Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

Tell the Truth

2006年11月30日 | diary
 オープニングのイントロが聴こえた瞬間、心が舞い上がっていた。昨日は、長年夢見ていたことが叶った夜だった。

 エリックの指から幾度となく繰り出されるサザン・フレーズ。バックを固めるサムライのような男達。これはつまり(乱暴に言うと)、デレク&ザ・ドミノスなんだと思った。全然お洒落なんか じゃない。でも、そこがよかった。僕は一度でいいから、こんなクラプトンを観たいと思っていたのだ。

 デレク&ザ・ドミノスが結成されたのは、エリックがアメリカ南部の音楽に接近していった時期。このバンドの魅力って、豪放らいらくな南部男達の中に、荒ぶる魂を内に秘めた繊細なイギリス人が入っていったところなのかなぁと思ったりする。照りつける太陽と抜けるような青空。爽快で裏表のない南部の風。響き渡る豪快な笑い声。そんな環境の中で、エリックのギターはそれまでにないほど自然な高まり見せるようになる。その鮮烈さ、清々しさは、泥沼に注がれたひとすじの清流のようだった。どこまでも透明で、純粋だった。

 あえて言うならば、僕はこの頃のエリックが一番好きなのだと思う。

 昨日のステージがその再来だったとは思わない。でも、僕がエリックのライヴに対してずっと抱えてきた、ある種の心の渇きを潤すなにかがあったのは間違いなかった。エリックの声は本調子ではなかったし、デレク・トラックスも完全に自分の力を開放していたとは思わない。ひとりいらないキーボードがいたし、ドイル・ブラムホール2世のヴォーカルも弱かった。でも、このバンドをバックに従えてのエリックのギターは本当に素晴らしかった。それは言葉では到底表現できないくらいのものだった。スティーヴ・ジョーダンのあまりのかっこよさにもびっくりした(彼がドラムを叩かないアコースティック・セットがもったいなく感じられた)。クリス・ステイトンとウィリー・ウィークスも堅実でイマジネーション溢れるプレイをしていた。そして、デレクのスライド・ギターを生で聴けたのはやっぱり嬉しかった。

 逆を言えば、これはコンテンポラリーな音楽じゃない。すごく男っぽくて、『Unpluged』の成功以降のどこか女性的ともいえる繊細さが前に出てこない。「カップルにはかわいそうでしたね」と友人が言っていた。確かにそうかもしれなかった。「でも、好きな人にはたまらないんだろうな」とも。その通りだった。

 結論:カップルなんか知ったこっちゃない。

 あと1回、僕は武道館に足を運ぶことになっている。でも、もしかしたら2回になるかもしれない。3回ってことはないと思うんだけど、さて?ちょっと考え中だったりする。

 終演後、銀座にあるビートルズ・バーに寄った。当たり前のようにジョージが流れていた。『Live in Japan』を聴きながら、僕らは日本公演の想い出話などをした。ジョージとエリックが同じステージに立っていた日のことを。地元の駅に着いてからいつものアナログ・バーに顔を出すと、やっぱりジョージが流れていた。僕の顔を見たマスターが「命日だね」と言った。『George Harrison』と『Living in the Material World』を聴いて、ビールを2杯飲んで、タクシーで家に帰った。

 で、今朝は『Extra Texture』をターンテーブルにのせた。今日もジョージの日。

サイコー、ギター

2006年11月29日 | diary
 ジョージの日。あれからもう5年たっちゃったのか。

 昨夜は部屋でエリック・クラプトンのレコードを聴きながら、読みかけだったボブ・モリスの小説『震える熱帯』を読んだ。数日前の日記には「好きになれそうもない」と書いたけど、最後まで読み通せたのだから、それだけの良さはあったのかな。エリックは『Money and Cigarets』と『Behind the Sun』を聴いた。前者は僕にとっていいアルバムであり、後者は僕にとってあまりいいアルバムじゃない。『Money and Cigarets』を「クラプトンで一番好きだ」と言う友人なら2人知ってるけど、『Behind the Sun』を一番好きだという人には、今のところ会ったことがない。単に好みの問題なのか、もしくはそれ以上の理由があるのか。

 この2枚を聴き終えても、まだ小説は読み終わらなかったので、この日買ったばかりのアルヴィン・リー&マイロン・ルフェーブルの『On the Road to Freedom』をターンテーブルにのせた。これってなにげにジョージ絡みだったりして、ずっとさがしてた1枚(こちらを参照)。それがジョージの日を目前にして入手できたのは、ただの偶然なんだけど、ちょっぴり嬉しかったりする。

