ひげ坊主の散漫な日常

アラ還オヤジのとりとめない日々を、独断と偏見のみで、気ままに書きます。なので、すべて個人的感想です。万端、悪しからず。

醜く、美しい!

2009年12月21日 | 映画
観てきました。「イングロリアス・バスターズ」

inユナイテッドシネマ・キャナルシティ13。


感想?当然、最高!!

冗長で雑駁、グロテスクで悪趣味。

けど、

どうしようもなく、エレガント。クール。チャーミング。美しい!

とにかく、タランティーノ節炸裂!

オープニング・クレジットからぶっ飛ぶ!
いきなり、「荒野の1ドル銀貨」のテーマが!

これによって、「マカロニ・ウェスタン」の、残酷な中にも美しい殺戮の予感が俄然ヒシヒシと。

「KILL BILL2」でもそうだったけど、タランティーノ、マカロニ大好きなんやね~。

タランティーノ好き、戦争映画好き、ドイツ軍好き、な耽美派(?)の映画好きにはタマりませんぞ~!!
主演はご存知、
ブラピ。だけど意外なほどに影が薄い。

で、実質上の主役は、
このおっさん!
これが、トコトン曲者なんよ~。

美女も出てきます。
飾りではなく、重要な役どころを。
彼女は悲劇の女優を熱演。

鉄砲好きも狂喜乱舞!
ワルサーP38、ワルサーPPK、ルガーP08、MP40、MG42、モーゼルKar98Kなんかがワンサと!

そしてこのシーンから、

美しくも、オドロオドロしい、驚愕の殺戮が始まる!!

ナチスの、「ユダヤ・ハンティング」から生き残った少女。
辛くも逃げ延び、今はパリの小さな映画館の経営者。
肉親を惨殺された彼女の、壮大な復讐劇はこの映画館で幕を開ける・・・。

細かくは、ネタバレになるので控えるけど、ここの一連のシーンは、もう30年位前の映画「追想」(原題は「古い銃」。ロミー・シュナイダー主演のほう。ロシアのアナスタシアではないほう。)の、アッと驚くクライマックスを思わせる。

たぶん、タランティーノはこの映画を観て、衝撃を受けてたんじゃないかな~。

話は逸れるけど、この「追想」、すごい作品です。
この、妙に甘ったらしい邦題から連想されるような、恋愛モノではなく、メチャクチャ硬派の、重く、緻密で、サスペンスフルな、しかもとてつもなく美しい映画です。
原題のほうが、当たり前だけどシックリ来る。
今度DVDでまた観てみよう。

で、この「イングロリアス・バスターズ」。

観ようによっては、冒頭書いたように、冗長で、退屈な、延々と続く会話のシーン。
けど、その会話のやり取りの内容の濃いこと!
持続する緊張感。散りばめられたウィットやユーモア。凄み。ちょっとした「ミニ知識」まで。
そして、その会話の間で見せる、各キャラクターの動作の美しいこと!
食べる。飲む。煙草を吸う。本のページをめくる。字をしたためる。

何か、ヨーロッパ人の美しさを見せつけられるようで、ウットリとさえしてくる。

こんな、瑣末なディテールにトコトンこだわる。

それがひいては、独特の「タランティーノ・ワールド」を創り上げる。

根っからの「映画小僧」。

これは、彼の代表作になるだろう。アカデミー賞なんかには、
縁がなさそうだけどね。

好き嫌い、毀誉褒貶、いろいろあるだろうけど、

私にとっては、本年の、ベストシネマ!!文句なし!☆☆☆☆☆








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