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漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

【ラッコ】 は 【カワウソ】

2014-10-13 10:09:25 | 熟字訓・当て字
 区別のつきにくい熟字訓、きょうは 【カワセミ】 と 【カワウソ】 と 【ラッコ】 。


【魚虎】     かわせみ    (「漢検 漢字辞典」初版 P.318)
【魚狗】     かわせみ    (P.318)
【水狗】     かわせみ    (P.815)
【翡翠】     かわせみ    (P.1272)

 宝石のヒスイにカワセミと同じ漢字(翡翠)を当てるのは、カワセミの羽の色に由来して宝石の名がつけられたから。また、熟字訓で 【赤翡翠(あかしょうびん)】 というのがありますが、「ショウビン」が「カワセミ」の古語(別称)なので「ショウビン」にもこの字を当てるようです。


【水獺】     かわうそ    (P.815)
【川獺】     かわうそ    (P.886)

【海獺】     らっこ     (P.175)
【海猟】     らっこ     (P.175)
【獺虎】     らっこ     (P.1001)
【猟虎】     らっこ     (P.1561)

 字面が似てるなぁと思ったら、「カワウソ」は「ラッコ」や「ニホンカワウソ」などの総称とのことで、要すれば「ラッコ」は「カワウソ」なんですね。

 【水獺】
 【川獺】
 【海獺】

と並べて見ると、「水」と「川」が「かわうそ」で「海」が「らっこ」。らっこは海にいるから、と覚えれば良いかな??


 近づいて来ている台風を気にしつつ、きょうは終日漢字に取り組みます。

覚えられね~~

2014-09-20 12:29:30 | 熟字訓・当て字
 当たり前ですが、勉強の密度が低下すると、もともと紛らわしくて覚えづらかったものの記憶があっと言う間に曖昧になりますね。特に熟字訓はその傾向が顕著です。本試験までにしっかり復習せねば・・・


【梅桃】   ゆすらうめ   (「漢検 漢字辞典」初版 P.1219)
【山桜桃】  ゆすらうめ   (P.579)
【桜桃】   さくらんぼう  (P.113)

 【山桜桃】 の項に 「【梅桃】【英桃】とも書く」とありますが、 【英桃】 の方は「英」の項には載っていませんね。もちろん索引にもありません。【桜桃(さくらんぼう)】 に「山」がつくと 【山桜桃(ゆすらうめ)】。理由を考えても仕方がありませんので、とにかくそう覚えるしかないですね。
 【桜桃】 は「さくらんぼう」。「さくらんぼ」じゃダメなんでしょうか。「辞典」には意味説明の最後に「さくらんぼ」とありますが、読みとしては「さくらんぼう」しか出ていないので、「う」をつけて覚えておいた方が無難ですね。



【胡枝子】   はぎ   (P.451)
【胡枝花】   はぎ   (P.451)
【胡蝶花】   しゃが  (P.451)

 これは私にとって覚えづらいものの代表格。「えだはぎちょうしゃが」などと唱えて覚えようとしてみたりもしましたが、どうも定着しません。と、ここに書いたのでもう大丈夫でしょう。(ホントか?? (笑))
 【胡蝶花(しゃが)】 は 【著莪】 【射干】 とも書きますが、【射干】 の方は熟字訓では「ひおうぎ」。ところが「しゃが」と「ひおうぎ」は同じアヤメ科ではあるものの、別の植物のようです。なんという紛らわしさ。一方で 【射干(ひおうぎ)】 の黒い種のことなので「ぬばたま」を 【射干玉】 と書くのは、熟字訓には珍しく(?)論理的ですね。【海鼠(なまこ)】 のはらわたのことだから「このわた」を 【海鼠腸】 と書くがごとし、というところ。



【胡菫菜】   えぞすみれ  (P.450)
【菫菜】    つぼすみれ  (P.357)

 これはお手上げ。今書いていて思いつきましたが、「つぼ」は細いから2文字で、「えぞ(=北海道)」は広いから3文字。これでいけるかな??


 残り1ヶ月。皆さんがんばりましょう!

