極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

沸騰大変動時代(五十六)

2024年06月10日 | リスクインパクトマネイジメント概論

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)
と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。


【季語と短歌:夏の歌会猛特訓⑤】


       遅れ梅雨 烏賊天蕎麦を 戴きぬ 

                            外塚喬
                             朔日
                         花を咲かせて

ぴかりある風におぼつかなく歩む八雲神社の百の石段

大いなる種とりのぞき歯応へのなきアボカドをわがくはんとす

身を隠すごとくに尉と姥のすむ家なり椿の花を咲かせて

飛ぶ鳥のかがやきをます水の面をなめらかにする風のわたれば

死ぬる日を選べても俺は西行のやうにねがはず桜の季を

※五首目!西行の「願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月の
ころ」(『山家集』『続古今和歌集』)。桜の花に、西行が仏教にお
ける輪廻転生の姿を見たとしても、私はわたしだと。因みに、参考ま
でに今年の釈迦の入滅(涅槃会)は。2024年3月24日(日)。


※外塚喬(とのつか たかし:1944(昭和⑲)年、栃木県生れ。
木俣修
に師事。修没後、十年間「形成」の編集に関わる。「形成」解散後、
1994年「朔日」を創刊。2008年より十年間「木俣修研究」を刊行。
な著書
歌集『喬木』『火酒』『山鳩』『散録』他。
歌書『現代短歌の視点』『木俣修のうた百首鑑賞』『実録・現代短歌

史 現代短歌を評論する会』他。


  


【わたしの経済論⑭:為替と円安】 
第4章 為替と物価のキホンのキ
対外純資産の代償は経済成長と関係ない
このように世界のデータを調べると、さまざまなことがよくわかる。

この手の話は結構多くて、だいたいが思い込みだ。
貿易立国とはどういうデータに基づいているのか問うと、たいていの

人はまともに答えられない。ニュースなどでもたまに報じられるが、
間違った知識を披露しているコメンテーターがいて恥ずかしい。
韓国は比較的、貿易依存度がヨーロッパの国に近い。日本はそれより

もはるかに低い。経済力がある国は内需の比率が高いから、貿易依存
度は低くなる。
いまは輸入品が高くなったと騒がれているが、輸入品のウエイトは2

割くらいのレベルだから、その範囲では影響がある。しかし、それが
ものすごく広範囲に影響を及ぼすかといわれれば、日本では物価に対
する影響力は大きくないほうだ。
もし影響があるかないかで議論するなら、せめて何割くらいかという
数字を確認したほうがいい。数字を見ないから、影響が大きいように
感じてしまう。
輸入品の値段が上がってもなかなかインフレにならないのは、そんな
に影響が大きくないからだ。マスコミが「物価が高騰」と報じている
が、それは数万ある品目のうち何個かにしか着目していないからだ。

たとえば、スーパーで売っているものが値上がりしているとする。そ
れが世の中のすべての動きだと思い込み、半径2メートルくらいの世
界で生きている人が多い。米国で昔、「財政赤字と貿易赤字で双子の
赤字だ」と話題になっていたが、それも別にどうでもいいこと。全体
を見ると大したことはなく、経常赤字の国はたくさんある。
米国が日本に「貿易赤字を解消しろ」と言ってくるのは政治的なプレ

ッシャーの問題で、経済とは実際のところ関係ない。それを経済問題
として報道する日本のマスコミの姿勢は間違っているのだ。

自由貿易はデメリットよリメリットが大きい
貿易関連の話のついでに、自由貿易についても解況しておこう。自由
貿易とは、ひらたくいえば国家間が(可能な限り)関税をかけずに輸
出入を行うことだ。18年3月、環太平洋経済連携協定(TPP)が署
名された。TPPとは、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、
日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポ
ール、ベトナムの合計‥‥‥]カ国の経済連携協定だ(米国は17年に
離脱)。TPPに参加することによって、日本は自由貿易の恩恵を受
けられる。これは経済学の歴史200年間で最も確実な理論だ。
ただ、自由貿易でメリットを受けるのは輸出業者と消費者になる。一

方で、デメリットを受けるのは輸入業者と競合する国内生産者だ。自
由貿易の恩恵というのは、メリットがデメリットを上回ることをいう。

それはグラフだと一目瞭然だ。自由貿易によって増加する消費者余剰
台形①は、減少する国内生産者余剰台形②よりも、必ず三角形③の分
だけ大きくなる。これが自由貿易推進の根拠だが、もっともこれは消
費者から生産者への再分配を前提としている。自由貿易のメリットの
具体的な計算について、当時の内開府試算では「おおむね10年間で実
質GDP3兆円増」とされていた。

