極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

最新全固体型電池技術等々

2018年07月23日 | 時事書評

 

      
                                              
『六  韜』(ろくとう)
{虎の巻」ということばは、本書の「虎韜」が出典。太公望に仮託した後世の書。
『六韜』は、周建国の功労者・太公望呂尚が説いたという形になっており、まず、文王と彼との
出会いのエピソードから始まる。六篇から城るが、後半は無意味なものが多く、ここには三篇か
ら訳出する。

 Wikipedia

文王と太公望
ある日、文王は猟に出かけようと思い、史官の絹に占いをたてさせた。絹は占いの結果を報告し
て、「泗水の北岸に、大きな指物があります。この獲物は竜でも彲(ち:葳竜の一種)でもなく、
虎でも羆(ひ:熊の一種)でもありません。やがては大諸侯となる人物です。天がその人をあな
たの師としてつかわしたのです。かれはあなたを補佐して、三代にわたって仕えることになりま
しょう」「それほどの吉兆が出たのか」「かつて舜帝の御代に、わたくしの祖先にあたる疇(ち
ゅう)という史官が、占いを立てたことがあります。そのとき、舜帝は毀人皐陶を見出したので
す。このたびの占いにはそれにおとらぬ吉兆があらわれてい
ます」
そこで文王は出発を延期し、三日間潔斎したのち、猫車をととのえ、泗水の此岸に出かけた。は
たして、文王はそこで太公と出会った。太公は茅の茂みの中で釣糸をたれていた。「釣を楽しん
でおられますな」
文王がことばをかけると、大公はいった。
「君子の楽しみは理想の実現にあり、小人の楽しみは目先の仕事をなしとげることにある、とか
申しますが、わたしの釣は、君子の楽しみに近いといえましょう」
「ほう、どこが似ているのかな」
「釣には三つの秘訣があります。これは人材を得る方法と通じあいます。待遇をよくして人材を
招くのは、餌で魚を釣るのとおなじです。登用された臣下が生命を賭して穏くのは、釣りあげら
れた魚が死ぬのとおなじ道理です。能力に応じて人材を用いるのは、魚の大小によって扱い方が
あるのとおなじです。釣は、魚をとるのが目的ですが、その原理は深遠であり、より大きなこと
に活用できましょう」
「その原理というのを敢えてもらえまいか」
「水源が深ければ水は豊かに流れ、したがって魚も多く集まります。根が深く張れば本は大きく
成長し、したがって実もたくさん成ります。君子が心を一つにすれば力は何倍にもなり、したが
って大きな功績をあげることができます。あまりずけずけいってはお気にさわりましょうか。こ
とばやふるまいは人の心の現われ、自分の心をいつわらずに口にすることが大切だと思いますの
で」

「いや、仁者は直言をにくまぬというではないか。かまわぬからつづけてほしい」
「釣の場合、糸が細く、餌がはっきりみえれば、小魚がくいつきます。糸が中細で、餌のかおり
がよ
ければ中くらいの魚がくいつきます。糸が大く、餌が大きければ、大魚がくいつきます。く
いつかせ
れば、糸でひきあげることができます。同様に人間も、俸禄という餌で従わせることが
できるのです。
つまり、魚は餌で、そして人材は待遇によって集めることができるというわけで
す。大夫なみの待遇
で国中に人材を求めれば、国を手に入れることができます。諸俣なみの待遇
で天下に人材を求めれば、
天下を手にいれることができます。

それなのに、いかに人がむらがっていようとも、むなしくそれを去らせてしまう暗愚な君主もあ
ます。その一方、いかに暗愚であるかのように見えても、じつはその恩恵を遠くまで及ぼして
いる君
主もあるのです。聖人の徳は知らず知らずのうちにあらわれるものです。聖人が政治を執
れば、いと
もたやすく人を掌握し、天下全体を支配することでしょう」

どうすれば、天下を従えることができるのだろうか

天下は君主だけのものではありません。天下万民のものです。万民とともに天下の利を分かち
あう
者は天下を従え、天下の利を独りじめにする者は天下を失うのです。天には四季があり、地
には万物
を生みだす力があります。その恵みを万民と分かちあう者こそ仁といえます。仁のある
ところに、天
下は従いましょう。人民をすべての困窮から救うのは、であります。徳のあると
ころに、天下は従いましょう。人民とともに憂え、ともに楽しみ、愛憎を同じくすることは、
であります。義のあるところに、天下は従いましょう。人間は生を欲し、利益を求めるものです。
人民を生かし、これに利益を与えるのは、道であります。道のあるところに、天下は従いましょ
う」文王は太公に頭をさげていった。「あなたは真理を敢えてくれた。わたしは天の命令を率じ
て、あなたをむかえたいと思う」
そこで太公を車にのせて、いっしょに国都に帰り、師と仰いだのである。

