日々の恐怖 12月4日 太陽は沈まない(1)
もう十数年も前の話だが、思い出すことがある。
当時の私は友達のいないぼっち女子中学生で、放課後や昼休みは学校の図書館で専ら読書に勤しんでいた。
小さい図書館だったために、一年くらい通うと興味のあった分野の本はおおかた読み尽くしてしまい、次はどの分野の本を読もうかと思案していると、一冊の本が目に入った。
タイトルは“太陽は沈まない”という本だった。
今でも忘れない、図書館の一番奥の本棚の一番下の段に置いてあった。
本というよりは小冊子といった方が近いかもしれない。
表紙は太陽に月が溶かされ、下にある人間界と人間も溶かされているような絵だった。
表紙を見たとき、何か不気味な感じはしたが、学校の図書館だしそれほど変なものではないだろうと思った。
そして、内容もまた奇妙だった。
あるページには押し花がされていたり、あるページには文章で“太陽は沈まない、太陽が沈まないと隠れることができない。”と書いてあったり、またあるページからは変な絵が延々と書かれていた。
どのページの絵にも太陽は書かれていたが、一ページだけレモンがテーブルに乗っかっているだけの絵があった。
そのテーブルには“ようこそ”と書いてあった。
“ おかしいな・・・?”
と思いながらも、脈絡が無いままののページを捲っていて気が付いた。
各々のページの数字がバラバラで綴じられている。
つまり、その本はページ数がバラバラだった。
そしてレモンの絵は、本の真ん中にあったのにも関わらず1ページ目だった。
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