これは大学生達が主人公の青春恋愛物語。タイトルといい、DVDジャケットといい、とにかく恥ずかしい。宮崎あおいが演じる静流(しずる)の痛々しいまでの幼さも恥ずかしい。大学生にもなってまだ乳歯があるなんて…などという幼い静流だけれど、わたしも高校生になってもまだ乳歯が複数本残っていたし、ま、似たようなものか。
「彼女はよく嘘をついた」という主人公誠人(まこと)の独白が巻頭に置かれる。これはつまり、これから始まる物語のヒロイン静流の言動に嘘が隠されていることが示す。ま、その嘘はどうせすぐに観客にはわかってしまうのだが。
誠人への一途な想いが通じない可哀想な静流は、鈍感な誠人にとっては恋愛の対象にならない、単なる友人。誠人が恋しているのは美しいみゆきであって、童顔にめがね・ペチャパイの静流ではないのだ。誠人の趣味がカメラだからって同じようにカメラにのめり込むいじらしい静流なのに、誠人にとって静流は「女」を感じさせない存在だ。
静流がなぜいつまでも背が低く小学生みたいに幼いのか、彼女には秘密があったのだ。同じように、誠人にも秘密があった。その秘密のために薬を手放せない二人。静流の切ない想いを受けとめられない誠人こそほんとうは最も幼い人間だったのだ。
コミカルで爽やかな青春物語だけれど、登場人物すべてがいい人すぎて嘘っぽい。何しろ悪人は誰一人登場せず、大学の同級生たちは思いやりがあって仲間意識が強いし皆それぞれ自分の思う道へと進むなんて、そんなきれいなお話って今どきあるだろうか? ここには恋愛パターンの一つの理想が描かれている。初々しく純朴な二人、三角関係など恋の成就を阻む障害、いろんなことがあるけれど最後に真実の愛に目覚める。しかしそのときは遅し。という、美しい悲恋。清々しい恋の背景には美しい風景がある。光を最大限に取り入れた木漏れ日溢れる森の風景は絵葉書のように美しい。
幼い恋を胸に抱く乙女はいつか大人になり、命がけの恋をする。しかし、その想いを受けとめられるほど男は成長しなかった。結局男は置いてきぼりを食うわけだ、人間として。こんなバカな男に恋をした静流が可哀想です、ほんと。主役を演じた玉木宏がいまいちなので余計に魅力的なキャラクターに見えないのが残念。宮崎あおいは可愛いねぇ。(レンタルDVD)
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日本、2006年、上映時間 116分
監督: 新城毅彦、原作: 市川拓司 『恋愛寫眞 もうひとつの物語』、脚本: 坂東賢治、音楽: 池頼広
出演: 玉木宏、宮崎あおい、黒木メイサ、小出恵介、上原美佐
「彼女はよく嘘をついた」という主人公誠人(まこと)の独白が巻頭に置かれる。これはつまり、これから始まる物語のヒロイン静流の言動に嘘が隠されていることが示す。ま、その嘘はどうせすぐに観客にはわかってしまうのだが。
誠人への一途な想いが通じない可哀想な静流は、鈍感な誠人にとっては恋愛の対象にならない、単なる友人。誠人が恋しているのは美しいみゆきであって、童顔にめがね・ペチャパイの静流ではないのだ。誠人の趣味がカメラだからって同じようにカメラにのめり込むいじらしい静流なのに、誠人にとって静流は「女」を感じさせない存在だ。
静流がなぜいつまでも背が低く小学生みたいに幼いのか、彼女には秘密があったのだ。同じように、誠人にも秘密があった。その秘密のために薬を手放せない二人。静流の切ない想いを受けとめられない誠人こそほんとうは最も幼い人間だったのだ。
コミカルで爽やかな青春物語だけれど、登場人物すべてがいい人すぎて嘘っぽい。何しろ悪人は誰一人登場せず、大学の同級生たちは思いやりがあって仲間意識が強いし皆それぞれ自分の思う道へと進むなんて、そんなきれいなお話って今どきあるだろうか? ここには恋愛パターンの一つの理想が描かれている。初々しく純朴な二人、三角関係など恋の成就を阻む障害、いろんなことがあるけれど最後に真実の愛に目覚める。しかしそのときは遅し。という、美しい悲恋。清々しい恋の背景には美しい風景がある。光を最大限に取り入れた木漏れ日溢れる森の風景は絵葉書のように美しい。
幼い恋を胸に抱く乙女はいつか大人になり、命がけの恋をする。しかし、その想いを受けとめられるほど男は成長しなかった。結局男は置いてきぼりを食うわけだ、人間として。こんなバカな男に恋をした静流が可哀想です、ほんと。主役を演じた玉木宏がいまいちなので余計に魅力的なキャラクターに見えないのが残念。宮崎あおいは可愛いねぇ。(レンタルDVD)
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日本、2006年、上映時間 116分
監督: 新城毅彦、原作: 市川拓司 『恋愛寫眞 もうひとつの物語』、脚本: 坂東賢治、音楽: 池頼広
出演: 玉木宏、宮崎あおい、黒木メイサ、小出恵介、上原美佐