日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

ピアノ

2009-11-19 13:41:28 | (蒼)のブログ
 先日、ピアニストを取材しました。
 実は、これまで色々な習い事をしたのですが、ピアノだけは習ったことがないのです。
 12月号の編集後記にも書いたのですが、私は、ピアノを習いたかったのです。
 初めてそう思ったのは、大学1年生、19歳の頃でした。
 ピアノを弾く友達がやたらかっこよく見えて、それでです。
 ですが大学1年生からピアノを習うとなると、腰がなかなか重くて、重くて、重くて。
 それで結局、それから約10年間、願望に留まっているわけです。

 久々に会った知人が、「やりたい事が見つからない」と言っていました。
 もうこの言葉は、彼以外の知人友人から何回も何十回も聞いた言葉です。
 この言葉を聞くたびに思います。
 「僕はピアノを習いたいんだけど、それくらいのことではなくて、もっと大きなやりたい事を探したいのかな、コイツは」と。
 その知人に、「オレはピアノがいま一番やりたいことかな」と話すと、案の定、こんな答えが返ってきました。
 「オレが言っているのはそういうことじなくて、もっと、何ていうか、人生というか、全部をそこに集中できるというか、とにかく、そういう事を見つけたいんだ」
 率直な感想を言うと、その知人の答えは、わからなくもないのですが、わかりたくもない。
 「だからいくつになってもそういうことしか言えないんだよ」と言うか言わないか迷った末、当然、言いませんでした。

 話しは戻りますが、取材したピアニストにこう言いました。
 「ピアノを習いたいんだけど、この歳になると、なかなか、腰が上がらなくてね…」
 するとそのピアニストは、「今からでも遅くないですよ」と、笑顔で答えてくれました。
 「そうなんだけど、やっぱりもう遅いよ。今からやってもそこまで上手くなれないし、限界があるよ。それに、どうせやるなら、人生というか、全部をそこに集中したいん……」
 ここまで言いかけたとき、知人の顔が浮かんで、知人に対して申し訳ない気持ちになった自分が情けなくなって、暗い気持ちになって、何も言えなくなって、それでも沈黙したままの私を前にまだ笑顔でいる19歳がやたら大きく見えて、ピアノを習いたいと初めて思った19歳のときから10年経ってもいまだに願望に留まっている自分がちっぽけに思えて、知人よりもちっぽけに思えて、不意に、目の前のピアニストが壁に見えたのでした。(蒼)

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2 コメント

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三日坊主は始めの一歩 (金オンマ)
2009-11-22 23:51:21
知り合いの女社長さんが言ってた言葉
「私三日坊主は大好き!やらないで後悔するより三日でもやってみて合わなければ次を見つけたらいいじゃない!」と、とても前向きな言葉じゃないですか?
それ以来三日坊主という言葉が素敵に聞こえるようになりました。
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金オンマへ。 ()
2009-11-25 11:37:26
コメント、コマッスミダ。

三日坊主ですか……。確かに考えようには良い言葉ですね(笑)。

振り返れば僕の人生、三日坊主の連続でした……。

唯一続いているのが、毎週木曜日の日刊イオの更新かもしれません。

ああ、これからは何でも、前向きに生きていきます!!!
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