 こんな感じで徐々に気持ちをジョージ・モードへもっていき、日付けが変わったところで、ジョージをかけた。最初はエリックの歌う“Love Comes to Everyone”を聴いて、それから『George Harrison』(“Love Comes to Everyone”収録)をかけようと思ってたんだけど、なんかもっとスペシャルな気持ちだったので、15年前の日本公演の想い出にひたることにした。

 というわけで『Live in Japan』を。“While My Guitar Gentiy Weeps”が終わると、「エリック・クラプトン、サイコー、ギター」ってジョージが言う。で、その後にもう1回小さな声で「サイコー、ギター」って言うんだよね。あれがほんとにね。いいよね。

 で、今朝はというと、先のアルヴィン&マイロンでの“So Sad”繋がりや、今回のエリックのツアーにウィリー・ウィークスが参加してることもあって、『Dark Horse』をターンテーブルにのっけた。それからそのままウィリー・ウィークスながれで『Thirty Three & 1/3』をかけた。鎌倉の事務所には『Brainwashed』を持っていくつもり。今日はしっかりとジョージを聴いて、夜はエリックに会いに行こう。

薄暗い部屋の『Tommy』

2006年11月28日 | diary
 昨夜はいつもよりいくらか早く寝たら、今朝はいつもよりいくらか早く目が覚めた。ふむ、そんなもんなんだな。カーテンを開けると、こまかい雨が降っていた。薄暗い部屋で『Tommy』をターンテーブルにのせた。

 いやー『Tommy』すげーいい。ほんと凄いアルバムだ(って今更だけど)。そういやミュージカル『Tommy』を観たのも今年だったっけ。なんだか随分前のことのように思える。ミュージカルと言えば、友人のご厚意により、今度の日曜日『We Will Rock You』を観に行ってくる。クイーンのあれね。つまり、今年は2本もミュージカルを観ることになるのか。なんとなく快挙。

 明日はジョージの日。そして、エリックのライヴの日。3年振りに、同じ日に、同じ場所へ。日本武道館へと向かう。けっこうどきどきするな。ジョージの命日にエリックのライヴを観るのは、それだけで特別な意味がある。別になにか特別なことを期待してるわけじゃない。いつも通りのステージでいい。そこにエリックがいて、心のこもったプレイを聴かせてくれれば、それでいい。

 他にもビリー・ジョエルやU2など、これから1週間ほどライヴがつづく。うまく気持ちの切り替えをしながら、どれも楽しめたらいいなと思っている。

心と心をつなぐもの

2006年11月27日 | diary
 ポールの新しいDVD『The Space Within Us』を観ていると、感情が次から次へと溢れてきて、自分がささやかな制御不能状態に陥っていることに気づいて、ちょっとびっくりする。画面に映し出されるステージと客席の様子。そこには僕の人生があり、たくさんのファンの人生があり、ポールの人生があり、うずまくような無限の力がある。

 ビートルズを聴いて、あらゆることが変わった。彼らを知ったとき、それまで好きだったもののほとんどが色褪せてしまい、興味がもてなくなった。僕はまだ中学生だったけど、ビートルズのなにがそれまでと違っていたのかは、はっきりとわかっていた。僕がビートルズから感じたのは、その場限りの感動ではなく、一生つきあっていく価値のある感動だったのだ。そうした深みのある世界の存在を、僕はビートルズを通して初めて知ることになった。

 だから、僕はビートルズにのめり込んだし、それからしばらくして、より深く音楽そのものにのめり込むようになった。でも、僕にとってなにより大きいのは、僕がビートルズを聴きつづけてきたという事実だ。中学生のときも高校生のときも、20代も30代も、僕は変わらない熱心さで“She Loves You”や“Nowhere Man”や“Here Comes the Sun”を聴いてきた。ずっと彼らのことが大好きだし、いつも僕の興味の中心には彼らがいる。それは一方的という言葉を超えた、音楽を架け橋とした、深い関わりなのだと思う。

 ビートルズは僕の人生を大きく変えた。もっと正確に言えば、僕が大人になっていく上での、もっとも重要な成長過程において、彼らはあまりに決定的な力を及ぼした。だから、ビートルズのない人生を考えることは、僕には不可能だ。僕だけじゃなく、出会い方の道順こそ違えど、そういう人が世界中にものすごくたくさんいる。そして、そんな僕らの存在が、4人の人生も大きく変えてきたのかもしれない。

