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漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0627

2021-07-18 19:04:14 | 古今和歌集

かねてより かぜにさきだつ なみなれや あふことなきに まだきたつらむ

かねてより 風に先立つ 波なれや あふことなきに まだき立つらむ

 

よみ人知らず

 

 風が吹くより前にそれに先立って立つ波のように、まだ逢ってもいないのに、早くも噂が立っているようだ。

 いとしい人との仲が、実際に逢う前からもう噂になってしまったことを、風が吹くより先に立つ波に喩えての詠歌。うっかり見過ごしてしまいそうになりますが、第四句の「なき」が「無き」と「凪(なぎ)」の掛詞にもなっています。「まだき」は「早くも」の意の副詞で、なかなか印象的な語。この語を見るとすぐに思い出されるのが次の名歌ですね。百人一首(第41番)にも採録されています。

 

こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか

 

壬生忠岑
(拾遺和歌集 巻第十一「恋歌一」 第621番)



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