極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

映画音楽をロールピアノで

2023年09月01日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



核融合エネルギーも俺に任せろ ②
さぁ、ポジティブ・シンキングで新時代を開拓?ひらこう
核融合エネルギー解放に未来を託せるか

1.特開2008-64641 鋼又はフェライト鋼中の窒素同位体濃縮による放
 射
性核種の低減方法 独立行政法人 日本原子力研究開発
前回の続き ➲
【実施例】
(2)アウトボード側フェライト鋼中の炭素14濃度
  窒素15を95%濃縮したフェライト鋼を用いた場合の炭素14濃度およびそ
れぞれの核種の寄与度を図5(a)(b)に示す。窒素15濃縮後の窒素14濃度は5
%である。窒素15濃縮により第一壁における炭素14濃度は7.8 × 107から
3.2 × 107Bq/kgに減少した。窒素15濃縮により炭素14の生成量は41%に減
少した。この41%と窒素14の濃度である5%との差は窒素15に起因する炭素
14によるものである。図5(b)において、窒素15の寄与度は第一壁において
は支配的であるが、深くなるにつれて減少している。フェライト鋼中の窒
素15濃度(95%)は窒素14濃度(5%)よりもかなり大きいが、深い領域では窒
素15の寄与度は小さくなり、窒素14の寄与度を下回っている。未濃縮窒素
に対する窒素15濃縮窒素における、炭素14濃度の比を図6に示す。もっとも
大きかったのは第一壁表面で、その値は0.4であった。この比は深くなる
につれて減少し、深い領域では0.1以下になった。炭素14の生成量を減ら
すためには、深い領域での窒素15濃縮が、より有効であったのは注目に値
する。 これに関する議論を以下に示す。15 N(n,np)14Cおよび15N(n,d)14C
核反応にはそれぞれ11MeVおよび8.5MeVの閾値がある。 それにより8.5MeV
以上エネルギーを持つ中性子のみが窒素15から炭素14を生成することが可
能である。図7にアウトボード側のそれぞれの位置(第一壁、銅製の導体シ
ェルおよび固定ブランケットの外側表面)における中性子のエネルギースペ
クトルを示す。第一壁表面から離れるにつれて低エネルギー側と比較して、
高エネルギー中性子束が顕著に減少している。全中性子に対する8.5MeV以
上の中性子束の比を図6に示す。これらの結果から高エ ネルギー中性子の
減衰により、窒素15から生成される炭素14は、第一壁表面からの距離が大
きくなるにつれて減少することが分かった。

図6.天然存在比窒素に対する窒素15濃縮した場合の炭素14濃度の比、お
よび全中性子に対する8.5MeV以上の中性子束の比を示す図であり、炭素14の
生成量を減らすためには、深い領域における窒素15濃縮が、より有効であ
った。


図7.アウトボード側のそれぞれの位置(第一壁、銅製の導体シェルおよ
び固定ブランケットの外側表面)における中性子のエネルギースペクトル
を示す図であり、第一壁表面から離れるにつれて低エネルギー側と比較し
て、高エネルギー中性子束が顕著に減少している。

(3)低レベル放射性廃棄物に分類するための窒素15濃縮の効果
図8にアウトボード側フェライト鋼における炭素14濃度を示す。窒素15濃度
は天然存在比(0.37%)と95%濃縮である。実証炉における交換および固定ブ
ランケットの運転期間は、それぞれ2年(稼働率:80%)および30年(稼働率:5
0%)である。日本における低レベル放射性廃棄物分類のための炭素14濃度
の規制値は3.7 × 107 Bq/kgである。未濃縮窒素を用いた場合には、炭素1
4濃度はこの規制値を大きく超えているが、窒素15濃縮の場合には、第一
壁および固定ブランケット内表面における炭素14濃度は、それぞれ 3.2×
107および1.0 × 107Bq/kgであり、規制値を下回った。一方、上記(1)
で示したとおりインボード側においては、中性子束がアウトボード側より
小さい為に、炭素14濃度もアウトボード側より小さくなる。そのため炭素
14に関しては、窒素15濃縮によりインボートおよびアウトボードのすべて
のブランケットが低レベル放射性廃棄物に分類可能である。ブランケット
の交換頻度を考慮すると、交換および固定ブランケットに用いられるフェ
ライト鋼の全体積は1200 m以上になると見積もられる。図8に示すとおり
ブランケットの背後に設置された機器(ブランケット支持材など)の炭素1
4濃度はブランケットよりもかなり小さい。それゆえ炭素14濃度に関しては、
窒素15濃縮により実証炉に用いられるすべてのフェライト鋼 が低レベル放
射性廃棄物に分類することが可能である。実証炉と同様に商業炉などの将
来の核融合装置でも窒素15濃縮は炭素14の生成を抑え低レベル放射性廃棄
物に分類するための有効な手段である。


