチウ
ム濃度の単位として現在は既に 使われなくなっているTR(Tritium
Ratio
,トリチウム比)が散見される。1TRは水の場合に1TUに 等し
く,0.118Bq/Lに相当する。宇宙線によって生成するトリチウムは,
核実験が開始されるより前,水を電気分解する過程で既にその存在
は発見されていた。電極を浸して水を電気分解すると,イオン化し
た水素と酸素が両電極に分かれて移動し,電極表面上で水素と酸素
の各気体分子に変化する電気化学的な反応が起こる。化学反応速度
は同位体効果を受けるため,質量数が大きい同位体の方が化学反応
が起こりにくく,質量数の大きい重水素と,更に大きいトリチウム
の方が,液体の水相の方に多く残っていき,水の同位体濃縮が起こ
る。欧州では1930年代より加速器や質量分析計を利用していこの現
象が解析され,質量数3の三重水素の存在が証明されたのである。  
1945年アメリカニューメキシコ州で行われた最初の核実験以来,同
年に広島・長崎に実戦使用された原子爆弾を含め,1963年に部分的
核実験禁止条約(PTBT)が発効するまでに,2000回以上の核実験が
行われ,総計1020 Bq(ベクレル)のトリチウムが生成された。以来,
半減期12.3年の放射壊変により全体としては減少しつつ,宇宙線で
生成され大気圏から注入され続ける自然のトリチウ ムと混じりな
がら,水素同位体として区別なく地 球上を循環してきた。ちなみに
1996年に締結された包括的核実験禁止条約(CTBT)は未加盟の核保
有国があり,核実験実施の可能性はまだ残っている。

降水として地球に供給されるトリチウム
海水ばかりでなく,陸水・淡水,即ち降水・地下水・河川水・湖沼
水の地球規模での水文学的循環解明についてもトリチウムがトレー
サー利用できることは当然期待されてきた。大気圏で宇宙線の起こ
した核反応によって生成したトリチウムは酸素と結合して水分子と
なった後,対流圏に降下し,大気中の水蒸気→降水→地下水→河川
水→海水→大気水蒸気のように循環する。半減期が12.3年のトリチ
ウム濃度を測定すれば,地下水が地表面に流出するまでの地下滞留
時間の推定(年代測定)や,陸水が海洋に流出するまでの陸圏での
滞留時間の推定などに利用できる。皮肉なことだが核実験により存
在量が増加したために以前より測 定が容易になり,また核実験は主に
大気圏で行わ れたので,大気圏から注入される水循環のトレー サ
ーとして極めて都合がよかった。

そのニーズを受け,IAEAは1960年よりWMO(世 界気象機関)との連
携で,世界500箇所以上から 月間降水中の重水素,重酸素(18O)
濃度の測定 値と共に,トリチウム濃度データを収集し,また 自ら
も盛んに測定を行った。現在でも主に陸水圏で見られる重水素・重
酸素濃度の微少な偏りや地域分布を利用して,水蒸気蒸発や降雨液
化現象の 解析,大気中の熱エネルギー収支の解析を行う気候変動
究に資するために,IAEAのGNIP (Global etwork of Isotopes in Precipi-
ta
tion)データベース としてデータ収集と公開が続いている。 GNIP
の測定は月間降水について行われGNIPの測定は月間降水について行わ
れている が,180箇所の気象観測所が選ばれ,各月の降水量を使っ
て荷重平均計算処理を行い,1987年までの年平均濃度をIAEAが単行
本にまとめている(IAEA,1992)。本稿では,その中から東京と共
に,北米内陸のカナダ首都オタワ,欧州内陸のIAEAがあるオースト
リア首都ウィーン,欧州沿岸のオランダの都市フローニンゲン,そ
して太平洋中央部に位置するミッドウェイ島と,北半球から4地点を
選んで年平均濃度の変遷を第2図に図示した。どこも1963年をピーク
としているが,海洋からの距離などの立地条件の違いにより,推移
する濃度レベルが異なっている。宇宙線による核反応で生成したト
リチウムも,大気圏内核実験で核分裂により生成したトリチウム等
フォールアウト核種も,成層圏と対流圏の境界にある圏界面にで き
る裂け目から,主に中緯度に降下する。また大気中水蒸気量が海洋
上の方が大陸上よりも多いため,内陸から沿岸方向に大気水蒸気中ト
リチウム 濃度に減少の勾配が生じる。

  こうして第2図のように立地条件の違いにより降水中濃度レベルの
推移も異なった。また陸水圏では,大気水蒸気が降水として地下水
に涵養された後,一定期間の地下貯留を経てから河川水として地表
面に流出するので, その遅れを反映して河川水とその土地の降水の
トリチウム濃度レベルとは異なってくる。このような複合的要因に
より,今なお河川水は海水よりもトリチウム濃度が高く,涵養され
た降水の濃度だけでなく,河川流域の大きさや海岸からの距離,流
域全体の構造によって,海洋へ流出する陸水の濃度レベルが変動す
る。なおここでは北半球5地点のデータのみ示したが,多くの核実験
が北半球で行われたため,南半球よりも北半球のフォールアウト濃
度レベルが高かったことが知られている。

海洋汚染調査の対象となるトリチウム
  第3図にMARISデータベースから抽出したGEOSECSで測定されたトリ
チウム濃度について大西洋,太平洋,インド洋の採水深度が100mよ
り 浅い表面海水のデータを図示した(IAEA MARIS,2021)。当時の
地球へのフォールアウト降下量の違いを反映して,どの海域でも北
半球の 表面海水は南半球の表面海水よりもトリチウム濃度が高いこ
とが分かる。またIAEAの月間降水データベースに登録されている,
南・北大西洋,南・北太平洋,インド洋の5か所の採水地点を選び
月間降水中濃度を第3図に同時にプロットした(IAEA,1992)。1970
年代ではこの5地点で各海域による降水中の濃度にほとんど差が見ら
れない。また表面海水中濃度はどの海洋でも降水中濃度よりも低い
傾向が顕著に表れている。海洋が大きな水のリザーバーとして,大
気圏から降下したフォールアウトトリチウムの希釈・拡散に寄与し
た結果と推定されるが,均一濃度になるまでは混 合されていない。
このGEOSECSプロジェクトにより,初めて放射性同位体を利用して
海洋の循環について多くの知見が得られたが(Östlundet al., 1987),
その後のWOCE,GEOTRACESなどのプロジェクトも気候変動問題
の解決に役立つことが期待される。

MARISデータベースには,最近までのHHELCOM(バルト海),OSPAR
(アイリッシュ海,北海),Bailly du Bois(ビスケー湾,ケルト
海,イギリス海峡,アイリッシュ海)などの海洋調査データが登録
されているが,いずれも北東大西洋の海洋汚染を対象とした調査で
あり,原子力施設ばかりでなく,海底油田や重工業施設などが集中
する重要な海域の海洋生態系を守るために行われている。
第4図 にこれらのデータベースから抽出した,深度100mまでの表面
海水中トリチウム濃度の観測値を図示した。これらの調査海域に近
い,第2図のフローニンゲン(オランダ国)とウィーン(オーストリ
ア国)の降水中濃度が10Bq/L以下まで漸減している傾向と比較ると
この海域の表面海水中濃度は大きく変動し,原子力施設起源の関与
が指摘されている。(Fiévet et al ., 2021; Masson et
al ., 2005)


------------------------------------------------------------
※1.例えば、狩猟用散弾銃によるイヌワシの鉛汚染(ナショナル
ジオグラフィック日本版サイト)

イヌワシ;Golden Eagle 
ワシのほぼ半数が「鉛中毒」、米国の2種、大規模調査で発覚最大
で3分の1が急性中毒にも、原因はシカなどに残る鉛弾
▶2022.2.22 ナショナルジオグラフィック日本版サイト
※2.上画像をクリックすると、このブログの掲載ページが表示さ
れるので願参照。

➲ あわせて読む:「第3回 気候変動対策、遅すぎることは決して
ない」ナショナル ジオグラフィック日本版サイト/ 2022年12月

                       この項つづく

     


 
【再エネ革命渦論 136: アフターコロナ時代 335】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


via Wikipedia on Space-based solor power

世界初衛星による太陽光発電エネルギー送電実証実験
実験は宇宙エネルギーのアイデアに実現可能性を担保
6月6日、カリフォルニア工科大学宇宙太陽光発電プロジェクト (SS
PP) の最初の宇宙搭載プロトタイプである宇宙太陽光発電実証機
(SSPD-1) による実証実験研究グループは、宇宙で太陽エネルギーを
収集し、地球に送達させる第一歩を踏み出した。今年1月に打ち上げら
れた人工衛星は、マイクロ波ビームのパワーを宇宙のターゲットに向け、
さらにそのパワーの一部を地球上の検出器に送ったと、実験を行ったカリ
フォルニア工科大学が6月1日に発表。
宇宙太陽光発電にとって、信頼性は長年の課題であった。一般的な石炭
火力発電所や原子力発電所と同じ量の電力を生成するには、衛星に直
径数キロメートルの収集エリアが必要で、数百回の打ち上げと軌道上で
の組み立てが必要になる。NASA は 1970年代のエネルギー危機の際に
実証ミッションを計画。スペースシャトルで運ばれ、宇宙飛行士が組み立
てた当時の技術では、このミッションには1兆ドルの費用を要したが、それ
以来、空間は変わる。太陽電池とマイクロ波ビーム(➲電子レンジ)は
安価で効率的であり、構造物を組み立てることができるロボットが間もな
く軌道に乗り、スペースXなどの企業は打ち上げコストを削減。ESAと英国
政府の委託による最近の研究では、軌道を回る巨大な発電機が間もなく
地上の原子力発電所と同等のコストで発電できるようになる。 


Satellite beams solar power down to Earth, in first-of-a-kind demonstration
via
Science AAAS

いくつかの分散した研究プログラムがこの分野を前進させた。1980年代
から、京都大学の研究者らは、準軌道ロケットを使用して宇宙の端で短
距離にわたるパワービームを実証。2020年、米国海軍研究所のチーム
は、片面に太陽電池、電子機器の充填物、もう片面にマイクロ波送信機
を備えたピザ箱サイズの「サンドイッチパネル」を軌道に乗せ、太陽光か
らマイクロ波への変換を実証する。 ドナルド ブレン財団とノースロップ グ
ラマン コーポレーションの資金提供を受けたカリフォルニア工科大学のミ
ッションは、軽量、安価、柔軟なコンポーネントでさらに一歩前進すること
を目的とする。マイクロ波送信機は、夕食にだされる食器皿よりわずかに
大きい表面に詰め込まれた 32個の平面アレイアレイで構成。さまざまな
アンテナに送信される信号のタイミングを変えることで、研究者はアレイ
のビーム制御を実現。アームほどの距離にある一対のマイクロ波受信機
にそれを向け、一方の受信機から他方の受信機にビームを自由に切り替
え、それぞれの受信機のLEDを点灯。送信電力はわずか200ミリワットと
小さく、携帯電話カメラのライトよりも小さいものであったが、ビームを地
球に向けて操縦し、カリフォルニア工科大学の受信機で検出することに
成功する。これは概念実証でシステム全体で何が可能かを示唆する。カ
リフォルニア工科大学の宇宙船では、3つの実験の残り2つの実験が計
画。 現在、32種類の太陽電池をテストして、どれが宇宙の過酷な環境に
耐久性を有するのかの確認を行っている。2つ目は折り畳まれた超軽量
複合材料で、広げると直径2メートルの帆のような構造体。帆には太陽電
池を搭載しないが、将来の発電所に必要な薄くて柔軟で大規模な展開
能な実験を目的としている。



宇宙太陽光発電への関心が高まり、ESAは今年 軌道上発電所の潜在
的なアーキテクチャに関する2件の研究を委託。エネルギー供給会
社もこの取り組みに参加。京都チームは先月、日本の宇宙機関JAXA
と協力し軌道上でパワービームテストすると発表。日本では2025年
に世界初の(無線電力伝送)衛星実験の予定していた。新興企業の
Virtus Solis Technologies も電力ビームのテストを行っており、2026
年にパイロットプラントを軌道に打ち上げる計画を立てているが、
同社は 10年以内に商用電力販売提供する予定。宇宙太陽光発電は、
実際の二酸化炭素排出量ゼロへの信頼できる道筋を備えた、唯一の
クリーンで確固たる拡張性のあるエネルギー技術と確信していると
いう。