文王〉紀元前十二世紀、殷を破って周を建国した武王の父。文王はおくり名で、姓は姫、名は
    昌。西方の有力な氏族をひきい、わが子の代に至って天下を得る基礎をきずいた。
太公〉元来は、父、または父の尊称。ここでいう「太公」は呂尚のこと。

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【最新全固体型蓄電池技術:米国特許篇】

今回は最新の米国特許開示例の4件をピックアップ。うち2件は、コーニング(Corning)社とク
ゥアンタムスケイプ(QuantumScape)社。残りは日本電気硝子とトヨタ自動車の日本企業。前者
2社は以下の通り(参考図は開示特許が入手できず、同社の既存開示特許のもの)で、

US 10,026,990 Lithium-ion conductive garnet and method of making membranes thereof(リチウムイオ
ン伝導性ガーネットおよびその膜の製造方法):式:Li 7-3yLa 3 Zr 2 Ga y O 12(式中、y0.4~2.0
であり、本明細書で定義される)のガリウムドープガーネット組成物。 また、本明細書で定義
されるような2つの代替低温経路のうちの1つを含む高密度Liイオン伝導性立方ガーネット膜の
製造方法(下図参考)。


US 10,008,742 Garnet materials for Li secondary batteries and methods of making and using garnet materi-
als
Li二次電池のためのガーネット材料およびガーネット材料を製造および使用する方法:固体
電池用途における電解質および陰極としての使用に適した、ガーネット材料組成物、例えば、リ
チウム詰めガーネットおよびアルミナでドープされたリチウム詰めガーネット。また、内部に微
粒子を有するリチウムを詰めたガーネット薄膜も、すべての固体リチウム二次電池用の陰極液、
電解質および/または陽極液としてのリチウム充填ガーネットの製造と使用の新規発明の方法。
さらに、これらのガーネット陰極液、電解質および/またはアノードを組み込んだ新規な電気化
学デバイス、また、電気化学的装置の陰極液、電解液、および/または陽極液として使用するイ
オン導電性材料の高密度薄(<50μm)自立膜を含む新規な構造の調製方法、正または負の電極材
料)、または完全な固体状態の電気化学的エネルギー蓄積デバイスでも。さらには、記載方法は、
固体状態のエネルギー貯蔵装置とその構成要素の、例えば加熱および/または電界支援(FAST
焼結の新規な焼結技術(下図参考)。

後者2社は以下の通り(参考図は開示特許が入手できず、同社の既存開示特許のもの)で、

US 10,020,508 Composite material as electrode for sodium ion batteries, production method therefor, and
all-solid-state sodium battery
:ナトリウムイオン電池用電極としての複合材料、その製造方法、全
固体ナトリウム電池:ナトリウムイオン二次電池用電極としての複合材料は、活物質結晶と、ナ
トリウムイオン伝導性結晶と、非晶質相とを含む。 活物質結晶はNa、M(MCr、Fe、Mn、Co、Ni
から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素)、P、Oを含む。

JP 2018-18578

US 10,008,735 Method of producing a sulfide solid electrolyte material, sulfide solid electrolyte material,
and lithium battery:
硫化物固体電解質材料、硫化物固体電解質材料およびリチウム電池の製造方法
:硫化物固体電解質材料の製造方法は、第1のガラス化工程において、Li 2 Sと硫化物とを混合し
て得られる原料組成物をガラス化して、架橋硫黄を含有するが、Li 2 Sを含まない中間体を形成
する工程 第14族または第15族の元素の硫化物との合計に対するLi 2 Sの割合が、Li 2 Sの割合よ
りも少ない硫化物固体電解質材料がオルト組成物を得るために必要とされる。架橋硫黄の結合を
切断する結合切断化合物を中間体と混合により得られる中間含有組成物を第2のガラス化プロセ
スでガラス化することによって架橋硫黄を除去することを含む(下図参考)。

 2018.7.5

以上の4件を俯瞰し、リチウム系全固体型蓄電池の研究開発の進捗から、また、国内の物質材料
研究機構、産業総合研究機構、民間企業の研究開発は着実に進捗している。このことを踏まえて
ここ数年内には日本をトップランナーとした「高品位蓄電池事業化」が実現、エネルギーフリー
社会と持続可能社会の実現に大きく貢献していくものとと考えられる。

【エネルギー投資篇:電力、2年連続で化石燃料のエネルギー投資上回る】




 No. 16

【3次元プリンティング技術応用篇:人工歯(入れ歯)】

7月19日、産業技術総合研究所は、アイディエスと共同で、3Dプリンティング用コバルトクロ
ム合金粉末の薬事承認を取得し、破損しにくく患者に適した人工歯(入れ歯)を、3Dプリンティ
ングにより短時間で製造する手法を実用化したことを公表。


