吉嶺史晴のブログ

リコーダー奏者吉嶺史晴のブログです。演奏活動ならびに鹿児島市で音楽教室を運営しています。

対話カテゴリー再開しました

2019-10-31 | 対話
「対話」カテゴリー再開しました。
今、準備している曲の準備作業からヒントを得て書いてみました。
内容はフィクションです。

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ピポポプポポポポ(携帯電話のベルがなる音)

「次郎、俺だよ。太郎だよ。今ちょっと話しても良いか?」
「おお、太郎か。久しぶりだな。いいぞ。俺もなんか退屈してたところだし」
「あのな、俺、最近思うんだけど、作曲者って楽譜を書くだろ。そしたらさ、もうその時点で作り手にとってはその曲は終わってるんだよな。もちろん演奏者に手渡すところまでが作り手の仕事だって言えば、それはそうなんだろうけどさ。そういうのはコミュニケーションの達人みたいな人に任せれば良いのではないか、という気がしてるんだ」
「はあ?大丈夫か?お前、だってさ、作り手であるお前がちゃんとコミュニケーションとれなきゃダメだろ。演奏してくれる人にちゃんと楽譜が渡って、演奏してもらうまでが作曲者の仕事なんじゃないの」
「そういうのはさ、間をつなぐ人が居てくれて、そういう人がやってくれれば良いのではないだろうか」
「そうかね。。。。言っちゃ悪いけど、お前の曲みたいの演奏してくれる人なんてそんなに居なさそうだし。。。。。すまんな。でもお前の曲はやっぱり普通の音楽愛好家の皆さんには難しいよ」
「それは俺にもわかる。だって癒されたりしないもんな。俺の曲なんか聴いても」
「いいんじゃないの。癒されなくても。。。。でもあれだろ。この間の全日本ブロックフレーテ祭の時のお前の曲は良かったと思う。結構、癒される感じもあったし」
「あれはな、ちょっとその路線を狙って作ったからな」
「なんと!そんなこと出来るのかよ!」
「出来るよ。ある程度までだったらすごく前衛音楽みたいに、とか、結構ロマンチックな感じで、とか、そういうのは曲を作る時に自分でコントロール出来るよ」
「すごいな。本職の作曲者ってそんなことやってるのか」
「俺なんかは本職っていう感じでもないけど、曲を作るような人は皆、やってると思うよ。どんな状況で演奏されるのか、っていうのを考えるのも仕事の一部だから」
「じゃあ、これからもそういう風に作ってゆけば良いんじゃないの?なんでいきなりコミュニケーションとりたくない、とかそういうこと言ってるわけ?」
「いや、演奏者とコミュニケーション取りたくない、とかそういうことじゃなくて、今取り掛かってる曲のこと、思うと、これ、九割方の演奏者から好まれないタイプの曲かも、って思うんだ」
「そんなに変わった曲なの?」
「うん。すごく変な曲。。。。って言うか、コンセプト自体が古い、とは言っても70年代風の12音技法と特殊奏法の曲だから、今聴くと、すごく古臭くて、でも曲自体は無調で聴きにくい感じだから、多くの演奏者とか、聴き手の皆さんからはあんまり好まれない感じの曲なんだ」
「あのな、一言いわせてもらうとだな、お前、曲が出来る前から、好かれるとか、好かれないとか、そういうこと言っているけど、それってすごく変。まあ、俺はお前みたいに作曲とか、そういう高度なことは全然できないから、偉そうなことも言えないけどさ。でもまずは作ってみたら良いんじゃないの?好かれるとか、嫌われるとか、そういうのはその後でも良いんじゃないの?」
「・・・・ああ、そうかな・・・・・・」
「昔を思い出してみろ。好きなオンナが居たとする。でもさアタックする前に好かれてるとか、嫌われてるとか、そういうこと考えないだろ。ただアタックするだけだろ。それと同じだ」
「同じかな。。。。。ちょっと違う気もするけど。。。。。。今は一応作曲の話してるつもりなんだけど。。。。。」
「まあ、俺には作曲のことはわからんが、全般的なことはちょっとはわかるぞ。とにかく作れば良いわけなんだから作れよ」
「全然、演奏されない曲でも?」
「演奏されるか、どうかはまず作ってみなくちゃわからんだろ」
「・・・・・・そうなんだよな・・・・・」
「で、もしお前が生きてる間に演奏されなくても、それはそれで良いんじゃないの」
「なんだか、そんなのバカみたい。俺は俺の作った曲がちゃんと音になってるところ聴いてみたい」
「それはもうわからんことだからな。もしダメだったらあきらめろ」
「あきらめながら曲を作るのってなんだかむなしくてヤダ」
「でも、これはお前がこんな道選んでしまった以上、仕方がないからあきらめるしかない。それが嫌だったら作曲なんてやめちまえ」
「そうか。そうだな。やめちまえば良いのか。ちょっと気が楽になった」
「あわわわわ、待てよ。今すぐやめろ、なんて言ってないぞ。はやまるなよ」
「はやまってないよ。とりあず今の曲は最後まで書く。ちょっと時間かかりそうだけど。12音技法の曲。今までそんなに自分としては全面に出したことない技術だから練習しながら書いてる感じだけど」
「おお、またテナーリコーダーのための曲か?」
「いや、今度はヴィオラ・ダ・ガンバのための曲」
「おお!良いじゃないの。ガンバのための新しい曲なんて数がまだそんなになさそうだから良い曲出来たら皆さんに喜ばれるんじゃないの」
「もし喜ばれなくても。。。。。というか、その前の段階としてとにかく曲を完成させなくてはいけないわけなんだよな・・・・・・・」
「注文受けて作る曲じゃなかったら短くても良いんじゃないの。演奏時間1分とか」
「バカヤロ!1分で音楽が表現できるもんか」
「まあ、俺が書くわけじゃないからな。期待しないで待ってるからな。お前のガンバで良いからデモ演奏みたいなやつくらいは作れよ。そしたら曲の感じくらいは聴けそうだからな」
「俺の下手くそなガンバでも良いのかよ?」
「お前のガンバ、それほど下手じゃないよ。バッハのマタイ受難曲のガンバソロだって弾けるんだろ」
「なんとか。それなりに」
「じゃあ下手じゃないんじゃないの。まあとにかく頑張れ。それで、しつこいみたいだけど演奏時間はどれくらいにするの?」
「10分くらい」
「じゃあ、あと3日で作って来い」
「バカヤロ!3日で出来たら世話ない。俺だっていろいろ忙しいのだ」
「じゃあ、あと1か月。つまり2019年11月末日」
「うん。それくらいあったら出来ると思う」
「良い曲作れよ」
「そんなことわかるもんか」
「聴いたら勇気が湧いてくるような曲、作ってみろ」
「知らん。そんなこと俺の知ったこっちゃない」
「心が癒されるような曲が良いぞ」
「そんなことも知らん」
「ちょっとは耳さわりの良い曲が良いぞ」
「思い切り、無調っぽくして頭が痛くなるような曲にしてやろうか」
「せっかくヴィオラ・ダ・ガンバのための新作書くんだったらガンバの音色の良さがじゅうぶん出てる曲が良いぞ。今のモダンチェロみたいな楽器には真似できないようなガット弦の味というか、そういうやつ」
「モダンチェロのための既存の曲で一番前衛的な曲よりももっと前衛的な曲にしてやろうか」
「次郎、よく聞けよ。俺が今いったようなことを全部、クリヤー出来るような曲が出来上がったら、そのデモを聴いた銀河鉄道999のメーテルによく似た着物美人が”ああ、次郎さん、なんて素敵な音楽なの。。。素敵だわ。。。。。。。一度お茶でも御一緒できませんこと?”とか何とかお前にメールでもくれるかもしれないぞ」
「おおおおおおおおおお!そうか!!!!良い音楽を作るということはそういう効き目が期待できるということなのだな!」
「そうだよ」
「メーテル似の着物美人からデートの誘いのメールが来るかもしれないのだな!もしかしたらその人は一見メーテルに似ているけれども横から見たら初音ミクにも似ているかもしれないな!」
「そうだよ」
「ふたりで御茶を飲んだ後は、ちょっとドライブにでも、とか、そういう展開もあり得るのだな。そしてその後は。。。。。ムフフ。。。。というようなことも」
「そうだよ」
「俺、頑張る!」
「そういうことが起きる確率はかぎりなく低いけどな」
「ガックリ」






