ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

今年のベスト10、1位は「ビフォア・サンセット」

2005年12月31日 | 映画ベスト10
 今年封切りの映画ではなく、今年見た映画の中から選ぶ。
 
 今年見た映画は映画館(試写会を含む)で66本、DVDが159本、合計225本。その中から80点以上つけたものをピックアップすると以下の32本になる。映画の詳細は五十音順インデックスからご覧ください。


グッバイ・レーニン
アフガン零年
Ray レイ
ヴィタール
ビフォア・サンセット
列車に乗った男
真珠の耳飾りの少女
海を飛ぶ夢
大統領の理髪師
69 sixty nine
アンナとロッテ
Love Letter
ザ・インタープリター
ミリオンダラー・ベイビー
エレニの旅
ベルリン、僕らの革命
恋に落ちる確率
アパートの鍵貸します
スターウォーズ エピソード3
夕べの星
ヒトラー 最期の12日間
ロング・エンゲージメント
コーラスライン
シンデレラマン
デカローグ
タッチ・オブ・スパイス
ビヨンド the シー ~夢見るように歌えば~
海と毒薬
ALWAYS 三丁目の夕日
亀も空を飛ぶ
キング・コング
ロード・オブ・ウォー

 この中からベスト1というのは毎年迷うのだが、今年は迷わず「ビフォア・サンセット」だ。ただし、これは条件付き。9年前に「恋人までの距離(ディスタンス)」を見ていることを前提に、両作品を合わせてベスト1という意味ね。これはわたしにとって生涯の恋愛映画ベスト1になるかもしれない。

 以下は、順不同で(と言いながらほぼこの順で)

ALWAYS 三丁目の夕日
デカローグ
タッチ・オブ・スパイス
シンデレラマン
恋に落ちる確率
エレニの旅
69 sixty nine
Ray レイ
真珠の耳飾りの少女

 今年もたくさん映画を見た。たぶん来年はぐっと数が減ると思う。映画の本数が増えたということは本を読んだ冊数が減ったということで、読書のほうはベストを選べるほど読んでいないのが心苦しい。それと、正直に言うと去年ほど心を動かされる本に出会っていない。
 最近ブログの読書日記が書けないのもそれが一因だ。どうしても書きたいという気持ちに突き動かされることがない。それでもまあ、気が向いたらベスト3ぐらいの本を後で選ぶかもしれない。
 来年こそ、いい本にもっと出会いたい。もっと本を読みたい。

 今年一年、こんな脱力系ブログでも読んでくださった皆さんに感謝いたします。コメントを寄せてくださった皆様、ありがとうございました。

 どうかよいお年をお迎えください。


インド料理を食べながら『停電の夜に』を読む

2005年12月13日 | 読書
 職場の近くにお気に入りのインド料理の店がある。ここのランチは780円でカレー2種類、ナン、ライス、キャベツサラダ、タンドリーチキンがついていて、ナンは食べ放題。安くておいしくてボリュームたっぷりなので超人気で、いつも行列ができている。

 このインド料理店で食事しながら本を読むのがわたしの楽しみの一つだ。とりわけ、インド系の人々が主人公の短編集『停電の夜に』を読むと雰囲気はまさにインディ。

 作者のジュンパ・ラヒリは1967年生まれのインド系アメリカ人女性で、ブックカバーについている写真を見るとどらえい美人である。

 全9編の短編の中ではやはり標題になっている冒頭の「停電の夜に」が一番印象深い。全9編それぞれが切なくてやるせない話がほとんど。作品の通奏低音はディアスポラの人々の悲しみや違和感だ。異文化のなかでの軋轢ばかりではない。男と女のどうしようもないすれ違いは読者の心を痛くする。

 停電の夜に真っ暗ななかで蝋燭に灯をともし、互いの秘密を語り合う夫婦の話を描いた「停電の夜に」も、胸が痛くなる一篇だ。ラヒリの人間洞察は鋭い。淡々とした描写のなかに、冷たい隙間風が吹く寒々とした風景まで見えてくるようだ。

 「神の恵みの家」、これは新婚夫婦の物語。アメリカに住むインド人夫婦は新婚早々から心のすれ違いを経験する。それは一方的に夫の側だけの違和感かもしれない。なにしろ新婦は天真爛漫な無神経女で、童顔の美しい顔は無邪気に夫の神経を逆撫でし続ける。
 新婚2ヶ月で早くも「この結婚は失敗だったかも」という薄暗い予感が夫の背中をよぎる。
 この新婦のわがままぶりや子どもっぽさや夫への気遣いのなさは、寒心に堪えない。なんだかなぁ~。こんな女、いるよな……
 こういうのを読むと、「早く自分の無神経さに気づいて反省しなさい」と言いたくなる(はい、ごめんなさい)。

 「ビビ・ハルダーの治療」は不思議な物語だ。インドの貧しく小汚い29歳の女、ビビのお話。この話といい、「本物の門番」といい、ドストエフスキーが描くペテルスブルグの貧しい人々をなぜか思い出してしまった。

 まだ若いジュンパ・ラヒリ、これからが楽しみだ。


《収録作品》

停電の夜に 7-40
ピルザダさんが食事に来たころ 41-72
病気の通訳 73-114
本物の門番 115-136
セクシー 137-180
セン夫人の家 181-220
神の恵みの家 221-254
ビビ・ハルダーの治療 255-278
三度目で最後の大陸


<書誌情報>

 停電の夜に / ジュンパ・ラヒリ [著] ; 小川高義訳. 新潮社, 2003 (新潮文庫)  

「風の旅人」17号

2005年12月07日 | 読書
 木・金と出張で横浜まで行き、土曜は午後から1万人の第九のリハーサル、日曜は朝から家族の弁当・昼食・夕食を作って1万人の第九のゲネプロと本番、夜はいつものメンバー(に一人、新人のお姉さんを加えて)で楽しく忘年会。怒涛の4日間であった。ふー。

 すっごく疲れたけどほっとしたやら嬉しいやらまた来年も歌いたいやらといろいろ思うことはある。おととし初めて参加したときのことはHPの。「よしなしごと」に書いたのだが、やはり初めてと2回目では全然緊張感が違う(去年は落選したので観客席から聴いた)。とはいえ、やっぱり最後は背中に鳥肌が立ったし、森山良子の素晴らしい歌声には涙が出そうになったし、大満足の一日だった。
 一緒に歌った第九シスターズは4人。小学生のYちゃんまで含めてアルトで頑張ったのだ。来年はぜひもっと大勢の仲間と歌いたい。
  さて、お気に入りの雑誌『風の旅人』の最新号を買ったのだが、今度の号は写真が素晴らしい。いつも素晴らしいのだが、今回は特にわたしの気に入ってしまった。
 とりわけ表紙のモノクロの少女の写真。きりりとした意志的で理知を感じさせる表情、見事な三角錐に盛り上がった乳房。若さとエネルギーに溢れて、「生きているってこういうことだ」と思わせる。

 出張で泊まったホテルの部屋には『風の旅人』の14号だったかが置いてあった。去年泊まったパークハイアットホテルにもこの雑誌は置いてあったし、おしゃれなホテルには置いてあるのだろうか。

 中身はこれからゆっくり味わいながら読むつもり。読んだらまた気になる記事についてはコメントしたい。
http://www.eurasia.co.jp/syuppan/wind/17/image1.html