図8.アウトボード側フェライト鋼における炭素14濃度を示す図であり、
窒素15濃度は天然存在比(0.37%)と95%濃縮であり、日本における低レベル
放射性廃棄物分類のための炭素14濃度の規制値は3.7 ×107 Bq/kgである。
 
これに関する議論を以下に示す。 15N(n,np)14Cおよび15N(n,d)14C核反応
にはそれぞれ11MeVおよび8.5MeVの閾値がある。 それにより8.5MeV以上エ
ネルギーを持つ中性子のみが窒素15から炭素14を生成することが可能であ
る。図7にアウトボード側のそれぞれの位置(第一壁、銅製の導体シェルお
よび固定ブランケットの外側表面)における中性子のエネルギースペクト
ルを示す。第一壁表面から離れるにつれて低エネルギー側と比較して、高
エネルギー中性子束が顕著に減少している。全中性子に対する8.5MeV以上
の中性子束の比を図6に示す。これらの結果から高エネルギー中性子の減
衰により、窒素15から生成される炭素14は、第一壁表面からの距離が大き
くなるにつれて減少することが分かった。 

(3)低レベル放射性廃棄物に分類するための窒素15濃縮の効果
図8にアウトボード側フェライト鋼における炭素14濃度を示す。窒素15濃
度は天然存在比(0.37%)と95%濃縮である。実証炉における交換および固定
ブランケットの運転期間は、それぞれ2年(稼働率:80%)および30年(稼働率
:50%)である。日本における低レベル放射性廃棄物分類のための炭素14濃
度の規制値は3.7 × 107 Bq/kgである。未濃縮窒素を用いた場合には、炭
素14濃度はこの規制値を大きく超えているが、窒素15濃縮の場合には、第
一壁および固定ブランケット内表面における炭素14濃度は、それぞれ3.2
× 107および1.0 × 107 Bq/kgであり、規制値を下回った。一方、上記
(1)で示したとおりインボード側においては、中性子束がアウトボー
ド側より小さい為に、炭素14濃度もアウトボード側より小さくなる。その
ため炭素14に関しては、窒素15濃縮によりインボートおよびアウトボード
のすべてのブランケットが低レベル放射性廃棄物に分類可能である。ブラ
ンケットの交換頻度を考慮すると、交換および固定ブランケットに用いら
れるフェライト鋼の全体積は1200 m3以上になると見積もられる。図8に示
すとおりブランケットの背後に設置された機器(ブランケット支持材など)
の炭素14濃度はブランケットよりもかなり小さい。それゆえ炭素14濃度に
関しては、窒素15濃縮により実証炉に用いられるすべてのフェライト鋼
が低レベル放射性廃棄物に分類することが可能である。実証炉と同様に商
業炉などの将来の核融合装置でも窒素15濃縮は炭素14の生成を抑え低レベ
ル放射性廃棄物に分類するための有効な手段である。

[発明の効果] 
特に、核融合炉において、炭素14の生成量を減らし、浅地埋設可能なLLM
の割合を増やすためのフェライト鋼中の窒素15濃縮の効果を調べた。
(1) 炭素14濃度に関しては、200ppmの窒素添加したフェライト鋼にお
いて、窒素15を濃縮することにより、核融合炉に用いられるすべてのフェ
ライト鋼(第一壁やブランケットを含む)をLLMに分類することが可能であ
る。
(2) アウトボード側の第一壁におけるフェライト鋼中の炭素14濃度は、
窒素15濃縮により7.8 × 107から3.2 × 107 Bq/kgに減少した、この値は
日本のLLM分類のための炭素14濃度の上限値である3.7 × 107Bq/kgより
小さい。
(3) 固定ブランケットにおいては、窒素15濃縮した場合の炭素14濃度
の最大値は1.0× 107Bq/kgであり、日本のLLM分類のための炭素14濃度の
上限値である3.7 × 107 Bq/kgよりかなり小さい。また、15N(n,np)14Cお
よび15N(n,d)14C核反応の閾値のために窒素15濃縮の効果は交換ブランケ
ットより固定ブランケットのほうが大きかった。 
                                                      この項了
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2.特開2023-028231 核融合炉用ブランケット 京都フュージョニアリ
 ング株式会社
【概要】
核融合炉では、重水素と三重水素(トリチウム)を含む混合燃料を真空容
器内でプラズマ化して保持し、核融合反応で生じる14.1MeVの一次
中性子からエネルギーを取り出して発電を行う。トリチウムは自然界に存
在しないため、炉を継続的に運転するにはトリチウムの消費分を補いつつ、
増殖する必要がある。このため、核融合炉では、核融合反応により生成さ
れる中性子の捕獲によるトリチウム生成と、核融合反応により生じる熱の
回収とを行うために、真空容器の内面にブランケットが取り付けられる。

