コンビニの書棚で「薬のやめ方、減らし方」という雑誌が目に入った(499円)。私は常用している薬は無いから、現状はやめ方や減らし方とは無縁である。しかし女房は少なくても7~8種、多いときには10種以上の薬の多用者である。血圧の降圧剤、膝痛と腰痛の鎮痛剤や血行促進剤や湿布薬、慢性気管支炎での坑炎症剤や咳止め、心療内科でもらう精神安定剤等々、まさしく薬漬けである。
10年前まではそれほどでもなかったが、年齢を重ねていくに従って薬の種類は増えていった。風邪をひいた、咳が止まらない、膝や腰の痛みが激しい、過呼吸になり精神的に不安定、その都度薬に頼り、薬を飲むことで安心感を得てきたのであろう。しかし薬は一時しのぎ、それで病気が解決するわけではない。従って薬を飲み続けることになり、やがて薬の効果は薄れ、より強力な薬を服用することになる。
私が「もう少し運動すれば?」、「薬に頼るのではなく、整体など物理的な治療も試してみたら?」と言っても、その都度出来ない理由を並べて聞き入れることはない。痛みや症状は当人が一番感じているわけであり、本人が病院を選択し、医者と話し治療している。したがって医療に素人の私が意見を言ったところで、女房の考え方が変わるわけではないだろう。症状が悪くなるにつれ、出される薬が効かなると、医者の不適切な対応に不満を持ち、効く薬を処方してくれる病院に変えていく。薬依存症の女房にとって薬が効かなくなることが最大の恐怖になっている。
そんな家庭の事情もあって読んでみる気になった。雑誌の始めに下記のように書いてある。
病気を治し、寿命を延ばすために絶対に必要な薬がある。しかしその一方で、無駄な薬、思わぬリスクが潜む危険な薬もある。そして、その線引きは往々にしてケース・バイ・ケース。個々の事情によって「白」であったり「黒」であったり、時に判別のつかない「グレー」であることも多い。医療は、個々の患者の病状、年齢、体質、既往や家族歴、そして本人の希望を汲んだオーダーメードで提供されるべきである。・・・・・・中略・・・・・医療や薬を万能だと盲信してはいけない。一方で、医療を完全否定しないリテラシーを持つことも大事であり、そして医者の言葉に疑問を感じたら素直に聞くことである。ただし、自分が医療の素人であることは肝に命じておく必要がある。これらを実践できる力が患者力である。その患者力を養うことは、間違いなく”ベストの医療”を享受できることにつながっていく。本誌はそのヒントをまとめたもので、患者力を養う一冊としても役立ててもらえるはずだ。
「薬はゼロ、あるいは少なければ少ないほど望ましい。薬は必ず肝臓や腎臓で代謝するわけですから、2錠、3錠と増えるほど、必ず人体にかかる負担も増してきます。・・・・・・・アメリカでは、実態は別としても、医師の研修指導の場では「薬は2種類まで」、「3~4種類にするときには真剣に検討せよ」と教えている。それに対してわが国の医者というのは、薬をポンポンだしてしまう。それに日本人は薬好きです。患者さんの方も唯々諾々と飲んでいる。もちろん必要な薬もある。やめられる薬と必要な薬、そこできちんと分けて考えないといけない。問題はどの薬から減らすかだが、リスクの高い薬は、それを上回る有益性が無い限り飲むべきではないといえるであろう。下のリストは複数の現役医師に話を聞くなかで「飲み続けないほうがよい薬」として挙がったものをまとめたものである。
飲み続けないほうがよい薬(一部)
さらに、・・・・多剤併用のリスクとして、
・・・・・日本人は、実にたくさんの薬を飲んでいる。とくに高齢者になると、一度に何種類もの薬を飲むようになる人が多い。これを「多剤併用」と呼ぶ。2013年に東京都健康長寿医療センターが、都内の自宅に暮らす65歳以上の高齢者885人を調査したところ、36%が6種以上の薬を飲んでおり、10種以上飲んでいる人が9%いた。最多は17種だったという。・・・中略・・・・ だが実は6種類以上の薬は飲まないほうが良い。なぜなら、薬の種類が6種以上になると急激に有害事象(副作用)が増えてくることがわかっている。薬は量が増えれば増えるほど、それらが影響しあう「相互作用」が複雑になり、未知の副作用が出やすくなる。・・・・さらに高齢者は肝臓や腎臓の機能が低下する人が増えるので、薬の主成分を解毒・排出する力が衰えてしまう。・・・
また薬の種類別の「やめ方減らし方のガイド」が書いてある。(タイトルのみ、詳細は買って読んでもらうしかない)
さて読んでみて、この本を女房に見せたところで、本人はどうしようもないように思う。あまりにも多くの薬に頼っているから、どの薬がどう効いているのか本人にもわからないはずである。ある薬をやめたら、それが自分の症状にどう作用するのか、複雑に絡まった糸のように、解きようの無い状態にまでなっている。あとは本人が薬からの離脱を決心し、信頼する医者に内情を話し、薬を減らしていく方向でアドバイスをもらうしかないでのであろう。しかし今痛みに苦しむ当事者が、そのような選択をするとは思えない。さてどうしたものか、悩ましい問題である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます