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オバマ、アフガン増派で苦しい選択に  ‘I have a clean slate’

2009-11-19 | グローバル政治
2009年11月19日(木)

アフガニスタンのカルザイ大統領の二期目の就任式が、今日カブールで行われるが、米国からは従来言われていたアフガニスタン・パキスタン担当のホルブルック特別代表ではなく、急遽クリントン国務長官が代表として出席することになった。

同長官にとってアフガニスタン訪問は、初めてであり、カルザイ大統領との会談では、選挙時の不正投票問題を踏まえたうえで、政権全体にわたる腐敗体質からの脱皮について具体的なアクションを強く迫るものと見られる。

オバマ大統領は、マッククリスタル現地軍司令官の44,000名の増派要請を、9月に受けながら結論を先延ばしにしてきていて、ここに来ても、「数週間のうちには決めることになる」(only “over the next several weeks”)とのみ発言している。

米国は、カルザイ大統領が本気で腐敗追放に取り組まない限り(his commitment to stamp out corruption)、増派を決定しない構えで、カルザイ大統領に圧力を加える作戦だと、Financial Timesが論評している。(to use the uncertainty over his decision to exert more pressure on the government of Hamid Karzai)

共和党が、マッククリスタル現地軍司令官の早期増派決定要求を後押ししている。一方、増派に懐疑的な民主党議員は、駐アフガニスタン大使(元アフガン派遣軍司令官)が送った「政権腐敗に改善の確約がない限り、増派反対」との公電に勢いを得ている。一方、世論のアフガン政策に関するオバマ大統領支持率は50%を切ってしまった。

こうした状況に、オバマ大統領は、アフガン問題は、自分の任期中に片付け次期大統領には、「すべてケリをつけました」(clean the slate)と言えるようにしてから政権を渡したいと決意の程を披瀝した。

しかし米兵の死者が急増しタリバンの勢力がますます強まる中、ほとんど不可能な要求である「アフガンから汚職と麻薬を短期間に追放する」ことが米国と同盟国の増派の条件となったことは、大統領の政策選択の幅がさらに狭まったということである。