東京のメーテル

2019-08-30 | 対話
次郎(以下、次)「この間な、東京で演奏して来たんだよ。全日本ブロックフレーテ祭」
太郎(以下、太)「おお、知ってるよ。俺も聴いてた。仕事でちょうどタイミングよく出張と重なってた」
次「どうだった?俺の演奏」
太「悔しいけど、次郎の演奏すごく良かった。今までで多分、一番良かった。」
次「そうか、そうか、えへへ。あのな、ちょっと嬉しいことがあってな。聞いてくれるか?」
太「ああ、いいよ」
次「終演後、CDお買い上げの皆さんにサインしてたんだ。そしたらな、そのなかのひとり銀河鉄道999のメーテルに似た人がいてな、すごく褒められちゃった。俺の演奏聴いてなんだか涙止まらなくなったんだと。キラキラうるんだ瞳でじ~っと見つめられちゃった。えへへ」
太「なんと!メーテルに似たオンナの人が居たのか!!!東京はすごいな。そんな美女が現実に東京というとこには生息しているのか!!!そんな美女を感動させるような演奏したのか!!!歳の頃はいくつぐらいだった?」
次「ええと・・・・・30歳くらいかな・・・・・もうちょっとかな。。。。40とか、50くらいかも。。。。もしかしたら60くらいだったかも・・・・・・・・」
太「お前、バカなの?30と60じゃえらい違いだろ。そんなこともわからんのかよ?肌のツヤとか、髪の毛の感じとか、いろいろあるだろ?」
次「ええと・・・・ええと・・・・・あの・・・その・・・・オンナの人は歳がよくわからんから・・・・化粧したら10や20、下手すると30歳くらい若返る人もいるから・・・・」
太「まあいい。それでメールアドレスはもらったのかよ?」
次「いや・・・」
太「お前、本当にバカなの?メーテル似の美女がお前の演奏はすごいって褒めてくれてキラキラうるんだ瞳で見つめてくれたんだろ?そのあたりのスマホで写真でも撮って、後で送りますから、とか言ってアドレスもらえば良かったのに」
次「なるほど。そういう手があったか」
太「お前は本当に、そういうところが抜けてる。こういうことはタイミングが全てだからな。そんなすごいチャンスはしばらくはもうないかもしれんぞ。残念だな」
次「ああああああああ」
太「まあ、良いじゃないの。また次に行け」
次「次って?そんなにもう次なんてないよ。だってもう、どんどん歳とっておっさんになって来てるから」
太「おっさんになってもな、どんどんアタックしてりゃ良いんだ。気にすんな。要は確率の問題だからな」
次「確率?」
太「そうだ。こういうことは確率だ。つまり手当たり次第に声をかけたり、アタックしまくったりすりゃ良いんだ。そうしたらそのうちの何パーセントかとはうまく行く。単純な算数だ」
次「驚いたな。お前、そんなこと考えてるのかよ」
太「普通、考えるだろ。そりゃ」
次「ああ、東京のメーテルに会いたいなあ・・・・」
太「あきらめろ。あきらめて次に行け、次に」
次「・・・・会いたいけど・・・・・正直言うと、もう、俺はそういうのだんだん良くなって来た・・・・もうめんどくさい。。。。もうメーテルのこと考えてるだけで疲れた・・・・」
太「なんだよ。メーテルが好きなんじゃなかったのかよ」
次「・・・・初音ミクでも良いかも」
太「なんだ。そりゃ。可愛いけりゃ、何でも良いのかよ」
次「・・・・そうなのかな・・・・・・・」
太「確かに、見た目は大事なんだよな。。。。俺たち、男だからな・・・・・・」
次「オンナにとっても男の見た目って大事なんじゃないの」
太「そうでもあるし、そうでもない。・つまりオンナにとっての男の魅力はやっぱり仕事が出来るとか、金持ってる、とかそういうことだから、見た目は必ずしも最重要ということでもない」
次「そうか。それだったら俺みたいなのでもチャンスあるな」
太「あるぞ!だから頑張れ。お前は音楽しか強みがなくて他は全部、ダメだから、もうとにかく、音楽で一点突破しろ。今から何か新しいことやろうとしても失敗に終わる可能性が高いからな」
次「なんだか、褒められるのか、けなされてるのかわからんな」
太「新しい曲にはもう取り掛かってるのか?」
次「うん。少しずつ。例によって筆が遅いから、あんまり進まないけどな。もう仕方ない。いろんなことがもう仕方なくなって来ちゃった・・・・」
太「そんなにいろいろなこと、仕方ないのか?」
次「まあ、いろいろ。でも頑張る」
太「そうだよな。こうなりゃ前進あるのみ」
次「あるのみ!」

