大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 5月27日 梅の古木(2)

2019-05-27 10:57:43 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 5月27日 梅の古木(2)




 宴の参加者は皆笑って少女の方を見ていたが、その中に近所の見知った顔は一人も見つけられなかった。
 なんとなく気味の悪さを感じた少女は、首を振って行かないことだけを表すと、そのままその場を離れた。
特に引き止められることもなかったが、少女を追いかけるようにドッと笑いが起きたという。
 その後も何事もなく少女は無事に家にたどり着いたが、そこで大変なことに気がついた。確かに買ったはずの酒がなぜか無くなっており、徳利はすっかり空っぽになっていたのだ。
 途方にくれた少女は、こっそり彼女の祖母に泣きついた。
自分でもよくわからないままに経緯を話すと、祖母は心得たように笑いながら、

「 これでもう一回お使いしておいで。」

と、少女に小銭を握らせた。

「 大丈夫、もうきっと、なにもないから。」

よくわからないながらに、先程の宴会にきっと原因があると思っていた少女は、もう一度そこを通って酒屋に行きたくはなかった。
 しかし、使いが果たせなかったとバレた時の父親の拳骨の方が、もっと恐ろしい。
少女は泣きべそをかきながら、ついさっき通ったばかりの道を引き返し、酒屋へ走った。







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