「布施」とは、今日の言葉で言うと「親切」のことで、「人に与える」「人に施す」「人が幸せになるように自分のできることをして差し上げる」これを仏教では「布施」と言う。布施をする人は人に好かれるし、また、自分自身も幸せなれますよとお釈迦様は教えられている。お布施というと坊さんに払うお金のことだけを言うのはないかと勘違いしがちである。自分に与えるものがないと人に布施ができない、自分には人に与えられるようなものは何もないとか何か人のために尽くすなんてことはできないと思いがちであるが、仏教では、たとえお金や物がない人でも7つの親切ができるという「無財の七施」が「雑宝蔵経」というお経の中で教えられている。お金や物や力や知識がなくても心がけ一つで7つの親切で人を助けることはできるという。日常生活の中で、心がけ一つで人を幸せにできる、そしてまた自分も好かれ、自分自身も幸せになれるという。
「無財の七施」とは、
- 眼施(げんせ)--- 和やかな眼差しで人と接すること。眼は心の窓。
- 和顔悦色施(わげんえつしきせ)--- やさしい笑顔、和やかな笑顔で人と接すること。
- 言辞施(ごんじせ)--- やわらかい言葉、やさしい言葉で人に接すること。挨拶
- 身施(しんせ)--- 肉体を使って人のため社会のために働くこと。ボランティア。
- 心施(しんせ)--- 心を施すこと。「ありがとう」という感謝の言葉を心から述べること。
- 床座施(しょうざせ)--- 場所や席を譲り合う親切のこと。
- 房舎施(ぼうしゃせ)--- 訪ねてくる人があれば、一宿一飯の施しをして労をねぎらうこと。
仏教講師の菊谷隆太さんが、「無財の七施」について詳しく下記のユーチューブで解説してくれている。誰かのためになりたい、何かの役に立ちたい、という思いはあっても、自分なんか才能もないし、体力もないし、お金もないから、何の役にも立たないと落ち込むことがある。そんな思いに沈んだ時に知っておきたい仏教の教えが『無財の七施』という。自分としては苦手な教えで、反省するところが大であり、まさに「目から鱗」の感があり、仏教の奥深さも感じる。20分ほどの講話であるが、じっくりと噛みしめて聴きたいところである。
「無財の七施」の菊谷さんの解説: https://youtu.be/2ZudkE8sEZM