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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道242

2009-07-09 19:05:26 | E,霧の狐道
 俺は龍平に車椅子を後ろから押され、通路をドンドン進む。
車椅子の車輪が回転しながらカラカラと鳴る。
閉じられた病室の扉が後ろに流れて行く。
 俺と龍平は非常灯の薄暗い明かりの中を、真っ直ぐな通路を疾走した。
通路の突き当たりにエレベーターがあるのだ。
遠くにエレベーターの階の表示が光っている。
階の表示の数字は見えないが、表示板の右端で光っているから、たぶん5階だ。
もう、表示はその位置で停止している。
 龍平はそれを見て言った。

「 たぶん屋上やな。」
「 そう思う。」

こう言う場合、相場は屋上か地下と決まっている。
 この病院の建物は5階建てで、エレベーターは5階止まり、屋上に上がるには別に階段を上がらなければならない。
龍平が、それを知らない俺を見て言った。

「 屋上に行くには、5階から階段を上がるんやが・・・。」
「 そう・・・。
 車椅子だし・・・。
 階段、上がれるかな・・・?」
「 まあ、行けるとこまで行こか。」
「 うん。」

 俺と龍平はエレベーターに徐々に近付いた。
エレベーターの手前の通路右手には、ナースステーションがあり、明かりが通路に漏れている。
 龍平が車椅子を進めるスピードを緩めた。
そして、小さい声で俺に言った。

「 看護婦、うるさいねん。」
「 うん、分かる。」

エレベーターに乗り込むには、ナースステーションを無事通過しなければならない。
夜中にウロウロすると、即刻注意されるのだ。




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