もみぢばも はなをもをれる こころをば たむけのやまの かみぞしるらむ
もみぢ葉も 花をも折れる 心をば 手向けの山の 神ぞ知るらむ
紅葉の葉も花も折って幣として捧げる気持ちを、手向山の神もお分かりくださるでしょう。
詞書は 711 と共通。「手向山」は普通名詞としても固有名詞としても使われるようですが、ここでは普通名詞でしょうか。また解釈としては、紅葉を幣に見立てているものとして記載しましたが、実際の幣と一緒に紅葉を手向けるとするむきもあるようです。
この歌は、千載和歌集(巻第八「羇旅」 第760番)に入集しており、そちらでは第三句が「こころとは」、第五句が「かみやしるらむ」とされています。