モダンオーケストラの中でひとりヴィオラ・ダ・ガンバ奏者が他の奏者と同じような時間のなかで調弦するのは私の経験上、不可能です。あまりにも時間が短すぎます。
通常、オーボエ奏者が基準になる「ラ」の音を出して、それをコンサートマスターが受け取り、全員が各自の楽器の調子を合わせるという運びになりますが、これはほんの数十秒、長くとも1分ほどで終わってしまいます。
この時間のなかだけでヴィオラ・ダ・ガンバを調弦してしまうのは少なくとも私の技術では不可能ということがわかりました。
ということは、この時間は「調弦をする時間jではなく「あらかじめ調弦してあったものの確認をする時間」ということになります。
自分の家で練習をする際にはまわりが静かな環境なのでゆっくり時間をかけながら、それぞれの弦の第2倍音、第3倍音などを使いながら入念に調弦することができますが、舞台上の短い時間で、しかも周囲に音が鳴っている状態ではこのような方法は全く使えません。
普段は音叉1本で調弦することも可能ですが、このような状況では電子的なチューナーの助けを借りることもやむを得ない、というのが今のところの実感です。
休憩時間に舞台上で調弦する時間が与えられている場合、その舞台上が後半と同じような照明なのか、どうか、ということもチェックする必要があります。
休憩中は舞台上が暗く、後半で本番用の照明が当たる場合に、照明がきたらその時から急激に楽器にあたる熱が増えて、弦が下がって来る可能性があります。
例えばJ.S.バッハ「マタイ受難曲」のような曲の場合にはコラールやレシタティーボのなかにまぎれてガンバの調弦の具合をチェックする必要が出てくる場合もあります。この場合には全体の音響に影響を与えないほどの極めて小さな音量で行います。
どのような場合にしてもある程度、長い時間舞台に居る場合には弦が下がって来ることがおおいに有り得るという想定のもと、わざと高く調弦しておくことが必要とも言えます。
経験上、5セント~8セントほど高く調弦しておくと良いようです。
楽器のペグと弦の状態にも要注意です。ペグと弦の調子によっては調弦の際にぴったりに調弦できていたとしても2、3分ほどかけてゆっくりピッチが下がってくることがあります。
やむを得ず低音の側にスチール弦を使う場合には、張力との関係上、ガットの時よりもペグの回転により敏感に反応してしまうので、どうしてもぴったりの高さにあわせるのは難しくなります。
かと言ってヴィオラ・ダ・ガンバにモダンチェロのようなアジャスターをとりつけてしまうのも考え物です。
補足:
ガット弦は狂いやすい、という固定概念のようなものがありますが、その時の会場の温度、湿度、舞台上の照明の具合など、それらの状況によってはさほど狂いません。
ガンバにスチール弦を張るというのはピッチの安定性という点からみるとガット弦の場合よりも安定しているように思えますが、少しのペグの回転だけで急にピッチが上がったり下がったりしてしまうので、このような点からみるとガット弦のほうが調弦作業自体はラクです。
またスチール弦の場合だと張力が強くなるせいか、ガット弦の場合よりも、調弦の際により強くペグを押し込む動作が必要になります。このような点からもスチール弦をただしく調弦するのは難しいということがわかります。
様々な状況から、スチール弦だからということで調弦が安定していると一概に信じ込むことは危険です。
通常、オーボエ奏者が基準になる「ラ」の音を出して、それをコンサートマスターが受け取り、全員が各自の楽器の調子を合わせるという運びになりますが、これはほんの数十秒、長くとも1分ほどで終わってしまいます。
この時間のなかだけでヴィオラ・ダ・ガンバを調弦してしまうのは少なくとも私の技術では不可能ということがわかりました。
ということは、この時間は「調弦をする時間jではなく「あらかじめ調弦してあったものの確認をする時間」ということになります。
自分の家で練習をする際にはまわりが静かな環境なのでゆっくり時間をかけながら、それぞれの弦の第2倍音、第3倍音などを使いながら入念に調弦することができますが、舞台上の短い時間で、しかも周囲に音が鳴っている状態ではこのような方法は全く使えません。
普段は音叉1本で調弦することも可能ですが、このような状況では電子的なチューナーの助けを借りることもやむを得ない、というのが今のところの実感です。
休憩時間に舞台上で調弦する時間が与えられている場合、その舞台上が後半と同じような照明なのか、どうか、ということもチェックする必要があります。
休憩中は舞台上が暗く、後半で本番用の照明が当たる場合に、照明がきたらその時から急激に楽器にあたる熱が増えて、弦が下がって来る可能性があります。
例えばJ.S.バッハ「マタイ受難曲」のような曲の場合にはコラールやレシタティーボのなかにまぎれてガンバの調弦の具合をチェックする必要が出てくる場合もあります。この場合には全体の音響に影響を与えないほどの極めて小さな音量で行います。
どのような場合にしてもある程度、長い時間舞台に居る場合には弦が下がって来ることがおおいに有り得るという想定のもと、わざと高く調弦しておくことが必要とも言えます。
経験上、5セント~8セントほど高く調弦しておくと良いようです。
楽器のペグと弦の状態にも要注意です。ペグと弦の調子によっては調弦の際にぴったりに調弦できていたとしても2、3分ほどかけてゆっくりピッチが下がってくることがあります。
やむを得ず低音の側にスチール弦を使う場合には、張力との関係上、ガットの時よりもペグの回転により敏感に反応してしまうので、どうしてもぴったりの高さにあわせるのは難しくなります。
かと言ってヴィオラ・ダ・ガンバにモダンチェロのようなアジャスターをとりつけてしまうのも考え物です。
補足:
ガット弦は狂いやすい、という固定概念のようなものがありますが、その時の会場の温度、湿度、舞台上の照明の具合など、それらの状況によってはさほど狂いません。
ガンバにスチール弦を張るというのはピッチの安定性という点からみるとガット弦の場合よりも安定しているように思えますが、少しのペグの回転だけで急にピッチが上がったり下がったりしてしまうので、このような点からみるとガット弦のほうが調弦作業自体はラクです。
またスチール弦の場合だと張力が強くなるせいか、ガット弦の場合よりも、調弦の際により強くペグを押し込む動作が必要になります。このような点からもスチール弦をただしく調弦するのは難しいということがわかります。
様々な状況から、スチール弦だからということで調弦が安定していると一概に信じ込むことは危険です。