特集|最新薄膜燃料電池特許技術 2022~2023年度①

❏ 特開2023-034773 燃料電池電極用触媒インクの製造方法 トヨ
自動車株式会社
【要約】
図2のごとく、触媒と、溶媒と、アイオノマーとを含む燃料電池電
極用触媒インクの製造方法であって、触媒と、溶媒と、アイオノマ
ーとを高せん断薄膜旋回混合機で撹拌混合する工程、ここで、アイ
オノマーは、ゲル状のアイオノマーを含み、高せん断薄膜旋回混合
機は、内周面に凹凸を有する円筒形の撹拌槽と、当該撹拌槽と同心
にて外径が撹拌槽内径より僅かに小さい回転羽根と、当該回転羽根
を端部に有する正逆高速回転可能なシャフトとを備える、を含む方
法で、触媒の微細化、及び触媒インクの粘度の調整を同時に実施す
ることができる燃料電池電極用触媒インクの製造方法を提供する。


図2.本発明の触媒インクの製造方法の一例を示す図
【概要】
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池
として固体高分子型 燃料電池がエネルギー源として注目されてい
る。固体高分子型燃料電池では、一般に、電解質膜である固体高分
子電解質の両面に、それぞれ、触媒層からなる電極(空気極及び燃
料極)を接合してなる膜電極接合体(「燃料極-固体高分子電解質
膜-空気極」)(MEAともいう)が使用される。各電極は、触媒
層から形成され、触媒層は、触媒層中に含まれる電極触媒によって
電極反応を行わせるための層である。電極反応を進行させるために
は、電解質、触媒及び反応ガスの三相が共存する三相界面が必要で
あることから、触媒層は、一般に、触媒(ここで 、 触媒とは単独
で作用する触媒だけでなく、担体に担持された金属触媒(本明細書
等では、「金属担持触媒」ともいう)などの意味も含む)と、電解
質とを含む層からなっている 。膜電極接合体において、各電極は、
電解質膜の表面に、触媒インクを塗布して乾燥させることによって
形成される。触媒インクは、触媒と、プロトン(H )伝導性を有
する電解質と、触媒及び電解質を分散させる分散溶媒(本明細書等
では、単に「溶媒」ともいう)とを含んでいる。触媒インクに関す
る研究にも様々なものがあり、例えば、特許文献1には、触媒電極
の形成に用いられる触媒インクの製造方法であって、(a)触媒が
担持された導電性粒子である触媒担持粒子を溶媒に分散させて触媒
分散液を生成する工程と、(b)アイオノマーと揮発性溶媒とを混
合してゲル体を作成する工程と、(c)前記触媒分散液と、前記ゲ
ル体とを撹拌混合して触媒インクを作成する工程とを備える製造方
法が記載されている。特許文献2には、触媒ペーストを製造するた
めの混合装置として、複数の流体に対してせん断力を作用させつつ、
前記複数の流体を混合する流体混合装置であって、凹凸面を有する
第1の混合エレメントと、凹凸面を有する第2の混合エレメントで
あって、前記第1の混合エレメントにおける凹凸面と前記第2の混
合エレメントにおける凹凸面とが互いに対向するように配置された
第2の混合エレメントと、前記複数の流体が流れる流路であって、
前記第1の混合エレメントと前記第2の混合エレメントとの間に形
成される前記流路の形状を変更する流路形状可変機構と、を備える
流体混合装置が記載されている。
【特許文献1】国際公開第2013/031060号
【特許文献2】特開2013-158741号公報 

❏ 特開2022-165441 燃料電池スタック パナソニックIPマネジ
ント株式会社
【要約】
図3のごとく、本開示は、電解質膜-電極-枠体接合体の枠体とセ
パレータとの間をガスケットによってシールする燃料電池スタック
において、ガスケット本体部の内周側にガスケット薄膜部を一体に
形成し、ガスケット薄膜部の弾性係数をガスケット本体部の弾性係
数より小さくし、ガスケット薄膜部の圧縮状態の変化に対するガス
ケット薄膜部が枠体を押す反力の増減の割合を、ガスケット本体部
の圧縮状態の変化に対するガスケット本体部が枠体を押す反力の増
減の割合より小さくし、ガスケットから溶出する不純物が大気に放
出されるように構成している燃料電池スタックの積層方向の寸法が
一定になるように締結バンドのような締結部材を用いて締結した燃
料電池スタックにおいて、ガスケットから溶出する不純物が電極の
触媒に到達することを防止する

図3.実施の形態1における燃料電池スタックを、図1の一点鎖線
Aを含む平面で切断したときの燃料電池セルの断面構造を模式的に
示した説明図

❏ 特開2022-115419 燃料電池システム 愛三工業株式会社
【要約】
図2のごとく、燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池へ供給
する反応ガスが循環する流路の一部を構成するボディと、少なくと
も一部がボディの外面に露出するとともに、少なくとも他の一部が
ボディに埋設されている電極と、電極の表面からボディの外面に跨
る範囲を覆う、薄膜状の発熱部材と、を備える、流路の体格を小さ
くすることができるとともに、流路を効率良く加熱することができ
る技術を提供する。

図2 加熱装置の斜視図


図1.燃料電池システムの構成を概略的に示す図
【符号の説明】
10:燃料電池、30:燃料ガス系、35:気液分離器、37:排
気排水弁、41 :燃料ガス供給流路、42:燃料オフガス流路、
43:循環流路、44:排出流路、50:酸化ガス系、60:冷却
系、70:制御ユニット、80:加熱装置、82:ボディ、84:
電極、84a:第1部分、84b:第2部分、84c:第3部分、
84d:第4部分、86:発熱部材、88:絶縁部材、100:燃
料電池システム


風蕭々と碧いの時代



John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2006年代



レミオロメン 粉雪   ; Best One~50 th

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)  

                大南風や 天の叫びに 覚醒す

       Awakened by the great south wind and the cry of the heavens.
                    異常気象はインフラに混乱をもたらす    
             Extreme weather will inflict chaos on infrastructure.

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バッテリ-薄膜事業渦論 ②

2023年06月13日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



『源氏物語』の作者および作品を深層で統御しているものは何か?
『源氏物語』を論ずるのは、ひとつの特定の物語、特定の作品を論
ずることではなく、作品そのもので物語、文学という概念を論ずる
ことである。―作品をつらぬく無意識としての“自然”、霊威=物
の怪に対する人々のありよう、また歴史物語『大鏡』や『栄花物語
』とのトポロジカルな同型性に着目し、作品の構造と深層を浮き彫
りにする。著者の方法意識がもっとも鮮明に発揮された、これぞ吉
本『源氏』論と評される古典論の代表作。

吉本 隆明【著】1982年 大和書房
目次
第1部 母型論
第2部 異和論
第3部 厭離論
第4部 環界論
附録 わが『源氏』
------------------------------------------------------------

  『源氏物語』ですぐに心にしみてくるのは? こう問われたら、
 季節の移りかわりとおなじ時鐘の刻みかたで、おもむろに移っ
 てゆく物語の速さをいうべきか。このばあい物語の速さという
 いい方は、まだ言葉に外在している。ほんとは登場人物たちの
 心音の速さが感受されているのだ。この心音は、姫と彦を産む
 ときの女たちの死の心音に伴奏されてこの世に生みだされ、は
 じめは春夏と経めぐり、やがて生命の凋落を受感すると季節の
 秋みたいに衰弱し、つぎに冬のようにひとりでに死にいたる。
 その自然と同調した心音の速さがこの『物語』の秘密なのだ。
 これはひとつの説話だといった外屈性はしだいに拭いさられ、
 ふかく持続的な、そして桐密な色相に裏うちされた深層の世界
 に沈んでゆく。するとそこではあの無常の感性が世界を統御し
 ている。現にここにこう存在するのは、はかない幻みたいなも
 のだが、それすら「前の世」からの因縁できめられたものだ。
 そんな理念が物の怪みたいに世界にとびかい、登場人物たちの
 挙動を深くおびえさせている。わたしたちはいつのまにか水底
 のような世界にいる。物語の運びは説話みたいに繰返しの型を
 とり、ときどき円環してもどってきたりするが、深層では身体
 を喪って霊魂だけになった登場人物たちが、影のまにまに揺れ
 動いている。誰もがそんな水の揺動に憑かれてしまうのだ。

  桐壷帝にいちばん寵愛された桐壷の更衣は、もともと病弱な
 のだが、父の大納言はすでに故人になっている。高い家柄と勢
 力を背負った女御たちのあいだで、身分も後立てもなくて、寵
 愛されればされるほど、まわりから嫉妬の意地悪な仕打ちをう
 け、苦しみにさいなまれる。やがては衰弱して死んでしまう。
 だが桐壷の更衣が、女御たちの意地悪なたくらみや、嫉妬を感
 受する仕方は、皮膚をさわがしく刺したてる痛みとして描かれ
 ていない。声もなく内面の無意識に浸みとおって、これを感受
 する桐壷更衣は、ひと言の反撥の言葉も悲嘆の思いも洩らすわ
 けではなく、ただひっそりと消耗して、衰弱がすすみ、やがて
 息も絶えそうになる。養生のため退出をゆるされると消え入る
 ように死んでしまう。嫉妬や、意地の悪い圧迫や、
隠微な対立
 は、桐壹帝をめぐるじっさいの宮廷生活の隅々にあるのに、眼
 に視えない深層には無意識の世界があって、そこで影たちがせ
 めぎあい、苦しみや嫉妬や衰弱が沈みこんでゆくかのように描
 かれる。
  登場人物たちはときに話をかわす場面があるのに、声をあげ
 ているのではなく、ひそとも聴こえぬ無音の音声をかわしあっ
 ているのだ。
                     第一部 母型論

✔あいも変わらず難解ではあるが、学問に王道はなくどのようなも
のでも新しい世界に飛び込むのは難解ものだが、その咀嚼ののちに
表れる文体に触発する思いの心地よさは当人同士でしかわからない
ものだ。ゆっくり本を読む暇などどこにもないが、次も縋り付いて
でも読みたいと背を推す力がそこにある。
  

     


 
【再エネ革命渦論 135: アフターコロナ時代 334】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑱
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


画像:光で壊れるリポソーム 出所:岡山大学
光で壊れるリポソームの開発と応用
薬物送達のジレンマを解決
6月12日、岡山大と北海道大の研究グループは、光受容タンパク質で
あるロドプシンを利用して、緑色の光で壊れるリポソームを開発。
体内への薬物送達では、狙った「時間・場所」に適切な「量」を効
果部位に届けるため、ナノカプセル(リポソーム、ポリマーなど)
が用いられており、ナノカプセルは効果部位以外では壊れず、効果
部位ではその中身を放出するために壊れる必要性があり、「壊れず
に壊れる」という「ジレンマ」を抱えていたが、今回開発した光誘
起崩壊リポソーム(LiDLと命名)は、光がなければ壊れず&光があ
たると壊れる特性をもち光でこのジレンマの解決に成功する。
【概要】
緑色の光で水素イオン(H+)を取り込む光受容タンパク質RmXeRと、
pH によってその構造を変えるpH 応答性リポソームに着目した。こ
の組み合わせにより、(1)緑色の光によりRmXeR が活性化されH+が
リポソーム内に流入➲(2)pH 変化に応答してリポソームの相転
移による破壊➲(3)内封物の放出、がおこることを明らかにし、
光誘起崩壊リポソーム(LiDL)と命名。さらに、このLiDL が、試験
管内だけでなく、ヒト細胞中でも機能することや、内封物も入れ替
え可能であることを示し、薬物送達における有用性を実証。
【展望】
光を用いた効果的な薬物送達による薬効の増大や副作用低減に期待。
※ リポソーム;liposome)は、少なくとも1つの脂質二重層を持つ球
 形の小胞
【関連論文】
論文名:Development of light-induced disruptive liposomes (LiDL) as a
photoswichable carrier for intracellular substance delivery
邦題名「光応答
性細胞内物質送達体としての光誘起崩壊リポソーム(LiDL)の開発」
掲載紙: Chemical Communications
D O I: https://doi.org/10.1039/D3CC02056H