単漢字と熟字訓

2014-05-04 14:56:22 | 熟字訓・当て字
 「模擬試験 第3回」の中にいくつか出てきていますが、熟字訓の中には、それに含まれている単漢字の読みそのままのものがちらほらとありますね。思いついたものをまとめてみました。
(いつもの通り、かっこ内は「漢検 漢字辞典」初版の掲載ページです。)



<おくび>

【噯気】  【噯】   (7)
【噫気】  【噫】   (39)

 過去問では、20-3、25-2 で出題されています。


<るつぼ>  

【坩堝】  【坩】   (224)
【堝】   (150)

 【坩】 一字での「るつぼ」は「要覧」だけにあって「辞典」にはない読み。【堝】 の方は「辞典」に出ています。
 過去問では、手元で確認できた範囲では、16-2 で 【坩堝】 の読みが出題されていただけでした。「完全征服」には書き問題として出ていますから、かなり以前に書き問題としても出題されたことがあるのでしょう。熟字訓の書き取りの出題例は少ないですが、一文字でも「るつぼ」なので上の「おくび」同様、出る可能性はあるでしょう。覚えておきたいところです。


<おしどり>

【鴛鴦】  【鴛】   (106)
【鴦】   (133)

 どちらも準1級配当漢字です。


<みさご>

【雎鳩】  【雎】   (723)

 四字熟語 【関関雎鳩】 (かんかんしょきゅう。非常に夫婦仲が良いこと。「漢検 四字熟語辞典」P.134。) 、同じく「みさご」と読む単漢字 【鶚】(205) も合わせて覚えましょう。


<ゆはず>

【弓弭】   (298)  【弭】   (1277)

 25-3 で 【檠(ゆだめ)】(398) の訓読みが出ています。弓関連でこの 【弭】 や 【夬(ゆがけ)】(165) も狙われる?


<あかね>
 
【茜草】  【茜】   (893)

 準1級配当漢字。熟字訓では他に 【地血】(1018) とも書きます。
 

<せり>

【芹子】  【芹】   (352)
【水芹】   (817)

 春の七草の覚え方の最初に出て来ますね。準1級配当漢字です。


<ふき>
【菜蕗】   (551)  【蕗】   (1594)

 準1級配当漢字。熟字訓では他に 【款冬】(234) とも書き、また単漢字では1級配当で 【苳】(1130) という字もあります。



 とりあえず思いついたのはこんなところですが、まだありそうですね。また気づいたら追記します。


 残り50日を切りました。そろそろ新しいことよりも「総復習モード」に切り替えた方が良いかなぁ・・・


熟字訓・当て字の解答

2014-03-06 13:32:00 | 熟字訓・当て字


 私のところでは、春の息吹を感じられることも多くなってきました。この写真は自宅近くの公園なのですが、毎年この木に花がついて、春が近いことを感じさせてくれます。「植物音痴」なので、これが一体何という木なのかは、いまだにわからないのですが。^^;


 さて、きょうは熟字訓・当て字の解答についてです。
 本試験で、他の読み問題の問題文には「読みをひらがなで記せ。」とあって、したがってカタカナで書いたら誤答ということになるのですが、(六)の熟字訓・当て字だけは単に「読みを記せ。」とだけ書かれていて、ひらがな・カタカナの指定がありません。標準解答も設問によってひらがな・カタカナが書き分けられていて、それは「漢検 漢字辞典」の表記と基本的に一致しているようです。そのため、漢検関係のブログやサイトを見ていると、「辞典」の記載に沿ってひらがな・カタカナを書き分けて解答する必要がある(そうしないと誤答になる)という主旨の記載が見受けられるのですが、本当のところはどうなのでしょうか。

 実は私はそもそもこの点に考えが及んでおらず、25-2 までは、ひらがな・カタカナを書き分けるということには、まったく頓着していませんでした。ちなみに、25-2 までで私が実際に受検した回の問題では、次の語の標準解答がカタカナになっていました。

 【風信子】  ヒヤシンス
 【高襟】   ハイカラ
 【羊駝】   ラマ

 これらの解答にあたっては、当時の私は書き分けを文字通り「頓着していなかった」のでどちらで書いたか定かでなく、ひらがなで書いたものもあっただろうと思うのですが、できたと思っていた問題が正式結果で誤答とされたことはなかったので、おそらくはひらがなで書いても正答とされるのではないかと想像はしています。ただ、書き分けるとなるとどちらで書くか迷うような語もあるので、正確な採点基準を知りたいところです。(例えば、【柳葉魚(シシャモ)】 は私の感覚ではひらがなですが、「辞典」ではカタカナ表記になっています。19-1 で出題されたときの標準解答もカタカナでした。もともとがアイヌ語だからでしょうか。) まあ、迷ったらひらがなで書いておけば無難かなと思いますが、採点基準のことだから漢検協会に聞いてみれば良いのかな??