2019年7月7日

2019-07-07 | 対話
次郎「ひさしぶりに電話してみた。元気か?」
太郎「おお、元気だよ。お前は?曲は出来たのか?今度、東京で演奏するやつは?」
次「とりあえず出来た。あとは仮録音して寸法をちょいちょいと修正してそれで終わり。すごく時間かかってしまった。下書き多く作り過ぎたんだ」
太「おお、そうか。よかったな。出来あがったからな」
次「あのな、俺、思うんだけど、この世のなかからオンナという生き物がいなくなったら俺は生きてゆけなくなってしまうということがわかった」
太「なんだよ!いきなり。新しい曲の話をしてたんじゃなかったのか?オンナがいなくなったらどうするって?」
次「オンナは素晴らしいぞ。子供を産んだり、育てたりすることが出来るからな。子供を作らないオンナだってオトコを慰めたりすることも出来るからな」
太「お前、大丈夫かよ?東京文化会館小ホールだろ?すごいホールじゃないの。そういうところで演奏する曲が出来たんだろ?お前のいつもの言葉によると音楽史に一石を投じることが出来るんだろ?オンナの話はいいから音楽の話きかせてくれよ」
次「いや。オンナの話は音楽の話とほとんど同じようなもんだ。なぜならばそれは俺たちオトコにとっては生きるチカラみたいなものに直結した話だからな」
太「生きるチカラ?なんじゃそれ?」
次「生きるチカラだよ。元気のモトみたいな」
太「それがお前の場合はオンナなのか?」
次「うん。綺麗なオンナを見たりとかな。。。。綺麗なオンナのこと考えたりとかな。。。。あわよくば綺麗なオンナからメールが来たりとかな。。。。綺麗なオンナとドライブに行ったりとかな。。。。。ドライブに行った後、ちょいと一緒にめしでも食ったら、その後はだな。。。えへへ。。。。」
太「お前は綺麗なオンナのことしか考えてないのか?困ったやつだな」
次「あのな、音楽っていったい何だろうって最近、ずっと考えたんだよ」
太「やっと音楽の話に戻って来たか。よしよし。それで?」
次「音楽にもいろいろあるんだけどさ、俺が最近、一番ぐぐっと来るのは、言葉で言うのはむずかしいけど、たとえば何か良いものがあって、それを褒め称えるような音楽。讃歌みたいなものとか。受難曲とか、そういうのも多分、その部類に入ると思うんだけど」
太「ふむふむ。それで?」
次「今度の曲な、題名が阿修羅、って言うんだけどさ、おどろおどろしくない曲にしようと思って、それはだいたい達成できてると思うんだけど、何かが足りない、足りないって思ってたら、曲の骨組みになるアイディアみたいなものだったんだ」
太「曲の骨組みになるアイディアもなくて下書き出来るもんなの?作曲ってそうなの?なんか俺にも出来そうな気がして来た」
次「お前にも出来ると思うよ。下書きの段階だったら、そんなにはっきりしたアイディアなくても、とりあえずうっすらしたイメージだけでも大丈夫だよ。やってみれば?」
太「それで今度のお前の曲と、お前、オンナがこの世からいなくなったら生きてゆけないこととどう関係があるの?」
次「それでな、やっぱり俺の場合はな オンナの美しさとかさ、そういうものを褒め称えたいんだ。多分、キリスト教の人はイエス様とかさ、神様とかさ、仏教の人はさ、仏様とかさ、そういう方向にある何かを褒め称えることを本分としてるはずなんだよな」
太「お前の場合はオンナか。ずいぶんレベルが違うな。オンナなら誰でも良いのかよ?」
次「オトコみたいなオンナじゃなければ結構、誰でも良いかも」
太「変わったやつだなあ・・・」
次「神さまのこととか、仏様のことはよくわからないからさ。でもオンナのことも良くわからんのだけどさ。本当は」
太「そしたら今度の曲は誰かお前の好きなオンナの人に捧げる、というアイディアはどうだ?」
次「おお!!!そりゃ良いな!!!誰にしようかな。えへへ。。。。実在のオンナの人だと最近はいろいろコン、コン、コンプ、プ、プ、プ、プププ」
太「コンプライアンス」
次「それそれ、それもあるかもしれんから、曲を捧げる相手は銀河鉄道999のメーテルとか、どうかな?初音ミクとか???えへへへ」
太「勝手にすれば?」

