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ドバイ、砂漠の夢破綻の悪霊徘徊 Specter of Default by Dubai

2009-11-27 | グローバル経済
2009年11月27日(金)

アメリカ人が感謝祭の詰め物をされた七面鳥(stuffed turkey)をたべている間に、世界の市場はひどいことになった(get stuffed)とFinancial Timesが言葉遊びで論評している。(Americans are having their turkey, but it is the markets that are getting stuffed.)

安全な通貨とみなされた円は大きく買い進まれて14年ぶりの高値圏である86円台に突入。ドルは対ユーロで1.50台にまで下落した。金は、投資家のリスク回避の選好がますます高まって、1オンス当たり1200ドルをうかがうところまで上昇。資金はトリプルAの格付けを持つドイツ国債市場にも流入して、相場を押し上げている。

アジアの株式市場では,円の急騰が嫌気されて、売り(a sell-off)が大勢を占め、日経平均株価は7月17日以来約4カ月ぶりに9400円を割り込んだ。そして東京、上海、香港の下落は欧州株を大きく下げさせることとなった。米国の電子取引市場も、2.2%の下げとなって、金曜日のWall Streetの先行指標となっている。

そんな中、この市場の動きの大きな部分が、中東ドバイの信用不安にあることが判明した。水曜日に、世界の耳目を集めながら巨大な都市開発を進めてきた同国政府公社ドバイワールド(Dubai World)の巨額の債務不履行が確実になったことで、世界の金融システムが新たに動揺するのではないかとの不安心理をかきたてているのだ。

ドバイの対外債務は800億ドル(8兆円)で、そのうちDubai World分は590億ドル(5.9兆円)。ここ数ヶ月ドバイ政府は、「絶対に債務不履行はありえない」と断言してきたのであるが、水曜日に、返済猶予(a creditor standstill)をもとめたことで、世界の金融界に激震が走った。ドバイ債権に対する5年もの債務保証(CDR: credit default swap)は、2.8%であったものが、即日に4.2%に跳ね上り、木曜日には5.5%まで上昇した。

油の出ないアラブの国ドバイが、バブルに乗って世界から資金を集め、沖合いを埋め立てて新奇なデザインの巨大な不動産開発を行い、世界の金融センターを夢見た時代は終わり、新たな銀行家の悪夢が始まる。