Gabbie's Cafe

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刻印石

2006年01月10日 | Cafe Sweets

“カステラ一番電話は二番、三時のおやつは…”というコマーシャルソングを、私と同じ年代で知らない人は、おそらくいないんじゃないかなぁ。
と、そのくらいに、関東圏で育った私たちは、かの“文明堂”こそがカステラの総本山と思い込んできたような気がします。

でもどうやらカステラの本場・長崎では、カステラといえば“福砂屋”のようです。
黄色と茶色の包み紙にトレードマークのコウモリ印。(かわいいので私はバットマンじるしと呼んでいますけれど。)
ふわふわというよりは、“どっしりねっとりもっちり”みたいな、しっかりした生地の口当りと甘み。そして底面のざらめのじゃりじゃりっとした食感が、何といっても特徴です。きっと昔から伝わる秘伝の作り方があるのでしょう。パテシエの端くれとしては、いつかぜひとも工場見学をしてみたいところです。
まぁ、長崎には他にもたくさんカステラ屋さんがあるのだし、どれが一番なんてそれこそ食べる人の好みによるのですが…。

少し前に“そまびと”と一緒に伊豆から旅してきた包みを、やっと先日開けました。“刻印石”という名前がついた包みがとても素敵だったので、実はもったいなくてなかなか開けられずに、しばらくながめていたのです。でも賞味期限もあることだしと、意を決して(?)あけてみると、なかからしっとりふんわりの、小ぶりで上品なカステラが…。名前の通り、おいしそうにこんがりついた表面の焼き色の上に、刻印が押されています。
“四百年前から伊豆の山々に残る「刻印石」に思いを托し…”とある説明書きには、ちいさな白い花をつけたみかんの枝が描かれています。
一切れ口に運ぶと、ふわりと香る柑橘系のかおり。なんとみかんの花のはちみつで作られているカステラでした…。

翌日、いやぁしかしおいしかったなぁ…とつぶやきながら、ところで“四百年前から伝わる刻印石”ってなんだろうなぁ…と思いを馳せ、説明書きをもう一度読んでみると、少し手がかりがありました。裏面にいくつかの印の例が描かれていて、“刻印石に刻まれた大名の印の一部です”との説明が。なるほど。細川家は団子や扇、伊予松山松平家は巴紋、加藤清正の印は小槌…なかにはキリシタン大名のクロス、なんていうのもありました。
ふうん、おもしろい!で、このみかんのカステラに刻印されていた、四角二つの印は?と見てみると…“前田家の轡(くつわ)”。

ますます行ってみたくなりました。みかんの花のはちみつで作るカステラの工場見学、そして伊豆の山を分け入って、刻印石を探しに…いつかきっと!

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