ブランケットの一例として、特別に成分調整された低放射化フェライト鋼
(例えば、F82H)で構成された箱形状の金属容器(筐体)に、リチウ
ムを含むトリチウム増殖材、ベリリウムを含む中性子増倍材の層を交互に
設けたものがある。筐体内部に冷却水が流通する流路が形成されて、発生
した熱が回収される。筐体には、冷却水を供給して、回収するための配管
、生成したトリチウムを回収するために搬送ガスを供給し、回収するため
の配管が取り付けられる(例えば特開2004-239807;核融合炉のブランケッ
トモジュール構造)。
しかしながら、発生した熱を回収するために冷却水を使用する場合、冷却
水が構造材の破損により高温部に吹き込んだ場合には、水素発生などのリ
スクが避けられない。特に、冷却水を循環させる配管や、精製したトリチ
ウムを回収するための配送ガスを供給・回収するための配管が複雑になる
と、プラント全体の安全上の懸念及び潜在的なリスクの一つになる。
そこで、本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、炉設計をシ
ンプル且つ軽量なものとすることによって、プラント全体の構造的な健全
性を維持しつつ、高いトリチウム増殖性能を実現する核融合炉用ブランケ
ットを提供することを目的とする。

【要約】
下図4のごとく、複数のブランケットモジュール4aのそれぞれは核融合
プラズマに臨ませて配置される第一壁41と、第一壁41の背後に配置さ
れSiC又はSiC複合材を含む構造材料により形成された内部が中空の
筐体40と、筐体40内部において核融合プラズマから離れる方向に複数
連設された内部槽421,422と、第一壁41側の構造材料と最前列に
位置する内部槽との間に形成された前面側流路45と、前面側流路45と
最前列に位置する内部槽421とを連通させる流入孔45aと、隣接され
た内部槽421,422同士を相互に連通させる連通孔43aと、筐体4
0の外部から前面側流路45に冷却材を供給する供給路46と、最後尾の
内部槽422から筐体40の外部に冷却材を排出する排出管47とを備え
ることで、炉設計をシンプル且つ軽量なものとすることによって、プラン
ト全体の構造的な健全性を維持しつつ、高いトリチウム増殖性能を実現す
る。

図4.実施形態に係るブランケットモジュールの内部構成を示す断面図

【符号の説明】 P…核融合プラズマ  Pc…コアプラズマ  Ps…ソ
ルプラズマ  1…核融合炉  3…真空容器  4…核融合炉用ブランケ
ット  4a…ブランケットモジュール  6…ダイバータ  40…筐体
40a~d…構造材  41…第一壁  42…内部槽  42a~d…構
造材  43…隔壁  43a…連通孔  44…供給管  45…前面側流
路  45a…流入孔  46…供給路  47…排出管  51…トロイダ
ルコイル  52…ポロイダルコイル  53…センターソレノイドコイル 
201…熱交換機  202…VST装置 203…電磁ポンプ  421,
422…内部槽

[発明を実施するための形態】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る核融合路用ブランケットの実施
形態を詳細に説明する。図1に本実施形態に係る核融合炉の構成を示す。
なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するため
の装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品
の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発
明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えことがで
きる。

(核融合炉の構成)
 下図1に示す核融合炉1では、重水素とトリチウムを含む混合燃料を真
空容器3の内部でプラズマ化する。発生した高温のプラズマは、各超伝導
コイル51~53などによる磁界によって真空容器3の内部に保持される。
そして、プラズマ内部では、重水素とトリチウムの核融合反応が発生する。
なお、ダイバータ6は、核融合反応により生じたヘリウムと燃料粒子の排
気を行うとともに、ダイバータ6に流れてきた熱エネルギーの排出を行う。
詳述すると、核融合炉1は、いわゆるトカマク型の核融合炉であり、ドー
ナツ状で、垂直な断面の形状がほぼD字形の形状の真空容器3が設けられ
ている。真空容器3の外側には、超伝導コイルが設けられており超伝導コ
イルは低温状態に維持される。この超伝導コイルとしては、真空容器3の
外側の空間に、トロイダルコイル51、ポロイダルコイル52及びセンタ
ーソレノイドコイル53が設けられている。