図.がんの浸潤・転移。がん細胞は、がんが最初に発生した部位(
原発巣)から、個別もしくは集団として結合組織内を運動し、血管
やリンパ管を経由して、別の臓器や組織で再び腫瘍(転移巣)を形
成する。
がん細胞の集団運動の制御に関わるPacsin 2の機能を解明
抗がん剤の新たな分子標的や診断バイオマーカー候補に期待
6月12日、岡山大学と熊本大学の研究グループは、がんの浸潤や転移
に関わる細胞の集団運動を制御する分子メカニズムを解明。
【要点】
1.細胞の集団的な運動は、悪性がんの浸潤や転移の効率化に寄与
 する。
2.がん細胞の集団運動を制御する新規因子Pacsin 2の機能を解明
 した
3.たながん診断マーカーや抗がん剤開発への展開が期待される。
【概要】
悪性度の高いがん細胞は浸潤や転移を起こします。近年の研究で、
悪性のがん細胞の多くが集団として運動し、その運動様式が浸潤や
転移を効率よく起こす要因になっていることが明らかになってきた
が、がん細胞の集団的な運動を制御するメカニズムについてはほと
んど明らかになっていない。本研究では、がん細胞の集団運動を制
御する新たな因子としてPacsin 2を同定した。Pacsin 2 は、細胞接着
分子N-カドへリンの細胞膜への局在を制御し、Pacsin 2の機能を阻害
するとがん細胞同士が接着し、集団運動を行うようになることを明
らかにした。本研究の成果を足がかりに、がん細胞の集団運動を制
御する分子メカニズムの解明が進めば、より効果的な抗がん剤や、が
んの早期診断に用いる新たなバイオマーカーの開発につながること
が期待されている。
【関連論文】
論文名:Pacsin 2-dependent N-cadherin internalization regulates the migra-
      tion behaviour of malignant cancer cells
掲 載 紙:Journal of Cell Science
D O I:https://doi.org/10.1242/jcs.260827

図 移動体通信システムの進化 出典:総務省
次世代移動体通信「6G」①
約10年で次の世代を商用化してきた移動体通信
電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップ
を更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022
年7月に発行。過去、日本の移動体通信システムは約10年ごとに新し
い世代の商用化を繰り返してきた。1980年代の第1世代「1G」(アナ
ログ方式、音声伝送のみ、主な用途は自動車電話)、1990年代の第
2世代「2G」(デジタル方式、音声とデータ(パケット)を伝送、主
な用途は個人が持ち運べる小型軽量な端末)、2000年代の第3世代「
3G」(世界共通のデジタル方式、音声とデータを伝送)へと進化。
インターネット接続、電子メール、海外ローミング、高速データ通
信などの機能が加わった第3世代(3G)の2000年代。2010年代に普及
した第4世代(4G)では携帯電話端末が「音声通話機能とデータ通信
機能を備えた超小型コンピュータ」、すなわち「スマートフォン」
へと変革を遂げた。通信機能の主役が音声からデータへと移行し、
ユーザーが主に利用するのは「アプリ」(アプリケーション・ソフ
トウェア)に変化した。インターネット接続の通信速度はダウンロ
ード(下り)で最大1Gビット/秒となり、固定ブロードバンドに追い
付いた。


最近サービスが始まった第5世代(5G)では、過去の技術開発の主体
であった高速化と大容量化に加え、「低遅延」と「多数同時接続」
の2つが新しい特徴として加わっている。第5世代(5G)の次を担う
第6世代(6G)の移動体通信システムでは、2030年代の商用化を目標
として技術仕様や要素技術の開発が進んでいる。「高速・大容量」
「低遅延」「多数同時接続」という5Gの特徴を強化。「高速・大容
量」「低遅延」「多数同時接続」は全て、5Gの10倍の性能を目標と
する。「高速・大容量」すなわちデータ通信速度は100Gビット/秒を
目指す(5Gは10Gビッt/秒)。「低遅延」は遅延時間を5Gの10分の1
にする。「多数同時接続」ではサービス地域の面積(1平方キロメー
トル)当たりで接続可能な端末数を1000万台に増やす(5Gは100万台
)。 機能追加では、「低消費電力」「自立性」「拡張性」「安全
性・信頼性」がある。「低消費電力」では消費電力を現在の100分の
1に下げる。「自立性」では複数の機器が自律的に連携する。「拡張
性」では、あらゆる場所での通信を実現する。「安全性・信頼性」
ではセキュリティの常時確保を目指する。
via EE Times Japan 次世代移動体通信「6G」の概要。

特集|最新全固体型蓄電池特許技術 2022~2023年度①
❏ 特開2022-080183 電池モジュール 学校法人早稲田大学
【概要】
図1のごとく、電池モジュール1は、複数の電池セル30が直列接続されて
いる組電池3と、複数の電池セル30の充電深度を均等化処理するBMS
4と、を含む組電池システム2と、均等化処理前の組電池3の第1のインピ
ーダンス特性と、均等化処理後の基準電池セル32の第2の基準インピー
ダンス特性と、を測定するための測定回路5と、第1のインピーダンス特性
と第2の基準インピーダンス特性と、を用いて充電深度が他の電池セルよ
りも大きい第1の電池セルが他の電池セルよりも劣化度が大きいことを、
検出するプロセッサと、を具備することで、複数の電池セル30を含む組電
池において、充電深度が他の電池セルよりも大きい第1の電池セルが他
の電池セルよりも劣化度が大きいことを検出する電池モジュール1を提供
する。

図1.第1実施形態の電池モジュールの構成図
【符号の説明】
1、1A…電池モジュール  2…組電池システム  3…組電池  5、5A…
測定回路  6…プロセッサ(EMS)  30(31~34)…電池セル  40…B
MS  41電圧計  42…抵抗  43…スイッチ  51…電圧計  52…電流
計 59…高周波電源
 【背景技術】
携帯機器、電動工具および電気自動車等に、充放電可能な二次電池を
含む電池モジュールが用いられている。二次電池として、小型で大容量の
リチウムイオン電池等が注目されている。 電池モジュールは、複数の電
池セルを直列に接続した組電池とすることで、所望の出力電圧を得てい
る。さらに、所定の出力電圧が得られる組電池を並列接続することで、所
望の電流容量を得ている。また、所望の電流容量が得られるように複数
の電池セルを並列接続した電池セットを、直列に接続し所望の出力電圧
を得ている組電池もある。組電池を構成する複数の電池セルは、時間経
過および充放電の繰り返しに
より劣化するが、それぞれの電池セルの劣
化度を
示す容量維持率
SOH: State Of Health)は、同じではない。組電
池の充電時にS
OHが小さい(劣化度が大きい)電池セルは、他の電池セ
ルよりも
早く、充電深度(SOC:Stake Of Charge)が大きくなるために、過充
電されるおそれがある
このため、複数の電池セルのそれぞれのSOCを
測定し、例えば、SOCの大きな電池セルの電荷を放電することによって、
複数の電池セルのSOCを均等化処理するバランサを含む組電池が用い
られている。ここで、ある電池セルの充電深度が他の電池セルよりも大きく
なる原因は、劣化度が大きいことだけでなく、他の要因も考えられる。この
ため、SOCが大きい電池セルの劣化度異常を検出することが重要である。
このため、組電池の複数の電池セルの劣化度評価に、それぞれの電池セ
ルのインピーダンス演算部と接続した測定装置することは構成が複雑とな
るために高価となる。本件は充電深度が他の電池セルよりも大きい電池
セルの劣化度が他の電池セルよりも大きいことを検出する簡単な構成の
電池モジュールを提供することを目的とする。 つまり、実施形態の電池モ
ジュールは、複数の電池セルが直列接続されている組電池と複数の電池
セルの充電深度を均等化処理するバランサーを含む組電池システムと、
均等化処理前後の第1のインピーダンス特性または均等化処理の後の前
記組電池の第2のインピーダンス特性と、前記第1の基準インピーダンス
特性または第2の基準インピーダンス特性と、を用いて、複数の電池セル
のうち充電深度が他の電池セルよりも大きい第1の電池セルが、他の電
池セルよりも劣化度が大きいことを検出するプロセッサとを具備する。
【発明の効果】
複数の電池セルを含む組電池において、充電深度が他の電池セルよりも
大きい電池セルの劣化度が他の電池セルよりも大きいことを検出する簡
単な構成の電池モジュールを提供できる。

❏ 特願2020-210505 交換電池セル候補情報提供方法 トヨタ自動
車株式会社

【要約】
図3のごとく、少なくとも電池セル候補のラミネート材封止部の劣
化状態を診断する工程と、少なくとも電池セル候補のラミネート材
封止部の劣化状態を含む電池セル候補の情報を記憶する工程と、少
なくとも電池セルのSOC変動履歴を取得する工程と、少なくとも
電池セルのラミネート材封止部の劣化状態を電池セルのSOC変動
履歴に基づいて推定する工程と、少なくとも推定する工程により推
定された電池セルのラミネート材封止部の劣化状態に基づいて、電
池セルを交換する必要があるか否かを判断する工程と、電池セル候
補の情報から少なくともラミネート材封止部の劣化状態がシールア
ウトしない範囲を満たす電池セル候補の情報を特定工程と、を含む
交換電池セル候補情報提供方法でり、ラミネート材封止部の劣化状
態を考慮して、適切な電池セル候補の情報を提供することができる
交換電池セル候補情報提供方法を提供する。


図3.交換電池セル候補情報提供方法10のフローチャート

❏ 特開2023-049975 固体電解質及びその製造方法、並びに全固体リチ
ウムイオン二次電池 国立大学法人静岡大学他

【要約】
Li-yLaZr-(x+y)Hf-zMzO12(Mは、Mo及びVの少なくとも
1つを示し、xは、0<x≦1.0、yは、0<y≦0.2、zは、0≦z≦0.2を満足
する)を含む、固体電解質及びその製造方法、並びに全固体型リチウム
イオン二次電池であるイオン伝導率が高いLiLaZrO系の固体電解質及
びその製造方法、並びに全固体型リチウムイオン二次電池の提供。
✔ 薄膜全固体型蓄電池技術に関しては再度調査する。



400kW級全超電導モーターの回転試験に成功
超電導化により、従来モーターと同じ大きさで重さ10分の1、出力2倍
6月7日、九州大学先進電気推進飛行体研究センタは、次世代航空機
けに、回転機の界磁巻線だけでなく、電機子巻線まで含めた全て
を超電
導化した全超電導モータを開発し、液体窒素をポンプで循環
させる冷却システムと組み合わせて、世界で初めて回転試験に成功
する。 航空機は、2050年までにCO2排出量実質ゼロという目標が策
定されていることから、高効率化を目指しており、モータをガスタ
ービンと発電機で発電した電力で駆動し、ファンを回して推進力を
得る次世代航空機の開発が国内外で進められている。こうしたこと
から、開発グループでは、超電導技術を使った高効率かつ高出力電
動推進システムの開発を進めていた。 超電導化すると、細い超電導
線を巻いた巻線と無鉄心化で、従来のモータと比べ、同じ大きさで
重量10分の1、出力2倍にできるが、超電導線は交流運転下では超電
導特有の交流損失が発生する。 そこで、これまで開発を進めてき
た超電導線の交流損失予測、低減および大電流容量化技術を適用す
ることで、全てを超電導化した全超電導モータを開発した。また、
次世代電動航空機向け400kW級全超電導モータの回転試験に世界で初
めて成功した。
【関連技術情報】
❏ 特開2020-198777 回転機用筐体 株式会社神戸製鋼所
【要約】
図2のごとく、円筒状の胴部と、この胴部の少なくとも一端を封止
するキャップ部とを備える回転機用筐体であって、上記胴部が少な
くともその一部が軸方向 に折りたたまれ、離間する複数隔壁構造
を有し、上記キャップ部が少なくともドーム状の鏡板と上記胴部の
端部開口を覆う底板と、上記底板から突出する環状の凸部とを有す
る軽量で断熱性が高く、かつ回転機の反トルクに耐えられる回転機
用筐体の提供を目的とする。 

図2 図1の回転機用筐体のキャップ部を取り付けた状態を示す模
  式的断面図
【符号の説明】
1 回転機用筐体 10 胴部 10a 外筒 10b 内筒 10c リン
ク部 11 真空室 11a 外側真空室 11b 内側真空室 12 凹
部 12a 外側周縁壁 12b 内側周縁壁 13 端部フランジ 14
中央フランジ 20 キャップ部 20a 鏡板 20b 底板 20c
リンク部 21 真空室 21a 凸部真空室 22 凸部 23 端部フ
ランジ 30 テンションロッド 31 第1支持棒 32 第2支持棒
33 ネジ溝用凸部 34 被覆部 40 寒剤流路 X 超電導モーター
X1 シャフト X2 ローター X3 ステータ

