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日々の恐怖 6月22日 食糧(2)

2021-06-22 13:35:03 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月22日 食糧(2)




 次のアパートも古かったけど駅からわりと近くて快適だった。
ワンルームは変わらず、でもトイレも風呂もあった。
彼女は相変わらず出来なかった。
 1ヵ月くらい住み続けていた頃、またしても不思議な事があった。
冷蔵庫に身に覚えのない食糧がある。
食パン、牛乳、タマゴなどの何気ない物だ。
 前回のこともあるし、怖くなってまた管理人に連絡した。
しかし、今回は二重貸しではないらしい。
管理人も盗られた物は無いかなど色々相談にのってくれたが、何も盗られていないし様子をみるという感じで話は終わった。
 それから特に何も無く、

” もしかして自分の勘違いだったかな・・・・?”

と思い始めてきた。
 夏休みになり2週間くらい実家へ帰省した。
そしてアパートに戻った時、自分の勘違いではないと確信した。
またタマゴが冷蔵庫に入っていて、その製造月日が俺が留守にしている時と重なっていたからだ。
 これは誰かが俺の部屋に入っている、間違いない、と思い近くの交番へ駆け込んだ。
警官は俺の話を真剣に聞いてくれたけど、住所氏名などを書かせ、報告しておきますと言うだけで帰された。
 今みたいにスマホもないし近くに公衆電話も無く、友人に助けを求める事も出来ず。
部屋の窓の鍵を確認し玄関のチェーンをしっかり掛けて、その日は寝た。
 次の日、大学でその話をすると、

「 あしながおじさんじゃない?」

みたいに言われ相手にされなかったが、俺が真剣に話し続けているのをみて、

「 本当の話なのか?」

と信じてくれた。
そして、わりと近所に住んでいたAが俺がバイトで不在時に来てくれると言ってくれた。
 Aに留守番を頼んだのは数回だった。
しかし特に何事も無く、誰かが尋ねて来た事も無かったらしい。
 Aはその後、突然大学を辞めてしまい疎遠になった。
何をしているのかも分からない。
 不思議なのは、当時の大学の同級生みんなに聞いても誰もAを覚えていない。
そんなヤツ知らないと言う。
俺のその不思議な話も覚えていないと言う。
 あの時、その話をしたのはAを含めた4人だったが、他のヤツらは全く覚えていないと言う。
冷蔵庫に食糧を入れていたのがAだとは思わないが、俺の中でたまに思い出しては納得出来ない話だ。
 Aが大学を辞めた後、2回は食糧現象があった。
黄緑色のカラーボックスの上に、キャラメルコーンが未開封で置いてあった。
 ずっと不思議に思っていて、自分でも消化しきれずにいた。
変なヤツだと思われるのが嫌で、結婚した今は誰にも話していません。









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