サイレント映画関連のイベントをふたつ紹介させてください。
まず、本日10月27日(土)、兵庫県西宮市の西宮ビエンナーレの一環として、ダンスとサイレント映画とピアノのコラボイベントがあります。日本を代表するサイレント映画伴奏家、柳下美恵さんご出演です。
(*日付を間違っていました。お詫びして訂正します。イベントは27日土曜日です!)
上映する『朝から夜中まで』(1921)は、『カリガリ博士』などで知られるドイツ表現主義映画のさきがけともなった超レアなサイレント作品。わたしは春に大阪中之島の国際美術館で、やはり柳下さんのピアノ伴奏で観ました。
舞台劇のような作りで、手描きの奇妙なセットと演劇的な演技が、登場人物たちの緊張した心理状態をあらわす胸にせまる名作です。柳下さんのピアノが、よりいっそう映画の良さを引き出してくれます。ダンスとのコラボレーションにもぴったりでしょう。
定員約30名ですがまだ若干数余裕があるとのこと。お近くの方はぜひこの貴重な機会をお見逃しなく!
以下、柳下さんのフェイスブックのご投稿より転載。
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ダンスとピアノで サイレント映画 「朝カラ夜中マデ」
会場は旧船坂小学校の音楽室。定員約30名。西宮船坂ビエンナーレのイベントとして小さな舞台作品を発表します。
1921年制作されたサイレント映画「朝から夜中まで」をベースに、受けた印象から再構築。サイレント映画ピアニスト柳下美恵と升田で共同製作中です。
西宮船坂ビエンナーレ関連イベント
ダンスとピアノでサイレント映画
「朝カラ夜中マデ」
音楽:柳下美恵
出演:升田学、板倉 芽来実
協力:大石美子、田川朋子
日時:2012年10月27日(土)17時~
会場:旧船坂小学校 音楽室
料金:1,000円 (定員約30名)
問合せ:office@a-t-n.jp(升田)
第一次大戦の敗戦国ドイツ。疲弊した国で予算もない中、苦肉の策で作り出した映画は、セットが段ボールというチープなもの。内容は殺人、精神病など病んだ人々の描写。しかし、従来の映画とは全く異なる手法に世界中が驚き、表現主義と呼び、たちまちサイレント映画の潮流になる。サイレント映画『朝から夜中まで』(1921年製作)はもともとは舞台劇だがそれを表現主義の手法で映画化した。
今回は現存するサイレント映画を見ることによって受ける印象を、升田の身体と柳下の音楽で再構築して舞台で表現する試みです。
柳下美恵 yanashita mie
サイレント映画ピアニスト 1995年に朝日新聞社主催の映画誕生100年上映会でデビュー。
国内の映画祭、上映会、大学の公開講座等の他、イタリア、ドイツ、ベトナム、マレーシア、韓国など海外公演も多数。紀伊國屋書店、イギリスユリイカレーベル発売の『裁かるゝジャンヌ』で音楽を担当。今年は"やなぎみわ演劇プロジェクト1924人間機械"で音楽を担当し、升田と共演。
アクセス:
■さくらやまなみバス
「船坂橋」バス停下車 :西宮北口駅より約30分
■阪急バス(有馬駅前←→宝塚 58,60,61系)
「船坂東口」「船坂バス」停下車 :宝塚駅より約20分 有馬温泉より約10分
※時刻などのお問い合わせは、いずれも阪急バス山口営業所(078-903-0631)へ。
※できるだけバスをご利用ください。やむを得ずお車でご来場の場合は「舟坂橋」バス待合室にある駐車場地図をご覧のうえ、各自の責任で駐車お願いします。
駐車台数は少数限定です。
主催:船坂里山芸術祭推進委員会(西宮船坂ビエンナーレ)
http://funasaka-art.com/
【ビエンナーレ総合案内所】
〒 651-1423 兵庫県西宮市山口町船坂2103-2
旧西宮市立船坂小学校ランチルーム棟
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柳下さんとはフェイスブックを通じてやりとりをさせてもらって、『朝から夜中まで』の上映会で初めてお目にかかり、図々しく打ち上げまでついていってしまった。繊細かつ強靭なすばらしいピアノ演奏とは、またちがった気さくなお人柄で、大感激。
つい先日も京都映画祭で伴奏されました。伊藤大輔監督のサイレント剣戟映画『斬人斬馬剣』(1929)のあまりのおもしろさに大笑い&感激、さらに柳下さんのすばらしい伴奏でおもしろさ倍増!伴奏ってほんとに大事だなあ~って実感した。
やっぱりサイレント映画というのは、生伴奏で観るにかぎるわけですよ。伴奏によって映画はずっとおもしろくなるし、ライブ演奏だからそのたびにちがった映画の顔も見える。この生感覚が最高。
というわけで、もうひとつのお知らせは、こちらも柳下さんの伴奏による上映で、映画ファンには聞き捨てならない大ニュース。
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この度、ユナイテッド・シネマ豊洲でピアノ伴奏で楽しむサイレント映画上映会を11/16(金)に【鑑賞者が集まれば】行います !サイレント映画のピアニストとして世界で活躍する柳下美恵さんのピアノ演奏で、絶世の美女 グレタ・ガルボ主演の名作「肉体と悪魔」の上映です。
この秋、優雅なひとときを一緒に楽しみませんか?
