島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

原子力発電とクルマ社会を結ぶもの (8)

2011-11-29 21:46:44 | 原子力発電所
 当ブログの更新をしばらく怠ってしまっていた。
 さて、このシリーズも久々であるが、原発事故由来と思われる放射能(特にセシウム)汚染にかかわる土壌汚染や食物汚染の問題が深刻であり、福島県内では「除染」がここしばらくの最優先の「公共事業」となっているようである。
 むろん福島県内は言うまでもなく、東北地方全体での観光客数は依然として低迷を続けており、原発事故の深刻さを物語る。
 ところが、わが山形県内では(たぶん他の都道府県でも)クルマの走行数は原発事故以前よりも増加したように思え、渋滞も頻繁になっている。
 クルマ社会の進展が日本を原子力発電大国化させたことを思えば、この重大にして深刻な福島原発事故の発生にかかわらず、やはり日本では原発は不可欠とされる気運が支配的であるようにも思える。
 放射能は怖い、たとえ微量でも子どもたちの将来の健康が心配だ。福島で製造された花火は使用できない。三陸海岸の瓦礫の木材を使用しての京都五山の大文字火祭りは危険だ。大手スーパーでは放射線量計測をこまめにしている。などの社会現象が目白押しなのに、クルマの使用を控えようとしないのは矛盾に思える。
 なぜクルマ社会の進展が日本を原発大国化させたと言えるのか。

クルマは日本工業の「華」であり「結晶」であり、かつ日本の基幹産業である。
 その「華」であり「結晶」が大量生産されて日本を世界有数のクルマ社会にした。
②大量生産を伴う重工業と精密情報機器製造産業は代表的な大口の電力受給者である。
③上の諸製品の大量生産のための電力使用には原発は不可欠である。
④上の諸製品の大量生産のためにはできれば昼夜、季節、天候を問わず電力の安定供給が望まれ、そのためにも原発が最適とされた。(原発は大地震などよほどのことがなければ出力を上下させない。夜間は電力使用が少ないからといって出力を大きく下げることはしないし、出力の自在な上下はむしろ困難。)
⑤しかし、燃料源の石油の大半は中東など遠国からの輸入であり、世界情勢によりいつも量・価格ともに安定供給が保障されるとは限らない。また、将来の枯渇も心配されるし、中国・インドなどでの石油需要の大幅な増大予想も懸念される。さらに石油使用による地球温暖化の加速化が予想され、クルマのエネルギー源の転換が迫られている。
⑥それゆえ電気自動車や、その前段階としてのハイブリッド車の大衆化を図らねばならない。
電気自動車の大衆化のためには原発の大幅増設が不可欠
⑧充電は夜間にやっておく。そのためにも原発からの電力供給が望ましい。
⑨原発の稼動時は二酸化炭素を排出しないから地球温暖化対策の切り札にもなりうる(と経済産業省などは考えた)。
⑩しかし原発の立地をすんなりと受け入れてくれる自治体はまれ。
⑪そのためにも老朽化した福島第一原発などをも極力延命させておく必要があった。
⑫この老朽化した福島第一原発に巨大地震と巨大津波が襲来。

 本気で放射能を怖れ、原発を廃絶したいならクルマ使用を控えるべきなのではないか。