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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 3月12日 眼球6

2015-03-12 20:47:54 | B,日々の恐怖


    日々の恐怖 3月12日 眼球6

 
 警備員も母親とわたしのやり取りを見て、少し当惑しているようでした。
それで、わたしは聞きました。

「 わたしを、どういうふうに聞いていたんですか?」

聞かされたのは、酷い話でした。
 どうもDさんは会社を辞めて後、仕事がみつからなくて困っていたようです。
ことあるごとに自分はハメられたんだとか、あいつが俺の仕事を奪わなければとか、そういうことを言っていたらしいんです。
 警備員さんからも教えてもらえました。
たとえばサインをするだけの状態の見積書を奪って、相手からサインをとってきただけで、手柄にするような人だったと聞いていたそうです。
 もちろんそんなことしてませんよ。
大体、サインするまでに交渉をまとめてきた人を、会社がないがしろにするわけないでしょう?

「 ホントっぽく聞こえたのよね。」
「 わたしもそう思いました。」

二人とも信用してしまっていたようです。
 この誤解が解けてから、一月ほどで、ご家族の住所がわかりました。
この母親がDさんの奥さんと知り合いで、Dさんの奥さんと掛け合ってくれた後で教えてくれました。
 Dさんはお亡くなりになっていました。
奥さんは、Dさんの虚言癖に気付いていたらしく、わたしを恨んではおらずアパートの中に入れてくれました。
 仏壇に手をあわせてから退くと、Dさんの残した手帳を見せてくれました。
そこには、やった覚えのない悪行が書き連ねられていました。
 Dさんが転属させられたたのは2001年の春なのですが、書き始めは2001年の夏からなんです。
一緒にいるはずもないのに、なぜかわたしに仕事が奪われていくんですよ。
発狂っていう意味がわかりました。
 そこで奥さんに、今わたしが置かれている状況を話しました。
幻覚じゃなさそうな、祟りにあっていると。
そうしたら、奥さん、泣き出してしまわれてね。

「 プライドの高いところがかっこいいと思ったのに。
みじめなところ見せないで欲しい・・・。」

わたしも、もういちどDさんの仏壇に向かって、

「 先輩の仕事のやりかたを勉強させてもらったから、仕事ができる人間になれたんじゃないですか!」

そう言いました。
 以降、祟りはおこっていません。
クラブに一度顔を出したら、彼女は笑ってくれました。
たぶん、もう、つかれてはいないんでしょう。
 新しい会社に移ってからは、努力を適度にするようにしました。
自分なりに反省したんです。
しゃにむにになってやっていたことが、悪く思われるようなこともあるんだとね。
無理矢理蹴落とされたと感じさせることもあるんだと。
 そうしたら、営業からは外されましたが、偶然ですかね、総務課にまわされました。
今は肩肘を張らずに仕事をしていますが、毎日が充実しています。
わたしの話は、これで終わりです。











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