❏ 特開2023-040342 超電導回転機、並びに、これを用いた船舶、
自動車、航空機及びポンプ 国立大学法人京都大学

【要約】 図2のごとく、筒状の固定子鉄心及び前記固定子鉄心に巻
回された固定子巻線を有し、回転磁界を発生させる固定子と、前記
固定子の回転磁界によって回転可能に保持され、且つ、超電導材料
で形成されたコイル状のスプライスレスループ部材を複数備えた超
電導巻線、並びに、前記スプライスレスループ部材を収容するスロ
ットを備えた回転子鉄心、を有する超電導回転子と、を備えた、超
電導回転機。高効率で同期回転が可能であり、且つ、低発熱で駆動
可能な超電導回転機、並びに、これを用いた船舶、自動車、航空機
及びポンプを提供することを目的とする。

図2.超電導回転機のモータ本体の一例を示す概略図
【符号の番号】
10:固定子10:固定子鉄心、16:固定子巻線、20:超電導
回転子、22:超電導巻線、26:スプライスレスループ部材、1
00:超電導回転機


渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)



福島原発汚染処理水とは ⑥
海洋放出準備現況 
処理水の海洋放出 工事は大詰め トラブル発生時の対応など東電に
明求める
➲ FTV 福島テレビ 2023.06.06 18:40
国と東京電力が、2023年夏頃までの開始を目指す福島第一原発での処
理水の海洋放出。海底トンネルには、6月6日朝までに海水が入れられ、
掘削機械の引き揚げなどを行えば、海底トンネルの整備は完了する。海
洋放出に必要な設備全体の工事は、6月末までに完了する見通しで、ま
さに大詰め。東京電力は、福島県や有識者による会議でこうした工事の
状況を説明した。会議の中で有識者からは、「処理水を薄める海水から
高い濃度の放射性物質が確認されたらどうするのか」など放出前の工程
でトラブルが発生した場合の対応について、追加の説明が求められた。
➲東京電力の担当者:「取水する海水の(放射性物質の)濃度につい
ては、現時点では先生のご指摘のような、この濃度に関して停止する判
断を設けるという条件は、今のところありません。異常がどういう形で発
生するかも含めて考えさせてください。申し訳ありません。」
県などは今後もこの会議を開き、技術的な視点で処理水の海洋放出
廃炉作業の安全性を確認することにしている。
【連臨情報】
1.福島県原子力発電所安全確保技術検討会運営要綱
 この要綱は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等の
 実施に係る周辺地域の安全確保に関する協定第4条第2項及び東京
 電力ホールディングス株式会社福島第二原子力発電所の廃炉の実
 施に係る周辺地域の安全確保に関する協定第4条第2項に基づき、
 福島県原子力発電所安全確保技術検討会(以下「技術検討会」とい
 う。)の組織及び運営に必要な事項について定めるものとする。
 ➲https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/463045.pdf
2.2023.06.05 島第一原発 海底トンネルに海水の注入始まる 工事は
   6月末までに完了へ《処理水の海洋放出》:ニュース - FTV 福島テレビ
.2021.04.13 東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の
  定義を変更しました 経産省
4.2023.06.09 福島第一原発 放射性物質を含まない水を放出試験へ 
 処理水放出に向け作動確認<東京電力>:ニュース- FTV 福島テレビ

 国と東京電力は、福島第一原発での処理水の海洋放出について2023
 年夏頃までの開始を目指している。 海底トンネルには海水が入れ
  られ
掘削機械の引き揚げなどを行えば海底トンネルの整備は完了す
 る。
一方で、放出する前の処理水をためるタンクから海への水路
 が今週末
にもつながる見通し。(6月9日時点) これを受けて東京
 電力では、処理
水ではなく放射性物質を含まない水を海水で薄め
 て海に放出す
る試験を6月12日から行うことを決めた。 海水で薄
 める設備や、異常が起きた時にシステムが正常に作動するかを確
 認するのが目的で2週
間ほど行われる予定。

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2005年代

今夜の寸評:(いまを一声に託す) 1人は世界のために世界は1人のために、     
                 


 

 

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福島原発汚染処理水とは ⑤

2023年06月05日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」。


変貌する西梅田 ヒルトンホテル(東西)左奥と大阪駅前(右手前)

63日、5年前に学友のクラス会のフィナーレを西梅田は大阪マル
ビルの最上階で開催され別れたのが最後となる。2022年5月に他界し
た池田修治氏(享年七十四)の初回忌の法要に四天王寺は英霊堂に
て法要・参列させて頂いた(台風2号の影響はなかった)。ところ
で、JR大阪駅を降車すると駅前の風景(周辺の整備工事はまだ継
続中ではあるが)は画像のごとく様変わりしていた。巻頭の画像は
東梅田側で、右側曽根崎警察署後の住友不動産梅田マンションビル
がわたしたち兄弟(弟・龍作元インターアーク社長は昨年4月に他
界)が元曾根崎小学校・幼稚園、横側に吉本興業花月劇場が在った。
尚、2022年(令和4年)5月に老朽化のため建て替えを発表。2030年
までに完成予定。なお2025年 大阪・関西万博の際はバスターミナル
として活用予定だという。 また、右下画像の「大阪・神戸米国総領
事館ビル」(西天満)は弟が「スタジオ104」として参画してい
た。このようにわたしたちにとってここはバック・ヤードとしてい
まも存在する。

 
大阪マルビル            米国総領事館ビル

ところが、ことはそれだけでとどまらなかった。地下鉄の乗り継ぎ
が初心者同然なわたしには酷であった。目的駅は「四天王寺夕陽丘」
なのだが西梅田線に乗り込み途中二回路線変更することになる。乗
り込んだ地下鉄では男女のアジア系外人に英語、話しかけられ突先
に中国系だと判断し中国後で答えるという場面に遭遇するほどエス
ニックな世界に変わっているのだが、目的地が咲かせず待ち合わせ
ていた元同級生の青木秀雄氏に携帯電話するも和宗四天王の英霊堂
で列席しており、呼び出し近くまで迎えにきてもらうという始末。



四天王寺、英霊堂に描かれた竜の天井画
明治期に天井画を寄進したは森下仁丹の創業者。聖徳太子の1400年
御聖忌を機に、同社と四天王寺が共同企画。



その伽藍配置は「四天王寺式伽藍配置」といわれ、南から北へ向か
って中門、五重塔、金堂、講堂を一直線に並べ、それを回廊が囲む
形式で、日本では最も古い建築様式の一つ。その源流は中国や朝鮮
半島に見られ、6~7世紀の大陸の様式を今日に伝える貴重な建築様
式とされているが、幼年期に参拝した記憶が残っている。お墓もす
でに境内新調されており、その場で池田家の親族とお話しすること
になったが、彼の娘さんの嫁ぎさきの婿が、わたし住む彦根市で大
久保貴前市長と血縁があるという。その場ではそれ以上のことは知
ることはできず、後日奥様に確認することとしたが、故人が定年後
木彫り仏像づくりに勤しんでいたという小さな仏像を青木氏と一体
づつ遺品として頂き、途中梅田地下で客であふれる店で握り鮨戴き
を帰宅する。とことが、ことはそれで終わらなかった。その日に、
先日、訪問させて頂いた生駒は本家の由子婦人と娘さんが来るまで
訪問していたと迎えの彼女から告げられ、経緯を聴き、細やかなや
しさに触れる。翌朝(4日)、青木氏に電話を入れお礼とご家族の
ことを尋ねる。尚、四天王寺の本近くに元実家があり、帰りに跡地
周辺を見ているが、彼にとって四天王寺はバックヤードであったこ
とを再認識するが、午後には新型コロナ煮入り、音信が途絶えてい
た竹馬の友で命の恩人の片山博臣氏(同い年)に電話を入れると、
奥様から三年前交通事故で負傷し、入院中であると知らされ愕然と
する。彼の実家も滋賀県は木之元町出身でこの大阪・兵庫で鉄工所
を経営していた。5日、連日の出ずぱりもありすぐに駆けつけ見舞い
もできないと判断。「お見舞い」を届ける手配(彦根美濠の舎)を
済ます。このようにバタバタと「家仕舞・墓仕舞の季節」の弔事ご
とにて忙殺される次第。それにしても、百も承知とはいえ、「万事
お金」をあらため痛感する頃である。

     


 
【再エネ革命渦論 131: アフターコロナ時代 330】

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑭




今夜はメタサーフェスの最新技術に触れよう。このブログに初め掲
載したのは、2016年6月16日の 『超表面工学の此岸』。それが十年
も経ず前実用(商用)段階に入っていることに驚く。5Gの商用導入
が世界的に開始され、現在は5Gのさらなる発展としての5G evolution
と次世代移動通信システムである6Gに向けた研究が加速。日本では、
2020年より第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスを開始さ
れ、VR(Virtual Reality)/AR(Augmented Reality)/MR(Mixed Reality
などの応用、IoT(Internet of Things)デバイスによる産業基盤の高度
化が進展。
『脚注』
------------------------------------------------------------
※メタマテリアル:電磁波に対して自然界の物質にはない振舞いを
 する人工物質。
※メタサーフェス:波長に対して小さい構造体を周期配置して任意
 の誘電率・透磁率を実現する人工媒質(メタマテリアル)の一種
 で、構造体の周期配置を2次元とした人工表面技術。
※プラズモニック・メタマテリアル:光の波長より小さな磁気共振
 器を3次元的なアレイとして集積化する.光には個々の共振器は
 見えない. 集団的な電子の振動(プラズモン)が,電場,磁場を
 作り出す.
※プラズモニクス:伝搬型表面プラズモンポラリトン(➲P-SP)
 と局在型表面プラズモンポラリトン(以後,L-SP)の特性を明ら
 かにして,その特性,一般的にはP-SP とLSPの電磁界の局在性と
 増強,を利活用したデバイス,装置などを研究開発する“表面プ
 ラズモン工学”のこと  ➲2002年にロチェスタで開かれた近接場
 光学国際会議頃から使われ始めた。
(1)プラズモニックデバイスの概略とその加工技術:センサ,光
 導波路,光デバイス,ナノ加工装置に分類される。


(2)プラズモニックセンサ:プラズモニクスの主得意分野。異な
 る密度のタンパク質(抗原)を同時にセンシングできるプロテオ
 ミクス用バイオアレイセンサ。ラマン散乱信号の高感度計測がで
 きるSERS センサ とTERSセンサ。
(3)プラズモニック光デバイス:
(4)メタマテリアルの進展:サブ波長人工構造を用いて,光の反
 射や伝搬を自由に制御することができることが明らかになってき
 た.これまで材料に大きく依存してきた光デバイスが,構造デザ
 インによる大きな自由度を獲得。現在は、比較的単純な分布型LC
  共振回路に他ならないが,電子回路が様々な機能を持つように,
 メタマテリアルのデザインも無限の可能性を持つ.
(5)高効率光デバイスへの応用:
1)電場増強とプラズモニックアンテナ:
2)ソーラーセル,光検出器,完全吸収体への応用:
①ソーラーセル設計で問題となるのは,「光を完全に吸収させるに
は,光起電層は光学的に厚い方がよい」という要請と,「生成され
たキャリアの拡散と再結合を防ぐためには物理的に薄い構造が適切
である」という互いに反する要請の存在➲光-電変換層の物理的な
厚みを薄くしながら,実効的な光との相互作用長維持に,プラズモ
ニック金属構造をソーラーセル構造内に導入する手法の提案。

ⅰ.金属ナノ微粒子をソーラーセル表面に分散,太陽光を散乱捕捉
 と同時に,ソーラーセル内で光を多重散乱
ⅱ.ソーラーセルの半導体接合面に金属ナノ粒子を配置,金属微粒
 子に励起される局在型表面プラズモンにより光電場を捕捉
ⅲ.セル背面に設け金属薄膜をナノスケール・レリーフ構造とし表
 面プラズモン-ポラリトンにより光捕捉

図1.表面プラズモンアシストソーラーセル


図2.完全吸収体を実現するメタマテリアル素子
3)プラズモニックレーザー,プラズモニックLEDへの応用

(6)光制御技術への展開と展望
1)プラズモニック導波路
2)スプーフプラズモ
3)偏光無依存ブリュースター光学素子
4)クローキング

※ via. 電子情報通信学会「知識ベース」 © 電子情報通信学会 2019
➲ http://www.ieice-hbkb.org/files/S2/S2gun_03hen_02.pdf