見どころ

2019-05-06 | 対話
太「じゃ、演奏会の見どころは?」
次「うん。それなんだけどさ、楽器を経験したことない人や、その曲のことをあまり知らない人はさ、演奏者を見る、っていうのが大きな楽しみ方のひとつになるはずだよな」
太「それで?具体的にどうやって楽しめば良いわけなの?」
次「俺の場合はな、すごく個人的な楽しみかただけどな。。。。その演奏者の普段の姿を想像する、っていうのがあるよ」
太「普段の姿?」
次「うん。演奏会ってさ、演奏者はよそいきの格好するだろ。演奏者によっては曲間トークも全然しなかったりでさ。女の人の場合だと、もうそりゃそりゃ綺麗なドレス着たりさ、肩とか二の腕とか、どば~っと開いたデザインで、もうそりゃ、露出度満点で化粧もバッチリだったりしてさ・・・・・それでもさ・・・・」
太「それでも????」
次「そういうのが自然におさまっている奏者と、そうじゃない奏者が居る。それは男でも女でも。で、おさまってなくても決して、それが悪いっていうことじゃない。そのおさまってなさが逆に魅力になってる奏者もいる」
太「???」
次「そういう時は、その奏者を見てるだけで楽しいよ。ちょっとくらい下手でも」
太「???」
次「さっきから不思議そうな顔してるな」
太「うん。だって演奏会ってさ、音楽を聴きに行くものだろ?普通は。高いチケット買ってさ。忙しいのに時間を使ってさ・・・・それなのに・・・下手でも良いとか・・・・・わからんなあ。。。。お前の言うことは昔からちょっと変わってたけど、最近ますます変わってるなあ。。。。下手だったら、そもそも演奏者として成り立たないんじゃないの?」
次「おお、なんだかいよいよ話が面白いところに到達して来そうな具合だな」
(続く)

聴き所

2019-05-06 | 対話
次郎「なあ、演奏会の聴き所って何だと思う?」
太郎「ん?聴き所???」
次「うん。全然、楽器演奏したことのない人でもさ、クラシックとかバロックの演奏会を楽しく聴くヒントみたいな」
太「なるほど。そういうことな。結構、難しい問題だな。それって」
次「だろ?その曲を演奏したことのある人だったらさ、その曲のどこが難しいとか、そういう具体的なことがわかっているから、その曲にアプローチするための道はいろいろあるけど、そうじゃない場合にはどうしたら良いのかな、って思うんだよ」
太「なるほど」
次「思うのはさ、音楽以外の演奏者の動作に注目してみる、っていうことなんだ。例えばさ、演奏者A,B,Cが居たとする。演奏者Bは演奏者Aのリードにはよく反応するのに、演奏者Cのリードには反応しない、とかさ。そういう点を鋭く見抜いて、なんでかな?演奏者Bと演奏者Cは仲が悪いのかな、とか、その原因は一体、何だったんだろうか?とかそういうことを想像するとかさ」
太「なるほど」
次「お前、さっきから、なるほど、しか言ってないな」
太「だってお前の話、あんまり理屈っぽくて眠たくなりそうなんだもん」
次「そうかな」
太「あのな、今時、お前みたいな理屈っぽい奴は流行らないぞ。もっとだな、もっと、こう明るく爽やかに、スカッとしてるほうが良いよ」
次「そうかな」
太「で、その話の続きは?」
次「それでな、結局、俺は思うんだけど、その聴き手なりの切り口をなるべく多く持つことが出来れば良いんじゃないかと」
太「切り口?」
次「うん。もちろん音楽的な知識とか、経験はあったほうが切り口を多く持つことが出来るという点では有利なんだけどさ、そうじゃなくてもそれ以外の切り口を持つことは可能だと思うんだ」
太「で、具体的には?」
次「音楽以外の要素。例えばさっき言ったような、それぞれの奏者の関係性とか」
太「関係性なんて難しい言葉じゃなくて、もうすこし易しく言えんもんかね?」
次「たとえばさ、見た目のことでも良いじゃないだろうかな。演奏者Aはいつも高い音を出す時にしかめっつらするけど、演奏者B、演奏者Cはラクラク音を出してるなあ。。。。演奏者Aってもしかしたら下手?とかさ・・・・」
太「細かいなあ・・・・・お前、いつもそうやって人の演奏、聴いてるの?」
次「いつもじゃないけど。。。。。必要があれば・・・・・・」
太「でもさ、演奏会に来てくれる皆さんって、そんなに詳しく音楽を聴きたい人だけじゃないと思うけど。日々の暮らしのなかでさ、本当に良い音を聴いてのんびりしたい、って言う人だって居るだろうし」
次「良い音だけだったらさ、もうそれは最高のオーディオ装置みたいなものに普通の演奏はかなわないんじゃないだろうか」
太「ええ!?次郎、お前、演奏者の端くれだろ?生演奏はオーディオにかなわない、って言うのかよ!?」
次「本当に音のことだけだったら、かなわないんじゃないだろうか・・・・・」
太「だったら、この世の演奏者たちは何を必死で頑張ってるんだよ!?」
次「そうなんだよな・・・そうなるよな。当然。でもさ・・・すごく良い録音をさ、良いアンプとスピーカーで聴くとさ、その辺りの普通の音楽ホールに負けずとも劣らぬ音くらいは出るし・・・・・」
太「じゃあ、なんで演奏者たちは必死で練習するんだよ!?良い音だすためなんじゃないのかよ!?」
次郎「まあ、落ち着けよ。俺が思うに、演奏会というのは音もそうなんだけどさ、やっぱり聴くだけじゃなくてさ、見たりさ、あるいはその場の空気のにおい、みたいなそんなものだって在るだろうし、さっきも言ったけど、奏者同士の関係性なんてすごく面白いと思うんだよ。例えばさ、演奏者Aと演奏者Bは時々は目をあわせたりするけどさ、演奏者Bと演奏者Cは互いに絶対に目をあわせない、とかさ、でもそれでもそれなりに良い演奏できる場合だってあるわけで、そんな時、なんで?なんで?って考えるヒントになるんじゃないだろうか?」
太「お前の話はなんだか難しいなあ。いつもこんなこと考えてるのかよ?」
次「いつもじゃないけど。。。。」
太「で、結論は?」
次「結論は平凡で申し訳ないんだけど、演奏会の楽しみかたって、音楽だけじゃない。それにまつわる様々なこと」
太「なるほどなあ。様々なこと、か。。。。」
次「例えばさ、レディファーストってあるよな。舞台からひっこむ時、女性奏者から先にゆかせて、男はあとから行く、みたいな。。。あれさ、あれがうまく出来る男はよっぽどのヤツだと思う」
太「よっぽどって?」
次「あれはな、普段から女にどう接したら良いか、ということを身体の底から身にしみて理解している男じゃないと出来ない技だよ」
太「????」
次「普通の日本の男の奏者があれやろうとするだろ。そしたらさ女のほうもそういうことに慣れてないもんだからさ、お互いに譲り合いになっちゃったりしてさ、どうにもこうにも」
太「そうか。ということはその辺りのポイントも演奏会を楽しむひとつということだな?」
次「それに関連する話題は沢山あるぞ。オトコ同士なのにやたら目を合わせながら演奏してたりとかな。。。いろいろなんだよな」
太「うむむ」

