日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

個人に牙を剥く権力と人々

2017-07-07 09:51:27 | (K)のブログ
 加計学園の問題で、文科省事務次官を務めていた前川氏が、「総理のご意向」などといった文書があったことを告発した。そのことと関連して、読売新聞に前川氏が「出会い系バー」に通っていたという報道が出て、菅官房長官がそのことで前川氏を批判した。
 プライベートの時間にどのような行動をしているのか、だれがどうやって調べて、新聞社にだれがリークしたのか。非常に恐怖を覚えるし、社会のあり方を揺さぶる大問題だと思う。
 菅官房長官の会見に参加した東京新聞の記者が、加計学園の文書問題で立て続けに質問し激しく追及していることが話題になっている。その記者に対して官邸が警察組織に身辺調査を指示しているという記事が週刊誌などに掲載された。

 国家権力が目障りだと感じる人間に対して、露骨に牙を剥く。沖縄で米軍基地建設反対運動のリーダーが、5ヶ月にわたり逮捕・拘留された。学校の式典で「君が代」を起立し歌わなかったとして、教師たちが職を奪われる。まったく関係のない出来事をもちだして、在日朝鮮人の事務所や自宅に警察が押し入る。
 先月、「共謀罪」が成立したが、「共謀罪」も含めて、法律や権力装置、でっちあげも含めあらゆるものを動員して管理、監視、排除、弾圧が強化されていくだろう。

 前川氏をはじめ、ひょんなことから話題になった人たちは、ネット上でも標的にされる。検索すると、出身地や学歴、家族、仕事のことなどが興味本位で書き散らかされ個人攻撃されている。そういうことをする人たちの精神世界がわからない。
 SNSに投稿された個人情報、どこで誰と何をしているといった内容を書くと、どこでどう見られているのか、どのような悪影響を及ぼすのかもわからない。
 朝鮮学校の生徒たちがチマチョゴリの制服を着られなくなって久しい。日本社会は病んでいる。(k)