この技術は、まず口腔内のデータを取得し、歯科医師の指示に基づき患者に最適な形状の人工歯
を設計。そのデータに基づき、医療機器として厚生労働省に登録された3Dプリンターを用いて積
層造形し、表面仕上げの後、臨床使用する。積層造形材としてコバルトクロム(Co-Cr-Mo-W)合
金粉末を利用する。この素材の臨床使用のためには、歯科材料の医療機器として厚生労働大臣の
承認が必要であったため、薬事製造販売承認申請をアイディエスが担当し、産総研も協力、2018
年4月27日クラスⅡの医療機器として製造販売承認されていが、
積層造形法では、従来の鋳造法
と比べ、ワックスなどの消耗品が不要で、材料の無駄も少ない。夜間に造形すれば次の日には仕
上げ加工でき、製造期間は3分の1以下に短縮できるという。また、今回のコバルトクロム合金粉
末を用いた積層造形材の金属組織は、透過電子顕微鏡を用いて観察すると、粒状のかなり微細な
組織となり、鍛造(鍛錬)材に見られる微細な鍛造組織と類似。

引張り試験を行った結果、積層造形方向を変えても影響は小さく、また歯科鋳造材と比べ、高い
強度と高い破断伸び(延性)を持つ。疲労試験の結果も、歯科鋳造材の200MPaに比べ、500MPa
と2倍以上高い。
今後、この積層造形技術の保険適用を目指す。また、新たな材料であるコバル
トクロム(Co-28%Cr-6%Mo)合金の国産粉末での認可を目指し、敏感なアレルギー患者向けに、
チタン材料での人工歯の開発も目指す。以上、3次元プリンター技術の医療(再生医療)進歩へ
の貢献度は日々高まっている。これは面白い。




【次世代がん治療篇:組織表面に貼る発光デバイス】

7月17日、早稲田大学らの研究グループは、光がん治療において、患者への負担が少なく、高
い治療効果が得られる無線給電式発光デバイスを開発したことを公表。それによると、
光でがん
を治療する光線力学療法PDT:Photodynamic
Therapy)は、生体に投与した光増感剤が集まった病巣
へ光を照射し、光化学反応によって発生する活性酸素で、がんの細胞死を誘導する方法。特に、出力が
従来の1000分の1といった極めて弱い光源を用いたメトロノミックPDTmPDT)法は、肝臓など体内深部
の臓器にできた腫瘍直下に発光デバイスを貼り付け、LEDを点灯させることでがん治療ができ、次世代
の治療法として期待されているが、腫瘍と光源の位置ずれなどが生じると、十分な治療効果が得られな
いという課題があった。



このため、長期間安定して固定できる体内埋め込み型発光デバイスを開発。mPDAへの応用を目
的としており、シールのように臓器や組織表面に貼り付けるだけで位置ずれを防ぐことができる。
開発発光デバイスは、膜厚が約600nmのシリコンゴム薄膜表面に、生体模倣型接着分子であるポ
リドーパミン(PDA:Polydopamine)をコーティングした。これにより、生体組織への接着性を
従来の約25倍に向上させた。発光デバイスを縫合しなくても、最低2週間は生体組織上に固定
させることが可能となる。発光デバイスは、NFC(Near Field Communication)方式の近距離無線
通信に対応するLEDチップ(赤色と緑色)が組み込まれており、接着性を向上させたことで腫瘍
部と光源のずれを防ぐことができた。

今回の実験では、担がんモデルマウスの皮下に無線発光デバイスを貼り付けて固定した。マウス
に光増感剤「フォトフリン」を注射した後、マウス飼育箱の下に設置された無線給電用アンテナ
から、マウスに組み込まれたLEDに給電して10日間連続的に点灯させた。この結果、光照射によ
る治療によって腫瘍が明らかに縮退した。また、従来のPDTでは近赤外光を用いるが、今回の
mPDTでは緑色の光で完全に腫瘍を消失させることに成功する。

 ● 今夜のアラカルト

『鴨だしせいろ蕎麦』

この暑さもあり、作業はますます掃けず、ランチ抜きがつづくが、ふと、そのことに気づき、イ
ンスタント「鴨だし蕎麦」を蒸籠蕎麦にて食べてみようとチャレンジ。いける。これに鴨ロース
トがあれば写真のようになるのだから、恐るべし日本の即席製麺技術。これ専用の鴨ローストを
開発すればいける(千成の通販でもいいか?!)

● 今夜の寸評:相撲も百分の一秒時代

おめでとう!御嶽海。それにしても豪栄道戦は見事だった。両者互角の記録的なゲームとなって
いる。心技一体の百分の一秒(桁)の反応(超意識下)が明暗をわけたと思っている。これを総
合スポーツ科学で分析すれば「相撲革命」となるだろう。

 

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