極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギ-と環境  ㉖

2024年09月28日 | 開発企画

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時
代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。ひこにゃんのお誕生日
は、2006年4月13日。



も~っとわけあって絶滅しました。 
-世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑  
今泉忠明/丸山貴史

❏ 野生生物と人類、どちらが先に絶滅するか
   ~訳あって絶滅した動物たち~
この夏、富山県「わけあって絶滅しました展」(氷見市芸術文化館7月13日~
8月21日)。丸山貴史氏ので、ユニークな展示企画が開催された。これが
著作『わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図
鑑』をベースに、約35億年前の生命の誕生から始まり、現代に至るまで
の生物進化の歴史の中で栄華を極めながら、絶滅していった動物たちが
紹介された。

この展示でも紹介された「おもしろい動物たちの絶滅トピック」を紹介し、

環境変化と絶滅の関係を眺めながら現代の大絶滅と人間の未来について
解説していたので「環境ビジネス」(2024年秋季号:文・五箇公一氏)
に掲載されていたので、「人類史の転換点の考察」の一助としたい。
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人新世は「第六の大量絶滅」①】  
 カンブリア爆発が産んだ奇妙な動物たちの末路

今からおよそ5億4200万年前から5億3000万年前のカンブリア紀に形成さ
れた地層から、それより前の時代の地層では全く見られなかった、体の
造りが複雑で硬い殼・骨格を持つ多様な生物の化石が大量に発見されて
いた。このことから、生物の種類や数がこの時期に爆発的に増えたと考
えられ、多くの古生物学者がこの時代の生物の多様化を「カンブリア爆
発」と呼ぶようになった。その後の遺伝子系統解析などによって、カン
ブリア爆発よりも前に生物の多様化は進んでいたことがわかってきたカ
ンブリア紀で、生物が一斉に殼などの硬い体構造を進化させたことから、
化石に残りやすくなった結果、化石の発見記録数で急激に進化が進んだ
ように最近は考えられている。
 ただ、このカンブリア紀の化石から復元された生物たちの中には、原

生の生物では考えられないような形態をしたものが数多くあり、まさに
「生物の進化は爆発だ!」と思わせるという。その代表格がアノマロカ
リス、ハルキゲニア(上図)、そしてオパビニアという海中で栄えた動物
たちではないかと(下図)。
 アノマロカリスという名前はギリシャ語で「奇妙なエビ」を意味し、
体長30cmほどの独特の風貌をした肉食性の節足動物とされます(図1)。
化石が発見された当初は、1mを超える巨大な体で強力な円形の口でバリ
バリと三葉虫などの甲殻類を捕食していたのではないかと推定されて

ましたが、現在では、もっと小型で、しかも噛む力は弱く、クラゲやプ
ランクトンのような小型の動物を吸い取るように食べていたらしいこと
がわかってくる。結局、この捕食能力の脆弱さが仇となり、その後に進
化してきた魚類の祖先など、新手の捕食者との競争に負けて絶滅したと
考えられている。


 そんなアノマロカリスの捕食対象だった小動物がハルキゲニアで(上

図2)。彼らは体のサイズも手のひらに乗るほど小さく、体も柔らかかっ
たのでアノマロカリスの絶好の餌だった。そこでハルキゲニアは背中に
強力な輔状の突起を14本立たせるように進化食を免れるようになりました。と
ころが調子に乗ってトゲをでかく進化させすぎて、身動きがとりにくく

なって衰退。またアノマロカリスをさらにバージョンアップしたような
捕食動物がオパビニア(上図3)。5つも目を付け、1本の腕を象の鼻のよ
うに伸ばし、腕の先には鋏をつけて獲物を捕まえるなんともややこしい
体の作りを進化させ、その構造の複雑さが仇となって環境変化に追いつ
けず絶滅したと考えられている。
 生物の進化とは試行錯誤の繰り返しであるということがこのカンブリ

ア紀の生物たちを見ているとよくわかる。

  生物の進化とは試行錯誤の繰り返し


頻尿ゆえに滅んだファソラスクス 今から約2億年前の三畳期に、恐竜に
先立って陸域の覇者となったファソラスタスという大型契虫類は、体長
が8~10mにもおよぶ肉食動物でした(上図4)。恐竜の祖先も含め、当時
生息した他の動物たちを餌として、向かう所敵なしだったが、水が豊か
な時代に進化したがために、体内に水を蓄える機能が脆弱で、おしっこ
を我慢することできなかったのではないかと推定されている。
 そのため、地球環境の変化とともに陸域における水辺環境が減ってし

まったジュラ期に「おしっこのしすぎで絶滅」してしまったのではない
かとする説がある。尿意をコントロールできなかったこと(つまり、漏
らしっぱなし)で絶滅なんてあまりに悲しくて面白しろすぎる……。映
画スターにもなった今は亡き古代巨大ザメ企画展の中でも特に人気を博
していたが、「メガロドン」。メガロドンとは、約2300万年前から360
万年前前期中新世から鮮新世にかけて生息していたとされる巨大ザメで、
その実物大イラストは、子どもたちの絶好の撮影スポットになっているた。
 この巨大ザメは、SF八二ック映画「MEGザ・モンスター」シリーズ

が最近公開されたことで一躍有名になった絶滅動物でもあり、それゆえ
に子供たちにとっても憧れのモンスター。映画の中では、この巨大ザメが、
船ごと人を襲う大暴れをして見せて、モンスター映画ファンたちの心を

踊らせてくれる。

 しかし、実際のメガロドンはその巨体ゆえに、俊敏に動くことはできず、

後から進化してきたシヤチなどの海産哺乳類や、自分の仲間でもあるホ
オジロザメなど小型で俊敏に動けるサメ類などに襲われたり、餌を横取
りされ、最終的に滅んでしまったとされる。


図5.絶滅した巨大ザメ「メガロドン」の実物大パネル
隣に飾られている現生のホオジロザメのアゴの骨と比較してもその大き

さに圧倒される。

恐竜の絶滅と哺乳類の進化、そして人類の誕生
 さまざまな絶滅生物の中でも、一番任期な種群といえば、やはり恐竜
類でしょう。ティラノサウルスを筆頭とする多種多様な恐竜たちは、今
から6600万年前の白亜紀末期に至るまでの1憶6千万年もの長い時代、こ
の地球上で繁栄していたとされる。人類の歴史がたった20万年と考えれ
ば、いかに恐竜の時代が長く続いたかがよくわかる。
 恐竜がこの地球上で長きにわたり繁栄できた理由については、さまざ

まな学説が提唱されており、今も研究と議論が続けられているが、究極
的には、この1.6 億年間の地球環境が彼らにとって非常に住みやすいも
のだったのであろうと推察される。そんな栄華を極めた恐竜たちも今
から6600万年前に起こった太陽石の地球衝突によって、地球全体の気候
と植生が激変してしまったことで、全ての種が滅んでしなう。生物の繁
栄と絶滅を決めるのは環境です。そして「絶滅と進化は背中合わせ」で
あり、新たな進化は絶滅なくしては起こらない
 恐竜たちが滅んでしまって、今となってはその生きた姿を見ることが

できないことは、恐竜好きにとっては寂しく思えるが、彼らが滅んでし
まったおかげで、「実は私たち人類もこの地球上で生きているのです
と結んでいる。    
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