------------------------------------------------------------
特開2023-069445 エンドファイア指向性を有するアンテナ装置 株
式会社NTTドコモ 学校法人千葉工業大学 
【概要】

従来、屋内の天井などに設置される無線基地局向けのアンテナ装置
では、天地方向のサイズを抑えつつ、天井と平行な方向に電波を放
射する性能(エンドファイア指向性)が求められ、また、周期的な
構造を用い、電波の反射方向を任意に設定できるメタサーフェス反
射板が提案されもいる(特開2021-048465 メタサーフェス反射板お
よび該メタサーフェスを備えた信号機 電気興業株式会社)。上述し
たようなメタサーフェス構造によれば、電波の反射方向を任意に設
定できるが、天地方向のサイズを抑えつつ、エンドファイア指向性
を確保することは容易でなく、具体的には、一般的な屋内向けアン
テナ装置では、天井面側に金属反射板を設け、天井面からの放射の
影響を抑える。しかしながら、このような構造では、金属反射板か
らアンテナまでの距離を十分確保する必要があり、天地方向のサイ
ズが小さい、つまり、低姿勢なアンテナ装置を実現することが難し
いという側面課題がある。したがって、メタサーフェス構造を用い
つつ、低姿勢であり、エンドファイア指向性を有するアンテナ装置
の提供を目的とする。本開示の一態様は、誘電体基板(例えば、電
体基板20)の一方の平面に複数の導体素子(例えば、導体素子200)
が配置されるメタサーフェス構造(メタサーフェス構造15)と、前
記平面から離隔して所定距離内に設けられるアンテナ励振素子(ア
ンテナ励振素子100)とを備え、前記複数の導体素子は、前記誘電体
基板の平面視において、このアンテナ励振素子に対して対称に配置
されるアンテナ装置(例えば、アンテナ装置10)である。図1(a)
は、アンテナ装置10の平面図であり、図1(b)は、アンテナ装置1
0の側面図である。

[第1実施形態]
(1)アンテナ装置の構成
図1(a)は、アンテナ装置10の平面図であり、図1(b)は、ア
ンテナ装置10の側面図である。(a)及び(b)に示すように、ア
ンテナ装置10は、メタサーフェス構造15と、アンテナ励振素子100と
を備える。メタサーフェス構造15は、誘電体基板20、導体板30及び
複数の導体素子200によって構成される。なお 導体板30(地板、金
属反射板と呼ばれてもよい)は、必ずしも必須ではない。アンテナ
装置10の設置場所などによっては、導体板30は備えられなくてもよ
い。アンテナ装置10は、屋内の天井などに好適に設置できる。アン
テナ装置10は、天地方向(z 軸方向)のサイズが抑えられており、
低姿勢であることが特徴である。誘電体基板20側が天井面に配置さ
れてよい。 メタサーフェス構造15では、誘電体基板 20の一方の平
面に複数の導体素子200が配置される。具体的には、メタサーフェ
ス構造15では、両エンドファイア方向に放射するように2つの導体
素子200によって構成される1つのユニットが、アンテナ励振素子
100に対して対称、具体的には、アンテナ励振素子100を基準として
線対称となるように配置される。 本実施形態では、導体素子200は
、誘電体基板20の平面視(x-y面)において 長方形である。具体的
には、導体素子200は、xy平面において、y 軸方向がx軸方向よりも
長い長方形形状である。導体素子200の長手方向は アンテナ励振素
子100の長手方向と平行に配置される。本実施形態では アンテナ励
振素子100は、2つのエレメントを有するダイポールアンテナであり、
図中の矢印は 給電点を示す。複数の導体素子200は、誘電体基板20
の平面視において、ダイポールアンテナのエレメントに対してそれ
ぞれ対称に配置される。具体的には、2つの導体素子200によって構
成される1つのユニットが、当該エレメントに対して対称、具体的
には、このエレメントを基準として線対称となるように配置される。
誘電体基板20は、長さl = 0.53λ、幅w =0.53λ、高さh = 0.06λ、
比誘電率εr= 6.5である。導体板30は、誘電体基板20と同サイズで
よい。導体板30は、アンテナ励振素子100と反対側の誘電体基板20の
平面に配置される。導体素子200は、l1= 0.174λ、w1= 0.08λであ
る。また、導体素子200の配置間隔(x軸方向及びy軸方向、中心基準
)は、0.27λである(以下同)。本実施形態では、アンテナ装置10
の対応する周波数(設計周波数f0)は、28GHzとしている(以下同)。

図1.
(a)は、アンテナ装置10の平面図であり、図1(b)は ア
ンテナ装置10の側面図
【符号の説明】 10, 10A~10E アンテナ装置  15 メタサーフェス
構造 20, 20A~20E 誘電体基板  30 導体板  100 アンテナ励振
素子 200, 210, 220, 230, 240, 250, 260 導体素子

アンテナ励振素子100は、誘電体基板20の一方の平面から離隔して設
けられる。具体的には、アンテナ励振素子100は、誘電体基板20の一
方の平面から所定距離内に設けられる。所定距離は、アンテナ装置1
0が対応する波長λを基準として規定されてよい。なお アンテナ励
振素子100を誘電体基板20から離隔して設ける方法は、特に限定され
ない。例えば アンテナ励振素子100は、誘電体基板20から延びる支
柱(ブラケット)、或いは図示しないケースから延びる支柱(ブラ
ケット)などによって、誘電体基板20の一方の平面から所定距離内
に設けられてよい。 複数の導体素子200は、誘電体基板20の平面視
において アンテナ励振素子100に対して対称に配置される。具体的
には、アンテナ励振素子100は、x軸方向において、誘電体基板20の
ほぼ中央に配置されてよい。 但し、複数の導体素子200がアンテナ
励振素子100に対して対称に配置できれば、アンテナ励振素子100は
必ずしもx軸方向において、誘電体基板20のほぼ中央に 配置されて
いなくても構わない。アンテナ励振素子100は 長さla= 0.45λ、幅
wa= 0.1λである。アンテナ励振素子100は、メタサーフェス構造15
の表面から高さh1=λ/4 (= 0.25λ)の位置に設けられる。つまり、
誘電体基板20(の表面)からアンテナ励振素子100までの距離はアン
テナ装置10が対応する波長λの1/4の長さとしてよい。

(2)アンテナ装置の性能
図2(a)及び図2(b)は、アンテナ装置10の素子長l1に対する
放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ= 90
度)の利得の関係を示す。 図2(a)及び図2(b)に示すように
、l1= 0.174λにおいて、エンドファイア方向(θ=90度付近)の利
得が最大化し、2.78dBiとなる。なお、誘電体基板20の幅方向(x軸
方向)が、90度及び270度と対応する(以下同)。

図3は、アンテナ装置10の設計周波数f0における放射指向性(z-x面)、
及び従来構造のアンテナの設計周波数f0における放射指向性(z-x面)
を示す。従来構造は、メタサーフェス構造15ではなく金属反射板を
用いた構造ある(以下同)。 従来構造のアンテナの場合、メインロ
ーブの放射方向はz軸方向であるが、アンテナ装置10では、x軸方向
であるエンドファイア(θ=90度)方向へ強く放射し、水平方向の利
得が従来構造のアンテナと比較して、約4dB改善されている。


図3.アンテナ装置10の設計周波数f0における放射指向性(z-x面)
及び従来構造のアンテナの設計周波数f0における放射指向性(z-x
面)を示す図



渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

福島原発汚染処理水とはなにか ⑤
1.福島第一原子力発電所周辺海域における海水モニタリング
福島第一原発周辺海域の海水モニタリングについては、令和4年度か
ら、これまでの6測点(下記地図中(1)~(6)で毎月実施)に
3測点(下記地図中(7)~(9)で四半期毎(5月、8月、11
月、2月)に実施)を追加し、計9測点で実施。また、海水中のト
リチウムのモニタリングは、これまでの減圧蒸留法による測定では
検出下限値未満となることが多いため、電解濃縮法※1により検出
下限値を下げた測定を、四半期毎(5月、8月、11月、2月)に
実施。令和4年度に採取した海水について、測定を行った全ての放
射性物質(トリチウム(H-3)、セシウム(Cs-137)等)の濃度は、
告示濃度限度※2及びWHO飲料水水質ガイドライン※3を大幅に下回
っており、福島第一原発周辺におけるこれまでの測定結果と同程度
であった。また、トリチウムについては、日本国内における海水の
濃度範囲内(20Bq/L以下)であったと報告されている。
-------------------------------------------------------------
※1.トリチウムの性質を利用しトリチウムを濃縮し測定する方法
※2.原子力発電所等から環境中に放射性物質を放出する際の基準
※3.世界保健機関(WHO)が定めた各国で飲料水の基準を定める際
 の参考資料
※4.生まれてから70歳になるまで、毎日この濃度の水を約2L飲み
 続けたと仮定した場合に、平均の年間線量が1mSvになる値。
※5.この濃度の水を、一年間毎日、約2L飲み続けたと仮定した場
 合に、年間線量が0.1mSvになる値。

2.日本国内における身の回りにあるトリチウムの濃度範囲





出典:環境省 ALPS処理水に係る海域モニタリング情報

上のグラフに使用したIAEA海洋放射能情報システム(MARIS)には、
日本を含む世界中の多くの機関により実施されたモニタリング結果
が収載。グラフ上特定の時期に大きなピークがあるのは、データの
内容に常時監視以外の目的で試験的に実施された内容も多く含むと
考えられ。収載している範囲についても、日本以外の東アジア地域
のデータが含まれないなど、地域的な網羅性は十分とは言えず、ま
た、日本周辺におけるモニタリング結果に比べて非常に高い範囲の
値となっていることもあり、参考情報として掲載。


海水のトリチウム濃度の参考指標については、日本全国のデータの
うち、過去の核実験等の影響が十 分減衰してきた2015年度以降のデ
ータ(赤枠部分)を対象とし、その期間における最大値を参考 指標
の最大値として用いた。各グラフにある高めの点は、主に全国の原
子力施設等から管理放出されたトリチウムが検出されているもの。

全データを表示したグラフ

蒸留法と電解濃縮法を区別して表示したグラフ
海水のトリチウム濃度のグラフの低い濃度部分を拡大し、蒸留法に
よる測定値(薄い青色)と電解濃縮法(濃い青色)による測定値を
区別したグラフです。電解濃縮法によるデータは限られた地域のも
のとなっている。※環境放射線データベース上で蒸留法及び電解濃
縮法の記載がないデータに関しては蒸留法に含めている。


雨水(降水)のトリチウム濃度の参考指標は、海水と同様に、過去
の核実験等の影響が十分に減衰し、比較的データが安定してきた2015
年度以降のデータ(赤枠部分)を対象とし、その期間における最大
値(7.3 Bq/L)を参考指標の最大値として用いた。


水道水(蛇口水)のトリチウム濃度の参考指標は、海水と同様に、
過去の核実験等の影響が十分に減衰し、比較的データが安定してき
た2015年度以降のデータ(赤枠部分)を対象とし、その期間におけ
る最大値(1.2 Bq/L)を参考指標の最大値として用いた。

参考とする指標値

福島第一原子力発電所周辺海域におけるこれまでの測定結果※6

3.調査測点
  東京電力(株)福島第一原子力発電所周辺海域(9測点)  
 
(1)福島第一原子力発電所 南放水口付近 
  (2)福島第一原子力発電所 北放水口付近 
  (3)福島第一原子力発電所 取水口付近(港湾の出入口付近)
  (4)福島第一原子力発電所 沖合2km
  (5)大熊町 夫沢・熊川沖2km
  (6)双葉町 前田川沖2km
  (7)ALPS処理水放出口予定場所から北2km西0.5km
  (8)ALPS処理水放出口予定場所から北1km
  (9)ALPS処理水放出口予定場所から南1km

4.調査内容.

