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ドバイ信用失墜 Confidence evaporates in the desert heat 

2009-11-28 | グローバル経済
2009年11月28日(土)

「ドバイへの信認は土漠の熱気で蒸発」と、Financial Timesが見出しをつけている。

ドバイに中東のビジネスの本部を移さない企業は、「世の中がわかってない」とまでいわれ、イスラム金融を金科玉条のごとくあがめる金融界のドバイもうでも引きも切らず、東京でのセミナーも繁盛した。高層ビル群と沖合いニュータウン建設ばかりでなく、人口とバランスしない新幹線構想もぶち上げられ、鉄道建設工事受注に沸いた。

2月25日の本欄で、「砂上楼閣ドバイにUAE連邦政府が100億ドルの緊急融資」したことを、すでに「そこにある危機」として取り上げた。しかしその後国際金融界は息を潜めて、「まさか兄貴分のアブダビなどの金持ち首長国が、もともと貧しいながらも背伸びをして金ぴかの金融センターを築きつつあるドバイを見捨てることはあるまい」と目を覆ってきた。

しかし、今週ドバイバブルは、セオリーどおり「いつか来たこの道」をたどることになった。しかしこの期に及んでも「国際金融業界は、「アット驚いた」風を装っている。そして多くの銀行家は、ドバイの債務繰り延べ要請を聞いても、「アブダビは弟が破産するのを座視はしない」「”Abu Dhabi will not see its smaller brother fail”と見ていると、Financial Timesが報じている。

Financial Timesは、今回の衝撃的な流れを時系列で追いかけて、特にブラウン首相が「こけ」にされたことを取り上げて、アラブ人気質を活写している。

先週金曜日:ドバイの王子の一人が、世界経済フォーラムで、ドバイ国際金融センターのトップとドバイ投資株式会社の3人の幹部を、突然、更迭したことを明らかにした。

日曜日・月曜日:国家元首たるドバイ首長が英国を国賓として訪問。女王に謁見し競馬の話しで意気投合。その後ブラウン首相と中東和平と世界の景気後退を打開するため両国が努力することを確認した。さらにブラウン首相と公開の席に現れ、ブラウン首相に、「UAEの景気回復の早さ、それにドバイが取っている慎重な政策と景気後退の悪影響を抑えるための方策は敬服すべきもの」という手放しの賛辞を送ってもらったのである。

水曜日:朝にドバイの公益企業の20億ドルの債券の発行が無事完了。その後ドバイの二つの銀行から50億ドルの融資を受けたことを発表。しかしその2時間後に、問題のDubai Worldの債務繰り延べ要請を突然発表した。直ちに対象債券相場は半値近くに下落し、ドバイ向け5年もの債務保証スワップも大幅に上昇した。

木曜日:世界の株式市場が混乱する中、ドバイ最高財政会議議長は、「市場の懸念についてはよく理解している。Dubai Worldの債務には決然とした行動を取る決心でいる」とそっけないステートメント( a curt statement)を出すのみであった。

ドバイの債券を買う投資家はもういない。