ご一緒できる方はご連絡お待ちしております!詳細は下記です。
【上映会概要】
http://www.ync.ne.jp/contents/2012/10/post_62.html
今年はサイレント映画の「アーティスト」が第84回アカデミー賞を受賞。
サイレント映画が再び時代を超えて脚光を浴びる中、ホンモノのサイレント映画を豊洲の最高の劇場(YAMAHA音場システム、コンサート用のグランドピアノ)で上映します。
日時:2012年11月16日(金) 19:15~21:10
場所:ユナイテッド・シネマ豊洲(ららぽーと豊洲3F、有楽町線・ゆりかもめ豊洲駅すぐ)
作品:「肉体と悪魔」 1926年 アメリカ モノクロ 日本語字幕付 グレタ・ガルボ主演
淀川長治さんも絶賛の映画です!
http://www.ivc-tokyo.co.jp/yodogawa/title/yodo1036.html
鑑賞料金:2,100円 要予約 指定席 定員250名
主催:よみうりカルチャー 03-3642-4301
予約方法:下記のどちらかの方法で主催にご予約お願い致します。10月末までにご予約頂けますと助かります!
電話・・・03-3642-4301
インターネット・・・http://www.ync.ne.jp/jigyou/piano-form.html
予約後、振込用紙が自宅に到着 → コンビ二で振込み(手数料¥105) → 当日劇場の受付で入場券配布の流れです。
★映画の後にVIPルームでアフタートークもあります!
21:20~21:55 ¥1,500 ドリンク付き 先着15名 要予約
★映画が好きな友人・知人がいらっしゃいましたら、こちらの案内をご転送頂けますと嬉しいです。
私は10年前から柳下さんのサイレント映画の大ファンです。
一緒にサイレント映画を楽しみましょうー! ご参加、お待ちしております。
ユナイテッド・シネマ 松尾未希
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なななんと、シネコンで生伴奏つきサイレント映画上映会がっ!!
これは、サイレント映画ファンには驚きのイベントです。まずシネコンにグランドピアノがあるってことがかっこいいし、それを最高の形で有効利用してゆこうという映画館サイドの心意気がうれしくってたまりません。
『アーティスト』で長編サイレント映画にふれた方は多いと思います。あの感動をふたたびシネコンで、しかもライブ演奏つきで楽しめるんですからすごいことです。ガルボだし!
ユナイテッド・シネマ豊洲さんでおこなわれるこのイベント、予約が一定数あつまれば開催するとのことなので、行けそうな方はぜひぜひ足をはこばれることをおすすめします。今月末が予約締め切りだそうですので、お急ぎください。わたしも行けるものならとんで行きたいのよ!
これが成功すれば、おなじようなイベントをやってみようというシネコンもあらわれるかもしれないし、じゃあ次はやっぱりフィルム上映で、とか、定期的にサイレント映画上映会をやろう、などのうごきが生まれる可能性もあります。ほんとうにすばらしい!
最後のニュースは、来年のアカデミー賞にふたたびサイレント映画が参戦するかも、という話題。
『Snow White』(原題:BLANCANIEVES)というスペイン映画です。白雪姫の童話をベースに、1920年代のスペインで闘牛士をめざす少女のドラマを描いた長編白黒サイレント作品。アカデミー外国語映画賞のスペインからの出品作に決定しています。ノミネート作品としてアカデミー側に受理されるかどうかはまだ不明。
先日ロンドン映画祭でプレミア上映されて、大絶賛を受けたそうです。なんと監督の奥さんは日本人とのこと。オスカーレースに食い込むかどうかはべつとしても、ぜひ日本で公開してほしい!『アーティスト』がロングランヒットをとばした素晴らしきわが国ですから、サイレント映画を受け入れる土壌はできつつあるはずです。
予告編
Teaser de BLANCANIEVES, de Pablo Berger
そろそろサイレント喜劇も新作映画が観たい、のだが・・・コメディをサイレントで作るのは難しいんだろうなあ。
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