吉嶺史晴です。
「リコーダー奏者の永遠の課題」と題し、「音量」と「ピッチ」(音の高さ)との関係について書いてみます。
初心者の段階を終えて、吹きごたえのある曲を演奏出来るような段階になって来ると、必然的に奏者の内側から「表現欲求」のようなものが湧き上がって来ます。
問題は「ここは大きく吹きたい」「ここは小さく吹きたい」という欲求が出て来た場合、替え指を使わなければ必ずピッチが音量につれて上下します。
替え指を使えばピッチの補正は出来ますが、音色は損なわれます。多くの場合、音色に曇りがかかったようになります。
そのような音色が欲しい場合には敢えて、替え指を使うこともありますが、問題はそのような音色は欲しくないけれど、音量だけは変化させたいという場合です。
これは数十年もの経験を備える奏者にとっても難しい問題になることがあります。
こんな時はどうしたら良いのでしょうか?
*音量の変化を諦め、全ての音を標準の指使いでまっすぐに吹く
*音量の変化を最大限に求めて、可能な限りの替え指を使う
今、両極端なふたつの場合を挙げてみました。
実際の演奏ではこれらの極端の場合に真ん中付近に具合良く、落ち着くということになりますが、これ以外の選択肢はないのでしょうか?
もうひとつの選択肢としては、標準の指使いを使いながらも、ある一定程度のピッチの狂いは許容しながら演奏する、というものです。
リコーダー奏者がどの程度の段階に到達しているのか、ということを判断するためにこれはひとつの良い基準になるのではないでしょうか。
標準の指使いは理由なく定まっているわけではありません。
その楽器がその楽器らしく鳴るために一番良い指使いが標準の指使いです。
リコーダー演奏にある程度の経験が備わって来て、一番陥りやすい点は「替え指を多用する」ということです。このことによってピッチは正確に保たれますが、結果として音色が損なわれます。
替え指特有の曇ったような音色が多くなってしまうと、場合によってはその曲本来の持ち味に反するものになってしまうかもしれません。
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以上の点について大事な事柄をまとめてみます。
音量とピッチの関係について
*とにかく正確にやる(第1のアプローチ)
*何が正確なのか、不正確なのか気にしないで、奏者の気持ちの良くなるのが一番という態度でやる(第2のアプローチ)
*上記のふたつのアプローチの中間をとる(第3のアプローチ)
ここだけ見ると、第3のアプローチが一番良いものだと短絡的に捉えたくなってしまうのですが、実際にはその時演奏する楽曲の様式や、あるいはまたその時、その会場の演奏者とお客さんの関係性など、様々な要因によって変化するものかもしれません。
また「ピッチが正確」という表現にも注意が必要です。
何をもって「ピッチが正確」と言えるのでしょうか?
伴奏楽器とピッチが合っていれば「ピッチが正確」と言えるのでしょうか?
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