 ポールはそのことをわかっている。ステージでの自然な振る舞いを見ていると、そんな気持ちがしてくる。

 どうして会ったこともない人にこれほどまで惹かれるのか?その人が作る音楽にこれほど心を揺さぶられるのか?それはきっと、心が通じ合っているからだと思う。『The Space Within Us』を観て、ポールを好きでいて本当に良かったと、そう思わずにはいられなかった。

難しいこともある

2006年11月26日 | diary
 僕は仕事でCD屋さんをまわることが多いのだけど、今はビートルズの『Love』がどこへいっても大きくディスプレイされている。で、お店によっては店員さんが「ねぇねぇねぇ、どうだったどうだった?」と話しかけてくる。例えば、都内の某ショップにて。

 店員さん:「MIYAIさん、待ってましたよー。さぁ、どう思いました?」
 MIYAI:「え、あーいや、僕はですね、その、まぁまぁというか…」
 店員さん:「あれ、そうなんですか?僕は想像以上に良かったけどなぁ」

 と、ここからは店員さんの熱い『Love』トークがつづく。「まさかあそこで“In My Life”が出てくるとは思いませんでしたね。この曲はほんとに大好きだから、もうびっくりしちゃって」と興奮気味に語る彼に向かって、「あれは蛇足だったと思いますよ」とはやっぱり言えない。しかも「自分にとってのビートルズ・ベスト3は、“Strawberry Fields Forever”、“All You Need Is Love”、そして“In My Life”なんです」とまで言われちゃうと、これはもう、絶対的になにも言えない。「うーんと、僕は“You Won't See Me”が一番好きかなぁ」という自分の言葉が、ひどく言い逃れっぽく聞こえたり。それでも、「あーそっかー。今回使われてませんよねぇ。うーん、そっかー」と、彼はとても残念がってくれたのだった。

 なんつーかね、『Love』の話は苦手だ。好意的な意見に対して一緒になって盛り上がれないし、かといって、否定的な意見にもできることなら同調したくない、みたいな。

 結論:ファンってけっこう大変なんです。

 まぁ、いいや。今夜もポールのDVDを観よう。『The Space Within Us』を観よう。これはもうどうしようもないくらいに、無条件幸福的に、素晴らしいと思う。

雨にけむるブルースの夜

2006年11月24日 | diary
 待てど暮らせど届かないポールのDVD。ぼけっとしててもしょうがないので、先日いただいたブルースのDVDをまとめて観たんだけど、これがどれも面白かった。

 『ピアノ・ブルース』はクリント・イーストウッドが監督を務めている。楽しそうにレイ・チャールズやドクター・ジョンなどと語らう趣味丸出しのイーストウッドがいい。確かデイヴ・ブルーベックか誰かが♪彼女は俺のことを恋人と呼ぶし、乞食とも呼ぶんだ♪みたいな歌を歌うと、「わかるよ。俺にもそんな頃があった」と言ったりしてて、大変微笑ましい。この時代はジャズとブルースがしっかりと結びついていたんだなというのが伝わってくる作品でもある。

 60年代イギリスのブルース・ブームを振り返った『レッド、ホワイト&ブルース』には、エリック・クラプトン、ヴァン・モリソン、ジェフ・ベック、トム・ジョーンズ、エリック・バートンなど、ロック界の錚々たる面々が出演してる。ヴァンの歌声を聴けるのが嬉しいし、「60年代後半のブルース・ロックのブームは、僕が守りつづけてきた信念とはそぐわないものに思えた」というエリックのインタビューも興味深い。「僕は真剣だった」と語るエリックは、やっぱりかっこいいのだ。

 『ロード・トゥ・メンフィス』は、メンフィスのビール・ストリートから巣立ったブルース・マン達が故郷に戻ってくるホーム・カミングもの。B.B.キング、アイク・ターナー、リトル・ミルトンなどなど。サン・レコードの創始者であるサム・フィリップスも出てくるんだけど、酔っぱらってるのかいっちゃってるのか、アイク・ターナーとのやりとりは最高に可笑しかった。
 ブルース人気が下火になって、食べていけなくなり、20年間クリーニング屋さんをやって暮らしてきたというロスコー・ゴードンという人も出てくる。そして、激しい浮き沈みを経験しながらも「ブルース一筋でやってきた」と言うB.B.キング。あるときからまったく別の人生を歩んだ2人だけど、そのどちらにも味わいがあるし、ブルースがある。

