日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

祖国の缶詰が出てきた

2013-06-12 09:00:00 | (K)のブログ
 北と南の当局会談が今日12日から13日までソウルで開催される予定でしたが、この原稿を書きおわったあと中止となりました。仕方がないので、急遽原稿を書き換え、どうでもいいことを書きたいと思います。

 最近、家の中を整理しました(私はほとんどやってませんが)。そのときに出てきたのが、写真の缶詰。


 書かれている文字は「송이버섯 룡성고기가공공장」、日本語に訳すと「マツタケ リョンソン肉加工工場」となります。朝鮮民主主義人民共和国のリョンソン(リョンソンビールも有名)にある工場で作られたマツタケの缶詰です。
 なぜこの缶詰がわが家にあるのか? 入手経路に記憶がありません。私が朝鮮を訪問したのが4年前、その前が10年前で、この2回の訪問の際に自分で買っていません。また、この10年の間にお土産としてもらった記憶もありません。私が社会に出てしばらくの間、年末になると朝鮮からミョンテなど食料品が送られてきて配給されていました。ウニの缶詰をもらったこともあります(パスタソースにして食べましたが、絶品でした)。そう考えると、朝鮮からの贈り物としてもらった可能性がもっとも高いと思われます。製造年月日が書いてないので確定はできませんが、少なく見積もっても十数年以上前のものだと推測されます。

 この缶詰が出てきて1ヶ月、記念としてずっと開けずに置いておくのも一つの手なのですが、好奇心というか、どうしても開けて口に入れてみたいという衝動を抑えることができませんでした。マツタケというのも魅力的です。開けるなら、モノが痛みやすくなる季節の前にと、開けることにしました。


 若干錆びはあるものの、完全に密封されています。でもよく見ると、缶の上の部分が少し膨らんでいました。内容物が何らかの化学変化を起こして膨張している? 缶切りで開ける前に、テーブルの上にダンボールを敷いて、飛び散った時の対策を立てました。
 実際に、缶切りの刃が入った瞬間、プシューッと音がして液体が3センチほど噴出しました。驚くよりも、逆に3センチでよかったとホッとしました。その後はとくに何もなく、3分ほどで無事に開けることができました。


 開けると、黄色い液体の中にマツタケの切り身がたくさん。鼻を近づけると、微妙な臭い。本来の匂いなのか腐敗したことによる臭いなのかよくわかりません。器に入れかえると、結構な量が入っていたことがわかります。臭いはするけれど、見た目はまったく異常がない。そこで、一つつまんでみました。口に入れようとすると、家人から「チャレンジャーやね」との声。


 口に入れて噛むこと5~6回。口の中に何とも嫌な味と臭いが広がっていきました。そして、どうしても飲み込むことができませんでした。
 それなりの味だったら、炒めて食べようと思っていたのに。腐っていると断定できたわけではありませんが、変質していることは確かなようで念のためにすべて廃棄処分にしました。残念です。手に入れたときすぐに食べればよかったと後悔しました。
 リョンソン肉加工工場では今もマツタケの缶詰を作っているのでしょうか? 製造しているなら、次に朝鮮に行く機会にでもぜひ買って食べてみたいと思います。今回、食べることはできませんでしたが、祖国の缶詰が思わぬところから出てきた喜びと少しのドキドキを感じることができて、一時の幸せを味わうことができました。(k)
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。