センターソレノイドコイル53は、真空容器3のドーナツの中心の空間に
設けられている。トロイダルコイル51は、真空容器3の大径に沿って互
いに間隔をあけて複数が配置されている。これら複数のトロイダルコイル
51のそれぞれは、真空容器3のドーナツ状の筒部分を囲むように配され
ている。それぞれのトロイダルコイル51においては、真空容器3の大径
沿って互いに同一方向の電流が流れるように構成されている。また、ポロ
イダルコイル52は、真空容器3の大径に沿って形成された環状をなし、
すなわちドーナツ状の大径と同心に、複数本が垂直方向に互いに間隔をあ
けて配されている。

そして、トロイダルコイル51によって形成されるトロイダル磁場は、設
置されている複数のトロイダルコイル51によって形成される磁場の合成
磁場である。トロイダル磁場は、真空容器3内で真空容器3の大径に沿っ
て形成される。このトロイダル磁場の方向を、以下、トロイダル方向と呼
び、磁場の外側の領域についても使用することとする。また、ポロイダル
コイル52によって形成されるポロイダル磁場は、プラズマ内に誘導され
るプラズマ電流によって形成される磁場の合成磁場である。このポロイダ
ル磁場は、真空容器3内で真空容器3のドーナツ状の筒部分の垂直断面内に
沿って形成される。 
これらの磁場を合成して形成される全体合成磁場は、トロイダル磁場、及
びポロイダル磁場の全体合成磁場である。この全体合成磁場は、ドーナツ
状の表面に沿って形成されプラズマの中心軸に向かうような捻れた磁場と
なる。
核融合炉1では、重水素とトリチウムを含む混合燃料を真空容器3の内部
でプラズマ化し、発生した高温の核融合プラズマP(図2に示すコアプラ
ズマPc及びソルプラズマPs)は、トロイダルコイル51及びポロイダ
ルコイル52などによる全体合成磁場によって、真空容器3の内部に保持
される。この核融合プラズマの内部では、重水素とトリチウムの核融合反応
が発生し、ヘリウムと中性子が生成される。 ポロイダルコイル52の鉛直
方向の下方には、ダイバータコイルが設けられており、ダイバータコイル
による磁場とポロイダル磁場が重なった結果、ポロイダル磁場がゼロとな
るヌル点及びヌル点を含む磁力面であるプラズマ境界が生成される。プラ
ズマ境界の外側では、磁力線が内部にとどまることはなく、このため、プ
ラズマ境界の外側の領域に存在するプラズマ粒子は、プラズマ境界に沿っ
て流出する。この粒子及び熱的エネルギーを真空容器3の内部で捕獲する
ために、ダイバータ6が設けられている。このダイバータ6は、核融合反
応により生じたヘリウム等の排気を行うとともに、ダイバータ6に流れて
きた熱エネルギーの排出・回収を行う。
なお、真空容器3の内側には、ダイバータ6の他に、核融合プラズマにエ
ネルギーを付与するための電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH:Electron 
CyclotronHeating
)装置や、プラズマ中に高エネルギー粒子を注入する中性
粒子ビーム入射加熱(NBI:NeutralBeamInjectionheating)装置などの一部も、
設けられている。 