 夜は、忘れてったトコロテンを取りに友達がやってきた。僕らはビールを飲み、交互にギターを弾いたり、歌ったりした。どういうわけか、彼はフィル・コリンズの“One More Night”を練習していた。それは僕らが高校生の頃にヒットした曲だった。僕はフィル・コリンズにも彼の音楽にも興味がないのだけど、懐かしかったので、一緒に歌ったりした。友人は午前1時頃に歩いて帰っていった。外はいい感じで雨が降っていた。泊まってけと言ったんだけど、彼は僕の申し出を断り、傘だけ借りて夜の闇へと消えて行った。後姿がなんとなくブルージーだった。

 玄関のドアノブにぶら下がる形で、ポールのDVDが届いていた。いつ来たんだろな。全然気がつかなかった。

 というわけで、今夜こそポールを観るのだ。

The Other Me

2006年11月23日 | diary
 インスタント・コーヒーが美味しい朝。休日もそれなりの時間にちゃんと起きると、時間のゆとりがあっていいものなり。サラダを作って、トーストにブルーベリー・ジャムをつけて食べて、コーヒーを飲みながらこんな日記をつけてると、気ままな生活をしていた頃を思い出したりする。今朝みたいにストーンズをかけながら、「さて、今日はこれからなにをしようかな?」なんてことを考えてた。

 昨日はポールのDVDが届かなかった。きっと今日届くのだろう。だから昨日の夜は『Love』を聴いた後、やっぱりアナログ盤でビートルズを聴いて、それからポールの『Pipes of Piece』とリンゴの『Goodnight Vienna』をターンテーブルにのせた。

 『Pipes of Piece』は、初めて発売日に買ったポールのニュー・アルバムで、僕は中学2年生だった。本当に繰り返し聴いたから、この頃の作風やヴォーカルが、僕にとってのポールの基本になっているところがある。例えば“The Other Me”や“Sweetest Little Show”を聴くと、すごくほっとする。今にしてみるとけっして派手なアルバムじゃないし、その中でも割と地味な2曲だけど、敷居が高くない分、ポールの人柄が自然と伝わってくるのかもしれない。で、僕はそういう歌が好きだし、そんな風にしてアーティストとの距離が近づいていくのを感じるのが好きなのだと思う。

 そういやあの頃、このアルバムと『Tug of War』とビリー・ジョエルの『An Innocent Man』ばかり聴いてる友人がいた。学校へ行くと、「いやー、昨日も2回づつ聴いちゃってさー」などと報告してくるもんだから、僕の中では今でもうっすらと、この3枚はどこかセットであるような感覚がある。一種の刷り込みみたいなもんか。

 昨日、ボブ・モリスという人の『震える熱帯』という小説を買った。まだちょっとしか読んでないけど、残念ながらあまり好きになれそうもない。今日読むつもりで買ったんだけど、どうしようかな。

 というわけで、朝のコーヒーをすすりながら「さて、今日はこれからなにをしようかな?」と昔のように考えてたりする。ひとまず、ポールのDVDが届くのを待つとしようか。そうしようか。

The Grey Album

2006年11月22日 | diary
 週末からなんとなくビートリィな日々。

 昨日は部屋で、デンジャー・マウスによる非公式マッシュアップ(合体再構築)作品『The Grey Album』を久しぶりに聴いた。これはビートルズの『The Beatles(ホワイト・アルバム)』とジェイ・Zの『The Black Album』をまぜこんで作ったもの。かなりズダズダ感があって、たまに聴くと面白かったりする。ビートルズ関連でこういうアルバムって他にもあるのかなぁと思って調べてみると、ビースティ・ボーイズとのマッシュアップもの『Beastles』や『Let it Beast』、名作『Revolver』をマッシュアップした『Revolved』など、どれも非公式だけどいろいろあるみたい。ちょっと聴いてみたい気もする。

 『Love』にしてもそうだけど、こういうのってどれだけ面白がれるかどうかだと思う。で、僕にとっては、まぁまぁってことなのだろう。過激な『The Grey Album』も。穏和な『Love』も。

 その後、普通にビートルズが聴きたくなって、『Hey Jude』と『Let It Be...Naked』をかけた。やっぱりかっこよかった。

 そんな僕も、今日は『Love』を購入予定。で、改めてじっくり聴いてみようと思っている。amazon.からはポールのDVDも届くはずだし、なるべく早く帰ってこよう。