対話2019年5月5日

2019-05-05 | 対話
「子供の日だな・・・」
「ああ、そうだな・・・俺たちも子供だったんだよな・・・・あああ、子供に戻りたいなあ」
「なんだよ、いきなり。現実逃避したいのいかよ?」
「今度の演奏会のチケット売れ行き、いまひとつなんだよ・・・・」
「なんだ、またかよ。お前はいつも演奏会前になると同じ繰り返しなんだな。この間のフラマンブロックフレーテ四重奏団の時も最後は鹿児島公演完売、東京文化も90パーセントの入りだったんだろ。今度も大丈夫なんじゃないか」
「いや、今度はもう本当にあぶない」
「あぶないって・・・何が?」
「売れ行きが・・・・・」
「いいんじゃないの」
「お前、他人事だと思って気軽に言ってくれるな」
「だって、他人事だもん。お前の企画の演奏会のチケットが売れようが売れまいが、知らんよ。俺は。そんなこと」
「なんだよ!お前、俺の友達じゃないのかよ!」
「・・・・友達じゃないのかも・・・・・」
「なんだよ!今まで友達だと思ってたのに。。。。」
「まあ、まあ、いいじゃないの」
「お前の口癖は、ふたことめにはいつもそれだ。いいじゃないのって。そればっかり」
「いいんじゃないの」
「お前、俺をバカにしてんのかよ」
「いや、別に」
「どうやったら売れるのかな」
「そりゃ、お前、どか~んと広告打てば良いんじゃないの」
「あのな!広告って高いんだぞ。インターネットの広告もな。いろいろ大変なんだぞ!」
「知らんよ。そんなこと。お前の企画なんだから好きにすれば?」
「俺、世間から全然、注目されてないリコーダー奏者なんだ」
「そんなことないんじゃないの。少しは売れてるんだろ?演奏会のチケット」
「少しは・・・・」
「じゃあ、少しは注目されてるんじゃないの」
「でも、少しじゃダメなんだもん。赤字だから」
「あのな、お前が言い出しっぺなんだから、もうそれは仕方ないんじゃないの」
「だって赤字はいやなんだもん」
「まあ、それは仕方ないな」
「他人事みたいに軽く言ってくれるな」
「他人事だもん。あのな、とにかく世間から注目されてるか、されてないか、知らんけどさ、やることやってれば良いんじゃないの」
「やること?」
「例えばさ、今、出来ることとかさ・・・・直前で何か、これ以上赤字の増えないようなお知らせの方法とかさ、なんかあるんじゃないの?お前の得意なブログとかさ・・・・」
「得意じゃないよ。ブログなんか」
「そう言えば、お前のブログ、最近、面白くないな。なんかお知らせみたいなのばっかり。なんか面白くない」
「そうか・・・・・俺もそう思ってた・・・・・・」
「なんで?」
「何と言うかさ・・・・ボクはこう思います・・・・なんて世間に発表してもさ、そんなの、どうでも良いんじゃないかって思うんだよ・・・・・コンビニでレジの可愛い娘と話して嬉しかったとかさ、バカみたいじゃん」
「そうかね・・・面白いけどね・・・・俺はそういうのも」
「あとさ、ヴィオラ・ダ・ガンバは音を出すのが難しいからこんなに練習頑張ってます、みたいなそういうの、バカみたいじゃん」
「そしたらさ。それを面白く書けば良いんじゃないの?」
「面白くって?」
「例えばさ、お前の好きな銀河鉄道999のメーテルみたいなヴィオラ・ダ・ガンバの先生にお前は毎週、レッスンに行くというような設定にしてだな、そしてお前はどんどん上達してゆく。そうしたら、ついにお前の腕前はメーテルを追い越してしまってメーテルはお前に恋をする、とかさ・・・・」
「なんか奇妙奇天烈なストーリーだな」
「いいんだよ。面白けりゃ。それじゃこういうのは、どうだ?ある日、突然、お前に知らない娘さんからメールが来た、と。お前の演奏会をこれまでに何回も聴いて、自分もリコーダー吹いてみたくなった、という設定にしてだな。。。。。いざ、会ってみたら、メーテルみたいな感じの娘でさ。お前とメーテルの間には少しずつ愛が育ってゆくとかさ・・・・」
「えへへ・・・なんか元気でて来た」
「だから頑張れよ。あとちょっとだからな」
「うん」
「鼻の下、だらんと伸ばすなよ。みっともないからな」
「えへへ」(でれ~ん)


