カラスといちごとクロッカスと

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カエデの葉の形(その2)

2022年11月29日 17時43分47秒 | 樹木
2022.09.09撮影

昨日は、日本の一般的なカエデの葉の形についてお話ししました。

典型的に、ラテン語で palmatum「手の形のような」と形容されるカエデのグループが、東アジアに産します。日本のイロハモミジ(Acer palmatum)を代表とします。

上の画像は、多分、イロハモミジ(Acer palmatum)の園芸種、もしそうでなくても、palmatum「手の形のような」グループのカエデのひとつです。

昨日、記事の冒頭に掲げました画像をもう一度ご覧ください。これが、カナダの典型的なカエデの葉の形です。

2022.11.24撮影

日本のカエデの葉の形とカナダ(に限りませんが)のカエデの葉の形を比べてみると、

日本(palmatum グループ)
・「指」が比較的はっきりしている
・縁にギザギザがある(場合が多い)
・突起がない

カナダ(非 palmatum グループ)
・「指」が比較的はっきりしない
・縁にギザギザがない
・突起がある

カナダで一番有名なカエデの種は、メープルシロップを採取するサトウカエデ(Acer saccharum)ですが、わたしには、自分で写したサトウカエデの手持ちの写真がないので、他の種で例示します。

これは、カエデ2種を掛け合わせた園芸種です。これの葉っぱがうちの前庭を埋め尽くしているのです。

2022.11.26撮影

園芸種(非 palmatum グループ)
学名:Acer truncatum x A. platanoides ‘Pacifiic Sunset’
英名:Pacific Sunset Maple「太平洋の日没のカエデ」

Pacific Sunset Maple(英文)

親種1palmatum グループ)
学名:Acer truncatum
英名:Shandong maple「(中国)山東のカエデ」
原産:北部中国


親種2(非 palmatum グループ)
学名:Acer platanoides
英名:Norway maple「ノルウェーのカエデ」
原産:東欧、中央、西アジア、ノルウェー、ロシア



それでは、Pacific Sunset Maple「太平洋の日没のカエデ」の葉っぱの「スライドショー」をどうぞ。

まだ黄色い葉
2022.11.28撮影

赤みの差してきた葉
2022.11.28撮影

赤の模様が出ている葉
2022.11.28撮影

赤い葉
2022.11.28撮影

バンクーバーでは、多分気温の下がり方に影響されるのだと思うのですが、非 palmatum グループのカエデの葉の多くは、木についている時には黄色くなるだけで、赤くなるのは落ち葉になってからです。そして、落ち葉になってから時間が経って古くなったのは、茶色くなります。

よって、同じくカエデの落ち葉でも、以下の画像のように、色の異なった葉が混じることになります。(画像中の赤、黄色の葉っぱ全てがカエデの葉、というのではありません。)

画像中の敷石の両脇に、緑の大きめの「手の平のような」葉っぱがありますが、これらは、ヘレボルス(Helleborus)各種。1月の終わりか、2月の初めには、咲き始めます。

2022.11.24撮影

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カエデの葉の形(その1)

2022年11月29日 14時47分30秒 | 樹木
2022.11.24撮影

4週間留守にして日本から帰宅すると、庭は落ち葉に埋もれていました。上の画像に見られるような落ち葉の敷石を通って、玄関まで歩きました。

この画像の中央の柿色の落ち葉は、カエデの落ち葉。カエデと言っても、日本で普通に見られるカエデとは異なる種です。

今日は、まず、日本で一般的に見られるカエデの葉の形について、まとめてみたいと思います。カナダで一般的に見られるカエデの葉の形については、明日になります。

2022.09.09撮影

わたしたち日本人が思い浮かべるカエデの葉の形というと、
・手の形
・5〜7本ぐらいの「指」に分かれている
・切れ込みの深さは、種や園芸種によりそれぞれ
・縁にギザギザはあるが、突起はない
だと思いますが、いかがでしょうか。

直前の画像のカエデが確かにイロハモミジだ、とは言えませんが、多分、イロハモミジです。そして、イロハモミジだとして、どの園芸種かはわかりません。

学名:Acer palmatum
英名:Japanese maple「日本のカエデ」
和名:イロハモミジ(いろは紅葉)
ムクロジ科(Sapindaceae)カエデ属(Acer

カエデは、ムクロジ科(Sapindaceae)カエデ属(Acer)ですが、以下、記載から省略します。

2022.09.09撮影

これもイロハモミジだと思います。画像の右下半分ぐらいを見てくださると、葉の形が見えやすいと思います。

イロハモミジの学名は Acer palmatum です。Acer palmatum palmatum は「手の形のような」という意味で、葉の形を形容します。

イロハモミジは英語では Japanese maple「日本のカエデ」と呼ばれ、英語圏で人々が日本原産のカエデと言えば思い浮かべるのは、このイロハモミジです。

Wikipedia英語版に、イロハモミジの千種以上の園芸種から、葉の形のバリエーションが数種に絞られて載っています。どうか、それらの画像をご参照ください。切れ込みが指のように入り、突起がない、というのがよくわかります。


2013.05.07撮影

イロハモミジは英語で Japanese maple「日本のカエデ」と呼ばれるのですが、それとは別に、学名で Acer japonicum「日本のカエデ」と呼ばれるカエデがあります。それは、和名では、ハウチワカエデ、と呼ばれるカエデです。

学名:Acer japonicum
英名:Fullmoon maple「満月のカエデ」
英別名:Downy Japanese-maple「(羽毛のように)柔らかい(葉の)日本のカエデ」
和名:ハウチワカエデ(羽団扇楓)

上の画像も確信はないのですが、多分、このハウチワカエデのものです。実際、葉に羽毛のようなものがあり、柔らかいです。

ハウチワカエデの葉の形も、イロハカエデの葉の形同様、指のように切れ込みが入り、ギザギザ以外に突起がありません。ハウチワカエデの葉は、イロハカエデに比べ、指が短くて、手の平が広いですけど。

2013.05.07撮影

上の画像のカエデも、種が何かと確とは言えないのですが、次のあたりかな、と思います。

学名:Acer circinatum
英名:Vine maple「つるカエデ」
和名:ないもよう

植物学的に、葉の形がどう定義され、実際の種の葉の形がどう同定されるか、までの知識は、わたしにはありません。でも、このカエデ Acer circinatum の葉の形は、palmatum「手の形のような葉の」グループに入れられています。

palmatum「手の形のような葉の」グループのカエデは、イロハモミジ(Acer palmatum)を代表に、東アジア原産です。アジア外が原産の唯一の種が、この Acer circinatum だそうです。

Acer circinatum が最も近縁なのは、指の細いイロハモミジ(Acer palmatum)ではなく、手の平の広いハウチワカエデ(Acer japonicum)。それは、葉の形を見ればうなずけることです。


明日はカナダのカエデの葉について見てみます。

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