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吉嶺史晴のブログ

リコーダー奏者吉嶺史晴のブログです。演奏活動ならびに鹿児島市で音楽教室を運営しています。

厳格対位法を成り立たせる考え方

2012-11-23 | 音楽制作覚書
厳格対位法を成り立たせる考え方というのはとどのつまりは10個くらいから成る音の並びがあって、それにふさわしい対旋律を様式に則って書くということだ。

これは外面的な現われ方は違うけれど、機能的あるいは旋法的な和声のソプラノ課題やバス課題と同じだ。

つまり作曲や編曲の基礎というものは与えられた音の並びに対して、それにふさわしい新たな声部を付け加えてゆく能力を育てるということなのだ。

ということは元になる旋律が多少前衛的なものであれ、多少、江戸時代風のものであれ、多少、縄文時代風(こういうものの響きそのものは筆者にはよくわからないけれど)、のものであれ、とにかく、そういうものがあればあとは必ず、完成させることが出来るはずなのだ。

それではバッハの無伴奏フルートのためのパルティータにあとひとつ、フルートの対旋律をつけ加えてみることが出来るだろうか?

当然、出来なければいけない。そのために音楽理論というものがあるし、和声や対位法というものがあるはずだ。

ただし、そのようなことをすることによってオリジナルの作品がさらに音楽的に豊かなものになるかどうか、それはまた別の話であるにせよ。

考え方としては、このような作業は作曲や編曲を志す者にとっては出来て当然のことであるはずだ。(難しいけれど・・・)

ただし、それがどこまで行う価値のあることがどうかはまた別の問題かもしれないけれど・・・・

ここでひとつ、無伴奏の旋律楽器のための音楽の質を評価するためのヒントを思いついた。
当たり前のことだけれど、それは以下のようなものだ。

*新たに楽器を付け加えるという編曲作業をどこまで強く拒絶しているのかということ

つまり無伴奏の旋律楽器のための音楽というものは、あくまでも無伴奏の旋律楽器で演奏された時に最大の効果を発揮するように書かれているのが望ましいということなのだ。

ピアノ伴奏があればもっと良いのに・・・とか、もう1本、同属の旋律楽器があればもっと良いのに、とかそういうことを聴き手に思わせないようなものがより良いものなのではないか。

通常の和声を伴う感じの楽曲であれば、旋律そのものに和声の動きを仕込んでおく必要がある。これはバッハやテレマンは当然のごとく行っていたことだ。

気をつけなければいけないのはピアノや大編成の管弦楽団で演奏できるような音楽的表現を安易に採用することである。例えば拍節的なリズムが不用意に曲のなかに採用され、それが無伴奏の旋律楽器のためのものであるならば、聴き手はそのような曲を聴きながら「オーケストラだったらもっと良いのに」とか「この曲が無伴奏フルートじゃなくて、管弦楽のためのものだったらもっと良いのに」というような印象を持ちかねない。
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