吉嶺史晴のブログ

リコーダー奏者吉嶺史晴のブログです。演奏活動ならびに鹿児島市で音楽教室を運営しています。

バスリコーダーによる通奏低音

2012-07-26 | リコーダー奏法
バスリコーダーによる通奏低音、すごく良いのではないかな。
どなたか、体験のある奏者の人いらっしゃらないかな。
もちろんチェンバロだけでも良いのだけれど、ガンバとかチェロとかそういう楽器だけではなくて、もしかしたらバスリコーダーはこういった使い道もあるのではないだろうか。

「おにゆり」

2012-07-13 | 読み物
昔、昔、あるところに鬼がおりました。まだ若い鬼でした。三太郎という名前でした。

三太郎は鬼の癖に、大変気が優しく、音楽や、絵が好きだったのです。腕力もあまり強いほうではなく、おまけに走るのも遅く、鬼としては大変、なさけない若者でありました。
プロの鬼を養成する学校でもいつも成績はビリでした。
鬼というものは雄の鬼は大きなツノが2本、雌の鬼は1本のツノが生えているものです。しかし、その鬼にはなんと3本のツノがあったのです。昔も今もいじめというものがありまして。や~い、や~い、と3本ツノのことをからかわれていたのでした。

3本もツノがあるくせにからっきし、力がなく、鬼の相撲大会でもいつも予選 敗退、鬼の陸上競技記録会でもびりっけつ。短距離も長距離もだめ。そんななさけない鬼でありました。

でもその鬼は音楽が好きでした。音楽とは言っても、昔、昔の日本のことですから、バッハやベートーベンの音楽があるわけでもありません。ヴァイオリンやピアノの美しい音色もありません。しかし、昔の日本にも笛やタイコはあったのです。その鬼は笛がたいそう上手でありました。

鬼の祭りではいつも、三太郎が笛を吹きました。祭りのとき以外でも、鬼の誰かの葬式のときには三太郎の笛で悲しみが慰められました。鬼の赤ちゃんが生まれたときには三太郎の笛でますます大勢の鬼達が嬉しい気持ちになったのでした。
相撲も弱く、力もさりとて強いほうでもなく、かといって特に頭脳明晰ということでもなく、ただ、とりえといえば笛が上手なことくらい。プロ鬼養成学校でもびりっけつの成績でなんとか、おなさけで卒業させてもらった三太郎でありました。

笛こそ、上手ではありましたけれど、雄の鬼としてはちょいとばかりふがいない三太郎でありました。

ある時、雄の鬼の毎日の日課である見回りにゆきました。(ここで季節感をいれる)

三太郎はその娘に恋をしたのです。まずしい身なりをして畑仕事をする娘でした。母親らしき歳をとった女とふたりで畑をたがやしておりました。
その時から三太郎はその娘のことが気になり始めたのであります。

いつものように見回りの時刻がやってまいりました。
その日は遅番といって、鬼のなかでもいちおうシフト表みたいなものがありまして、三太郎は遅番だったのです。

娘と母のひく車が道端の溝にはまっておりました。もうずいぶんと日もかげってきており、道行く人もほとんどおりません。オンナふたりの力では木で出来たその車はおいそれと動こうとはしませんでした。

鬼の姿でいきなり出ていっては、娘も母も驚くだろうと思った三太郎はほっかむりをして何気なく通行人を装いって、車を動かすのを手伝ったのでした。寒い日でありました。夏は鬼のパンツといいまして、毛皮の虎もようのパンツだけでしたが、冬はいちおう鬼でも寒くないようにしますので、ほっかむりをしている以外はなんとか普通の人間の男にも見えたのであります。

そんなある日のことでした。
母親が死にました。病を得て死んだのです。

娘はひとりきりになりました。
ことあるごとに、季節に1回か2回はほっかむりをして重たいものをもってあげたり、なるべくさとられないようにしながら娘を助けておりました。

そんなある時でした。殿様の軍勢がやって来ました。娘を捕らえました。美しい娘を自分のおめかけさんにしようとしたのです。娘は縄でしばられ、つれてゆかれました。

さすがの鬼もいきなりの軍勢のなかでひとりで戦うわけにもゆきません。おまけに普段から気の強いほうではありません。かといって、その時の見回りは三太郎ひとり。仲間を呼ぶわけにもゆきません。仲間といっても、当時は鬼と気心を通じた殿様もなかには、おり、この殿様は鬼のボスとかねてからの知り合いで気脈を通じていたのでした。
鬼の仲間たちの助けもあてに出来そうもありません。どうしたら良いのでしょうか。

