日本には、綺麗に整備された世界に冠たる一般道があった。一般道といえどもでこぼこ道ではなく、綺麗に舗装され、人も自転車も自動車も便利に利用していた。その道路は何ら問題なかったが、そこに、悪代官が公共・IT事業の一環として、高速道路を建設しはじめた。高速道路がどんなものか詳しい説明を怠ったため、多額のお金を投じたが利用者はあまり増えなかった。そこで、悪代官は、一般道から高速道路に入る料金所で、料金を取るのではなく、高速通行カードを作ればポイントの形でお金がもらえるという秘策を実行した。無料どころかポイントがもらえるということで、多くの人が新しい高速道路の詳しい内容も知らずに通行カードを作成することになった。自動車だけでなく、自転車も歩行者も新しい道路に入るカードを作ったので、わけがわからなくなった。
高速道路のことがよくわからない高齢者や病院・施設入居者達は、通行カードを作らず、従来通り、一般道を利用することにしたが、悪代官は、ある日突然、来年秋には一般道を閉鎖し、利用できなくなるという法律を十分に議論することなく勝手に作ってしまった。高速道路ができた当初は、利用はあくまで任意で、一般道も利用できるとしていたが、悪代官は、突如、高速道路への一本化に方針を変更した。しかし、一般道の閉鎖には、反対の声が多く噴出した。法律を作ってしまったので一般道の閉鎖は中止できないが、高速道を利用しない人向けに新たに新道を作ることにした。但し、新道を利用するためには、自分でその新道通行カードの申請を行う必要があるとしていたが、申請ベースの発行には反対の声が強く、高速通行カードを持っていない人達には申請しなくても新道通行カードが自動的に届くよう方針が変更された。当初、通行カードの有効期限は1年とされていたが、これも不評で2年に延長することになった。新道は、従来の一般道とほとんど同じものなので、一般道をそのまま継続利用する方がはるかに合理的である。壊して作るだけでも多額のお金を使うことになり、経費の無駄使いも甚だしい。
また、高速通行カード利用には、数字4桁の暗唱番号が必要であるが、施設入居者や認知症の人達には、暗証番号の取扱いが不可能であることから、現場から反対の声があがり、暗唱番号を必要としないセキュリティゆるゆるの通行カードを発行するということも発表された。数字4桁という昭和時代の暗証番号でただでさえセキュリティ上問題があるのに、さらに暗証番号がないカード発行ということで、わけがわからなくなった。
高速道路にはどんなメリットがあるか十分な説明がなされない上、デメリットも説明されないまま、高速通行カードの発行を強引に推し進めたことにより、いろいろと弊害で出てきている。運転免許証も廃止し、高速通行カードに一本化しようとしており、銀行口座との紐づけによる悪だくみもちらついている。高速カードを持っていれば、高速道路の中にある素晴らしい施設や諸情報を見ることができるというが、個人情報のだだ洩れも心配である。そのカードは常時携帯する必要があるが、それだけ紛失や盗難の危険性をはらむ。本人確認手段をそのカードに一本化する計画があるようだが、カードの紛失・盗難時の本人確認はどうやってやるのであろうか?問題がこじれる前に、悪代官は高速道路政策の失敗を認め、国民が納得できるような新たなプロジェクトを再検討すべきであろう。
(注) 高速道路 ⇒ マイナポータル
高速通行カード ⇒ マイナカード、マイナ保険証
一般道 ⇒ 健康保険証
新道通行カード ⇒ 資格確認書
悪代官 ⇒ 首相 デジタル大臣
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