2018年12月12日

2018-12-12 | 対話
「太郎、元気か?今、ちょっと話せるか?」
「おお、次郎か。いいよ。久しぶりだな。元気か。フラマンブロックフレーテカルテットの演奏会、良かったみたいだ。良かったな」
「うん」
「それで、何の用なんだよ」
「いや、何でもなくてさ」
「何だよ。何でもなくて電話かけて来たのか。今時、何でもないのに電話なんかして来るのも珍しいな。用事はメールで間に合うもんな。だいたいはな」
「太郎!」
「ああ、びっくりした。急にでかい声だすなよ。お前、だんだん俺みたいになって来たな」
「あのな、俺、生きてて良かったと思うんだ」
「はあ?」
「生きてて良かったってつくづく思えるんだ。死ななくて良かったって」
「はあ?何じゃそれ」
「もう、いろいろしんどくてさ。20代の終わりの頃とかさ、いろいろあってさ」
「そんなにいろいろあったのか?」
「うん。俺の至らなさゆえにな。いろいろけしからんことやっちまったりしてな・・・」
「お前、そんな昔のこと、いまだにぐちゃぐちゃ考えてたの?」
「いつもじゃないんだけどな。時々な思い出したりするもんだからさ・・・・」
「それが何で生きてて良かったになるんだよ?」
「企画制作やったんだ。今度。最初から最後まで。そしたらさ、お客さんがさ、もう本当にすごい喜んでくれてさ、お客さんの顔みてたら、こっちまで嬉しくなって来てさ、東京から帰ってきたら聴いてくれた皆さんから嬉しいメールがどわ~っと来ててさ、フェイスブックで盛り上がっててさ、もうすごく良かったみたいでさ」
「俺も聴いたよ」
「何て?東京まで行ったのかよ?わざわざ?」
「仕事の都合があってな。東京いったんだよ。フラマンカルテットの日に重なってからな。当日券で聴いたよ。前のほうは全然なかったからA席6500円。高いな、と思ったけど、終わってみたら安かった。オブリヴィオンとか、後半の曲目からアンコールに持ってゆく一連の流れとか、ありゃ、もう一流のエンタテインメントだな。ラスベガスあたりに持ってっても通用するんじゃないの。降参した」
「そうか。言ってくれれば良い席とっといたのに」
「シャコンヌも聴いたぞ。今までで一番良かったんじゃないの。例のパリサンダーのテナーリコーダーも良い音出てたよ」
「そうか。えへへ」
「俺のとなりに座ってた両隣のおばさんみたいな人、シャコンヌ聴きながら泣いてたぞ。良かったんだろうな」
「そうなのか」
「それにしてもあれだな。企画・制作っていうのは地味な仕事だよな」
「うん。いろいろ。場所とか、飛行機とか、宿泊の手配とか、チケット売ったりとか、あいさつまわりとか、演奏会を成り立たせるための演奏以外の仕事はとにかく全部」
「よくやったな」
「そういってくれるか。でもマネージャー役もいるからな。すごく有能なんだ。今回は東京在住のスタッフの人にも手伝ってもらったからな」
「おお、そうか。そりゃいいな」
「企画・制作っていうのはさ、地味なんだけどさ、ものすごく良い仕事だなって思った。人が本気で喜んでる顔みてるとさ、こっちまでものすごくチカラが沸いてくるみたいでさ」
「そうなんだなあ。いいな」
「だからすごくしんどい事とか、いろいろあっても生きてると、良いことがあるんだなって思った」
「そんなにお前、いろいろけしからんことやって来たのか?」
「それはまあ、昔はその、あの、いろいろ、あって、ええと、ええと・・・・」

諦めながら作る

2018-10-28 | 対話
「太郎、俺な、今フラマンアンサンブルとは全然、関係なくてちょっとした録音してるんだ」
「おお、新しいCDか!?」
「まあ、そんな感じのものなんだけどさ・・・」
「楽しみだな!」
「そうでもないんだ・・・本番で沢山、こなして来た曲ばかりでもないし・・・」
「あのな、次郎!お前なあ、せっかくCD作ったり、いろんなことするんだったらもっと前向きな言葉って出てこないわけ?今のお前みてると、なんだかもう余命いくばくもない人みたいだ」
「いくばくもないことはないと思うけど・・・・」
「あのさ、俺たちはさ作る側に居る人間なんだからさ、もっと聴き手の皆さんに夢を持ってもらえるような、そんな言葉を使うのが良いと思うよ」
「まあ、それはそうなんだよなあ・・・でもなあ・・・・例えば、太郎、お前、こういうストーリーがあったとして、面白いと思えるか?一人の主人公が居てな、めちゃくちゃ音楽的な才能があってな、若い頃から、すごい演奏してて、歳をとったら、もっと凄い演奏できるようになって、ありあまるほど金があってオンナにもてて、自家用ジェット機もってたりとか、ヨットもってたりとか、とにかく順風漫帆の人生みたいな、、、、そいう物語」
「つまらん」
「だろ?それってめちゃくちゃつまらんよな。読み手にとってはな」
「だって、そんなの、そもそも物語として成立してないだろ。そんなの。バカみたい」
「だろ?」
「で、お前、何が言いたいの?」
「あのな、別に自分を主役に持って来たいわけでも何でもないんだけどさ、俺はすごく凡庸な音楽家だということがわかった」
「はあ?」
「だから、そもそも画期的な演奏解釈とか、そういうこととは縁のない人間だという気がする」
「だから何なの?」
「今、新しい録音作ってるけど、もしかしたら平凡でありきたりのものになるかも」
「あのなあ。。。ひとこと言って良い?作る前から、そんなこと言ってて、お前、何様だと思ってるの?そんなのはな聴く人が決めることだろうが」
「そうかな」
「そうだよ。あのなあ、お前が凡庸だとか、何とか、才能があるとか、ないとか、そんなこと、聴き手にとってはどうでも良いんだよ。どうでも良くないことはな」
「それは?」
「その人にとって良い音楽が聴ければ、それで良いんじゃないの。ただ、それだけ」
「だったら、もう俺、今、半分、自分自身に諦めてるんだけどさ、もうそれでも良いのかな」
「良いんじゃないの。諦めながら録音してれば」
「画期的な演奏解釈も全然、出て来るのか、どうかわからんのだけど」
「だから、それを判断するのはお前じゃないんだってば」
「そうかな」
「そうだろうが。あのなあ、はっきり言うけど、お前の最近のブログ、全然面白くないよ。フラマンアンサンブルの宣伝ばっかりで、つまらんよ」
「そうか」
「でもな、フラマンアンサンブルの宣伝でも何でも、とにかくお前のブログが好きでいつも読んでくれる人もいるわけなんだから、それはそれで良いんじゃないの。俺にはあんまり面白くないけど」
「だから、お前は何を言いたいわけ?」
「要するに、俺たちは俺たちの作る音楽とか、文章とか、そういうものを判断できる立場にはない、ということ。判断するのはそれを受け取る皆さんなんじゃないの。聴き手をなめたらいかんぜよ。」
「そうか」
「そう思うよ。俺は。だからだまって作り続けてれば良いんじゃないの。そのうち良いこともあるかもしれんよ」
「あるかな」
「そりゃ、あるだろうよ。生きてれば何かしら良いことだってあるさ」
「あるかな」
「天文館(鹿児島で一番大きな繁華街)でもぷら~っと歩いてみろ。着物美人と遭遇するかもしれんぞ。そしたらその美人が、リコーダーの次郎さんじゃありませんこと?わたくし、次郎さんのファンなんです。もう左官屋町チャペルの演奏会のチケット買いました。楽しみにしてるんです、なんて言うこともあるかもしれんぞ」
「あるかな」
「あるかもしれんぞ。そしたら、その着物美人がその場でメールアドレスくれるかもしれんぞ」
「くれるかな。。。えへへ」
「そういうことだって起きるのがこの世の中というもんだ」
「メールアドレスくれたら、メールしても良いのかな」
「このバカ!オンナの人がメールアドレスをくれる、ということは、私、あなたのメールを待ってます。ということなんだからメールしないほうが失礼だ」
「そういうもんかな」
「そしたら、適当にドライブにでも何でも誘ってみろ。いきなりドライブはあれだから、最初はまず昼間の時間に喫茶店にでも誘ってみろ。それで来るようだったら、脈があるということだぞ」
「そうかな」
「その後はだな、とにかくその場の空気を読んで行動してみろ、やる時にゃ、やらんといかんぞ。それがオトコの生きる道だからな」
「なんだか緊張して来るな。えへへ。でもやる気でて来るな。こんな話してると」
「そういうことが起きる確率は限りなく低いけどな」
「がくっ」