熟字訓・当て字をどこまで覚えるか

2014-02-24 21:21:21 | 熟字訓・当て字
 昨日の 「漢検1級ブログ ボクちゃん日記PART2(漢検一級編)」 で、 【匹如身(するすみ)】 という熟字訓が紹介されていました。「財産も家族もなく、身一つであること。」との意味で、ネットで検索すると、徒然草にも出てくる言葉(第142段)のようです。で、この熟語は「漢検 漢字辞典」の見出しにある(P.1283)のですが、巻末の「熟字訓・当て字索引」には記載されていません。索引の注書きには、「・・・収録した熟字訓・当て字のうち、重要なものを選び、・・・」とあり、「辞典」の編集者が重要と考えたものだけが索引に掲載されているということになります。

 さてそこでいつも悩むのは、本文にあって索引にないものを、漢検対策として学習の対象とするかどうかです。感覚的に、索引にないものはほとんど出題されないという認識でいましたが、この機会に手元にある平成15年度以降の本試験問題を調べてみました。


 <延べ出題熟語数>     330  (1回あたり10問×年3回×11年分)
 <重複を除いた熟語数>   202
  その内、
   <索引にあるもの>   198
   <索引にないもの>     4


 索引にない4つの熟語は以下です。(かっこ内は「漢検 漢字辞典」初版の掲載ページです。)

1. 【踏鞴】  たたら  (1146)
 この語は索引にないだけでなく、「辞典」の見出しにもありません。 【蹈鞴】 の項に「『踏鞴』とも書く。」と小さく記載されているだけです。 【踏】 が 【蹈】 の書き換え字なので、「辞典」の編集者がもともとの表記である 【蹈鞴】 の方を見出しと索引に入れ、 【踏鞴】 は入れなかったのでしょう。一方、本試験では見出し・索引にない 【踏鞴】 の方が3度(15-1、18-1、21-3)出題されていますので、掲載はなくともこちらも覚えておくべきでしょう。(【蹈鞴】 は 19-3 の1度。)

2. 【行器】  ほかい  (479)
 20-1 で出題。

3. 【日照雨】 そばえ  (-)
 24-2 で出題。これは索引以前に、そもそも「辞典」に掲載されていません。満点阻止問題ということでしょうか。しかし受検者の側からすると、この出題はやっぱり反則ですよねぇ。(汗)

4. 【儒艮】  ジュゴン   (677)
 24-2 で出題。この語はそもそも 【ジュ】 も 【ゴン】 もそれぞれの漢字本来の読みで読め、かつ 【ジュゴン】 が外来語などではない(そうなのか??)ので、「辞典」はこれを熟字訓・当て字扱いしていません(凡例にそう書いてあります)。熟字訓・当て字扱いしていないから索引にもないということなのですが、そう言いながら、本試験で熟字訓・当て字の問題として出題するというのは、これまた反則のような気がしますがいかがでしょう?



 いろいろ書きましたが、重複を含めた全出題総数330問のうち上記4つで計6問ですから出題率は僅か1.8%。結論としては、200点満点を狙うのでもないかぎり、熟字訓・当て字に関しては索引にある語だけを学習対象とすれば良く、それだけでほぼ10点満点、運が悪いときでも9点は確保できるということになりそうです。(【日照雨】 と 【儒艮】 が同時に出題された 24-2 だけは例外。) もっと言えば、合格を勝ち取るための勉強の効率という観点では、熟字訓・当て字は過去問だけに絞り、残った時間や労力は他の分野に注ぐべきなのかもしれませんね。

 などと言いつつ、私自身が実際はどうしているかというと、この 【匹如身(するすみ)】 のように索引になくても印象深い言葉は覚えようとしてしまいます。試験に出る出ないはともかく、勉強を通じて魅力ある日本語にしばしば出会えるのが、漢検に取り組むことの大きな喜びですね。 ^^