カラスといちごとクロッカスと

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カナダがアメリカと異なる点

2023年09月08日 08時00分00秒 | カナダ
スイセンノウ(Silene coronaria)のタネのサヤ
黄色い花は、ヒマワリモドキ(Heliopsis helianthoides
2023.08.11撮影

(今日掲載の画像も、記事の内容に全く関係ありません。昨今成っているタネと、その前に咲いていた花をお見せします。)

カナダ人って、一体どんな人たち? というのに答えるのに、「アメリカ人でない北アメリカ人」というのがあります。

が、それは、カナダ人が半ば自嘲的に、あるいは、むしろ、冗談として言っているだけで、実は、かなり、カナダ人は、自分たちはアメリカ人とは違うんだ、という自負があります。

今日は、カナダがアメリカと異なる点をいくつか挙げてみたいと思います。


カナダがアメリカと異なる点1(医療保険)

カナダでは、前回に記事にしました通り(カナダの医療制度 - カラスといちごとクロッカスと)、国民皆保険で、医療費(のほとんど)がタダです。これで、カナダの国民と永住者はいざという時のことを心配しないで、安心して暮らしていけます。カナダ国民が、アメリカ国民より、一般的にのほほんとしているのは、この医療制度のおかげだ、とわたしは思っています。

一方、税金は高いです。でも、経済的にゆとりのある人々が、自分たちができること、すなわち、収入の一部を拠出すること、で社会に貢献するのは、当然のことだ、と、これもわたしは思っています。


スイセンノウ(Silene coronaria)の花
2023.06.07撮影

カナダがアメリカと異なる点2(銃の所持)

カナダの都市部の住民が銃を所持していることは、まずありません。都市部で銃を持っていたら、まずはギャング系と考えていいです。

狩猟をして食料の糧にしている地域では、ライフルを所有している人の方が多いかもしれません。また、山間部では、クマやピューマなどの動物から身を守るためにライフルが必要になります。

アメリカで頻発している銃の乱射事件は、カナダには、ほとんどありません。


カナダがアメリカと異なる点3(マリファナ)

カナダでは、マリファナが2018年10月17日に国のレベルで合法となりました。18歳以上の成人は、30gまでの乾燥マリファナ(あるいは、乾燥マリファナに換算して30gまで)を、公の場所で所持・携行することができます。そのほか、生産、販売、関連商品、などに関しての規制があります。

一方、アメリカでは、現在、すでに、40近い州でマリファナの消費を何らかの形で行うことが合法化されています。しかし、特定の州、および、国のレベルでは、非合法です。2023年現在、合法化への機運が高まっています。


ムスカリ(Muscari armeniacum)のタネ(黒いつぶつぶ)
2023.07.04撮影

カナダがアメリカと異なる点4(同性婚、LGBTQ+)

カナダでは、同性婚が、次のような時間の流れで合法となりました。
・2003年:オンタリオ州とブリティッシュ・コロンビア州
・2004年:ケベック州とほか4州および1準州
・2005年:ニューブランズイック州

そして、ニューブランズイック州で合法化された直後、2005年7月20日に、同性婚が国のレベルで法制化され、全ての州と準州で合法となりました。


一方、アメリカでは、2004年にマサチューセッツ州で同性婚が初めて認められ、2015年には国の最高裁で合法化されたはずなんですが、いまだ同性婚が禁止されている州があるようです。と言っても、州の法律が実際に適用されているわけでもないようで、そうなると、他州で結婚して、結婚証明を発行してもらう、ということでしょうか??? わたしはアメリカに住んでいるのでないから、わからない。


同性婚もそうですが、LGBTQ+の個人、グループ、団体、商業施設、社会、文化、また、「プライド」、に対する差別と攻撃は、アメリカで昨今激しいです。

そんなことは、カナダでは考えられない。個人的には、人種差別と同じように、差別している人はいるはずだし、態度にも現れる人もいる。でも、カナダでは、少なくとも、「異なる者、物」に対して大変寛容です。


ムスカリ(Muscari armeniacum)の花
2023.04.19撮影

カナダがアメリカと異なる点5(妊娠中絶)

カナダでは、人工妊娠中絶は、合法であり、医療であるとみなされ、健康保険の適用を受けます。中絶するかどうかは、妊娠中の女性と、その女性のかかっている医師の間で決められることで、胎児の父親の意見は決定を覆すことはできません。


アメリカでは、2022年6月に、連邦最高裁が、妊娠中絶は州の法律に従う、という判決を出し、国のレベルで保護されていた妊娠中絶の権利が覆され、その後、各州が続々と中絶を違法としています。


上のリンク先の最初の地図が、アメリカの州ごとの中絶法の、2023年8月現在における状況です。(Wikipedia運営が、この記事には問題がある、としていますが、内容ではなく、色の使い方、テキストの使い方、についてですので、一応、内容は信用しておきます。)

この地図では、青〜緑が中絶が「許される」州です。中絶に不寛容な州は、主に南部の州(黒に塗られた州)です。

それなら、州外で中絶を受ければいい、となりますが、それは、中絶を必要としている女性たち全てができることではありません。ここでは、詳細には踏み込みませんが、機会があれば、記事にしてみたいと思います。


ゲラニウム・マクロリズム(Geranium macrorrhizum 'Bevan's Variety')のタネのサヤ
2023.07.05撮影

カナダがアメリカと異なる点6(度量衡)

カナダは、1975年に、イギリスを発祥の地とする「帝国単位」を廃止し、メートル法へ正式に移行しました。それ以降に学校へ入った子どもたちは、メートル法で考えられますが、高齢者はまだまだメートル法ではピンとこないようです。

また、身長と体重は、世代に関わらず、ほとんどの人が「帝国単位」の「フット、インチ」「ポンド」で表します。でも、医者に行ったら、「メートル、センチメートル」「キログラム」を使います。患者が「帝国単位」で申告すると、医院、病院側がメートル法に書き換えています。

アメリカは、基本、メートル法を使わず、「米国慣用単位」を用います。「米国慣用単位」は、「帝国単位」とは、似ていて、同じではない。単位の名称はほぼ同じ、でも、それらの単位が示すものが微妙に異なる。

隣の国カナダで「帝国単位」がまだまだ使われている一方、アメリカで「米国慣用単位」が幅広く使われている、というわかりにくい状況になっています。


ゲラニウム・マクロリズム(Geranium macrorrhizum 'Bevan's Variety')の花
2023.05.20撮影

現在のカナダもアメリカも、もともとは、アメリカ原住民が住んでいた土地を、西洋人が「発見」して、移住してきて、主には、イギリスの植民地として出発したのですが、現在に見られるように、歴史的に異なる道を歩いてくることになりました。そのような話題にも、植物や動物の話しの合間に、また触れたいと思います。



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