TPP反対派の多くは、この正確な意味を理解せず「10年間の累積

で3兆円」と思い込んでいた。ある著名な経済評論家も「10年間の累
積で3兆円だから年間3000億円にすぎない」と反対していた。
この種の計算は古くから行われており、経済学の「比較静学」という

ものを使う。これはTPP前の状態と、TPPを実施してから輸入量
が増えて国内生産者が減少するという調整を経たあとの状態、この二
つを比較する分析法だ。こうした計算は国際機関でも行われている。
自由貿易はさまざまな国が参加するので、どの国も極端に有利になら

ないよう比較的公正な計算となっている。内閣府試算もそれを参考に
している。

筆者としてはこの試算通り、輸出業者と消費者のメリットが国内生産

者のデメリットを上回ると考えている。一方、TPP反対派が当時デ
メリットとして懸念していたのは、米国の言いなりになってしまうこ
とだった。貿易ルールが米国有利に進められ、日本はデメリットを受
けると強調されていた。
その代表例がISD条項(国家対投資家の紛争処理条項)だが、筆者

はそれが重大な問題とは捉えていない。というのは、これまで日本は5
0以上の投資協定に署名しており、そのなかにもISD条項は入ってい
るが、対日訴訟は1件もないからだ。

一方、世界では同条項による訴訟が多数あり、訴えられた国は国内法

制が不備の途上国に多い。ISD条項は投資家や企業が国際投資で、
相手国に不平等な扱いを受けないようにするためのものだから、日本
のような先進国には有利に働く。
割を食うのは、TPPに参加しなかった中国と韓国だ。両国ともTP

P自由貿易圈で輸出を伸ばすチャンスを失ってしまった。TPPが大
詰めで大筋合意にこぎつけたのは、中国の台頭に各国首脳が懸念を抱
いたからだ。自由貿易を中国に支配されるよりも、いまは西側の自由
貿易体制のほうがましだということだろう。中国は、自国経済への影
響からTPPへの参加に消極的だった。
TPPでは貿易だけでなく、投資の自由化も含まれていたからだ。
中国は一党独裁の共産主義国だから、生産手段の私有化を前提とする

投資の自由化を基本的に受け入れにくい。そのため、中国は自国ルー
ルでの自由貿易圈にこだわっている。中国が主導して14年に設立され
たAIIBに精力的だったのは、自国ルールがどうしてもほしかった
からだ。経済的な自由を求めれば、政治的な自由もあとからついてく
る。米経済学者でノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマ
ンの著書『資本主義と自由』(1962年)で、そう書かれている。

価格と物価を混同した「スタグフレーション」の誤用に注意 

少し前、為替相場で円安が進み、原油価格が上昇基調となったことを
受けて、マスコミは「悪い円安」のほかにも「悪い物価上昇」「スタ
グフレーション(不況ドのインフレ)」などの言葉を多用した。
こうした見方が妥当なのかについて、解説していこう。
まず円安と原油高は分けて考えたほうがいい。円安にはメリット、デ

メリットの両面があるとしても、短期的には景気に対してメリットが
大きいことはこれまで述べてきた。
一方、原油高についてはどうか。 交易条件の悪化で日本から海外へ

の所得移転につながり、日本のGDPを低下させるという意味で、原
油高は日本経済にとってマイナスとなる。H年年初から13年末ごろま
で、原油価格はIバレル80~100ドルの高値で推移した。

ロシアによるウクライナ侵攻で、22年3月には一時130ドル超にま

で高騰した。だが23年1月には70~80ドルまで下落している。しかし、
原油価格が高かったH~13年でも一般物価上昇率はマイナスで、デフ
レのままたった。こうしたことから、原油価格の上昇が限定的ならば、
一般物価上昇率はそれほどでもないだろう。
原油価格が上がっているときの政府の対応は何種類かある。その一つ

は、政府が持っている備蓄原油の放出だ。経済原理としては、供給が
少ないから価格が上がるのであって、放出すれば供給が多くなり、た
ちまち価格は下がる。
実は、日本には備蓄原油が1’00口分くらいある。各地に石油タン

クがあって、そこに備蓄しているので、原油が3ヵ月くらい全く入っ
てこなくても生き延びられる。
なぜ口本にそれはどの備蓄があるかというと、73年と78年に起きた2

度のオイルショックで原油が入ってこなくなり、天変だった経験をし
ているからだ。とくに73年の第1次オイルショックでは、国際原油価
格が3ヵ月で約4倍にまで高騰。その影響により、日本経済は戦後初
めてマイナス成長を記録するほど大打撃を受けた。
3ヵ月分という備蓄量は、世界と比べてもかなり多いほうだ。ほかの