図1.実施形態に係るトカマク型の核融合炉の構成を一部切り欠いて示す。
  斜視図

図2.実施形態において真空容器の内面に核融合炉用ブランケットが配置
された状態を模式的に示す説明図

図3.実施形態に係るブランケットモジュールの外部構成を示す斜視図

(核融合炉の動作)
以上説明した構成の核融合炉の動作は、以下の通りである。 先ず、重水
素とトリチウムを含む混合燃料を真空容器3の内部でプラズマ化する。発
生した高温のプラズマは、各超伝導コイル51~53などのコイルの磁界
によって真空容器3の内部に保持される。そして、プラズマ内部では、重
水素とトリチウムの核融合反応が発生し、ヘリウムと中性子が生成される。
粒子及び熱的エネルギーの一部は、ダイバータ6によって真空容器3の内
部で捕獲され、ダイバータ6により核融合反応により生じたヘリウム等の
排気が行われるとともにダイバータ6に流れてきた熱エネルギーが排出・
回収される。 【0030】 一方、核融合炉用ブランケット4では、各ブ
ランケットモジュール4aにおいて、電磁ポンプ203により供給管44
を通じて筐体40内部へ冷却材(液体リチウム鉛)が供給され、供給され
た冷却材によって筐体40内において発生した熱及びトリチウムが回収さ
れ、排出管47を通じて真空容器3の外部へ排出される。この各ブランケ
ットモジュール4aから排出された冷却材を介して熱交換機201及びV
ST装置202により熱及びトリチウムが回収される。そして電磁ポンプ
203により冷却材は再びブランケットモジュール4aに供給される。詳
述すると、電磁ポンプ203により供給管44を通じて筐体40内部へ冷
却材(液体リチウム鉛)が供給され、筐体40内に供給された冷却材は、
内部槽42の周囲に形成された供給路46を通じて、第一壁41側の構造
材料40aと最前列に位置する内部槽421との間に形成された前面側流
路45へと流入され、次いで前面側流路45から、内部槽421の構造材
42aに穿設された流入孔を通じて、内部槽421内へ供給される。また、
内部槽42内において冷却材は、隔壁43に多数穿設された連通孔43a
を通じて、プラズマ側の内部槽421から後方の内部槽422へと流通す
る。このように、冷却材は、供給管44から供給路46、前面側流路45
を経て、内部槽421,422を通過する間に、筐体40内において発生
した熱及びトリチウムを捕捉する。 この間、冷却材は、液体リチウム鉛で
あり、増殖材の機能を有することから、核融合反応により生じた一次中性
子の照射を受けて、リチウム鉛に含まれる質量数6のリチウムの核反応を
発生させてトリチウムが生成されるとともに、同時に、冷却材に含まれる
リチウム鉛と一次中性子との核反応が発生して二次中性子が生成される。

この二次中性子も核融合炉用ブランケット4内の冷却材と核反応してトリ
チウム生成に寄与する。その後、冷却材は、熱及びトリチウムを捕捉した
状態で、最後尾の内部槽422から排出管47を通じて、筐体40の外部
に排出され、これら各ブランケットモジュール4aから排出された冷却材
を介して熱交換機201及びVST装置202により熱及びトリチウムが
回収される。 (作用・効果) 以上説明した本実施形態に係る核融合炉用
ブランケット4によれば、先進的な炭化ケイ素複合材料(SiCf/SiC)及び
自己冷却リチウム鉛増殖材を用いた高温運転可能なブランケット設計が可
能となる。具体的に核融合炉用ブランケット4は、第一壁41にタングス
テン薄膜、ブランケットモジュール4aの構造材として炭化ケイ素複合材
料(SiCf/SiC)を採用し、液体リチウム鉛は増殖材と冷却材を兼ねること
から、核融合により発生した熱の取り出し、トリチウムの生産及び放射線
の遮蔽の役割を果たすこととなる。また、リチウム鉛は非圧縮性流体であ
り、空気や水との化学反応性が低いため、漏洩等の想定しうる事故シナリ
オにおいても安全である。さらにはリチウム鉛を循環させて冷却するため、
加圧水やヘリウムガスといった冷却材をブランケット内部に入れる必要が
なく、シンプルなブランケット構造が可能となる。