『The Space Within Us』をよろしく

2006年11月21日 | diary
 2日酔いじゃない朝は気持ちがいい。

 今日はポールのDVD『The Space Within Us』が店頭に並ぶ日。あの夢のようだった来日公演からもう4年がたっちゃったわけだけど、その後もポールはツアーをつづけていたわけでね。その様子がこうして映像で観れるのはとても嬉しい。いつかまた日本にも来てほしいもの。

 というわけで、「やっぱり『Love』より『The Space Within Us』でしょ」と、僕は思ってたりする。

 『Love』は試聴会で聴いてきた。どんな場合であれ、ビートルズを聴いてるのは楽しい。でも、『Love』が期待以上だったかというと、そうでもなかったかな。音はクリアになっていて、ジョンやポールのヴォーカルの過激さが際立って聴こえた。あとリンゴのドラムがすごくて、やっぱりリンゴがビートルズの心臓だったんだなぁと改めて思った。オリジナル・アルバムがリマスター化されれば、きっと大きな話題になるだろうなぁと思ったりもした。作品そのものは、いろんな音が詰め込まれてはいるけれど、おおまかな流れは想像がつく範囲で、ディテールにはっとすることはあっても、全体としては大きな驚きもなく普通だったと思う。ジョンの大技の後にはポールの大技がくるなど、バランスに気をつかっていた。ラストの構成は最近のポールのライヴになぞらえてる気がした。ジョージの曲がもうちょっと欲しかった。

 僕はリンゴのヴォーカルにほっとした。曲のくっつけ方にはちょっと無理があったけど(手抜きであるとさえ思ったけど)、派手にショーアップされた流れの中で聴くリンゴの素朴なヴォーカルは、やっぱり優しかった。

 ストリングスのアレンジとかを聴くと、ジョージ・マーティンが成し得てきた仕事の素晴らしさを再確認することができる。これだけ手を加えていながら安心して聴けるのは、彼が関わっているからだろうし、彼だからこそできた仕事なんだろうなという気持ちは強い。そんな彼が、息子のジャイルズと一緒に、もう一度自分の最高のキャリアを振り返る機会を得られたのは、よかったなぁと思う。

 正直、買ってもあまり聴かない気もするんだけど、ジョージ・マーティンへの深い敬意と、もしかしたら聴いてるうちに面白くなるかもしれないしという期待をこめて、安い輸入盤くらいは買っとこうかな。

 でも、やっぱり『Love』よりポールのDVD。『The Space Within Us』をよろしく。

Honest I Do

2006年11月19日 | diary
 再び坊主頭に。やっぱり矢沢よりは坊主だろうと。昨日、一緒に飲んだ友達に見せたら「へぇー、坊主似合うねー」と言ってくれたけど、すぐに「はやく伸びるといいね」とも言われた。ふむ…。自分としては、もう3度目の坊主なので、だんだん馴染んできてる感じかな。ま、これから寒くなるわけだし、帽子は手放せなくなりそう。

 「用事を済ませてから行くね」と、友達は少し遅めの時間に店に入ってきた。なんでも、日中は妹さんの結婚式で、夕方からは友達の10回忌だったそうな。「すごいね」と僕が言うと、「こんな冠婚葬祭な日も珍しいよね」と友達は明るく笑った。カーティス・メイフィールドやマーヴィン・ゲイを聴きながら、僕らは音楽談義や地元の話などをした。彼女は根っからの湘南育ちで、この土地のことをとても愛している。知り合いも多く、例えば店のマスターとは「妹さんと幼なじみなのよ」とか。彼女の話を聞いていると、誰もがみんなどこかで繋がっているように思えてくる。それは小さな町での話に過ぎないわけだけど、ひとつのところに根づいたことのない僕には、そうしたことを幸せそうに話す彼女が、なんだか羨ましく思えた。

 家までの夜道は少し肌寒かった。途中でメールがきたので、その返事をした。帰ってから、アレサ・フランクリンの『Spirit in the Dark』を聴いた。“Honest I Do”が優しく胸に沁みた。

 今日はビートルズ『Love』の試聴会のため、キャピトル東急ホテルの真珠の間へ。まずは、あの「真珠の間」(ビートルズが記者会見をした場所)に入れるのが、ちょっぴり嬉しい。『Love』そのものに関しては、過剰な期待も反感もないので、まっさらな気持ちで楽しめたらいいなと思っている。CDを買うかも、今日聴いてから決めるつもり。