国は普通、1カ月程度しか備蓄していない。3ヵ月分もただ置いてお
くだけだと在庫管理コストがもったいないからだ。
今後のことを考えて原油価格が低いときにまた買えばいいと考えれば、

高いときに売ってしまう手もある。原油の仕入れ値はすごく安いから、
差益が出る。これは経産大臣がどう判断するかの話だ。
もう一つは、トリガー条項の凍結解除だ。日本のガソリン価格には税

金が含まれていて、それが結構高い。
正確には「揮発油税」(国税)と「地方揮発油税」(地方税)があり、

現在の税率は前者がIリットル当たり48・6、後者が同5.2 計53・8円
となっている。ただし、これは本則税率分(28・7円)に特別税率分(
25・1円)を上乗せした「特例税率」だ。
トリガー条項とは、レギュラーガソリン価格の全国平均で1リットル

~60円を3ヵ月連続で超えた場合、特別税率分(25・1円)への課税
を止める制度だ。
これを現在は凍結しているから、凍結解除の新しい法律を出せば税金

が安くなり、ガソリン価格は上がらなくなる。いずれにせよ、原油価
格については漫然と放置することなく、何らかの対策を政府が打てば
解決できる問題だ。  
また、マスコミはよく「原油価格が上がるから物価が上がる」とも騒
いでいるが、原油価格と物価は全く別の話なのだ。用語としても「物
価」と「価格」の意味は違う。日本語的にまぎらわしいが、英語でも
別であり、価格は「price」、物価は「prices」と複数形
になっている。外国人にも混同している人はいるか、わかっている人
は区別して語している。

そもそも両者は決まり方が違う。まずは価格について詳しく解説しよ

う。価格はあるものがいくらかというもの。個別価格は原油と同じよ
うに需給関係で決まる。
需要が多くて供給が少なければ価格は上がるし、逆に需要が少なくて

供給が多ければ価格は下がる。これは経済学の初歩で、ミクロの個別
価格という意味だ。
次に物価を説明しよう。物価は全体の物の量とお金の量の比で決まる。

全体のお金の量が増えると、物は相対的に少なくなるから、価値は高
くなって物価が上がるのだ。
一般物価については抽象的で何を意味しているかわかりにくいが、「

消費者物価指数」というのがそれに当たる。これは世の中のあらゆる
品目を、それぞれの取引に応じて加重平均した数字で、対象品目は数
万点もある。
消費者物価指数には、エネルギーと生鮮食品を除いた指数もある。そ
れらは値動きが激しいから除いているのだ。これをコア指数という。
コア指数や消費者物価指数全体を見ながらインフレ率を決めるが、こ
れをマスコミはしばしば混同する。欧米と比較すればわかるが、日本
のインフレ率は上がっていない。20年ごろから米国は6%(ヨーロッ
パは4%)も上がっているにもかかわらず、日本はほぼゼロだ。
一般人が知っているのはは別価格だから、せいぜい「あれ」と「これ」
と「それ」の価格くらいしかわからないだろう。
 しかし、世の中全体を見ると全く動きが違ってくる。マスコミが「
原油価格が上がってスタグフレーションに突入!」などとセンセーシ
ョナルに報じても、それにだまされてはいけない。
それにスタグフレーションとは、物価と同時に失業率も上がる状況だ。
しかし、いまのところコア指数は22年11月分で前年同月比2・8%の
プラスに対し、失業率は2%台と上がってはいない。だからスタグフ
レーションではないと結論づけられる。

企業物価が上がってもすぐインフレにはならない
日銀が22年7月、企業間で取引される物の価格を示す「国内企業物価
指数」の同年6月の速報値を発表。20年平均を100とした水準で
I13・8となり、5月に続いて過去最高を更新した。
さらに11月には118・5まで伸び、前年同月比で9・3%の上昇率
となり、これで「物価が上がっている」という人もいるが、これは早
計だ。
実は、物価には2種類ある。消費者物価と企業物価だ。企業物価とは
企業間で取引される財の価格変動を示す指標だ。インフレ率は消費者

物価で見るが、企業物価も雇用の動向を予想する上で大切な指標な
で、その内訳を細かく見る必要がある。
                       この項つづく



●今日の寸評:戦争している場合か!また1つ表氷河が消えた。





Vnezuela Likely the First Nation to Lose All Its Glaciers
 Firstpost America



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