島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

高速道路の無料化問題を考える ⑤

2009-09-25 23:37:25 | 地球温暖化
 鳩山首相が国連において二酸化炭素を2020年までに90年比で25%の削減を宣言した。
 でも、この鳩山民主党政権は同時に高速道路の無料化をも公約しているから25%削減はきわめて困難になるのではないか。
 民主党や高速道路の無料化を提言したシンクタンク氏はこれによりむしろ二酸化炭素の排出は低減するなどと論じている。
 論拠としては、無料化により高速道路、とりわけ従来は利用度がきわめて少なかった地方の高速道路の利用者が増えれば狭くて他の道路との交差が多い一般道路の渋滞が減少するから二酸化炭素の排出が低減するのだという。
 だが渋滞だけが二酸化炭素の大量排出を招くわけではない。
 低速よりも高速の方がよほど二酸化炭素を多く排出するし、高速道路を利用すれば、当然距離も格段に伸びるし、結局は走行時間も増えてしまう。
 しかも、高速道路内だけを走行するクルマは存在しえない。必ずや外部から高速道路に進入し、また高速道路から外部の一般道路へと退出して目的地へと向かう。
 高速道路料金が高額なうちは遠距離走行を控えていたクルマも現在のような1000円乗り放題や無料化により遠距離走行がやりやすくなり、結局は走行距離も走行時間も格段に伸びることとなろう。
 こうして地域外から進入するクルマが多くなり、今まで渋滞が少なかった地方の一般道路でも渋滞が多くなる可能性がかなり高くなるであろう。
 鳩山政権が本気で二酸化炭素排出を25%削減する気なら、高速道路の無料化政策を撤回すべきであろう。高速道路の無料化政策は二酸化炭素大幅削減を本気で考えていない証しでもあるからである。
 クルマ社会に対する大幅な見直しとその実施こそが二酸化炭素大幅削減の最も効果的施策なのである。このことを抜きにして「地球温暖化防止」なんぞは「夢のまた夢」でしかない。