このままでは娘はおめかけさんになってしまいます。

牢屋に入れられた娘にお侍が、言いました。
「おとなしく、このままおめかかけさんになれば、一生、こまらない贅沢な暮らしであるぞよ。言うことを聞かぬなら、しばりクビじゃ」

娘は言いました」
「しばりくびで結構でございます。好いておらぬ 殿かたと一緒になるくらいなら死んだほうがましでござります」

「なにを、このあまっこが!」
そのお侍は娘に罵声をあびせかけて去ってゆきました。

その頃でございます。鬼の三太郎は娘を救出する作戦をたてておりました。夜中に牢屋にしのびこんで鍵を壊して助けだすしかありません。このままでは娘は死んでしまいます。
しばりくびになる前に、自分で死んでしまうかもしれません。

一刻を争わなくてはいけません。三太郎は早速、娘のつながれている牢屋の近くまでゆきました。夜が遅くなるのを待って、忍び込みました。鬼の姿ではまずいのでいつものほっかむり姿です。

なんとか牢屋のなかに忍び込んだ三太郎はほっかむり姿で娘を助けだしました。その時は、もう娘は首をつろうとして、いるまさにその時だったのです。一瞬の差で娘の命は三太郎によって助けられたのでした。

「あ、ほっかむりさん、・・・」
「だまって。とにかく、早くここから出なきゃ」
「もう、あたし、いいの、おめかけさんにならなきゃ、もうしばりくびなの。だったら自分で死んじゃったほうがいいの」
「ばかなこというんじゃない。とにかくここからでるんだ。話はそれからだ」
ほっかむりは娘をつれて、牢屋を脱出したのです。ついでの牢屋の馬をしっけいして、馬にふたりのりです。
乗馬術などもいちおう鬼の学校で習ったので、なんとか、こんなときにでも役立ったのでありました。

(ここで三太郎と娘との会話がしばし続く)

次の日
ここで軍勢がやってくる。

娘をよこせと要求する侍の大将。
それを断る三太郎。
500もいた軍勢。
さすがは鬼です。格闘など普段は得意でもなかった三太郎ですが、この時ばかりは違いました。娘を守るためには戦わなくてはいけません。相撲、も格闘もそれほど得意ではありませんでしたが、人間のオトコどもがたばになってかかってきても、鬼の三太郎にはなかなかかないません。

そのうち、ほっかむりはだんだんとれてきました。鬼のツノが現われてきました。3本のツノがやがてその形を現しました。それでも三太郎は戦っていました。

その時です。遠くから弓矢で三太郎を狙うものがありました。それに気がついた娘は鬼の前に出ました。矢が「びゅうううう」と音をたててふたりを射抜きました。

(「ここでふたりの会話」

「ほっかむりさん・・・・今まで、あたしを守ってくれて・・・・・・」
「・・・・・・・」
「ほっかむりさん・・・・・・ねえ、鬼のほっかむりさん・・・・・本当の名前を教えて・・・・・」

うつろな力のはいらない手で自分の頭に手をやる三太郎・・・・もう、ほっかむりはどこかに飛んでなくなり、ツノが3本出ている・・・・・・
「さん・・・・・さん・・・・・・・」
「なあに・・・・・あたし、聞いてるわよ・・・・・ねえ、ほっかむりさんの名前は?・」
「さんたろう・・・・・」
「さんたろう・・・・良い名前ね・・・・・あたし、幸せ・・・・・・・こうしてほっかむりさん、いえ、三太郎さんと一緒に居られて幸せよ・・・・・・・・」

(しばし、会話が続く)

「攻撃、やめ!!!そこまで!!!!!!」

鳴り響く大将の声。

「ふたりは愛しあっていたのか・・・・・・」
涙をこぼす侍の大将。

息の絶えたふたりをねんごろにとむらわれました。やがてふたりが射抜かれて、ふたりの血が流れたその場所には季節になると美しい百合の花が咲くようになりました。
人はそれを「おにゆり」と呼ぶようになったのです。
昔、昔のお話です。

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