死ぬまでのヒマつぶし

2018-10-28 | 対話
「太郎か?俺だよ。次郎。なんだか久しぶりに話たくなってさ」
「おお、ずいぶん御無沙汰じゃないかよ。元気か?例のフラマンブロックフレーテアンサンブルの準備はどうなんだよ?順調か?ちゃんとチケット売れてるのか?」
「うん、まあまあ」
「なんだよ。元気ないな。大丈夫か?」
「あのな、俺、フラマンアンサンブルの演奏会が終わったら死んでも良いかと思ってたんだ。ずっと」
「なんだよ!いきなりびっくりするじゃないかよ!何だよ!」
「もう、生きててもあんまり良いことないしさ、音楽やっててもさ、何というか、同じことの繰り返しばっかりでさ・・・」
「・・・・・」
「周りの人は皆、親切で、有り難いんだけどさ、リコーダーのおかれている状況のこととか、話してもさ、なんだか変な人、みたいな顔されてさ・・・・もう疲れた・・・ピア二ストになれば良かった・・・指揮者とか・・・・やる楽器間違えたかも・・・・」
「・・・・・」
「今度もバッハのシャコンヌ、吹くんだけどさ、誰も話題にもしてくれないし・・・・」
「・・・・・」
「寒くなってきたし・・・・」
「・・・・・」
「歳もとってきたし・・・」
「膝が痛かったりして・・・腰が痛い日もあるし・・・・朝。早く目が覚めるようになっちゃってお年寄りみたいだし・・・・」
「あのな、次郎、一言いっても良いか?ふたことめには生きるとか、死ぬとか、それってお前のすごく悪いクセだよ。カッコ悪いよ。俺は忙しいからお前のグチにつきあってる暇はないよ。もうちょっとだけ面白い話はないのかよ?グチとかじゃなくて」
「・・・・面白い話?」
「そう、ワクワクして、ドキドキして、ココロ踊るような話」
「・・・・この間、コンビニに行った。そしたらな、レジの女の子が俺の顔をじ~っと見てるんだよ」
「おお!そうか。それで!?」
「俺の顔をじ~っと見てくるから、俺もその娘さんの顔をじ~っと見たんだよ」
「それで!?」
「そしたらさ、その子は俺に向かって、リコーダーの次郎さんじゃないですか?、って言って来たんだ。今度、鹿児島左官屋町チャペルでやる演奏会に来るって言ってた。九時屋楽器店でチケットももう買ったって」
「おお!それはすごいな!その子はそれで、どんな風なんだよ!?」
「どんなって!?」
「見た目だよ。可愛いのか?」
「結構、可愛い感じだった。目がぱっちりした感じで。肌も、こう何と言うのかな、若い娘特有のキラキラ感というのか、透明感というのか、そういう感じで」
「おお!それで、その子は他に何て言ったんだよ?」
「演奏会、すごく楽しみにしてます、って言ってた。俺のブログもいつも見てるって言ってた。自分でも下手だけどリコーダー吹いてるんだって言ってた。少しずつ書き始めてる新リコーダー奏法もちょっと難しいけど読んでるって言ってた」
「そりゃ、お前の大ファンだぞ!、おい、良かったな!その子のメールアドレスはもらったのかよ?」
「いや、別に」
「カッコつけるなよ。本当はメールアドレスもらいたかったんだろ?」
「うん」
「その子にまた会いたいんだろ?」
「うん」
「またそのコンビニに行って、その子に会うつもりなんだろ?」
「うん」
「ほらみろ、だからな、たまには良いことも起きるからさ、生きるとか死ぬとか、言わないで、とにかくやってれば良いんじゃないの。死ぬときは皆、死ぬんだし」
「そうだな。そうだよな」
「そしたら、今度は俺の話な。次郎、俺、最近、人類の誕生に関する本読んだんだけどさ、いつ人類が誕生したのか、っていうのはさいろいろ説があって100万年前とか、500万年前とか、とにかくいろいろでさ、定説はないらしんだよ。でもとにかく何百万年という単位の話になるらしい。だいたい300万年前に誕生して、火を使い始めたのは5万年前くらいからだと仮定してみると・・・・・」
「みると・・・・・?」
「おどろくなよ!295万年もの間、人類は火も使えずに、その日暮らししてたんだぞ!」
「???」
「次郎、お前、この話、聞いて面白くならない?俺、なんかすごく嬉しくなった。だってさ、火も使えないなんてさ、それってさ、生の肉とか、そういうものをクチャクチャ食べてさ、そんなんで一日過ごしてたわけだろ。何も生産的なことしてなかったわけだよ。でもそれでも人類というからには、人間なわけだからさ。これってすごくない?」
「???」
「だからさ、フラマンブロックフレーテアンサンブルの演奏会も大事だろうけどさ、そういうのもいずれは忘れ去られてしまうわけだからさ、考えてもみろよ。あと500万年あとに、2018年の俺たちの暮らしぶりのことなんて、もう歴史の彼方の彼方だぞ。数字にしてみると、西暦5002018年。つまり五百万二千十八年ということになるんだぜ。俺たちなんて、そのくくらいの未来人からしたら原始人に見えるかもよ」
「そうかな」
「うん。それはそうなんだよ。今、俺たちがやってる事は宇宙の歴史からみたら、どうでも良いことなんだ」
「どうでも良いこと?」
「うん。文化人類学的に言うと、音楽なんて単なるヒマつぶしと同じらしい。だからさ、いろいろ、あっても良いじゃないの」
「たまにはやる気でなかったりとかしても?」
「やる気ない時には、やる気ないままで居れば良いんじゃないの。だって死ぬまでのヒマつぶしなんだもん」