各調査測点において、海水(表層水、約185リットル)を採取。採取
した試料は、環境創造センターで、次の5項目について分析。
 (1)ガンマ線放出核種(セシウム137等)
 (2)トリチウム
 (3)放射性ストロンチウム
 (4)プルトニウム
 (5)全ベータ放射能

5.調査結果;2023.5.25 福島県放射線監視室
県では、福島第一原子力発電所の廃炉作業に伴う海域への影響を継
続的に監視 するため、海水のモニタリングを毎月実施しております。
令和4年度から、これまでの6測点に3測点を追加し、計9測点で
海水のモニ タリングを実施するとともに、海水中のトリチウム濃度
については、電解濃縮法 により検出下限値を下げた測定を実施して
います(9測点による測定及び電解濃縮 法による測定は 5月、8月、
11月、2月の四半期毎に実施)
【調査結果】
今回は福島第一原子力発電所周辺海域9測点における、海水のモニタ
リング結果。うち、海水中の放射性セシウムは4測点で事故前最大
値を上回ったが、告示濃度限度※1及び WHO 飲料水水質ガイドライ
ンを大幅に下回わる。 なお、海水中のトリチウム、放射性ストロン
チウム、プルトニウムは、全ての測点で事故前最大値を下回った。
海水中の全ベータ放射能は、事故前の測定値とほぼ同程度。


※1 東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び
 特定核燃料物質の防護に関する規則(周辺監視区域外等の濃度限
 度)
※2( )内は本調査における事故後の放射能濃度の範囲
※3 事故前のトリチウムの測定は減圧蒸留法による
※4 トリチウムの検出下限値は、減圧蒸留法が約 0.3~0.5 Bq/L、
 電解濃縮法が約 0.1 Bq/Lを目標値とする。
※トリチウム電解濃縮法:環境分析のためのトリチウム電解濃縮,
 J. Plasma Fusion Res. Vol.92, No.1 (2016)26-30 参考。
1.序論
環境中のトリチウムには天然に生成するトリチウムと人工的に生成
したトリチウムが存在する.天然に生成するトリチウムは大気上層
において,宇宙線起源の陽子や中性子と大気中の窒素原子や酸素原
子との核反応により,常に生 成されている.そのうち99%は水と
して空気中の水蒸 気,雨水,海水中に存在して自然界を循環してい
る.このように環境中のトリチウム濃度は放射壊変による減衰と,
大気上層からの供給がつりあって定常状態となっていた.しかし1
950‐60年代に行われた大気圏核実験により降水中トリチウム
濃度が増加し,1963~1964年のピーク時には定常レベルの
100倍を越える値が観測された 1963年の核 実験禁止条約以
降,降水中トリチウム濃度は年々減少した.核実験由来のトリチウ
ムは,水循環に伴い多くは海に移行するが,海には大量の水が存在
するので,核実験由来のトリチウムが海に移行しても濃度の増加は
わずかである.またトリチウムの壊変による減衰と海の希釈効果の
 め現在の日本における降水中トリチウム濃度はほぼ定常状態となり
年平均で約 0.4 Bq L-1まで下がっている.一方,地下水に涵養さ
れたトリチウムはその滞留時間がトリチウムの半減期よりきわめて
長い場合,放射壊変によりトリチウムはなくなってしまう.大気中
核実験が開始される以前の天然レベルの降水のトリチウム濃度,例
えば日本における環境トリチウム濃度は,1953年に神戸の降水
試料において 0.77Bq L-1との報告値がある.この当時の降水が地
下水として涵養された場合,その濃度はトリチウムの半減期にした
がって減衰し,2015年には約 0.02Bq L-1と見積もられる.こ
の核実験開始以前の降水が涵養された地下水のトリチウム濃度を定
量するにはこの値程度まで測定できる必要がある。

2.トリチウム測定
トリチウムは低エネルギーの線を放出する核種であるため、液体シ
ンチレーションカウンターで測定を行う.液体シンチレーションカ
ウンターは,蛍光試薬と界面活性剤を溶かした有機溶媒(液体シン
チレータ)に試料水を混合し,放射線の作用で発生した蛍光を光電
子増倍管で計測するものである.トリチウム濃度を測定する対象と
して河川水,湖水,雨水、海水等があり、これらの水試料に溶存し
ている不純物を蒸留して除き,液体シンチレータと混合後測定を行
う.環境試料を測定するには低バックグラウンドタイプの液体シン
チレーションカウンターを用いるが,代表的な機種 に,Quantulus
1220(PerkinElmer
)や LSC-LB7(HitachiAloka)等が挙げられる.Qu-
antulus 12
20では容量として 20mLの測定容器まで使用でき,LSC-LB7
では最大145 mL 容量の容器(Polyvial 145 SLD,Zinsser Analytic)を
用いた 測定が可能である. Quantulus 1220 の検出下限値は水試料
10 mLを1:1の 割合で液体シンチレータと混合して,1000分
計測した場合 0.6 Bq L-1であり,同様に LSC-LB7では供試料 50mL
計測時間1000分に対し 0.3Bq L-1と報告がある.これらの濃度
レベルは原子力施設稼働に伴う環境影響を把握するに は十分な感度
であるが,地下水,沿岸海水,及び夏季の降 水試料等の低トリチウ
ム濃度を示す試料では検出下限を下 回る。そのような低トリチウム
濃度を定量には,トリチウムの濃縮操作が必要であり,そのため行
う電解濃縮について以下に紹介する.

3.原理:
図1に電極上での水素発生のメカニズムを示す。 電極表面に付いた
水素イオン(オキソニウムイオン:H3O) が電子を受けて吸着水素
原子 になる(Volmer反応)。
      H3O +e→Had+H2O         (1)
この が結合して水素分子になる.その経路は次の2つが考えられて
いる.ひとつは別の H3Oが一電子還元を受けると同時に先に吸着し
ていたと結合する経路(b)である(Heyrovsky反応).もうひとつ
は2個のが電極表面で結合する経路(b')である(Tafel 反応).そ
れぞれ Volmer-Heyrovsky 反応(V-H 反応),Volmer-Tafel 反応(V
-T
反応)と呼ばれる.Tafel反応は近接する二原子水素 化物間の反応
である同位体効果が小さく,経路(a)→(b')の V-T反応ではTafel
反応が支配的となる.これに対し Heyrovsky 反応では同位体効果が
あり,経路(a)→(b)の V-H反応ではそれぞれの効果が相乗され
ると考えられる.どちらの経路になるかは電極素材と水素の結合の
強さで変わると考えられている.
水を電気分解すると以上のような反応を通して水素ガス と酸素ガス
が生成されるが,水素ガスになる際の反応速度 は H(1H)>D(2H)
>T(3H)の順に,軽い水素ほど早く電気分解が進み,試料水に残存
する試料中に含まれるトリチウムの量は多くなっていく.すなわち
水を電気分解すると,トリチウム水は分解されにくいので水中に濃
縮される.この現象を利用したものが電気濃縮法である.水を電気
分解したときの軽水素 H の反応速度定数と重水素Dの反応速度定数 
の比 ,およびトリチウム Tの反応速度定数 との比をその同位体の
分離係数およびと呼び,この値を用いて電解前のトリチウム濃度を
求めることができる。




したがって,安定同位体比質量分析計で電解前後の
を測定し、こ
の関係から電解前の(3H)濃度を求めることができる。

4.アルカリ電解電極
アルカリ溶液の電気分解システムを図2に示す.環境試料は蒸留し
て不純物除去後,過酸化ナトリウム(Na2O2)を 加えて水酸化ナト
リウム溶液とする.この溶液をガラス製の電解セルに入れて電気分
解を行う.この時-極に高い分離係数を与える素材を使用すること
で,より効率的にトリチウム濃縮を行うことができる.この時電極に
は陰極(-極)に鉄やニッケル,陽極(+極)にはニッケルが使用
される.また電気分解の温度が低いほど高い分離係数を示すので,
恒温槽で0~3℃に冷却して電気分解が行 われる.またこの冷却に
より蒸発の防止も行われる。


電解セルの構造は研究者により様々であるが,初期試料投入量を通
常 200 mL から 1 L としているものが多い.アルカリ電解は,電解
セルを直列に接続し,10~20本のセルを同時に操作する.一般に収率
をモニターするため2本のセルに既知濃度のトリチウムをスパイク
し,別の2本はコントロールとしてトリチウムの含まれていない水
を電解する.この時得られる濃縮率で試料中トリチウム濃度の算出を
行う.電解が進むに連れて溶液体積が減少し,トリチウムとともに
水酸化ナトリウムの濃縮も進む.体積の減少に反比例して電解質で
ある水酸化ナトリウム濃度が増加するため,電解濃縮前後の試料体
積比で10~20倍が濃縮の限界となる.液体シンチレーションカ
ウンターで測定するには溶液を中和して蒸留精製する必要がある.
この中和蒸留には二酸化炭素を通気して行う方法と,塩化鉛を加え
て 蒸留する方法がある。 この電解濃縮により液体シンチレーション
カウンターを単独で用いた場合に対しての検出下限値10~30倍下げ
ることができる.アルカリ電解では電気分解によって水素ガスと酸
素ガスが同時に発生するため,爆発の危険性が伴う.そのためこの
システムを運用するには水素,酸素ガスの排気システムや水素ガス
探知機等の安全装置を備えなければならない.また電極に鉄やニッ
ケルを使用するため,電解操作後に洗浄の必要がある。電極の洗浄
にはリン酸溶液や希塩酸を使用して,電解中に生じた水酸化物や酸
化物を取り除き,洗浄後速やかに乾燥させる必要がある。
以下、「電解濃縮方式の特徴」の説明文は割愛。
関連技術情報➲ Electrolytic Enrichment Technique of Tritium
 in Water for Environmental Analysis, J. Plasma Fusion Res. Vol.92, No.1
  (2016) 26-30 (4.環境分析のためのトリチウム電解濃縮-プラズマ核融
合学会),
                                     この項つづく


風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2002年代


● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)
                                 こころを耕すなむあみだぶつ
 Each time you chant nembutsu, your faith in Amida Buddha deepens.
                                                                                                浄土宗  月訓




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福島原発汚染処理水とは ④

2023年06月02日 | 日々草々


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」。

【今橋(犬上川)現況: 2023年06月02日 18時45分 現在】



設置場所 彦根市開出今町地先 犬上川(いぬかみがわ) 今橋(い
まはし)
はん濫危険水位 2.30m 水位は約2.4キロ上流の国道8号 千鳥橋水
位局データ。
避難判断水位  2.00m
はん濫注意水位 1.70m
水防団待機水位 0.80m
水位が0.8m以上の場合、
下記水位表の下に今橋橋脚をズーム撮影した第二画面の提供を行い
ます。(上画像、ダブルクリックして下さい))

【寄せ植え計画Ⅲ】



アンゲロニア
初夏から秋まで次々と花を咲かせ、長く楽しめるおすすめの草花。
30cm程度の草丈が低い品種は、プランターや花壇の前面に、1m程度
になる高性の品種は、花壇の背景に利用できる。花を長期間咲かせ
続けるには、肥料切れさせないことと、乾かしすぎないこと。



サルビア・スプレンデンス
学名:Salvia
和名:ヒゴロモソウ(緋衣草)=サルビア・スプレンデンス  
その他の名前:セージ類科名 / 属名:シソ科 / アキギリ属(サル
ビア属)



アイビー(ヘデラ・カナリエンシス)
グランドカバーにおすすめの多年草の代表格です。室内で育てる観
葉植物や生垣などをグリーンで覆う葉物としてもおなじみ。
-----------------------------------------------------------
昨年とことなり、積極的な試作造園(寄せ植え・グランドカバー)
を行っており、三種類の花木を一組ににしてテスト評価。--

『元気なネオ高齢社会をつくる 1』
タンパク質25〜35%の食事、元気な高齢者になれるかも
5月30日、高齢期に向けた健康維持のためにはタンパク質の比率が
25%から35%(カロリー換算)の食事を摂ることが最適とみられる
ことを、早稲田大学などのグループがマウスを使った実験で明らか
にした。現在の日本人の平均的な摂取比率は13.8%で、肉や魚、豆
類といったタンパク質をもう少し多く食べた方が良い可能性を示し
ているという。
【概要】
「成長期から高齢期までそれぞれの時期に最適な栄養バランスがあ
るのではないか」と考え、ヒトでは20歳前後に当たる若齢マウス(6
月齢) と、40代後半にあたる中齢マウス(16月齢)にタンパク質がカ
ロリー換算で5%、15%、25%、35%、45%ある餌を2ヶ月間与え--
各餌の脂質の割合は固定し、カロリーをそろえるために炭水化物の
比率を変え、体重や食べた餌の量、肝臓中の中性脂肪やコレステロ
ール量、血糖値などを調査。日本人の平均的摂取比率に近いタンパ
ク質比率15%の餌と他の比率の餌を食べたマウスの状況をそれぞれ
比較----したところ、体重と食べた餌の量については、5%しかタ
ンパク質が含まれていない餌を与えたマウスは齢に関わらず、15%
の餌を食べたマウスに比べて食べる量は増えたのに体重は減ってい
た。体内のタンパク質量を維持するために食べる量を増やして対応
したと考えられる。一方、45%の餌の場合、食べる量は減ったもの
の、体重は変わらなかった。 

