東日本大震災と差別・排外主義

　まずは、朝鮮新報インターネット版（３月21日）に掲載された記事を紹介する。

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「東日本大震災　宮城県対策委員会、地域の住民に炊き出し」

　総連緊急対策委員会宮城県本部が、同胞が避難生活を送っている東北朝鮮初中級学校 の周辺に住む日本住民のために、２０日１２時から仙台市立八木山中学校の運動場で炊 き出しを行った。（写真）
　同対策委員会では、東日本大震災発生後、各地の総連組織、同胞から寄せられた救援 物資でまかなわれた豚肉ミソ汁やおにぎり、キムチ、牛乳など４００食を地域の住民に ふるまった。炊き出しには、朝青メンバー２０余名をはじめ東北初中の教員、食堂担当 者、活動家が参加した。
　東北初中のテントを張り、「みんなでがんばろう　八木山住民支援炊き出し」と書か れた横断幕を広げた炊き出し場では、１２時前から近所の大勢の日本住民の行列ができ た。
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　阪神・淡路大震災のときに、朝鮮学校が避難場所となり、同胞と日本人が助け合いな がら避難生活を送ったように、東日本大震災でも同じ光景が見られる。日本各地から集 められた支援物資は、同胞たちだけのために使われているのではない。逆に、日本人の心のこもった支援物資が避難生活を送る同胞たちの心や身体を癒していることであろう 。

　日本のマスコミが伝えるのは、ほとんど日本人被災者のことだが、当然のことに、在日同胞をはじめ、少なくない外国人が震災に遭い日本人と共に苦しい避難生活を送っている。もっとその部分にもスポットを当ててもらいたいと思う。

 

 　一方で、関東大震災（１９２３年）の際に、「朝鮮人が暴動を起こしている」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などといったデマが飛び交い、多くの朝鮮人が虐殺されたが、 今回も同じようなデマや差別・排外的な言葉が飛び交っている。特徴は、ツイッターなどの新しいツールを使 って流されていることだ。

 　ツイッターを少し調べただけで、すぐに次のようなツイートが現れた。

「中国人、韓国人が日本人の土地を盗めないよう対策を！ 」
「じゃかあしい！日本から出ていけクソ朝鮮人！！」
「日本が嫌いなんだろ。帰れはいいじゃないか、朝鮮人」
「朝鮮人　全員強制送還せよ！！！ 」

　日刊ベリタは「東日本大震災　Twetterで差別・排外主義を発信する人たちがいる」（ ３月21日）というタイトルの記事を発信している。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201103210018081

 　また、毎日新聞も「大震災と報道：未曽有の事態、どう報じたか」（３月21日朝刊） という記事で以下のように伝えている。 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110321ddm012040009000c.html

　「しかし、早く広める機能は情報の真偽を確認する時間がないことにもつながる。千葉県市原市の製油所で発生した大規模火災に関しては「有害物質が雨とともに降る」と いった投稿もあり、連鎖的に広がっていった。さらに、「在日外国人が犯罪を起こそうとしている」など、関東大震災時を想起させるツイートも見つかった。枝野幸男官房長 官も１２日の会見で、「根拠のない情報に惑わされることがないよう、また広げる側に回ってしまうことのないように」と呼びかけざるをえなかった。」

 　このようなデマ、差別・排外主義的な言葉により、現地でどのようなトラブルが起 こっているか把握することはできないが、さすがに、関東大震災の時のような惨劇は起こるはずがない。

 　しかし、どんな神経をしてこのようなとんでもないことを流すのであろうか？　このようなデマや差別・排外主義を流す人間たちを法的に処罰できないのであろうか？　これ以上発信できないように、ツイッター社は使用を禁止するなど対策が取れないのであろうか？

 　昨日の報道ステーションを見ていると、番組の最後に、今日から始まる選抜高校野球の選手宣誓の話題から、キャスターの古舘伊知郎氏が、「支え合う気持ちがある。日本人のＤＮＡだと思います」と言った。

　上述したように、支えあっているのは日本人だけではない。ただでさえ、「日本人」 を連呼している報道の中、「日本人のＤＮＡ」などという言葉で、ナショナリズムを煽 る必要などまったくない。聞いていて、怒りを感じた。（ｋ）