世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

日本の消費者金融業界の行方 The Dastardly Sarakin

2009-11-03 | 世界から見た日本
2009年11月3日(火)

2日の株式市場は、武富士が急伸し、ストップ高まで買われ、取引を終えた。アコム、プロミスもそれぞれストップ高だった。個人事業主の資金繰りが悪化していることを重視して、無担保ローンの貸し付け制限を緩和するのではないかとの報道に投資家が反応したのだ。

早速この動きを、Financial Timesが、株式コラムThe LEX Columnで論評している。

過払い利息返還請求に応じているため青息吐息となっているサラ金各社の苦難は、自民党政権が貸金業法を改正し、貸し出しの合計を年収の3分の1以下に抑え、上限金利 (capping) を設定する貸金業法の改正をしたことと、追いかけて2006年1月に最高裁が、「支払い済みの過払い金利返還請求」を認めるとする判断を示したときに始まった。

「鳩山民主党政権は消費者の味方であっても、消費者金融の味方ではありえない」との見方から、政権発足以来、消費者金融各社の株価は、20%以上下げてきた。「大衆迎合的な民主党(the avowedly populist DPJ)が、業突張りのサラ金(the dastardly sarakin)にやさしいわけはない」と投資家が判断したのである。

その結果、政権成立から先週末までに、20%株価は下げてきたのが、上述のように来年6月に予定されている貸金業法の再強化を見送るらしいというニュースが飛び交って、株価が大幅に戻したということである。

景気の悪化と比例して、過払い金利返還要求はやむことなく続き、すでに2社が倒産し直近では、ロプロが会社更生手続き開始を東京地裁に申し立て、受理された。また、最大手の一社の存続も危ぶまれている。

こうした状況を総合して、Financial Timesは、“More look inevitable”(もっと倒産するのは不可避)と、論評を結んでいる。