肝臓を調べると、齢に関わらず5%しかタンパク質が含まれていない
餌を与えたマウスでは、中性脂肪量や総コレステロール量が多く、
肝臓の切片には多くの脂肪滴が見られ、軽度の脂肪肝だった。一方、
タンパク質比率35%の餌を食べたマウスの中性脂肪量は比率15%の
マウスより少なかった。 血糖値については、タンパク質比率25%
と35%の餌を食べたマウスは15%の餌を食べたマウスよりも低い値
だった。しかし、45%の餌を食べたマウスの血糖値は25%や35%よ
り高くなり、15%のマウスと差がなかった。
尚、ヒトの高齢者に相当する高齢マウスでの実験はできていないが、
肝臓の中性脂肪量や血糖値などの観点から、高齢期に向けた若齢期
から中齢期ではタンパク質比率が25~35%の食事が最も健康的だっ
た。
via.
ヒトの高齢者に相当する高齢マウスでの実験はできていないが、
肝臓の中性脂肪量や血糖値などの観点から、高齢期に向けた若齢期
から中齢期ではタンパク質比率が25~35%の食事が最も健康的だっ
た。



『目次』
プロローグ 衝撃の海外レポート
第1章 一億人国家シナリオの行方
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
第3章 出生率向上のための「3本柱」
第4章 「地方創生」と「移民政策」
第5章 議論百出の人口戦略法案
第6章 波乱の「人口戦略国会」
エピローグ 「始まり」の終わりか、「終わり」の始まりか

【著者略歴】
山崎 史郎(やまさき しろう、1954年〈昭和29年〉12月17日 - )
は日本の厚生・厚労官僚。リトアニア国駐箚日本国特命全権大使等
を経
て、内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。 
------------------------------------------------------------------------------------------
第1章 一億人国家シナリオの行方
  新政権の発足(202X年10月)
  新総理による所信表明演説
9月末の与党政友党の総裁選は、4名の候補者で争われた。選出さ
れたのは、厚労大臣や財務大臣を歴任し、政策通で知られている佐
野徹であった。
 佐野新総裁が臨時国会で内閣総理大臣の指名を受けたあと、10月
中旬に召集された臨時国会の冒頭で、新総理による所信表明演説が
行われた。
 所信表明演説では、総理は個人の所信として、国政の基本方針や
自らが重要と考えている政策課題を述べる。演説の内容ぱ、総理の
考えを基に、官房長官や副長官、内閣総務官などで練り上げていく
ケースが多いが、今回は、総裁選直後の早い段階から、内開府政策
統括官の百瀬高太が作成に深く閣わっていた。百瀬は、佐野総理と
ぱ厚労大臣当時から親しく、演説作成を手伝うようにとの直々の要
請がめったのだ。
佐野自らが数度にわたって筆を入れて、最終的に閣議で決定された
所信表明演説は、異例にも、人口減少問題に多くの時間を割くもの
であった。

   所信表明演説の内容(人口戦略部分の抜粋)
  人口減少という。長くて急な坂道
 「今、日本を覆っている暗雲は何か。それは多くの人びとが抱い
 ている、日本の将来に対する不安です。今の日本は、世界三位の
 強い経済力を持ち、国民の多くは豊かで安心した暮らしをしてい
 ます。しかし、将来は一体どうなるのだろうか。子どもや孫、さ
 らに後の将来世代には、一体どんな社会が待ち受けているのだろ
 うか。国民が抱くこうした不安が、新たな物事にチャレンジして
 いく気持ちを萎えさせ、消費や投資を鈍らせています。
  この不安は、100年前、芥川龍之介が書き遺した「将来に対
 する唯ぼんやりとした不安」ではありません。誰もが、しかも日
 本だけでなく世界もが認識している「明白な不安」です。多くの
 人はご存知と思いますが、数カ月前、ある海外シンクタンクが、
 日本の将来を予測したレポートを発表しました。この予測は、日
 本の人口減少に、まったく歯止めがかかっていない現状がベース
 になっています。
  日本が人口減少の局面に入ったのは2008年でした。いった
 ん人口減少が始まると、減少のスピードは速くなっていきます。
  2020年は、1年間で53万2000人の人口が減りました。
  年間の出生数が減り続けているのがその要因です。出生数は、
 出生率と子どもを生む若年世代の女性人口によって決まります。
  出生率は1・34に低下しており、反転の兆しが見えません。むし
 ろ、最近のコロナ禍によって一段と低下する可能性が高まってい
 ます。そして、若年世代の女性人目はこれからさらに滅少してい
 くため、このままだと出生数はますます減っていきます。この傾
 向が収まるには、出生率が.反転し、高い水準で安定する必要が
 ありますが、それには長い期間を要します。残念なことですが、
 日本は、人口減少という長くて急な坂道を、まさに転げ落ちつつ
 あります。
  日本の人口は、このままいけば2110年には約5300万人
 になる、と推計されています。
  今から約100年前の191‐5年は同じような人口だったの
 だから、昔に戻るだけではないかという意見もあります。しかし、
 そうした意見は高齢化の問題を度外視しています。人口減少は、
 必ず高齢化の進行を伴います。1915年頃の日本は、高齢化率
 5%の若々しい国でした。これに対して、予想されている将来の
 日本は、高齢化率が40%に近い、年老いた国です。

  三度目のチャンス
  なぜ、こんな事態になったのか。率直に申し上げます。これま
 で日本には、今日の事態を阻止できそうな機会が三度ありました。  
 一戻目は、1970年代後半から80年代にかけて、2前後で安定
 していた出生率が大きく低下していった時期です。しかし、当時
 は、戦前の「産めよ、殖やせよ」の政策への反省や、戦後以 来の
 出生抑制政策の流れが強かったことから、出産奨励策はタブー視
 され、対策はまったく講じられませんでした。また、その背景に
 は、出生率が下がったのは「出産のタイミングの遅れ」に よる一
 時的現象で、いずれ回復するだろうという楽観的見通しが、専門
 家の間でさえ共有されて いたこともありました。『出産奨励のタ
 ブー視』です。
  二度目は、1989年に出生率が1・57を切ったことをきっか
 けに、それ以降、政府が少子化対策に乗り出した90年代前半です。
 この問題に初めて取り組んだ姿勢は評価できますが、政策は小粒
 で、有効な成果を上げるまでには至りませんでした。政府全体の
 力点が、眼前の課題であった高齢化対策のほうに置かれ、少子化
 対策への取り組みが質量ともに十分でなかったことや、子育て制
 度の拡充について関係者の理解が十分に得られなかったことが理
 由にあげられます。『政策の後回し』です。
  そして、三度目は、ラストチャンスとも言われた機会です。こ
 れは二度とやって来ない、実に貴重なものでした。わが国の人口
 構成を見ると、戦後すぐに生まれた「第T次ベビーブーム世代」
 と、その子どもたちの「第二次ベビーブーム世代」の2つが数の
 上で突出しています。後者の「第二次ベビーブーム世代」の年間
 出生数は200万人に達していますが、その世代が結婚し、子ど
 もを生めば、将来、「第三次ベビーブーム」がやってくるのでは
 ないか。そうなると、少子化の動きも緩和するのではないかと期
 待されていました。
  その時期とは、彼らが20代後半から30代を迎える、1990年
 代後半から2010年代前半で、最も期待されたのが2000年
 前後でした。ところが、この時期にちょうど日本は金融システム
 不安に端を発した経済危機に見舞われ、さらにりIマンショック
 が襲いかかりました。この時、最大の犠牲者となったのは「第二
 次ベビーブーム世代」をはじめ、後に「就職氷河期」と呼ばれた
 若年世代でした。若者たちの多くが、厳しい就労・生活環境に追
 い込まれ、すでに進行していた晩婚化はさらに進み、未婚者は急
 激に増大しました。その結果、出生率は2005年にば渦犬酸低
 の1・屈にまで落ち込み、その後も低迷が続いています。これは、
 「第三次ベビーブーム世代』を失ったという意味で、づ世代の喪
 失にともいうぺき敗北です。
  また、こうして少子化か進行していった背景には、東京圈への
 「一極集中」があります。東京圈には、これまで三期にわたって
 若年世代が大量に流入し続けてきました。その東京圈は、子ども
 を生み育てる環境としては非常に厳しく、それゆえに、出生率は、
 全国最低の1・13の東京都をはじめ非常に低いのが現状です。こ
 のような流れが、日本全体の人口減少に拍車をかけてき
たことは
 否めません。そして、今や、東京圏には若年女性人口の3分の1
 が集中しており、東京圈の動きが日本全体の出生率を左右するよ
 うな状況となっています。

  「不戦敗」ではないか
  こうした中で、ようやく「どうにかなる」という根拠なき楽観
 論は、下火になりつつありますが、逆に、今度は「もう、人口減
 少は止めようがない」というあきらめに近い考えが広まりつつあ
 ります。
  もちろん今後の人口減少を想定して、付加価値生産性の向上を
 図っていくことは極めて重要です。人口減少に適応するだけでも、
 取り組むべき課題が山積しています。しかし、本当に、そうした
 受け身の対応だけでいいのでしょうか。人口減少は止めようがな
 いと、このままあきらめてしまっていいのでしょうか。
  私は、30年間にわたって政治家として国政に関与してきました。
 したがって、これまでの失敗や敗北について、自らも重大な責任
 を負わなければならないと自覚しています。その上で、あえて問
 いたいと思います。(P.77)
                        この項つづく


Do books
最新版 ビジネス図解 不動産取引
平田 康人【著】
内容説明 :ビジネスとして不動産に関わる人から土地・建物を売ろ
うとしている人・買おうとしている人まで、『不動産取引』を知る
ために必要な80項目を厳選し、ビジュアルな図解でわかりやすく
解説する。取引に関わる法律、売買価格に影響する要因、さまざま
な売買手法のメリット・デメリット、重要事項説明書の留意点から、
土地活用で失敗しないコツまで実践的な知識がラクラク身につく!
目次
1章 これだけは知っておきたい!「不動産取引のしくみ」を理解
  するポイント
2章 必ず押さえておきたい!不動産取引の「基本」と「考え方」
  とは?
------------------------------------------------------------
 ②不動産取引業を規制する「宅地建物取引業法」とは?
 ▼不動産取引を「業」として行なっているか
不動産の取引をする「宅地建物取引業」は、次の2つの要件を満た
す場合が該当します。
(I)宅地または建物について次の行為を行なうこと
 ①「売買」または「交換」
 ②「売買」「交換」または「貸借」の代理
 ③「売買」「交換」または「貸借」の媒介
(2)これらの行為を業として行なうこと
 「業として行なう」とは、不特定多数の者を相手として、反復・
継続して行為を行なうことを言い、宅地建物取引業は「宅地建物取
引業法」という法律によって規制されます。

 ▼昭和27年に「宅地建物取引業法」が制定
本来、土地や建物の取引は私法上の行為なので個人の自由に任せるべ
きものですが、取引が正常に行なわれず、取引の過程において事故や
紛争が頻発して、宅地建物の流通が円滑に行なわれないようでは困り
ます。
そこで、昭和27年(1952年)に「宅地建物取引業よこが川定さ
れました。「宅地建物取引業法」の第1粂(目的)では、「宅地建
物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要
な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の
取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を
促進し、もって購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑
化とを図ることを目的とする」と定めていまず。

つまり、誰でも明日から宅地建物取引業を行なうようなことはでき
ず、免許制度によって宅地建物取引業を営もうとする者を規制し、
加えて免許更新を5年ごとに行なうことによって、免許権者(免許
を与える権限をもつ行政機関)が宅地建物取引業者の資質にチェッ
ク機能を働かせているのです。
その他、宅地建物取引業法では、国家資格である「宅地建物取引主
任者の資格制度に関する事項」から、「各事業所における一定数の
設置義務」「消費者保護のための営業保証金」「業務全般に係る詳
細な規則」「免許権者による監督や罰則規定」まで定めているので
す。


