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アフガン増派に現地大使反対の衝撃 Two Classified Cables

2009-11-13 | グローバル政治
2009年11月13日(金)

オバマ大統領は、アフガニスタンにおける対タリバン制圧の戦略方針の決定を先延ばしにしてきたが、いよいよ決断のときが迫っている。今日から始まるアジア歴訪直後に、増派問題に決着をつけるのではないかと、全米のメディアが取り上げている。

大統領が決定を遅らせているもっとも大きな理由として、まず戦線膠着とともに米兵の犠牲者が増加し、急速に厭戦気分が広まっていることがあげられる。それに輪をかけてオバマ大統領の決断を鈍らせているのが、大統領選挙が図らずも世界に暴露したカルザイ政権の腐敗体質と脆弱性である。

現在ホワイトハウス内では、この2ヶ月で8回目のアフガン戦争遂行会議(War Council)が開催されているが、それに向けてKarl Eikenberry駐アフガニスタン大使が、「現状の脆弱なカルザイ政権下では、米軍の増派に反対する」旨の2通の機密電報(Two Classified Cables)を送ったことが明らかになった。

同大使が過去2年間にわたりアフガン派遣軍の総司令官であったことからその発言には重みがあるゆえに、ワシントンに衝撃が走っている。同大使の警告は、カルザイ大統領が、「対タリバン掃蕩を目的とする米国のパートナーとして不適格」との烙印を押したのと同じだからである。

一方、Stanely McChrystal現地総司令官は、44,000人の増派を8月に進言しているが、オバマ大統領の意を受けたGates国防長官の、「3万人、1万人の可能性」はとの問いかけに対し、「そのような中途半端な規模では制圧不能」と全面的に否定している。
現地総司令官と現地大使の意見衝突という重大局面における難問が急浮上したが、オバマ政権内では、バイデン副大統領が増派懐疑派であり、ゲイツ国防長官とクリントン国務長官が強硬派と色分けがはっきりしている。

共和党は、マケイン元大統領候補を急先鋒に、オバマ大統領の優柔不断を激しく攻撃している。大統領支持率は、就任直後の70%から50%まで落ち込んでいる。こうした状況下で、オバマ大統領は今日日本に到着する。