きらきら星

2018-08-02 | 対話
「太郎、久しぶりだな。俺だよ。次郎だ。今、ちょっと話せるか?」
「おお、次郎か!久しぶりだな!元気か?どうしてるんだよ?」
「あのな、俺、今、きらきら星、練習してるんだよ」
「はあ?なんじゃそれ?」
「きらきら星」
「だから、なんでお前がそんなの練習してるのかって聞いてるんだよ」
「あのな、俺、思うんだけどさ、最近、エコロジーとか、そういうのが流行ってるじゃないか。それでさ、リコーダーでも今まで使い道がないと思われてて、捨てられてたような音に注目してみたんだ」
「はあ?ますます、わからん。お前、昔から変わったやつだなあ、と思ってたけど、ますます変わってるなあ」
「それでな、こんな練習曲作ってみたんだよ」
https://blog.goo.ne.jp/fumiharumusic3/e/e8a2870e3a3735c5301cbe64814a6584
「なるほどねえ。。。きらきら星ねえ。。。。それでお前、これ毎日、練習してるのかよ」
「うん。ヴィヴァルディの協奏曲より、バッハのシャコンヌより難しい」
「そんなもんかねえ」
「俺は今、新しいリコーダーの可能性に気がついたのだ!ここから新しいリコーダー奏法の道が始まるのだ!はあ、はあ、はあ」(鼻息荒くなってきた)
「まあ落ち着けよ。でもさあ、こんな練習やってさ、実際の曲のなかで使い道あるのか?」
「わからん」
「がくっ!何じゃそれ!使い道のない技術の練習やってるのかよ。バカじゃないの」
「バカみたいかな・・・・・・」
「だって本番で使い道のない技術練習するなんて、時間の無駄だろうよ。そんなの。何、考えてるんだよ、お前、大丈夫か?最近、暑い日が続いてるからな」
「あのな、太郎、聞いてくれるか?俺、最近、いわゆる速吹き、みたいなそういう演奏、全然、興味持てなくなって来てるんだ。そういうのがちょっと耳に入ってくるともうダメなんだ」
「だって、お前だって速い曲、吹いてるだろうが。年末にフラマン・ブロックフレーテ・カルテットの演奏会でバッハのシャコンヌ吹くんじゃなかったのかよ」
「それはそうなんだけどさ・・・・・」
「次郎、お前さ、いわゆる晩年の様式に入りつつあるんじゃないの。よくわからんけど。ほら、良く言うじゃないの。作曲家だったらさ、若い頃すごく激しい曲ばっかり書いててもさ、死ぬ前になると妙に綺麗な感じになって来たりするって言うじゃないか。バルトークとかさ・・・・」
「よせやい。俺はそんなに偉いもんじゃない」
「でもさ、結構、長い間、リコーダー吹いて来てるわけだろ。俺たちはさ。お前はちゃんとした演奏会で。俺はまあ小学校の体育館みたいなところだったりするわけだけどさ。でも、今頃になって、きらきら星はないんじゃないの。普通の人が聞いたらバカみたいって思うんじゃないだろうか」
「そうかも。でも、もう良いんだ。俺、思うんだけど、もう最近、良い意味で自信がなくなって来た。俺は全然、うまい奏者じゃないということがわかった」
「いいのかよ、そんなこと言って。お金はらってお前の演奏会、聴きに来てくれるお客さんのこと考えるとそんなこと言っても良いのかよ?」
「だってお前だけに言ってるわけだし」
「バカヤロ、こんなブログみたいなところに居るわけだから、ブログの読者の皆さんには俺たちの会話、筒抜けなんだぞ」
「あ、そうか」
「そうだよ。まあ、気のすむまで、きらきら星の練習でもしてろ」