また、本実施形態では、筐体42内部に内部42槽を複数連設する構造と
するとともに、筐体40、内部槽42,各流路をSiC又はSiC複合材
を含む構造材料により形成するたため、内部槽42のサイズや配置を最適
化することができ、核発熱分布に応じた冷却材の流路を制御することがで
き、熱の回収率及びトリチウムの増殖性能を適正に向上させることができ
る。また、本実施形態のブランケット6では、供給管44から排出管47
に至る各流路が水平方向に配置されており、小さいポンプ動力で冷却材を
流動させることができる。 また、筐体40の各構造材や配管に密度3.21
g/cm3のSiCf/SiC構造材を使用していることから軽量性に優れ、鉄鋼材(
約8 g/cm3)に比べて遥かに軽いうえ、鉄鋼材料の構造材と比較して水素
同位体の透過が極めて少ない。SiCf/SiCを構造材とするブランケットでは
トリチウム透過による燃料損失や放射性物質の漏洩による問題がほとんど
生じない。
さらに、SiCf/SiCは、高温・中性子照射下においても、熱化学的安定性と
損傷回復性に優れており、従来材料よりも交換の頻度を下げることができ、
メンテナンスコストも低減できる。また、SiCf/SiCは、他の鉄鋼材料と比
較して中性子の反射・吸収が非常に少ないことから、高いトリチウム増殖
比を達成できる。 また、本実施形態に係るブランケットモ
ジュールでは、その構造材は全て中性子照射によって放射性同位体を生成
し、放射性廃棄物として処理される。SiCf/SiCの放射化レベルは、低放射
化フェライト鋼などの他の構造材と比較しても著しく低く、SiCf/SiCは1
日に3桁以上放射能を低減するするため、放射性廃棄物量を大幅に低減す
ることが可能となる。さらには、鉄鋼材料にリチウム鉛を流動させる場合、
ブランケット中で液体リチウム鉛の流れに対して強いブレーキが働く現象
などのMHD圧力損失が問題となるが、SiCf/SiCでは原理的にMHD圧力損失が
生じない。また、シリコンとカーボンは自然界に豊富に存在するため、Si
Cf/SiC材料は環境負荷が小さく、安定して調達できる。
また、本実施形態の第一壁41は、タングステン薄膜が塗布されているた
め、高熱負荷耐性を有し、中性粒子のスパッタリングの発生を低減するこ
とができる。また、タングステンとSiCf/SiCは熱膨張率の差が小さく、第
一壁41と筐体40との接合性も確保することができる。 
また、本実施形態に係るブランケットモジュールでは、冷却材として液体
リチウム鉛を用いるとともに構造材として炭化ケイ素複合材料(SiCf/SiC:
SiC又はSiC複合材)を採用しており、これらは高温で優れた共存性
を示すことから、安定性が隠されている。すなわち、SiCf/SiCは、1000℃
を超える温度においても安定しており、他の冷却材と比較して遥かに高い
温度で循環させることができ、鋼構造材にとって重大な課題である化学的
な腐食を引き起こさず、また高温で利用可能であるため、高効率ブレイト
ンサイクルを用いると、55%を超える発電効率が達成される。
なお、冷却材に加圧水を用いる場合、熱効率は33%程度である。また、
加圧冷却水を使用する場合、加圧冷却水が構造材の破損により高温部に吹
き込んだ場合に冷却水損失事故時の水素発生など、事故のリスクが避けら
れない。これに対して、本実施形態に係るブランケットモジュールでは、
自己冷却で冷却水を使用しないため、この冷却水損失事故が原理的に生じ
ない。なお、冷却材に水やヘリウムを利用するシステムの場合、トリチウ
ム汚染を伴う一次冷却材の想定される漏洩の軽減は重要であり、起こりう
る環境汚染の脅威に備えて、ヘリウム又は水が体積膨張した場合のサプレ
ッションプールの準備が必要である。さらに、本実施形態に係るブランケ
ットモジュールでは、細かい配管を使わないためシンプルな構造とするこ
とができることから、複雑な炉設計によるプラント全体の安全上の懸念及
び潜在的なリスクを低減することができるとともに、プラント全体の構造
的な健全性を維持しつつ、高いトリチウム増殖性能を実現できる。さらに、
本発明において冷却材としてベリリウムを配合する場合には、ベリリウム
増倍反応(Be + n →2He +2n)を誘発する高速中性子束の高い位置に必要
量のベリリウムを配置できるため、トリチウム増殖比が調整できる。特に、
本発明では、自然比のリチウム鉛やベリリウムを配合することにより、非
常にコストが高い高濃縮リチウム鉛(6Li 濃縮度:90%程度)を不要とす
るか、或いは使用量を低減することができ、コストの低減が可能となる。 
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、
例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していな
い。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可
能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更
を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に
含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に
含まれる。 
                                                      この項了

風蕭々と碧いの時

 









John Lennon Imagine






家仕舞作業の一環の作業時、偶然に、「映画音楽名曲全集」(洋楽)1997
年版 山野楽器(325曲)と「ハンド・ロール・ピアノ」(新品)を発見。
そういえば、作詞作曲をすることが若い頃の夢だったんだったことを思い
つき。「J-POP のルーッ考察」も本日で終了したこともあり、ブログで回
想録をつづりながら(2年はかかる)、ピアノ演奏をしながら、折々に創
作活動をきすることにした。どうなることやら、「核融合発電エネルーギ
ーの考察でも大変なのに」とおもいつつ、その実行を決める。

今夜の寸評:Yes, I Can Work it Out.


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