 ③「宅地建物取引業免許」の意味とは
 ▼「国土交通大臣免許」と「都道府県知事免許」がある 
宅地や建
物は、個人にとって貴重な財産であり、その価格は他の財産と比べ
て高額です。したがって、このような貴垂な財産である宅地や建物
の取引を業として行なう者は、社会的にも信用があり、宅地建物の
取引に関する専門性を持つことが必要です。また取引に関する事故
や紛争については、事後的に処罰するよりも、その発生を未然に防
止することが効果的と言えます。
そこで宅地建物取引業法では、宅地建物取引業を営むことを「一般
的に禁止」し、一定の要件を満たした者についてのみ「禁止を解除」
する免許制度を採っています。
宅地建物取引業法第3条では、「宅地建物取引業を営もうとする者
は、二以上の都道府県の区域内に事務所を設置する場合にあっては
国土交通大臣の免許を、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置
する場合にあっては、その事務所の所在地を管轄する都道府県知事
の免許を受けなければならない」と定めています。
飽許の有効肋間は5年間で、引き続き営業を行なう場合は更新手続
きが必要となります。屯新は、1996年以降、「3年ごと」から
「5年ごと」になっています。

▼免許番号が「大きい数字」の不動産会社は信用できる?
宅巡業免許番号とは、不動産業者が免許を受けたときに与えられる
番号で、免許主体によって「国土交通大臣免許(5)第○○号」「
東京都知事免許言11)第△△号」等と表示されます。どちらの免許
も新規取得時は(I)から始まり、更新を重ねるたびに「2、3…
…」と数字が大きくなっていきます。
この免許番号については、世間一般では「大きい数字ほど信頼性と
実績がある」といった見方がされています。
大筋間違ってはいませんが、すべてがそうだとは言えません。
顧客志向で、目々業務革新をしている「若い不動産会社」がある一
方で、看板にあぐらをかいて、悪しき慣習を引きずった「古い不動
産会社」も多くあります。
こうした見方は参考程度に留めておき、自分自身の目で信頼できる
企や担当者を見極める必要があります。



                       この項つづく

ネオビジネスマン考 ②

知識ゼロからの空き家対策
著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればい
いかわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことを
お教えします!
【要点】
●多様化する空き家の活用法
●親が元気なうちから対策を
●空き家対策の流れ ほか
【目次】
第1章 ●空き家問題と対策のポイントを理解する ●負不動産になる空
き家と富動産になる空き家 ほか
第2章 ●空き家の履歴書を作成し、実態を把握する ●空き家の履歴書
の作り方 ほか
第3章 ●空き家の片づけ ●空き家の管理 ●外部に相談する ●相続登
記 ほか
第4章 相続争いを防ぎ、“未来の空き家”に備える ●未来の空き家の
原因 ●家族信託とは ●遺言とは ほか
第5章 これだけは知っておきたい トラブルを防ぐ不動産取引の基礎知
識 ●不動産取引の基本 不動産会社の選び方 査定 媒介契約 など ●
売るとき 全体の流れ インスペクション 測量 など ●貸すとき 全体
の流れ 賃貸条件 賃貸借契約 など
知識ゼロからの空き家対策
著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればい
いかわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことを
お教えします!

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Q:私の実家は両親が元気で暮らしているので、空き家になるのは
 まだ先の話ですね
A:いいえ、そうとは言い切れません。じつは空き家問題には、家
 の問題に加えて、「人の問題」もかかわっているんですよ。家の
  所有者が認知症などで判断能力を失ってしまうと売却や賃貸に出
 すことはできなくなります。家という大切な資産が「凍結」して
 しまうんですね。また、相続時に誰が家を受け継ぐかで、トラブ
 ルになることもあります。
A:そうなんですか。親の認知症や介護への不安は漠然とありまし
 たが、家のことはまったく考えていませんでした。
Q:家を売却して介護費用にあてようとしても、家が共有名義にな
 っている場合は、名義人全員の合意が必要です。そのうちのT人
 でも、判断能力を失っていると、「成年後見人」をつけるしかあ
 りません。裁判所に中立てて成年後見人をつけるには、手間もお
 金もかかりますし、自宅の売却には裁判所の許可が必要です。
A:成年後見はすごく大変だと聞いたことがあります。 成年後見
 はすごく大変だと聞いたことがあります。
Q:「家族信託」や「任意後見」という方法があります。ご両親が元
 気な今だからこそ、対策を立てておきましよう。
  
                        この項つづく



渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

福島原発汚染処理水とはなにか ④


図1.測点の位置と測定結果 出所:福島県ホームページ

福島第一原子力発電所周辺海域における海水モニタリングとは
島第一原発周辺海域の海水モニタリングについては、令和4年度から、
これまでの6測点(下記地図中(1)~(6)で毎月実施)に3測
点(下記地図中(7)~(9)で四半期毎(5月、8月、11月、
2月)に実施)を追加し、計9測点で実施しているという。また、
海水中のトリチウムのモニタリングについては、これまでの減圧蒸
留法による測定では検出下限値未満となることが多いため、電解濃
縮法※1により検出下限値を下げた測定を、四半期毎(5月、8月、
11月、2月)に実施している(➲福島県ホームページ「福島第一
原発周辺海域の海水モニタリング乃強化」、2023年5月25日)


●参考とする指標値


【脚注】
1.トリチウムの性質を利用してトリチウムを濃縮してから測定す
 る方法
2.原子力発電所等から環境中に放射性物質を放出する際の基準
3.世界保健機関(WHO)が定めた各国で飲料水の基準を定める際の
 参考資料
4.生まれてから70歳になるまで、毎日この濃度の水を約2L飲み続
 けたと仮定した場合に、平均の年間線量が1mSvになる値。
5.この濃度の水を、一年間毎日、約2L飲み続けたと仮定した場合
 に、年間線量が0.1mSvになる値。
                        この項つづく
 

------------------------------------------------------------
 

  第Ⅰ部
  第3章
  秋、獣たちの体は、来たるべき寒い季節に備えて輝かしい金色
 の毛に覆われる。額に生えた単角は鋭く白い。彼らは冷ややかな
 川の水で蹄を洗い、首をそっと伸ばして赤い木の実をむさぼり、
 金雀児の葉を噛む。
  それは美しい季節だった。
  壁に洽って設けられた望楼に立ち、夕暮れの角笛を私は待つ。
 太陽が沈む少し前の時刻に、角笛は長く一度、短く三度吹き鳴ら
 される。それが決まりだ。柔らかな角笛の音が、暮れなずむ石畳
 の通りを滑り抜けていく。角笛の響きはおそらく数百年のあいだ
  あるいはもっと長い歳月かもしれない)変わることなく繰り返さ
  れてきたのだろう。家々の石壁の隙間にも、広場の垣根に沿って
  並んだ石像にも、その音色は深く浸み込んでいる。
   角笛の音が街に響き渡るとき、獣たちは太古の記憶に向かって
  首を上げる。あるものは葉を噛むのをやめ、あるものは蹄をこつ
 こつと舗道に打ち付けるのをやめ、あるものは最後の日だまりの
 中の午睡から目覚め、それぞれに同じ角度に首をもたげる。
  すべては一瞬、彫像のように固定される。動くものといえば、
 風にそよぐ彼らの柔らかな金色の体毛、それだけだ。それにして
 も彼らはいったい何を見ているのだろう? ひとつの方向に首を
 曲げ、宙を見据えたまま、獣たちは緻動だにしない。そうして角
 笛の響きに耳を澄ませる。
  角笛の最後の響きが空中に吸い込まれて消えたとき、彼らは前
 脚を揃えるようにして立ち上がり、あるいは伸びをして姿勢を整
 え、ほとんど時を同じくして歩み始める。いっときの呪縛は解か
 れ、それからしばらく街の通りは、獣たちの踏みならす蹄の音に
 支配される。
  獣たちの列は曲がりくねった石畳の通りを速んでいく。誰が先
 頭に立つというのでもなく、誰が隊列を導くというのでもない。
 獣たちは目を伏せ、肩を小刻みに左右に揺らしながら、沈黙の川
 を下っていくだけだ。それでも一頭一頭のあいだには、打ち消し
 がたい緻密な絆が結び合わされているように見える。
  何度か眺めているうちに、獣たちの辿る道筋や速度が厳密に定
 められているらしいことがわかる。彼らは仲間をあちこちで群れ
 に加えながらなだらかなアーチ型の旧橋を渡り、鋭い尖塔のある
 広場まで歩く(そこにある時計台の時計は、きみが言ったとおり
 針が二本とも失われている)。
  そこで川の中州に下りて緑の草を食んでいた少数の集団を加え
 る。川洽いの道を上流に向けて進み、北にのびる涸れた運河づた
 いに工場街を抜け、森で本の実を探していた一群を拾い上げる。
 それから方向を西に変え、鋳物工場の屋根付きの渡り廊下をくぐ
 り、北の丘づたいに長い階段を上る。
  街を囲む壁には門がひとつしかない。それを開け閉めするのは、
 門衛の役目だ。厚い鉄の板が縦横に打ち付けられた、垂く頑丈そ
 うな門だ。しかし門衛は軽々と押して開け閉めする。彼以外の人
 間が門に手を触れることは許されていない。

  ショファルshofar)
※「エリコの壁」参照 via. jp.Wikipedia

このようにして、いつものように、静かに春樹ワールドの幕開けと
なりしばし没入することとなる。
                        この項つづく

     



【再エネ革命渦論 130: アフターコロナ時代 329】

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑬


米Intel(インテル)は、同社の実装技術ロードマップを世界の報
道機関向けに説明するオンラインイベント「Advanced Packaging:
Enabling the future of Moore’s Law」を2023年5月17日(米国時
間)に実施したベントではICパッケージ内部でチップ(ダイ)間を
接続する技術に加えて、ICパッケージ間光接続する技術(Co Pack
aged Optics:CPO)も情報提示➲2023年下期にCPO用部品のサン
プル出荷を始め、2024年中に製品レベルの品質まで引き上げる予定。
世界の共同パッケージ光学市場:考察と予測 (2022~2032年まで)
(願上図参照)では次のようになる。
【要点】
1.世界共同パッケージ光学市場規模は2022年で15万米ドル
2.市場は2022~2032年間 CAGRで68.9%成長
3.共同パッケージ光学世界市場は2032年2,840億万米ドルに到達
4.アジア太平洋地域は予測期間中に最も速く成長する


図. シリコンフォトニクスによる光デバイス集積のイメージ

尚、『コパケージオプテックス;Co-packaged Optics>』デジタル渦
論については、光伝送技術を知る(14) 光トランシーバー徹底解
説(8)「光トランシーバーのForm Factorの新動向」(EE Times
Japan, 2020.11.16 高井厚志著)及び「シリコンフォトニクス」
jp.wikipedia
を願参照。
------------------------------------------------------------

半導体後工程の新たなチップ集積手法
半導体デバイスの微細化限界を突破し,高性能化・低消費電力化を
目指す手法として「チップレット集積」が大きな注目を集めている。
しかしチップをウエハー上に接合し垂直方向の電気的な接続を担保
する接合/配線技術に課題が残っており,新たな接合手法や集積手
法が求められている。
横浜国立大学,ディスコ,東レエンジニアリングは,直接接合技術
を用いた,新規なチップ仮接合および剥離技術の開発に成功した。
5月30日、本研究では新たに開発されたCVD絶縁膜を用いて、チップ
をウエハ上に仮接合する方法が示された。このアプローチでは、仮
接合はプラズマ活性化ダイレクトボンディングによって行われるた
め、仮接合界面はほとんどの前工程プロセスと互換性があり、先端
ファブの技術を用いたさらなる微細化など、拡張性の見込める集積
技術。さらに、界面層が薄く固体であるため、ボンディング中のダ
イのずれのリスクを軽減することができる。これによっ Die-to-
Waferの「ハイブリッド接合」を可能とし、仮接合による材料の加
工時間、材料損失を削減、低コスト化が実現可能になる新規な垂直
方向配線形成技術及びチップ集積技術。

風蕭々と碧いの時代



John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2001年代





Lifetime Respect  via jp.Wikipedia

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)


via THE DIGES - Yahoo!ニュース

大谷翔平選手ががキャリア最長記録となる459フィート(140メート
ル)を含む二本の本塁打、エンゼルスがホワイトソックスを12対5で
大勝した。彼女も大喜びだ。

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